園長
「菖蒲せんっせ!
今日も一日お疲れ様でございました~!」
菖蒲
「ああ・・・園長先生。
お疲れ様でした・・・と言いたいところですが、私はまだ」
園長
「ん、まだ何かお仕事が?」
菖蒲
「これ」
園長
「あ~・・・保育日誌ですねぇ!
そんなのは、コイツでパパパっと」
菖蒲
「ああ・・・私はその"スマフォン"とやらを持ってないので・・・」
園長
「ふむ・・・しかし手書きじゃ大変でしょうに」
菖蒲
「いや、私はこれが良いんです」
園長
「相変わらず古風ですな!
好きです!そういうとこ!」
菖蒲
「ああ・・・そうですか・・・」
園長
「菖蒲先生は達筆だから良いですよね。
私はダメだなぁ。
手書きは疲れるし、字がへたっちょだから自分で書いたのに読めなかったりしちゃいます!
子供を預かる人間が情けないですよね。子供に偉そうなこと言えないですよね。
その点、菖蒲先生は、子供達にも綺麗な字の書き方を教えてあげられるし」
菖蒲
「ああ・・・私、誰かに教えるのとか無理です。
正直なところ、そういうの苦手なんで・・・」
園長
「え・・・それって、保育士に向いてないんじゃ・・・」
菖蒲
「そうです、向いてません」
園長
「はは・・・はははは、またまた御冗談を・・・」
菖蒲
「それに最近、疲れが酷いんです」
園長
「保育士の仕事は大変ですからね」
菖蒲
「肩こりも酷くて。
子供の視線に合わせて腰を低くしてるから・・・色々重くって」
園長
「それはつまり・・・おっぱ」
菖蒲
「察するだけにしてください」
園長
「ムフフフ・・・おっぱい」
菖蒲
「・・・・・・」
園長
「乳房?乳袋?」
菖蒲
「・・・・・・」
園長
「スルースキル半端じゃないですね」
菖蒲
「・・・・・・」
園長
「あ、そうだ、肩こりに効くマッサージしてあげましょっか?
私うまいんですよ~!」
菖蒲
「断る」
園長
「なんでなんで?」
菖蒲
「そのムッツリした顔が物語ってるからです」
園長
「ムッツリですかぁ?
まぁ確かによく言われます。
でも、私と菖蒲先生は一度はシッポリまぐわった仲じゃないですかぁ。
あれっきりになっちゃってるんで・・・すんごく寂しいですよぉ」
菖蒲
「あれは・・・あれはですね!
あれは・・・その・・・あれは、本意じゃなくって・・・」
園長
「ジー・・・」
菖蒲
「物欲しげな目で見つめるな!
やめろその顔!」
園長
「ニチャァ・・・」
菖蒲
「擬音だけで語るな!」
園長
「くぱぁ・・・」
菖蒲
「殺すぞ!」
園長
「メギャン!」
菖蒲
「鬱陶しい・・・さっさと帰ってください!」
園長
「そうですね!
冗談はこの辺にして、何か困ったことがあったらいつでも相談に乗りますので」
菖蒲
「別に何も・・・ただ、疲れが溜まってるだけです」
園長
「そうですか。
ま、子供たちの保育に関して困ったことがあったら、どんな些細なことでも相談してください。
ああ見えて彼らは鋭いのです。
先生の疲れた顔も、自分たちへの向き合い方も、何気ない言葉も、すべて察知してしまいます。
彼らが大人になるころ、この保育園での出来事はほとんど覚えていないかもしれません。
でも、確実に大きな影響を与えるのです」
菖蒲
「きゅ、急に真面目な話を・・・」
(ドキ・・・)
園長
「ここだけは真面目に話させてください。
子供たちの進む道を教え諭してやるのが義務教育なら、道がある場所まで安全に大切に運んでやるのが我々の仕事なんです」
菖蒲
(ドキドキ・・・)
園長
「ですから、菖蒲先生」
菖蒲
「は、はい」
園長
「まっすぐ子供たちを見つめて、なるべく笑顔でいてやってください」
菖蒲
「は、はい!」
園長
「それでは、私はお先に失礼しますよ!
家に帰って誠と慶介のご飯の準備しなきゃですから!
あ、因みに今日はうち、牛モツ入りバーモントカレーです」
菖蒲
「そうですか」
園長
「菖蒲先生もどうですか?牛モツ入りバーモントカレー食べに来ませんか?
菖蒲先生がいたら賑やかなんだけどなぁ~」
菖蒲
「お断りします」
園長
「牛モツをね」
菖蒲
「断る」
園長
「そーですかぁ・・・残念だなぁ。
それじゃあ、また明日~」
菖蒲
「お疲れ様でした・・・」
・・・・・・
菖蒲
「子供たちを道まで運んでやる・・・か・・・。
園長・・・時々ああやってカッコいいこと言うから困るんだ・・・。
困る?
何が・・・?
ハァ・・・あの一件は思い出したくないな。
さて、はやく日誌を書いて私も帰らねば・・・。
そう言えば今日は・・・大変な事件があったな・・・」
『12月16日
相変わらず 誠 と 慶介 が厄介だ。
私の乳ばかりに興味を持つ。
この子たちが大人になったときのことを想像するに、
私は戦慄すら覚えるのだ。
なぜならこの子たちの親は"あの園長先生"だからだ。
しかし、母の愛情を知らないこの二人を不憫に思い、私は乳を好き放題させてしまう。
長いことそうさせてしまったせいか、私の乳は酷く敏感になってしまい・・・乳首だけで・・・』
菖蒲
「いけない、何を書いてるんだ私は・・・」
『そう、今日は、憧れのスターと会ったんだ』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
午前
愛育保育園
菖蒲
「なんだか今日は、町全体が騒がしいな・・・」
園長
「あれ、菖蒲先生は知らないんですか?
今日はすぐそこの玉川河川敷で映画のロケをやってるんですよ」
菖蒲
「へぇ・・・映画のロケですか」
園長
「なんでも、深作銀次監督の歴史ファンタジーみたいで、超人気のアクション俳優が来てるみたいですよ~。
なんなら、後で一緒に見物にでも行きましょうか~」
菖蒲
「あ、もしや『真田魔剣道』が出演する映画では?」
園長
「ああ、確かそうだったような・・・」
菖蒲
「こうしてはおられぬ!」
園長
「で、ヒロイン役が今をトキメクあのホンカ・・・」
ピューーーーーー!
園長
「おあッ!あ、菖蒲先生どこへ!」
ピューーーーーー!
菖蒲
「ぜぇぜぇ・・・あ、あの、今日は用事が出来たので、早退させてくださいっ!」
園長
「そ、そんな!」
菖蒲
「かたじけない!」
ピューーーーーー!
園長
「・・・行ってしまった。もう影すらも見えない。
そうか、菖蒲先生もイケメンには弱かったのか・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
玉川河川敷
監督
「なにぃ!ホンカナちゃんが今日のロケをドタキャンしたですって!?」
スタッフ
「はひぃ・・・どうしましょう監督ぅ!」
監督
「キィッ!
何よあの小娘っ!
ちょっと売れてるからって己惚れてるわ!
おっぱいが大きいから人気があるだけなのに、何よあの卑猥な乳娘ッ!
ふざけないでよね!」
スタッフ
「あのぉ・・・」
監督
「良いわ!もう良いの!
今日のロケは魔剣道クン一本に絞るから!
ホンカナのシーンは大幅カットよ!」
スタッフ
「は、はひぃ・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
菖蒲
「ぜぇぜぇ・・・撮影にどうにか間に合ったか・・・はぁはぁ・・・。
しかし、すごいギャラリーだ。
若い女性ばかりだ」
『キャーキャー!』
菖蒲
「どこだ、あの方は何処にいる?」
スタッフ
「真田魔剣道さん到着しましたー!」
『キャーーーーーーー!』
菖蒲
「くぅ・・・う、煩いなぁ・・・」
『キャーーーーーーー!』
菖蒲
「どこだ・・・どこにいる!」
魔剣道
「ヒュ~♪
凄いギャラリーだね。ま、しょうがないか。
なにせ、この僕が来たんだから」
『マックーーーーン!』
『ワーーーキャーーーー!』
菖蒲
「!!!!!!!」
スタッフ
「魔剣道さん、柳生先生がお待ちです」
魔剣道
「うん」
『マックーーン!!」
魔剣道
「先生!
足元大丈夫ですか?」
柳生
「おっと・・・すまんな。
・・・もう80じゃからな、大分・・・うぅぅぅ・・・この金切り声に頭がクラクラしとるのじゃ・・・」
『魔剣道クンやさしいいいいいい~!』
『マックーーーン!愛してる~~~!』
菖蒲
「柳生先生――――――!!!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スタッフ
「ギャラリーの皆様、これから撮影がありますので、歓声は控えてくださーーーい」
菖蒲
「柳生新陰流正当伝承者、柳生三十郎様・・・。
現代の日本に残る剣術の唯一神・・・。
ああ・・・菖蒲は・・・実際にこの眼でそのお姿を拝見できるとは思いもしませんでした。
お父様・・・今、私は生き神様を目の当たりにしているのです」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スタッフ
「監督ぅ・・・やはり、ホンカナちゃんがいないと撮れるシーンが限られてしまいますよぅ」
監督
「くぅ・・・あの乳娘・・・クソクソクソクソ!
どうしたらいいのよ!」
スタッフ
「幸い、魔剣道さんのお陰で若い女性のギャラリーも多いですし、その中から誰かを代わりに・・・とか」
監督
「もしかして、素人を代役に立てるってバカみたいなこと言ってるの?
その冗談みたいな顔で冗談を言っちゃってるの?」
スタッフ
「じょ、冗談です!」
監督
「冗談じゃないわね。それしか打つ手はないわね!」
スタッフ
「じょ、冗談でしょ?」
監督
「ううむ・・・、ホンカナの顔が映るシーンやセリフの在るシーンは別撮りすれば良しとして、例えば背中や手元、体だけを映す殺陣のシーンなら適当に代替えが効くかもしれないわね」
スタッフ
「マジなんすか・・・」
監督
「でもやはり、素人が殺陣をこなせるかしら」
スタッフ
「あ、殺陣については魔剣道さんの剣技指導で柳生先生がいらしてるので!」
監督
「そうね・・・でも、やはりダメよ」
スタッフ
「何か問題が?」
監督
「体が映るということは、あれよ、あの忌々しいホンカナの乳がネックなの!
あんな太々しい乳をした女は、そこらを探しても中々見つかるものではないわ!」
スタッフ
「た、確かに」
監督
「やはり、今日は魔剣道クンのシーンだけで」
スタッフ
「か、かかかかか、監督ぅぅ!」
監督
「うるさい!何よ急に大きな声出して!」
スタッフ
「あれ!あの女性!」
監督
「ん?
ああああああああああああああああ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
菖蒲
「へ?私に映画に出ろと?」
スタッフ
「は、はい!
難しいシーンじゃないです!
セリフも無し!ただ、チャンバラっぽく立ち回ってもらえれば!
あの魔剣道さんと絡めるんですよ?
最高でしょう?」
菖蒲
「すまぬが、興味がない」
スタッフ
「ですよね!
若い女の子がチャンバラなんて興味ないですよね!
分かります!分かりますとも!
僕だって本当はチャンバラなんか」
菖蒲
「いや、チャンバラに興味が無いわけじゃなく・・・」
スタッフ
「あ、殺陣のこととか全然分からないと思うんですが、そこはちゃんとフォローします!
剣技指導の先生がいるんで、いちから教えてもらえますから!
どうにか頼みますよぉ!」
菖蒲
「剣技指導・・・もしや柳生先生のことか?」
スタッフ
「はい!よくご存じで」
菖蒲
「承知した!」
スタッフ
「え?それって、請けてくださるということで?」
菖蒲
「むしろこちらからお願いしたい!」
スタッフ
「ヤッタ!
助かります!」
菖蒲
「こちらこそ、願ったり叶ったりと言うか・・・。
まさか・・・柳生先生に直々にご指導いただけるなんて・・・」
スタッフ
「それでは、あっちのロケバスで衣装に着替えてください!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スタッフ
「監督!
やりました!
了承得られましたぁ!」
監督
「でかしたわね!」
スタッフ
「あの、なんというか、間近で見たらすっごい美人でした!
そこらの女優顔負けですよ!
そしてそして、すっごいパイオツカイデーです!」
監督
「ウフフ!
ホンカナめ!貴方がいなくたって、替えは効くのよ!
観てなさいホンカナ!
あんたをギャフンと言わせてやるわよ!」
菖蒲
「あの・・・」
監督
「ん?」
スタッフ
「おお!
監督、例の彼女です!」
菖蒲
「・・これで、良ろしいですか?」
監督
「!!!!!!!!」
菖蒲
「ん?」
監督
「ふつくしい・・・」
菖蒲
「へ?」
監督
「さいっこうじゃない!
本当に素人なの?」
菖蒲
「しろう・・・」
監督
「何はともあれ、柳生先生から殺陣の指南を受けるのよ。時間が無いわ、急ぐのよ!」
菖蒲
「は、はい!」
スタッフ
「どうですか?」
監督
「まさにダイヤの原石ね・・・あの子は、逸材よ・・・ホンカナより売れるんじゃないのかしら」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
柳生
「ほほほほ・・・なるほど、女優さんの代わりに其方が」
菖蒲
「は、はい!」
(これが間近で見る柳生先生・・・オーラが違う・・・)
柳生
「殺陣はな、一朝一夕でどうなるものではないのじゃが、まぁ、致し方あるまいて。
出来得る限り指南いたそう」
菖蒲
「光栄です!」
(ああ・・・菖蒲は・・・心臓が止まりそうです・・・)
柳生
「足の位置、構え、踏み込み」
菖蒲
「はい!」
(お父様・・・菖蒲は今、柳生先生に直々に構えを指南いただいています・・・ああ・・・頭がクラクラと・・・菖蒲は・・・菖蒲は・・・)
柳生
「む・・・!
其方、素晴らしい体軸の持ち主じゃ。
ただものではないな?」
菖蒲
「は、はあ!
じ、実は菖蒲、あ、私は、望月千九朗の娘でして」
柳生
「ほっほっほ!
あの望月殿の御息女でしたか!
真田に仕えた十勇士のひとり望月六郎兵衛幸忠の子孫。
なるほどなるほど・・・素質の塊なわけじゃ。
月輪七曜流じゃな・・・?」
菖蒲
「はい!」
柳生
「すまぬが、其方に殺陣を教えることは出来ん」
菖蒲
「え・・・」
柳生
「殺陣を教えるなど勿体ないのじゃ。
これも何かの縁、父上がお許しになるなら、いずれ我が門を訪れなさるといい。
新陰流をご指南いたそう」
菖蒲
「も、勿体ないお言葉!」
柳生
「ほっほっほ!
ワシも、もうじきお迎えが来るでな。
それまでに若い者に我が新陰流を伝えてゆかねばならん。
それが、去りゆく者の残された使命じゃよ」
菖蒲
「感謝・・・致します」
柳生
「さ、お行きなされ!存分にその剣技を披露するのじゃ」
菖蒲
「はは!」
柳生
「おっと・・・望月殿!
我が弟子である真田魔剣道・・・コヤツは強いぞ?」
菖蒲
「・・・ふむ」
柳生
「ヤツの亡き父親から預かった俳優かぶれの馬鹿弟子じゃよ。
チャラチャラとして間の抜けた性格じゃが、
ヤツもまたお主と同じ素質の者よ」
菖蒲
「・・・・・・」
柳生
「殺陣とは言え、お互いに道を知った者同士。
気を抜けば怪我はおろか、己の誇りすら傷つけてしまうでな。
心してかかるがよい」
菖蒲
「・・・心構え、しかと肝に銘じます!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔剣道
「ホンカナちゃんがドタキャンってホンとカナ~?」
スタッフ
「申し訳ありません!」
魔剣道
「楽しみにしてたのになぁ・・・またあのおっぱい見たかったのにぃ・・・」
スタッフ
「ははははは・・・」
魔剣道
「ホンカナちゃんのおっぱいモミモミした~い!」
スタッフ
「あ、ああと・・・ええと・・・。
そ、その代わりにですね、代役を見つけましたので!」
魔剣道
「へ~・・・どなたですか?有名人?
巨乳?
AV女優は嫌ですよぉ?」
スタッフ
「一般の女性です!
魔剣道
「ええと、馬鹿にしてます?」
スタッフ
「いえ・・・あ、あの」
魔剣道
「ボク、一応プロですよ?
おふざけするために来たんじゃないんだけどなぁ」
スタッフ
「仰る通り・・・ただ、殺陣のシーンだけでも撮りたいと思いまして」
魔剣道
「殺陣のシーンだけって・・・。
ハッキリ言いますけど、殺陣ってめっちゃ難しいんですよ?
ホンカナちゃんが半年修行してやっと僕の一合をまともに受けられるようになったのは知ってますよね?
それが現実なのに、今度は素人を相手に殺陣をしろと言うのですか?」
スタッフ
「そ、その点はご心配なく!
今、柳生先生がしっかりと殺陣を指南しておられますから!」
魔剣道
「言わせてもらいますね?
馬鹿じゃねーの?
アホくさ~・・・です。
僕、今日はホテル帰りますね」
スタッフ
「ちょ、ちょっとお待ちを!」
魔剣道
「ではでは~!」
スタッフ
「魔剣道さーん!」
魔剣道
「おっと失礼・・・ん?」
菖蒲
「お初にお目にかかります。菖蒲と申します。
今日は、殺陣のお相手、何卒よろしくお願い申し上げます」
スタッフ
「あ、殺陣の指南はもう?」
菖蒲
「はい!」
魔剣道
「ヒュ~♪
つまり君が、代役?」
菖蒲
「はい。
未熟者ですが、どうぞよしなに」
魔剣道
「スゲーいいじゃん!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スタッフ
「それでは撮影開始しまーす!ギャラリーの皆様はどうかお静かにお願いいたします!」
魔剣道
「じゃあ、準備はOK?
ええと・・・」
(ホンカナちゃんも良いけど、こっちも・・・。
すごいおっぱいだし、古風な顔立ち、好きだわぁ・・・)
菖蒲
「菖蒲です」
魔剣道
「菖蒲ちゃんね!
頑張りましょー!」
監督
「テイクワン」
菖蒲
「いざ!」
(菖蒲の役は、女剣士・・・父の仇となるこの男の首を取りに来た)」
魔剣道
「おう!」
(激しい打ち合いの末、僕は女剣士を返り討ちにし、命を救ってやる。
そして、いつしか二人は憎しみを超えて愛し合う)
菖蒲
「・・・・・・」
(私は負ける役。
ならばいくつか刃を交えたのち、尻もちをつけば良いか・・・。
ふむ、しかし・・・)」
魔剣道
「ヤァ!」
(タイミングを見て後ろに回り、体の自由を奪う。
女剣士は恥じらって剣を落とす。
そこで勝敗が付く)」
菖蒲
「・・・・・・」
(しかし・・・この隙だらけの間合い・・・本当に新陰流なのか・・・。
これは、負けようとしても中々負けられるものではないぞ・・・)
魔剣道
「いくぞ!」
(相手はド素人。怪我はさせないようにしないとな)
菖蒲
「てい!」
(心構え!相手は柳生先生の認める御仁。
手を抜くな!)
キンキン
魔剣道
「ぐ!」
菖蒲
「デヤーーー!」
キーン!
魔剣道
「ぐあ!いだだだだ!」
監督
「ああああ!」
菖蒲
「しまった!」
『ちょっと!マックンに何すんのよーーーー!』
『メギツネー!ふざけるなぁーーー!』
監督
「カーット!」
菖蒲
「す、すみません!
申し訳ない!
お、お怪我は!?」
魔剣道
「あはははは!
これは僕の不注意でーす!
すみません、彼女のミスではないです!」
『マックン優しすぎるーーー!』
監督
「き、きみぃ!」
菖蒲
「申し訳ない!」
魔剣道
「いえいえ。謝るのは僕の方です。
完全に僕の不注意ですから。
でも、良い踏み込みですね。
次はしっかりと打ち合いましょう」
菖蒲
「はい!」
監督
「まったく!
次はしっかり頼むわよ!」
菖蒲
「はい!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
監督
「テイクツー!」
魔剣道
「・・・・・・」
(・・・多少やるようだね・・・。
柳生先生が指導したんだろうけど・・・こんな短時間で?まさか・・・。
きっと、学生時代に剣道でもやっていたんだろう。
だとすれば、こっちも多少本気を出してもいいか・・・。
僕に尻もちをつかせて恥をかかせた償いはしてもらうよ)
菖蒲
「・・・・・・」
(いけない・・・あまりのドン臭さに先に振り下ろしてしまった。
真剣ならこの男は真っ二つだった・・・。
ううむ・・・次は、少し手を抜こう・・・)
魔剣道
「いくぞ!」
菖蒲
「てい!」
カンカンキンキン
菖蒲
「や!やー!
(ん・・・太刀筋が変わった・・・この間合い・・・やはり新陰流)
魔剣道
「ダァ!ダァーーー!」
(く、なんだ、なんだ・・・くぅぅぅ!剣圧が凄すぎる・・・一太刀一太刀が重すぎる!
なーんてね!
子供の茶番だよこんなの・・・)
監督
「すごい迫力よ!いいわ!いいわー!」
菖蒲
「ダー!
(ううむ・・・手を抜く加減が難しい。
強いのか弱いのかわからない・・・。
でも、確実にさっきよりは本気だ・・・)
魔剣道
「ぐ!」
(くそ・・・やっぱりこの子は強いぞ・・・。
後ろに回るスキがない・・・。
このまま手加減をしてたらいつまでも打ち合いが続いてしまう・・・)
菖蒲
「デアー!」
(ダメだ・・・わざと負けてあげなくては。
これは殺陣なんだ。
どうしよう・・・どうやって負けて・・・)
魔剣道
「・・・・・・」
(何かに迷ったか!ならばここだ!」
菖蒲
「あ!」
魔剣道
「スキみーっけ」
菖蒲
「あ・・・あの」
魔剣道
「柔らか~い・・・僕、すっごくドキドキしてきた」
スタッフ
「監督・・・これはちょっと悪乗りし過ぎじゃ・・・相手は一般の」
監督
「いい!いいわ!このまま行くわよ!」
魔剣道
「フフフ・・・甘い吐息が漏れてるよ。
ねぇ、僕のセフレにしてあげよっか?」
菖蒲
「く・・・う・・・あ・・・あぅ・・・そこ・・・」
スタッフ
「ゴクリ・・・」
監督
「ふー・・・ふー・・・素人だと思うと、一段と興奮するわね」
菖蒲
「もう・・・やめろ・・・」
魔剣道
「やめろって?
嘘ばっかり・・・だってさ」
菖蒲
「貴様ぁ・・・」
魔剣道
「おっと・・・凄い殺気!
フフフ」
菖蒲
「許さん・・・!」
魔剣道
「おやおや、本気で嫌だったんだ?
ちょっと展開は変わっちゃうけど、これも面白いじゃん♪
バチバチって感じで!
久しぶりだよ、殺陣でここまで鬼気迫るの」
スタッフ
「監督・・・これどうします?」
監督
「と、撮るのよ!撮り続けるのよ!」
菖蒲
「絶対に、絶対に許さん・・・」
魔剣道
「ん・・・」
(見たことのない構えだ・・・新陰流じゃないぞ・・・)
菖蒲
「月輪七曜流・・・六の型・・・」
魔剣道
「月輪・・・ああ・・・聞いたことあるよ。
編み出したのは真田十勇士の一人、望月六郎・・・。
なるほど・・・強いわけだ。
僕は君に敬意を表す!
素晴らしい打ち合いをしてくれて感謝するよ!
それに、その素晴らしい胸の感触にもね♪」
菖蒲
「・・・・・・」
魔剣道
「それじゃぁ僕も・・・真剣に行くよ・・・本気の新陰流で」
菖蒲
「いざ、参る!」
魔剣道
「来い!」
監督
「!!!!」
魔剣道
「え・・・」
スタッフ
「一撃・・・」
魔剣道
「うそ・・・だろ・・・」
魔剣道
「はは・・・はははは・・・」
菖蒲
「眠るのは早いぞ!
良くも・・・あのような辱めを!」
監督
「・・・あわわわわ」
『シーーーーーーーン』
スタッフ
「監督・・・魔剣道さんが気絶しちまいましたよぉ・・・」
菖蒲
「コイツの首を刎ねる・・・今すぐ殺す!
誰か真剣を持ってこい!」
監督
「ちゅ、中止中止ー!」
菖蒲
「中止?
煩い!
真剣勝負に中止などあるか!
首を刎ねる!
邪魔するやつはこうしてやるぞ!」
スタッフ
「う、嘘だろ・・・ジェラルミンの紛い物の刀で、松の木が真っ二つにへし折れた・・・」
柳生
「ほっほっほっほ・・・この娘・・・かなりヤバイのぉ」
菖蒲
「は!」
(私としたことが、完全に我を・・・)
『先生かえろー!』
菖蒲
「し、失礼します!柳生先生、またいずれ!」
監督
「な、何なんなのよ・・・何なのよあの女は!」
柳生
「ホッホッホ。
お主が言ったように、まさに逸材よ」
スタッフ
「と、とりあえず救急車を!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
園長
「いや~、すごい迫力でしたよ~!」
けいすけ
「先生かっちょい~!」
まこと
「先生って煉獄さんみた~い!」
菖蒲
「うぅぅぅ・・・」
園長
「帰りが遅いなぁって思って来てみたら、さっきまで一緒にいた菖蒲先生が、まさか映画に出演しちゃってるとは」
菖蒲
「はぁ・・・」
園長
「さっきのシーンは、女剣士が街のゴロツキを一刀両断するシーンか何かで?」
菖蒲
「いや、ええと・・・」
園長
「ちょっと許せませんよ!
モブ程度の役者が先生の・・・菖蒲先生のおっぱいを弄るなんて・・・」
けいすけ
「そーだよ!菖蒲先生のおっぱいは僕たちだけのものなんだもん!」
まこと
「そーだそーだ」
菖蒲
「お、おい・・・」
園長
「何はともあれ、帰りましょ!
子供たちみんな、菖蒲先生の帰りを待ってますから!」
菖蒲
「そ、そうですね」
けいすけ まこと
「お手々つないでかーえろー」
菖蒲
「うん!かえろ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
菖蒲
「ふ~・・・おわったぁ♪
今日は嫌な思いもしたが、柳生先生と巡り合えて本当に幸運だった・・・。
さてと、帰るとするか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
園長
「菖蒲せんっせ!牛モツカレーの差し入れ・・・、
おや?・・・なーんだ、もう帰っちゃったのか。
ん、これ、菖蒲先生が描いてた保育日誌だな。
こっそり読んじゃお!
どれどれ?
お、誠と慶介のことが書いてある!
母恋しさからなのか
誠と慶介の乳に対する執着は――
園長
「私は・・・凄いものを見た・・・。
誠と慶介のやつ、なんて良い思いを・・・クソォ・・・。
私ももう一度、もう一度菖蒲先生を・・・。
そ、そうだ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
菖蒲
「忘れ物忘れ物っと
ん?
おああああ!」
園長
「はう!」
菖蒲
「そこで何をしてる!
私の机で何を!」
園長
「え?ああ・・・ええと、牛モツカレーを」
菖蒲
「それは私の保育日誌!
勝手に読むなんて!」
園長
「あ、あはははは・・・ええと」
菖蒲
「よ、よこせ!」
園長
「あ、あの・・・」
菖蒲
「唐突だけど、私望月菖蒲は園長先生を愛していま・・・?
な、なんだこれ・・・」
園長
「あ・・・あのですね」
菖蒲
「園長は愛の籠った本格的なオイルマッサージを、私の裸の胸に・・・」
菖蒲
「ぐ・・・ぐぬぬぬぬぬぬ」
園長
「牛モツカレー・・・を・・・」
菖蒲
「勝手に書いたな?」
園長
「へ・・・」
菖蒲
「妄想で私を汚したな?」
園長
「も、もつかれ・・・」
菖蒲
「今日、二人目の殺したい奴が現れるとは・・・」
園長
「こ、殺しちゃいます?殺しちゃいますよねぇ・・・やっぱ・・・死あるのみですよねぇ」
菖蒲
「覚悟しろ!」
園長
「断る!」
菖蒲
「逃げるなぁ!」
菖蒲日誌 終わり
来年も、何卒よろしくお願いいたします!
London犬
2021-12-17 12:56:43 +0000 UTCライ
2021-12-16 21:15:19 +0000 UTC