⇐「けんぺいさんのおしごと その22」https://nuka.fanbox.cc/posts/3273075
海岸沿いの、今は殆ど使われていない軍の通信施設。
埃を被った機器を操作しているのは、艦隊の通信中継任務を付された駆逐艦・朝潮。
その様子を、少し離れた場所で憲兵は見ていた。
二人は無言のまま、屋根に当たる雨音だけが室内に鳴り響く。
「憲兵さんは──」
先に口を開いたのは、朝潮だった。
「憲兵さんは、どうしていつも提督を護ってくれてるんですか?」
あまりに直球すぎる質問に、少し狼狽した。
「・・・いや、別に提督を護っているつもりは無いが。」
朝潮は振り返り、じっと見つめてくる。
「いいえ、憲兵さんはうそをついています。憲兵さんは事あるごとに提督の前に現れて、『タイホする』なんて言いながら、実は提督を危険から護ってくれているのを、私達は知っています」
・・・まいったな。
まさか、こんな無垢の少女に、私の行動の真意が見抜かれているとは。
再度、朝潮を見る。
その瞳は、まるで一点の濁りも無い、純粋たるものだった。
今まで何万と薄汚れた人格の人間を見てきたが、これほどまでに表裏の無い人間は稀有だ。
彼女になら、話してもいいかもしれない。
私は、朝潮に事の全てを打ち明けた。
提督が、軍内部の何者かに命を狙われていること。
それを感知した有志達が秘密裡に組織を結成し、”人類最後の希望”である提督を護るべく、陰で暗躍していること。
その組織は「コミュニティ」と名付けられていること。
そして、「コミュニティ」のリーダーが、自分であること。
打ち明かされた朝潮は、きょとんとしていた。
無理もない。いきなり壮大な話をされても、理解が追いつかな・・・
「憲兵さん。そんなことは、みんな知っていますよ」
・・・え?今、何て言った?
~登場人物~
・('ω')
艦娘を率いる提督。海軍中将。第3艦隊司令官 兼 呉鎮守府司令官。
今回の「マリアナ諸島奪還作戦」では、連合艦隊の司令を務める。
・憲兵
提督を調査するよう命ぜられた憲兵。独自で軍内部の闇を追う。
・磯風
艦隊の最古参にして歴戦の戦士。
憲兵と結託して、提督を葬ろうとする軍内部の闇を追う。
・朝潮
艦隊所属の駆逐艦。真面目だが天然で抜けている。
・議長
艦娘の地下組織『コミュニティ』のリーダー。その正体は憲兵。