⇐「けんぺいさんのおしごと その21」https://nuka.fanbox.cc/posts/3177959
「君は、この戦いで轟沈せよ。──仲間を、提督を助けたければな。」
「断る」
──何を言い出すかと思えば、いきなり『沈め』とな。
私が沈むことが、仲間や提督を助けることになる?訳が分からん。
「言葉足らずだったな。何故君が轟沈しなければならないのか、説明しよう。」
一蹴されたにも構わず、議長は続ける。だが、私の忍耐にも限界が来ていた。
「いらん。すぐに出撃だ。下らん話を続ける暇は無い。」
”秘密組織ごっこ遊び”は、もううんざりだ。これ以上付き合っていられない。
「・・・まぁ良い。理由を聞かずとも、君はいずれ選択を迫られることになる。提督の命か、自らの命か。その時は、選ぶ道を間違えないことだ。艦娘は沈もうともサルベージできるが、ヒトは死ねば終わりなのだ。」
「あの提督は、人類の・・・いや、『我々の』希望なのだ。失うわけにはいかん。君は正しい選択ができることを、信じているよ。」
無線は切れた。
全く。出撃前に嫌な気分にさせてくれる。
もうこの『コミュニティ』と関わるのは、やめだ。
第一、私に捜査や潜入調査は向かん。
私は駆逐艦・磯風。
戦場で敵を沈めることが、私の本懐だ。
とにかく、今は目の前の戦場に集中するのみ。
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「あれ?憲兵さん。こんなところで、何してるんですか?」
「・・・!」
駆逐艦・朝潮──。提督の艦隊に所属する、艦娘。
「・・・遠方の部下に、連絡を取っていたところだよ。ここの通信機じゃないと、遠くまでは無線が届かないからね。貴官こそ、こんなところで何をしている?提督と一緒に出撃したのではなかったのか?」
ここは、人里離れた海岸沿いの軍の施設。
普段は誰も使っていない、無線の中継基地だ。
それが何故、ここに艦娘がいる?
「私は今回、お留守番なんです。後方支援として、この施設の無線機を使って、無線が届かない区域の中継をするのが任務なんです。」
朝潮は残念そうに、しゅんとした声色で答える。
「そうか」
ここの施設は、他に誰も使わないと思っていたが・・・これは計算外だ。
朝潮がいたのでは、”仕事”がしにくくなる。
・・・何とか、しなくてはな。
つづく('ω')
~登場人物~
・('ω')
艦娘を率いる提督。海軍中将。第3艦隊司令官 兼 呉鎮守府司令官。
今回の「マリアナ諸島奪還作戦」では、連合艦隊の司令を務める。
・憲兵
提督を調査するよう命ぜられた憲兵。独自で軍内部の闇を追う。
・磯風
艦隊の最古参にして歴戦の戦士。
憲兵と結託して、提督を葬ろうとする軍内部の闇を追う。
・朝潮
艦隊所属の駆逐艦。真面目だが天然で抜けている。
・議長
艦娘の地下組織『コミュニティ』のリーダー。正体不明。