⇐「けんぺいさんのおしごと その16」https://nuka.fanbox.cc/posts/2644792
「おばあちゃん、殺されちゃったんです。多分、軍内部の人に。」
由良の表情から察するに、これは本当の事だろう。
──嘘だとすれば、大した役者だが。
そう確信させるほどに、悲痛な思いが彼女から見て取れた。
「・・・すまん。触れるべきではなかったな。」
「いえ、いいんです。昔の事です。」
涙をぐっと堪えつつ、由良は続ける。
「だから、今度こそ、大切な人を失うわけにはいかないんです。」
・・・『大切な人』?
由良の言葉に、少しひっかかるものがあった。
司令と由良は、初対面のはずだ。
無論、上官ではあり、失ってはならない人材であるのは確かだが、それをしても『大切な人』というのは違和感を覚える。
この違和感については後で考えることとし、話を進める。
「なら、是非とも貴官の力を貸してほしい。ここの司令も、狙われているのだ。貴官の言う、『軍内部の人』に。」
由良の眉が、ぴくりと動いた。
「・・・そうなんですか?・・・許せない。一体、犯人は誰なんでしょうか?」
またも違和感だ。
今日初めて会った司令に害を為すものに対し、ここまで怒りを露わにするものか?
由良に対し、もっと突っ込んで聞かなければならない。
彼女はきっと、我々の知らない「何か」を知っている。そう確信した。
「わからん。その調査を今進めている。そこで本題だが──」
ここで、一気に踏み込む。
「貴官は、艦娘の”地下コミュニティ”というものを、知っているか?」
由良は、少し考えたような顔をし、答える。
「はい、知っています。──というより、私はそのコミュニティの一員です」
つづく('ω')
~登場人物~
・('ω')
艦娘を率いる提督。海軍中将。第3艦隊司令官 兼 呉鎮守府司令官。
・憲兵
('ω')提督を調査するよう命ぜられた憲兵。独自で軍内部の闇を追う。
・磯風
艦隊の最古参にして歴戦の戦士。憲兵と結託し、('ω')提督を葬ろうとする軍内部の闇を追う。
・由良
艦隊に新たに配属された軽巡洋艦。「スパイ」の疑いがかかっている。