SakeTami
ぬか@nukka('ω')
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「けんぺいさんのおしごと その16」

──憲兵殿との”契約”を終えた私は、早速、由良に直接探りを入れてみる。

まどろっこしい事は嫌いだし、苦手な性分故だ。


「ちょっと良いか」

由良達新入りと共に、施設の説明に出掛けようとしていた秋月を呼び止める。

「由良だけ、私に案内させてくれないか。」

秋月はきょとんとした顔を見せたが、すぐに笑顔で承諾してくれた。

「はい、わかりました。じゃあ由良さんは、磯風さんにお願いしますね。」

普通、こんな突拍子も無い申し出をすれば「何故」と理由を聞くのが常だろう。

しかし秋月は、二つ返事で了承してくれた。

この素直さが彼女の長所でもあり、他人に騙されやすいという短所でもあるのだが。

「すまんな、訳は後で話そう。・・・では由良殿、こちらへ」


由良を連れだし、人の気の無い廊下を歩く。

私も由良も、沈黙を保ったまま、広い廊下に木霊する靴音だけが響いた。

「──この艦隊は」

最初に沈黙を破ったのは、由良だった。

「この艦隊は、みなさんとても楽しそうにされてますね。」

私は足を止め、振り返る。

「前の所属は、楽しくなかったのか?」

由良は笑顔で答えた。

「いえ、楽しかったですよ。」

由良は窓枠に肘を置き、外を眺める。

外は、再び厚い雨雲に覆われていた。今にも降り出しそうだ。

「指揮官は、高齢のおばあちゃんでした。艦娘のみんなにも優しく接してくれたし、辺境の地方警備隊だったので、戦闘もほとんどなく、平穏な日々でした」

──やたらよく喋る奴だな。こちらは何も質問していないが。

「・・・では、前の所属に戻りたくなるかもな。ここの司令は、変人だし、訓練は相当厳しいぞ。」

自分でも分かるほど、やや厳しい言葉をかけた。だがこれは意図してのことだ。

由良の秘密を暴くため、こういった問答は必要なのだ。

「・・・いえ、大丈夫です。前の所属には、もう戻れませんから。」

こちらに向き直った由良の顔は、今にも泣きだしそうだった。


「おばあちゃん、殺されちゃったんです。多分、軍内部の人に。」



                      つづく ('ω')

「けんぺいさんのおしごと その16」

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