SakeTami
ぬか@nukka('ω')
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「けんぺいさんのおしごと その15」

艦娘の地下コミュニティが存在していることは分かった。

問題は、誰がそのコミュニティに与しているかだ。

「・・・因みに聞くが、磯風。君はその”コミュニティ”の一員ではあるまいな。」

磯風は、鼻を鳴らして答える。

「先程申した通り、私は前線の一艦娘に過ぎない。今は、戦う事以外の事を頭に入れないようにしている。」

その言葉に偽りは無さそうだ。

「では、この艦隊に、”コミュニティ”の構成員はいるのか?」

磯風は首を振る。

「いないだろうな。いや、”いなかった”だろう、か。今回異動してきた由良とやらが、スパイ──”コミュニティ”の構成員なんだろう?」

私と磯風は、視線を執務室内の由良へと遣った。


提督への着任挨拶を終えた由良は、他の艦娘達と同様に、秋月から鎮守府内の施設説明を受けていた。

秋月も、少し前までは、いかにも”頼りない新人”であったが、今ではすっかり艦隊の古株として、テキパキと業務をこなしている。


さて由良だが、彼女の動きを見るに、軍人らしく機敏な動作だが、それでいて物腰は柔らかく、優し気な雰囲気を持つ娘だ。

あくまで直観だが、あまり裏表のある人物には見えなかった。

──いずれにせよ、まずは彼女の動向確認からだ。

私は磯風に”依頼”をしようとした刹那、彼女が先に口を開いた。

「わかっている、憲兵殿。由良の動向を、見ていればいいんだろう?」

「話が早いな。」

磯風は、人差し指を立てて示した。

「ただひとつ。提示したい条件がある。」

私は黙って続きを促す。


「司令を、軍の手から護ってほしい。」

彼女の口から、予想外の言葉が出てきた。

思わず、私はその言葉を反芻する。

「軍の手から護る・・・とは。──詳しく説明してくれんか。」

磯風は、視線を提督に向けた。

「司令は、深海との戦いでは無敗の指揮官。艦娘を率いて戦い、幾度となく圧倒的不利な戦局を覆してきた。人類側にとって、欠くことのできない、切り札であると言えるだろう。だが──」

「そんな人類の切り札を、排除しようとする組織が、軍の中に存在するのだ。」

「現に司令は、これまでに何度も暗殺されかけた。いずれも出動中の”不運”に偽装したような手口で。犯人の正体こそ突き止められていないが、何れも軍内部の人間でなければ不可能な犯行だった。それも、組織的だ。」

「我々艦娘だけで司令の身を護るのは、限界がある。そこで憲兵殿には、司令の身辺警護をお願いしたい。」


──何だか、話が複雑になってきた。

艦娘の中で密かに形成される、反軍コミュニティの存在。

軍内部における、人類の英雄である提督を消そうとする組織の存在。

どちらも水面下で動いている事象なだけに、この二つの組織は、何か関係があるのかもしれない。

「わかった。我々は、協力者だ。」

私は、磯風に手を差し伸べる。

「私は、”問題児の提督”の調査と称して、常に提督の傍で、危険から身を護る。」

磯風は、私の手を取った。

「そして私は、由良の動きを調査し、艦娘の地下コミュニティを探る。」

この日から、我々の奇妙な”協力関係”が始まった。


                  つづく('ω')

「けんぺいさんのおしごと その15」

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