('ω')提督の懐から、拳銃様のものが少しでも見えたのなら、その手首ごと斬り落とすつもりでいた。
しかし、提督の懐から出てきたのは、一枚の写真だった。
その写真とは・・・
艦娘の、けしからん写真だった。
「貴官・・・!」
「おっと、失敬失敬。まちがえた。」
提督は破廉恥な写真をいそいそと懐に戻し、別の写真を差し出した。
全く。手首ごと、斬り落としてやるべきだった。
新たに呈示された写真には、一人の艦娘が映っていた。
説明を求めるように視線を提督へと戻すと、提督は写真の艦娘を指しながら言った。
「彼女は、軽巡・由良。──そう、彼女は”スパイ”なんだ。」
続けてもう一枚の写真を差し出す。
その写真は、その由良といった艦娘と、軍服を着た男が、何やら物陰で密会をしているような構図だ。
この無精髭の男は、見たことがある。
そうだ。先日の遠征軍で第6艦隊の指揮を執っていた、石村提督だ。
遠征軍の最右翼を担い、味方艦隊が各個撃破されながらも、彼と彼の艦娘達は味方が撤退する間も最期まで戦い抜き、多くの味方を撤退せしめた。
結果として彼は死に、艦娘達は1隻残らず沈んでしまったが、彼等の働きは本当に素晴らしいものだった。
それにも関わらず、大本営は彼を功績者とせず、「帝国海軍勝利セリ」と結果ばかりを広報している。
「石村中将は知っているかな?彼は、私の友人でもあってね。本当、惜しい男を亡くしたよ。」
珍しく、しんみりとした口調で語る('ω')提督だが、その表情は相変わらず不気味な無表情だ。
「・・・ふむ。──で、由良と石村提督が密会をしているようだが、彼も”スパイ”だったのか?」
提督は、すぐに答えを言わない。
次の写真を出してきた。
つづく('ω')