夕張は怪しい。
私は彼女に、少しカマをかけてみることにした。
「ああ、その辺の話は知っている。しかし、由良は本当に('ω')提督に信頼を寄せていたのかな?」
「彼女の報告書も読んだ。その内容は、何というか・・・('ω')提督を人格的に否定するような、辛辣な内容だったな。大本営への謀反の疑いが濃厚、とまで書かれていたぞ。」
私の嘘っぱちに、夕張はすぐに反応した。
「そ・・・そんなはずありません!由良は本当に('ω')提督を慕っていたんです!」
夕張の瞳孔が大きくなる。食いつきは抜群だ。
もうひと押し。
「大丈夫、わかっている。何か彼女なりに意図があってのことだろう。」
「由良が憲兵隊所属だった時、誰か大本営の人間と会っていなかったか?」
「どうもこの一件は、大本営の人間が絡んでいるようだ。その人物に当たってみたい。」
夕張は少し間を置き、思考を巡らせながら答えた。
「──会っていた、かもしれません。顔は見えなかったのですが、背の高くて髪の長い、綺麗な女性士官でした。」
夕張の瞳孔は小さくなっていた。
「ほう。その女性士官の所属と階級はわかるか?」
夕張は首を振って即答する。
「わかりません。何せ、見たのは一度きりで、遠目だったもので・・・」
「わかった、有力な情報をありがとう。イバラキング、ごちそうさま。」
私は椅子から腰を上げ、夕張の部屋を後にした。
今回、夕張との面接で、重大な事がわかった。
夕張は、何者かのスパイだ。
今まで由良が憲兵隊に所属し、密かに活動していた動向を知っている。
そして、由良が密かに大本営の調査官と会っていた所を、目撃している。
まったく。由良にはあれほど「私と会うときは、絶対に尾行されるな」と言っておいたのに。
──まさか、私と由良の密会を目撃しているスパイがいた、とはな。
つづく ('ω')