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『では、本日もお疲れ様でした。また来週からもよろしくお願いします。』
縄原さんは職員の方々に挨拶を終え、市長室へ戻ってきました。
「さすがです。こんなに早く適応できるなんて…」
縄原さんは記憶を失って1週間足らずで仕事を完璧にこなしていました。
「あなたたちが影で手伝ってくれているからよ。ありがとう。」
縄原さんは私たちの方に向き直り、お辞儀をしました。
「これまでのお礼ってことで、この後お食事とかどうかしら?」
縄原さんは提案をしてきました。
「ぜ、ぜひ行きたいです…!」
「私はパス〜」
優奏はそそくさと帰り支度をしていました。
「優奏?」
「お姉ちゃんは縄原と仲良くご飯食べてきてよ。私は一人でシたいことあるし」
「何か予定でもあるのですか?」
「ナイショ。それじゃ、私は先に帰ってるね〜」
そういうと優奏は市長室の窓から颯爽と去っていきました。
「記憶があった頃の私って相当酷いことを優奏ちゃんにしてしまったのね…。ごめんなさい…」
「縄原さんが謝ることないです!優奏は思春期で素直になれないだけなのです。」
「お姉ちゃんはとても優しいのね。」
縄原さんはどこか切なげでした。
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「あわわ…本当にここでお食事をするのですか…」
縄原さんに連れてきてもらったのは高級フレンチレストランでした。私のような高校生には似合わないような外観でした。
「スマホの履歴を見たらここのお店に頻繁に連絡をしていたのよ。聞いてみたらよく会食で利用していたみたいでね。」
「で、でもこういうところってドレスコードとかあるのでは…?」
「その辺は確認済みよ。個室を用意してくれているらしいし、スーツと制服なら…と許可してくれたわ」
「さすが縄原さんです…」
記憶を失っているというのにこの行動力…。スペックが高すぎるのです…。
「それじゃ、行きましょう!」
縄原さんは私の手を引いてレストランへ導いてくれました。
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「美味しかったわね。」
縄原さんはワインを片手に呟きました。
「はいです…」
申し訳ないのですが緊張で味を楽しむ余裕がなかったです。気づいたら食後のデザートを食べていました。
「それでなんだけど…」
縄原さんはワインを置き、私の瞳をじっと見つめてきました。
「私…縄原麻美は何者なの?」
「え…」
その言葉の真意を理解したくない自分がいました。
「ごめんなさい、言い方が間違っていたわ。私はどんなに悪いことをしていたの?」
身体が熱くなっていくのがわかりました。嫌な汗が流れます。
「えっと……」
私が言葉を選んでいると縄原さんは言葉を続けます。
「くノ一姉妹、黒忍たち、そして市長室の机に隠されていた麻縄とボールギャグ。私はただの市長ではないのでしょう?」
縄原さんはわずかな手がかりで真実に近づいていました。記憶を失った当初は真実を伝えることが精神的な負荷になると思っていましたが、今なら大丈夫だと思います。
「縄原さん。あなたと私たち姉妹は敵対していました。」
「…やはり。」
「あなたは『全少女緊縛計画』を立案し、その計画遂行のために日々暗躍していました。」
「……。」
「私は間違っていると思いました。そこから私たちと縄原さんの戦いが始まったのです。」
「いつから…」
「最初に忍び込んだのは遥か昔のように思います。幼かった私はドジをしてあなたに捕まりました。そして、人生で初めて縛られました。」
「あなたたちが縛りに詳しいのはそういうことだったのね。」
「そして高校生になった今でも縄原さんとの戦いが終わることはないです。縄原さんと私たちの関係は優しい市長と一般市民ではありません。しばりしばられる…そんな関係だったのです。」
「そうですか…。私はあなたたちを何度も何度も…あんな性的に縛り上げて…。それは優奏ちゃんに嫌われるのも無理ないわね」
縄原さんは頭を押さえます。
「…確かにあなたに縛られて、その…ローターとかで責められたことは事実です。ですが、あなたに助けていただいたことも事実なのです。」
「助けた…?」
「縄原さんは私たちの身体に危害が及ぶことを嫌っていました。縄原さんが関係ないところで私たちが捕まり調教されていると、いつも颯爽と現れ助けてくれました。」
「ど、どうして…」
「私も深く理解しているわけではありません。でも、縄原さんは悪人であって悪人でない。善人でなくて善人である、みたいな人だったんです。」
「そんなあやふやな…」
「その通りです。縄原さんは全くつかみどころのない女性でした。でも彼女の縄には愛を感じました。」
「縄に愛を?」
「はい。たくさん縛られてきたから分かるのです。誘拐犯たちの縄は悪意に、えっちな気持ちを持っている人たちの縄は邪気に…」
私は縄原さんが市長室から持ってきた麻縄に手を触れながら続けます。
「あの計画は間違っていると私は思います。ですが、私が縄原さんに縛られる時に感じる愛を疑うことはできません。悪と愛は表裏一体です。計画を潰し、縄原さんに気づいてもらうしかないのです。」
……。
なんかとても恥ずかしいようなことを言ってしまったような気がします。
「ありがとう。記憶が戻った私にお姉ちゃんの気持ちが伝わると良いわね。」
縄原さんは優しい表情に戻って私の隣に腰掛けてきました。
少しだけアルコールの匂いがして大人の雰囲気を感じます。
「えっと……縄原さん…」
「ん?どうしたの?」
「縄原さんはですね、私のことを…下の名前で呼んでいました。私も同じくあなたのことは麻美さん…と」
言ってしまったのです…。
嘘つきは泥棒のはじまり…。
縛られてオシオキを受けなければなりません。
「あら、ごめんなさい。それじゃ…わ…和奏ちゃん?」
「はい、ぁ…麻美さん!」
胸が痛いくらいにドクドク振動しています。
私と麻美さんの距離がだんだんと近くなります。
その時でした。
♫〜
「っ!?優奏からのメッセージです」
うぅ…大事なところを邪魔されたというか…なんとも悲しいのです。
スマホのロックを解除してメッセージアプリを開きます。
「えっ!?」
「うそ…でしょ……優奏ちゃん…」
スマホの画面を確認した私たちは驚愕しました。
そこに映し出されていたのは亀甲縛りを施されたうえで後手縛りをかけられていた優奏の姿でした。
制服のスカートを剥ぎ取られ、パンツの上から股縄が食い込んでいます。そしてそのパンツの部分を写すようにビデオカメラが設置されていました。
そしてメールの最後にはメッセージが記されていました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
縄原と2人でお前の家に来い。
約束を破った場合、妹の恥ずかしい映像を全世界にばら撒く。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「麻美さん……」
「行きましょう、まずは妹ちゃんを助けることだけを考えましょう。」
「でも…」
「妹ちゃんを誘拐したのはこの前の黒縄と白縄でしょう。彼らの目的は私。仮に縛られることがあっても身体的な危害を加えられる可能性は限りなく低いわ。」
「だからそれだと麻美さんが…」
「……大丈夫。私を誰だと思っているの?」
縄原さんは私の頭を撫でながら続けます。
「長丁場になりそうだけど、大丈夫?」
「もちろんです…!」
「それじゃ、大人しく行きますか」
「はい!」
そうして私と麻美さんは縛られるために古町邸へと足を進めました。
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「ほう?ちゃんと指示通りに来たんだな。」
古町邸の修練場では案の定、黒縄と白縄が待ち構えていました。
「むぐ…むぐぅ……」
優奏は梁から逆海老のまま吊られた状態で、股間と両胸にローターを取り付けられていました。そして激しく抵抗したのかボールギャグまで噛まされていました。
「優奏、助けに来ましたよ。」
「んー!んぐぅ!」
優奏は首を横に振って「来ちゃダメ…!」と言っているように聞こえます。
「助けに…?…違う。お前たちは今から縛られるんだ」
黒縄は白縄から麻縄の束を受け取り、それを私たちに見せつけました。
「人質までとっておいて…そこまで私たちが怖いのですか」
「お前らが鬼のように強いのはこの身をもって経験済みなんでな。そんな化け物じみた奴らを縛りあげて動きを拘束するのは当然だろう?」
黒縄は「それに…」と言葉を続け、優奏の縄を引っ張りました。
「んむぅ!?」
「優奏っ!」
亀甲縛りは身体のどこの縄を引っ張っても股縄が締まります。ローターで責められ、敏感になっている優奏は大きく身体を揺らして反応していました。
「憎き縄原がコイツのように縄に悶えている姿を見たいしな」
黒縄はさらに続けます。
「さぁ、どうする?」
黒縄たちは麻縄を私たちに見せつけてきます。私は縄原さんに視線を移します。すると縄原さんは優しい微笑みを私にした後、黒縄たちに視線を移し口を開きました。
「ひとつだけお願いがあるのだけれど。」
「ほう、人質まで取られている側の人間がお願いか?」
「確かにおかしなお願いかもしれないわ。でも、たった一つだけなの。」
「まぁ、良い。言ってみろ」
「ありがとう…。」
縄原さんは私と優奏を見つめてから黒縄たちに向けて言いました。
「私と和奏ちゃんが縛られた後、この子たちにはいっさい手を出さないで欲しいの」
「なんだそんなことか。オレたちの目的はお前だけだ。」
「……ありがとうございます…。」
縄原さんは深々と頭を下げました。
「オレたちもいつまでも待てねぇ。さっさとやってもらおうか」
黒縄は私たちに麻縄の束を投げつけました。
「これは…?」
私はその行為に疑問を持ちました。
「せっかくだ。守るべき市民の女の子に縛られるんだな」
「っ…!?」
私が縄原さんを縛る……。
「和奏ちゃん、ごめんなさい。あなたのような優しい子に他人を縛らせることになってしまった。」
「い…いえ、麻美さんは私たちを守ってくれました。」
「うふふ、本当に素敵な子ね。」
縄原さんは私の頭を撫で、私の瞳を見つめました。
「…麻美さん……」
縄原さんは「ふぅ…」と深呼吸し、私に背を向けました。
両手を身体の後ろに回し、コの字になるように腕を組みました。
そして私の方を振りかえり、言葉を発しました。
「和奏ちゃん。」
縄原さんは優しい笑顔です。
「私を…」
待ち望んだ言葉なのに…どうして…
「縛ってください…」
両腕を身体の後ろで組み、縄を欲する縄原さんの姿。決していけないことだと理解しているのに身体の中から熱くなっているのがわかりました。