(ふぅ・・さすがにしんどいわね・・) 『エリミネーションチャンバーフェス』の準備に忙殺される日々が続き、統括調整官として敏腕を奮っていた菊地原亜希にも疲労が澱のように蓄積していた。 スケジュールが押し気味となっている最近では、被造物を創出している人物・各企業への叱咤激励が今や叱咤の方へ比重が移り、関係者からの恨み含みの視線にも耐えなくてはならず、亜希のストレスは幾重にも重なっていった。 今日は、いつも自分の仕事が終るまで待機している、政府派遣の護衛を先に帰宅させ、『待たせている』という精神的なストレスを軽減し、加えて節約の為、久方振りに電車を使って帰宅をして気分転換を図ってみたのだが、体力的なストレスの増加に拍車を掛けるだけだったと後悔していた。 最寄駅からタクシーを使ってしまおうと考えていたが、終電到着後の乗り場はごった返しており、その光景にうんざりした亜希は、マンションまでの15分間を徒歩で行こうと決めた。 亜希のマンションは都心と郊外の狭間に位置する〇〇線の〇〇駅から徒歩で15分の距離にあり、駅まで遠すぎず、また近すぎる事も無く、ちょっとしたメリハリが付くので、個人的に気に入っていたが、今回の事件はそれが仇となってしまった。