SakeTami
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バイト(後編)

「いやこれ前ニュースでやってたやつじゃん」

「あー、あれね」


都市伝説と思ってたわ。何かしらの襲撃がーって

何かしらってなんだよって思ったけど巨人でした。


「だいぶ前だけど捕まったとか聞かないね?」

「てかこれポリとか返り討ち余裕だわ」

「それなー」

「ちょっと、俺が知らない話しないでくれん?」


はい情弱ー。

ふとお兄さんを見てみるけど、大人しくしてる。

さっきまで鬼連打どうした?カツ入れるために

親指で押さえつけてくりくりする。


叫びながら必死にもがいてる。か~わいい。

いやモーションは殺虫剤かけた後のGみたいだけど。


スマホも取り落としてるし。手相の皺んとこ。

俺が拾ったら壊しそうだから自分で拾ってな~


目的地に向かってるけど、森アンド森。プラス山。

まあ田舎だしなー。


巨大になっても山の向こうは流石に見えんわ。

後ろ向いたら遠くの方に田んぼとか町とか海とか

色々見えてるけどね。


木の間からちらちら建物が見えたりしてる一帯が

目的地らしい。今の俺らの足なら大した距離じゃない。


「あ、この木めっちゃ好み~」


けどなんか時間かかってるのは主にこいつのせいだ。

ジオラマに使いたいとか言って木を集め始めた。

想像してたより根っこが深いけど簡単に引っこ抜けてる。


「そんなんどれも一緒だって」

「はよ」

「てかさモノホンの木持って帰ってどうすんの」


まさにそれ。まあ放っておいて先に行く手もあるな。

森の中だけど今の状態ではぐれるわけもなし。


そして着いた先は別荘地。高級外車停まってるな。

今回はこれもターゲットになるから、

極力壊さないようにってマニュアルに書いてあった。


手順書完備の簡単なお仕事だわ。

えー、何々。指定された場所でドンドンと地面を叩く。

周辺の全戸から近くて、道路の真横、みたいな場所だった。


土砂が崩れてきたら手で押さえることって書いてある。

それドンドンドン!ドンドンドン!

ドンドンドンドンドンドンドン!


……あ、全員で注意を払いってなってるわ。

まだあと2人来てないけど。まあいっか。


家?別荘?からわらわら出てきた。

なんか金持ちそうな人たち。


「え、なになにもう始めてんの?」


なんか非難するような響きだけど、謎の木でポケット

パンパンの人に言われたくないなあ。


「お兄さんじゃない方の人から名簿きた」

「アレ〇サ、読み上げて?」

「アレ〇サじゃねーわ。。えっとぉ……東京都にお住まいのぉ」


住所読む必要ある?まあいいやこっちも指示書の続き見とこ。

ふんふん、なるほどね。えーっと、


「えーと、

『全員揃ってる?』と確認して一か所に集まってもらう。

『その人たちは生かしてやるから』と言うと集まりやすい。

なかなか従わない場合は従業員の恰好をした人物を踏み潰す」

「それカッコないとこは読んじゃだめじゃね」


しまった。自販機補充の人っぽいジャンパーが居たので

ごまかす意味を込めて足を踏み下ろす。これで良し。


あんまり感触無いな。え、てかこれ死んだよね?いいの?


「うわやったわこいつ」

「えぐー」


お兄さんを地面に下して名簿と照合してもらう。

なんかフラフラしてるけど大丈夫か?


「あ、手に乗せて確認しろって書いてある」

「マジか。じゃあそうするわ」


地面に手を置いて登らせる。

お兄さんを左手に、こいつらを右手に。

二十人は載せてるのに重さは大して感じない。

んだけどサワサワなんか触ってる感触があって気持ち悪。


手袋越しに?って思ったけど、よく見たら

繊維の間に腕突っ込んでるやつ居るし。何だこいつ。

上半身ごと腕を挟んでやったらやらなくなったけど。

おっさんなんだから大人しくしとけよな。


「一人足りないらしい」

「緊急でお仕事入ったから昨日の晩帰ったって」


本人は居ないが家族は居た、と。


「家族だけ置いて?」

「友人一家と来てる?」


あ、ほんと。右手の上で挙手してるやついるわ。

ってか、これ通報とかされてるんじゃね?


腕輪してる君たちが居るから、普通の端末は圏外だよって。

へー。どうでもいい。で次の指令は?


両手塞がってるのでもう一人が掲げてくれてるのを見る。

何々、音読しないように気を付けて、えーと。


今手の上に居る者たちは万が一生き残られると厄介なので

そのまま握りつぶしちゃって下さい。一匹も逃すな。


ひぇ、物騒なこと書いてる。まあもう一人やってるしな。

手の上の人間たちを確認する不安そうな顔でこっちを

見上げてる者もいれば、目を背けてる者、蹲って体育座り

してるやつもいる。高所恐怖症かな。


「うっし、やるか」


ふん、と息を吐きながら一気に握りしめる。

手の中でぷちぷちと何かが潰れる感触と、

ちょっぴりウェットな音がした。


「あっ、一匹袖の中に入った」


滑ってすぐに奥のほうまで入っていったみたいで

指を突っ込んで取れる範囲にはもう居ないようだ。


ってかお兄さん左手に乗せてるの忘れてたわ。

小指のところにぶら下がって無事でした。身体能力すげー。


手首に血が垂れてたし。気持ち悪いなあ。


「服脱ぐからどこ居るか探して?」


他2人に救助要請。


「後ろも居ないけど?」

「パンツの中は?」


そういってズボンを引っ張って中を確認してくる。


「やめwそこ居たらさすがにわかるわ」

「ってかお前半勃ちしてね?」

「ああ、お前もさっきのやってみ?なんか興奮するから」

「しねーし」

「するする」

「ないない」


脱いだ上着を地面に置く前に何度かバサバサ振ってみると

ポロっと人間がこぼれてきた。


自然とニヤニヤしてしまう。

高いところから落ちてるはずなのに、意外と平気な顔で

逃げ出そうとするから、上から一気に踏みつぶす!


「あ、外した」

「何やってん」


意外とすばしっこい相手に3人がかりでドンドンと

地面を踏み鳴らしていく。気づくと舗装された唯一の道路は

ボコボコになって歩いても通れない高低差ができている。


土埃で何が何だか分からなくなっていたので

足裏で確認。栄光を勝ち取ったのは妖怪木集め君だった。


「おお……いやなんか今じわっと来た。わかるわかる」

「でしょでしょ」


なんかこう血がね。騒ぐよね。

そう言いつつも、なんかこういう汚れってさ、

ちゃんと洗ったら落ちるのかって不安になるよなあ。


「えー、俺だけまだなんもしてないんだけど」


そういやバイト代って歩合制なのかな?


そんなことを考えたりしてるとお兄さんからの

現場指示が入った。逃げるって何が?

あ、なんか集まってたやつらの数が減ってる。

まだ固まってるやつもいるからひとまず回収。


保管場所が問題だわ。ポケットは口が開いてるからな。


「今日ピチめのボクサー履いてる奴いる?」


さて手をあげたのは……?

おお、何もしてない彼にも仕事あったじゃん。


「えー、やだって。ふつうにキモいから」

「どう考えてもここが一番逃げられにくいって」

「えっぐ。拷問じゃん」

「それはどっちに対する?」


これでおっけー。じゃあ宝探しスタート。


「あー無理無理キモイキモイキモイ」


言って、ちんこ膨らんでるんだよなあ。


「車両はとりあえず回収ボックスに入れてって」

「そんなんあったっけ?」

「軍手と一緒に置いてあった」

「あーあったような?」


全然記憶にないけど、まあそこにあるからいいわ。


屋根とかを剥がして逃げ込んでるやつらを見つけるの

控えめに言ってめっちゃ楽しい。金庫とか、あと

家具とか家電とかも高そうなやつは回収ボックスに。


建物ごと要るやつは、後から土地ごと回収するから

今はとりあえず四隅に杭を立てとけってさ。


残り?全部ぶっ壊していい、いやむしろ壊せって指示。

文面ノリノリじゃん。監視カメラとかあるかもだから

いちいち回収してられないので全ぶっ壊で。証拠残すなと。


おっけー☆


正直に告白しちゃうと、人が居る建物をぶっ壊すほうが

興奮度高いからおススメです。別に生きて捕獲しろって

指示はなかったんだし、いいよね別に。


で、もう上空から見ないとここら一帯に建物があったって

わからないレベルになった。短時間の軽作業です。


被害にあったのは建物だけじゃない。

牛くんのパンツもだ。色んなものでドロドロになってた。


あ、牛くんってピチパン履いてた子ね。小人の牢獄担当。

ミルクたっぷりだからついあだ名付けちゃった。畜産科だし。


「どうすんだよこれもう」

「別にノーパンでいいんじゃない」

「ってかアレだよなあ」


その後山に向かって3人並んでシコッた。


ちなみにおかずは困らなかったりする。

でかい別荘持ってるような金持ち連中って、リアルに

「そういう」メンバーで遊んでたりするんだなあって。

テレビん中だけかと思ってたわ。


まあ引き連れてきたやつはもう「居ない」けどな。

はー、使い捨てにできるのめっちゃ贅沢だな。牛くんとか

追加で3回も出してたし。絶倫すぎるわ。


満足したところで……


「ところで仕事完了したって言ったっけ?」

「そうだな。受け取るもん受け取らないとだし」

「じゃあ報告しとく」


ぽちぽち。


送信ボタンを押した瞬間、さっきと同じように

チカッと光った。


「あれ?どこだこれ?」

「向こう、でっかい木が見えてる?」


ゴオオオと強烈な風の音?が鳴り響いている。かと思えば

ドオンとものすごい音に地響き。なんだ?


上空になんだか圧迫感を感じて思わず見上げると

信じられない光景が広がっていた。


「ん?うわあああああ」


視界いっぱいに広がる顔。

よく見たらお兄さんの顔だ。久々に見た気がする。

ってかこれだけアップでも整ってるのはなんかズルい。


「びっくりした?俺が回収役も兼ねてるんだよ」


なるほど、今度はお兄さんが別の場所に運んでくれるのか。

軍手をつけた手を差し伸べてくれるのでよっこらせと

よじ登る。さて、報酬は幾らになるか、楽しみだ。


「ウチは対策ばっちりで『警察には』捕まらないから安心して」


(終)


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