目の位置、鼻の高さ、口から顎の奥行き、の3つが二次元キャラの顔の立体感を決定付けます。
とくに顎先は、近年、デザインとして引っ込んだ位置を採ることが多くなりました。その理由を考察してみると、(横顔のとき)顎先を後退させて描くことで、目が大きくておちょぼ口のキャラクターデザインにおける収まりが、ぐっと見栄え良くなったためでしょう。しかし、それだけではないと考えます。PVCフィギュアのように立体物が作られるようになって、二次元キャラ固有の審美眼が、萌え画の描き手やプロのアニメーターに浸透したからだと思われます。
二次元キャラの顔面を高所から見下ろした場合、透視投影の正面図のときよりも面長に、細長く尖って見えます。これは平らな目が大きく、頬から顎への逆三角形の稜線のせいで、ひたすら尖った印象になるからです。さらに、リアル人間にならあるはずの、眼球としての奥行き感がないことにも一因があります。
このとき、顎先を若干奥まった位置にしておくことで、こうした尖り効果の緩和が期待できるのです。
さらに、立体物としての奥行きを考慮するとき、そのベースともなる目のポジションは重要です。鼻の高さと顎先の低さを等高線として考えた場合、目はその中間で、収まりのいい高さに位置している必要があります。
このような観点で、拙作 佐渡渡(さどわたり)さんの顔を透視投影で見下ろしてみましょう(下図)。向かって左から順に、正面、約15度俯瞰、約30度俯瞰、となります。
次は、同様に近作 ナミの顔で、角度をずらしながら見下ろします(下図)。
同じように、依真(えま)の顔で(下図)。
もっとも印象の変化を免れているのは誰でしょうか? 少なくとも、俯瞰30度のカメラはNGだと言えそうですね。カット割りでは使わない方が身のためです。
三者の違いはどこにあるのでしょうか? 上手く説明するのは難しいですが、鼻先から顎先へと向かう仮想の等高線において、目の占有するポジションが極めて重要だとは言えると思います。顔の造形時には、その辺りを少し意識しておくと、「顔らしき立体物」としての破綻を減らせるかもしれません。
もし、お手元に萌え系の着色済完成品PVCフィギュアがあるようでしたら、同じように視点を変えて俯瞰で見ることを試みてください。原型師さんがどんなに上手くても、二次元キャラの顔の構造から、顔の印象を損ねてしまう俯瞰には逃れようのないNG角度がある、ということがご理解頂けると思います。