深い、深い、奥の場所
そこにいたのは、赤い魔女だった。
黒いとんがり帽子に、暗いピンクの長髪、その眼は透き通る様な青色をしている。金色の細かい装飾をあしらった、露出の多い服装をしているが、何より目立っていたのはそのお腹だ。
通常よりも大きく膨らみ、へそは少し押し出されている。所謂『ボテ腹』と言われる状態だ。
魔女はニッコリと微笑みかける。
「あら、貴女から来るなんて珍しいわね。どんな用事かしら?」
魔女の問いに、『来訪者』は静かに答えた。その返事に、魔女は興味を示す。
「それはまた一大事、ね。同時に、面白そうでもあるわ」
そう言って魔女は、帽子から『宝』を取り出し、来訪者に渡した。
「私から貴女に出来るのは、最初で最後のこれだけ。どう使うかは、貴女次第よ」
来訪者は『宝』を握りしめ、魔女に礼を言って、その場を後にする。魔女は手を振って来訪者を見送った。
「ええ、また会いましょう。今度は『新世界』で、ね」
その表情は、不敵な笑みを浮かべており、まるで来訪者を試すかのような意思がある。
来訪者はその顔を見ないまま、光指す戻るべき場所へ、足を進めるのだった。
◆◆◆
世界は、母を求める。
この世全てを孕みし、唯一無二の万能を。
しかして、その座は一つ。
欲するのなら、その身、その生、全てを賭けて母体と成れ。
多胎こそが、全知全能の一踏みと知るがよい。
甕下 星辰
2024-06-24 16:56:47 +0000 UTC