SakeTami
雪中アヤメ
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天使の羽も捕まえて 3

「もう、やめて……んっ、ふぁ、ぁ……」 「言葉の割に濡れてるじゃん。もしかしてレシエル、縛られて感じる変態だったの?」 「ち、ちが……ふぁぁっ、」 「違わないじゃん」  ほんの数分後。私はベッドに縛りつけられたまま、面白いように感度を上げて悶えていた。  私も口では否定しているが、明らかに普段より気持ちいい。DIDごっこという特異な状況のせいなのか、本当に縛られるだけで興奮してしまっているのかはわからないが、どちらにせよ変態のような気がしてしまう。 「確かこういうの、マゾっていうんだよな。どうなのさ、マゾ堕天使?」 「わたし、マゾなんかじゃ、っあ!?」 「何か言った?」  いや、間違いない。私、苛められていつもより興奮している。だって、今みたいに露骨に弄ばれるのが一番気持ちいいんだから。  こんなことされて気持ちいいのは相手がシィエルだからだろうけど、それにしても否定できない。  間違いなく私は、正真正銘のマゾだ。 「ほら、イけよ。二本の指だけでイっちゃえ、マゾ堕天使!」 「やだ、いきたくな、……────っ!?」 「あはは、ホントにイっちゃった。可愛い、もう一人でオナニーできないんじゃない?」  クリトリスを摘んで潰され、私は言葉の通りに絶頂してしまう。愛撫が始まってから今まで、シィエルは本当に指二本だけしか私に触れさせていない。拘束のおかげで押さえつける必要がないし、感度が良すぎてそれだけでイってしまったのだ。  どうやら新しい扉を開いてしまったらしい私に愕然としたが、それも嬉しそうな表情を隠そうともしないシィエルを見ると落ち着いた。エッチの時の彼女は、私が気持ちよくなっているところを見るといつも喜んでくれる。気持ち悪がられたりはしていないとわかっただけで充分だった。  そのままいつものように何度もイかされて、私が疲れてきたあたりで愛撫は終わった。……のだが、拘束が解かれる気配はない。 「レシエル、気持ちよかった?」 「……うん、すごく」 「よかった」  もう堕天使ごっこは終わっているようなのだか、なぜか枷による拘束は形を変えて継続している。後ろ手拘束に足枷どうしの連結と、かなり楽ではあるけれど。  ともかく、今回のようなやり方はお互いに気に入ったようだった。これからもこのようにしてくれるなら、少し楽しみかもしれない。  手も足も出せない状態の私を愛でることを本当に気に入ったらしく、服を直すことさえなくそのまま寝ることになった。上から布団はかけてくれたから寒くはないが、腰や胸に直接布団が当たるのは妙に恥ずかしい。  シィエルにももぞもぞと居心地悪くしていたところが見えたようで、ぎゅっと抱きしめてくれた。おかげで少し安心できて、私はそのまま眠りに落ちた。  ……んだけど。  目が覚める。……違和感が凄い。 「ん……っあ、ぐ……!?」  体がうまく動かない。すぐに昨日は拘束されたまま寝たことを思い出したけど、その時と比べても違うところがある。  手枷と足枷が繋げられて、足を伸ばせなくなっていた。後から知ったところによると、ホッグタイと呼ばれる拘束だ。これによってベッドから起き上がることさえできない。  その上、口を塞がれている。何やら布らしき……妙にいやらしい匂いと味がするものを口に詰め込まれて、その上から別の布で猿轡をされていた。たぶん、昨日シィエルが履いていた下着だろう。そうと認識した途端、こんな状況なのに興奮が再燃してしまう。  自分では見えないけれど、どうやら翼も縛られているようだった。眠る時に畳んだ形のまま伸ばせないから、ベルトのようなもので縛られているのだろうか。 「ん、っぐ……ぅ?」  まだ昨日の遊びが続いているのか、と寝返りを打ってシィエルを探す。隣はまだ暖かいが、どうやらこの部屋にはいないようだった。  下敷きになった翼が痛くてもう一度転がると、小さな紙切れが視界に入る。シィエルの書き置きだろうその紙には、走り書きのような文字で「急用でちょっと出てくるね。昼頃には帰るから、それまで楽しんでて」とあった。 「ぁ、う……」  ぞわりと、胸の奥に痛いほどの甘さが湧き上がる。こんな格好にしておいてシィエルがいない切なさ、自覚したばかりの変態性欲を楽しむことを許された高揚、そして全身縛り上げられたまま一人放置されてしまった背徳感。そのどれもが興奮を後押しする。 「んぐ、ぅ……ふっ、うぁ」  とはいえ、こんな有様ではオナニーさえできない。興奮だけならいくらでもできるが、気持ちよくはなれない。向こうにある机の角に股を擦りつけることすら夢のまた夢だ。  どんどん息が荒くなって、口の中の下着が唾液で濡れる。染み出した味に惨めさを噛み締めても、絶頂は取り上げられていた。それが心地いい。染み込んだ涎が臭って恥ずかしいし、股のあたりのシーツが濡れて太ももが冷たい。  指先を必死に伸ばして股を弄ろうにも、辛うじてお尻の穴に届くくらい。好きな人は好きと聞くけれど、私には経験がなかった。表面をなぞって、少しだけぞわりとする感覚で飢えを凌ぐばかり。 「うぅ……ひぃえうぅ……」  ベッドに残るシィエルの匂いへ顔を突っ込んで、無理やり気を紛らす。昨日から続くヒロインピンチごっこの趣旨とは大きく異なる焦らしを、私はひたすら甘受し続けた。


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