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アツアツのフライパン 後編

(ああんっ、熱いっ、体どんどん熱くなってくるのっ、あああんっ!) 「そりゃそうだよ。フライパン熱してるんだから。辛かったら言えよ。俺も恐る恐るなんだ」 いかに冷静沈着な颯斗でも、自分の彼女をフライパンとして、コンロの上で温めるなど、考えもしなかった。 考えて、冷静にやるべきことだとわかっていても、身体が拒否反応を示しそうになるくらいだ。 「でも、ちゃんと道具として使ってやらないと、戻れないって書いてあるし、まあ、軽く遊んであげるか……」 (そ、そうなの……? んやあああああっ! な、何か落ちたっ、なにこれっ、私の体に、なにしたのっ、ああんっ!) 「落ち着け。生卵落としただけ。せっかくだし、夕飯作ろうと思って」 (ば、馬鹿っ、私をモノみたいに扱ってっ……んにいいっ、んにゃあああっ!) 「実際モノなんだからそこはいいだろ。さて、ベーコンはあったかなー」 そして手際よくさいばしでグザイを炒めていく颯斗。 だが、美優からすれば、自分の体の周りを、いろんなものでかき回されているようなもの。 (ああんっ、もっと、もっと優しく扱いなさいよっ! んああっ! あんっ!) 「だったらお前も素直に喘いでろ。普通にかわいいんだから」 (ほ、本当……?) 「だから、ほんとだってば」 そういいながら、淡々と炒めていく颯斗。 (んああっ……はあっ、はあっ。そ、そっか……ひゃあああっ、あんっ!) おそらくフライパンとしての快楽に慣れてきて、余裕が出てきたのだろう。徐々に自分に文句を言うようになってきた。 だが、先ほどみたいに甘えてくれたほうが、颯斗としてはうれしいのだ。 好みであることは否定しないが、さっきのあまあまな美優が、かなりぐっと来たのだ。 「ほら、このあたり、つんつんされると嬉しいんだろ?」 (そんなことっ、んああっ、あんっ、ああんっ!) 「正直になれ。ほら。さすがに素手じゃさわれないけど、菜箸越しにいじってやるから」 (んあああああっ、そこ、そこ、だようっ……!) フライパンのヘリの部分を執拗にこする。そのたびに、小さく悶えるフライパン。 (ひゃあああああっ! 颯斗っ、颯斗おっ! ああんっ、颯斗っ……) 「……」 (せつないのっ、そこっ、すごくいいとこに、きてるのっ、でも、切ないのっ……!) 「……そっか」 颯斗はそのままフライパンに顔を近づけると、至近距離で息を吹きかけた。 (ん、んひゃあああああああっ!) びくびくっ、と、痙攣するフライパン。 「……イッたか。でも、まだだぞ」 (はあっ、はあっ、あっ、ま、まってっ、またっ、あっああっ!) 「だめ。ほら、もう一度……」 (あっ、あああっ! まってっ、まだっ、イッタばかりっ、身体、変になるっ……! おかしくなるっ) 「もともとフライパンだからおかしくなってるよ」 (だめえっ、ほんとにだめなのっ! このままだと心までモノになっちゃいそうっ、だから、あっ、ああんっ、だめ、それ、まってっ、あっ、ふぁあああっ) そして、抵抗しようにも、手も足も出ないフライパンは、やはりなすすべなく。 「まあ、意識を失うくらいまで、いくらでも相手してやるよ」 (あああああんっ!) ベーコンをカリカリにしながら、颯斗の顔には、笑みが浮かんでいた。 「さて、と」 (あああんっ……颯斗っ、颯斗おっ、好きっ、大好きいっ……) 「……やりすぎたかな。これ」 フライパンが小刻みに痙攣していて、聞こえてくるのは甘ったるい声ばかり。 (颯斗おっ、ぎゅってしてっ、抱きしめてえっ……) 「うん、そんなことしたら俺やけどしちゃうから。ちょっと待ってな」 そして、もう一度説明書を確認して、ロープの片方をフライパンに当て…… 「ほら、大丈夫か……?」 「……颯斗おっ」 「おおっと」 人間の体の美優は、そのまま顔と体を颯斗にこすりつけ。 「……もっとっ、もっとおっ……」 「……うーん。冷めにくいなあ」 まあ、やけどはしないからと、ひとしきり抱きしめることにした。


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