あぶのー丸のヒロイン論 第1回
Added 2024-01-04 08:16:32 +0000 UTC第1回「ヒロインは強くも弱い、憧れの象徴」
女の子が男と闘う。
日常ではあり得ないこの異常とも呼べる行為が、映画や漫画など想像の世界では当たり前のように描かれます。
ヒロインの存在とは、昔で言えば男性ヒーローのサポート的な役回りが多かったのですが、今では主人公として闘う女の子が描かれることが主流となっているようです。
女性はか弱く男に守られる存在。過去の認識はそうだったのでしょう。そのため、アクション映画などでは果敢に闘うも、男に力及ばず敗北のすえ捕らわれの身となる。それを救いに来るヒーローの引き立て役というのがある種のお約束だったと思います。
ヒロインは強いが、所詮は女の子。最後は屈強な男に負ける存在。弱くても健気に戦う姿に人は心を動かされるものです。
子供のころ、戦隊ものや不良ドラマなど創作の世界で、ちょっと強い女の子が闘うシーンが出てくるとドクンドクンと鼓動が速くなったものです。「頑張れ!」という純粋な気持ちの奥底に、「この後どうなるのだろう?」という、言葉には言い表せない邪な期待が入り混じっていたのを覚えています。
本当に子供だった頃は、窮地に立たされても「負けない!」と虚勢を張る女の子に憧れを抱いていたものですが、いつの頃からか胸騒ぎを覚えるようになっていました。「この女の子って、敵に負けたらどうなるのかな?」と。
敵の下っ端に取り囲まれて、颯爽と立ち向かうヒロイン。柔術や古武道のようなものなのでしょうか、軽々と男たちを叩きのめす姿に、おそらく同世代の女子たちは「カッコイイ」とさえ思っていたことでしょう。若く華奢な女の子が下っ端とはいえ一回りも体格の良い男どもを次々と倒して回る姿に、きっと世の中の老若男女が爽快感を覚えていたのだと思います。
そんな世の中の圧倒的な応援ムードの中にあって、私は内心「これは、空虚な作り話さ」と冷ややかな目線を向けていたものです。
いかに強いとはいえ所詮は女の子なのでしょう。下っ端を片付けるころにはヒロインは「ハァハァ」と肩で息をしだします。すると、そこへ満を持して強敵が現れる。「わたしは、負けない…」ヒロインは不安げな表情を浮かべながらも果敢に挑む。打撃はことごとくかわされる。当たってもダメージがない。「そう、これこれっ!これが現実だよ」と嬉々として画面に噛り付く。「さぁ、どうなる?」と胸を高鳴らせていると、お約束。女の子の腹に一発。そう、たったの腹パンチ一発で「うっ!」と呻くや気絶させられ連れ去られる。あっけない。さっきまで男相手に威勢よく闘えていたのに。やはり、ヒロインピンチはやめられない。