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紺野アスタ
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ATRIのアニメが最終回を迎えて

先日、ATRIのアニメが最終回を迎えました。


自分がシナリオを書いた作品がアニメ化する。

たぶん、シナリオライターになるよりずっと前からの夢だったと思う。

発表当初はどういう感情で観ればいいのかそわそわしてましたが、事前に見せていただいた1・2話の完成度の高さと、原作へのリスペクトを感じる内容に、

「これは、原作ファンも納得だろう! もちろん私も納得だ!」

と、安心して放送日を迎えられました。


まず、目を惹いたのは、やはりアトリの動きの可愛さ、おかしさ。

原作であるゲーム版のアトリの立ち絵のポーズの指定は、色々と成り行きがあって私がしてたんですが(大ざっぱに「こんな感じのポーズがほしい」という指定をしただけです)、終末的な世界観とノベルゲームという組み合わせで、とても静的なゲームになってしまいそうだなという懸念があって、アトリはそれをぶっ壊す空気を読まない言動と、立ち絵で活き活き動き回ってほしかった。

という狙いがあったのを、アニメのアトリを観てて思いだした。

アニメだからって、キャラを沢山動かすのはコストがかかるはずで、ストーリー上は動かなくてもいい場面で、アトリはとってもオーバーリアクションだったり、夏生たちが話し込んでいる裏でカモメを捕まえようとしてたり。

個人的な感想ですが、アトリのただ可愛いだけじゃない活き活きしたキャラ性があってこそ、その後のドラマがより引き立ったんじゃないかと。


アニメ化するにあたって、ストーリーはノベルゲームそのままというわけにはいきません。

アニメにはアニメの、ノベルゲームにはノベルゲームの強み、弱みがあり、作り手側はそれらを考慮した上で作品を作ってるんですね。

ノベルゲームだから曖昧にしておけた部分を、アニメだとちゃんと描かなきゃいけなかったりするので、マンガからのアニメ化とかに比べてもとても大変な作業だったんじゃないかと想像してます。

構成が変わってたり、尺の都合で端っこのやり取りがカットされていたりするわけですが、面白かったのはアニメが初見の視聴者さんのリアルタイムの反応が、ゲームをプレイしていた時のユーザーさんの反応とほとんど同じだった事でしょうか。

表現方法が変わっても同じ反応が返ってくるというのは、ATRIをATRIとしてちゃんとアニメにしていただいてたって事なんだろうなと。


私が作詞を担当した『光放て!』(原作ゲームのOP)が、アニメの大事な場面で流れた。

ちゃんと作詞をしたのは初めてだったのもあって、とても思い入れのある一曲です。

最初、とっかかりが見付からず苦労していた私に、Yowさん(昔からよく組んでるディレクターさんで、ATRIでは演出の統括などをやってた)が、

「シナリオのどこで歌を流すか考えて書くといいかもですよ」

とアドバイスをくださった。

で、どこで歌が入ると盛り上がるかを考えた結果、あの場面になり、その時点での夏生の心境を歌詞にした。(どこで歌を流すか指定できるというのは、シナリオライターが作詞も担当するメリットですね)

アニメでも、同じ場面で流れたのが嬉しかった。あれは原作ファンは胸熱だったんじゃないかと。


そういえば、アニメ版で大きく変わった事。

聖地ができた!

銚子の街が海面上層で島になり、緑に覆われていってる姿はなんとも幻想的で、廃墟好きにはたまらない風景でした。

原作ゲームには決まった聖地はないです。たしか、サントラの限定版についてくるブックレットのインタビューでその話をした気がする。(まだ購入できます。長文のインタビューが載ってるのでファン必見です)

以前、小笠原諸島を舞台としたゲームを作ったりしましたが、聖地があると、聖地巡礼というエンドコンテンツも生まれて、ファンにとっては嬉しいんじゃないかと思う。

私もあった方がいいと考えてるんですが、これが結構難しい。

実際の地形などを考慮しなきゃいけなくて、取材が大変だし、何より、

「この島の住民は呪われた血の末裔で……」

とか書けなくなる。

だから、そういった懸念がないと分かっていなければ、実在の舞台は使わないようにしてます。

聖地になった事で、ATRIが銚子市の広報誌の表紙になったりしてました。あれも今まで経験した事のない出来事だった。

銚子は以前から興味があったので、時間ができたらカメラを持って聖地巡礼しようと計画してます。


他にもアトムやマジンガーZやかに道楽さんとコラボしたり、池袋駅にでっかい広告が出たりと、色んな事がありました。

フィギュアも出ますね。ねんどろいど化とか、アニメ化に並ぶくらいの夢でしたよ。

途中からもう追い切れなくて、たぶん私が知らない事もあるんじゃないかと思います。



とまあ、とても嬉しい体験を山ほどさせていただいたわけですが……。

いやー、キツかった!

私は私で、現在進行形で新しい作品に取り組んでるわけですが、過去のすでに完成していて、評価も得ている作品を思い出しながら、まだ形になっておらず、最終形のイメージもあやふやで、どんな評価を受けるかも分からないシナリオを書くのが、ほんとにしんどかった……。

ただまあ、これは贅沢な悩みでしょう。

ほとんどの人は経験できない事。自分もATRIがなければ、一生なかったかもしれないし、今後はもうない可能性の方が高い。

なのでなるべく毎週、ちゃんとアニメを観て楽しんで実況しようと腹をくくってました。アニメのできが素晴らしくて面白いからまた困るんですよね……。


というわけで、悲喜こもごもの三ヶ月でした。

アニメのスタッフの皆様、関わってくださった方々、観てくださった視聴者のみなさん、お疲れ様でした&ありがとうございました!!!

今までにない、最高の夏を過ごす事ができました。





さて、ここからは私はえらいなという話を。


紺野アスタは、先日まで会社所属でしたが、その前はずっとフリーランス、現在もフリーランスのシナリオライターです。

フリーでやっていくのに一番大事なのは人間関係ですが、もう一つ大事なのが代表作じゃないかと考えてます。

あれを作った人。

こういう作品が得意な人。

よくある言い回しだと「名刺代わりになる」作品。

それがないと、ぶっちゃけギャラがなかなか上がりません。(※個人の感想)


なので、何年ごとかに「新しい代表作を作れないとクリエイターとして死ぬぞ」と思って仕事をしてきた。

だがしかし、フルプライスのノベルゲームを作る機会はもうなさそう。どうすりゃいいんだ……。

そんな時に舞い込んだのがATRIの企画。

ロープライスだし、小粒な作品になっちゃうかななどと思いつつも、アニプレックスさんという大きな看板もあるし、すごいスタッフさんに囲まれてもいるし、ここは頑張りどころだと思って書いた。

そうしたら、様々な幸運も手伝って、想定をはるかに上回る代表作に育ってしまった。

ATRIのおかげで、今まで接点のなかったクライアントさんからもお声をかけていただけるようになり、これからも新しい事に挑戦していけそうです。


次の代表作を生み出すためにも頑張っていこうと思いますので、温かく見守ってやってください。

俺たちの戦いはこれからだ! 紺野アスタ先生の次回作にご期待ください!

Comments

最後まで観てくださりありがとうございます! アニメについては自分もただの視聴者なので、お疲れ様はアニメのスタッフさんに言ってあげてくださいw

紺野アスタ

アニメも観てくださりありがとうございます! 素晴らしいアニメ化でしたね…。

紺野アスタ

原作ゲームまでプレイしてくださり、ありがとうございます! ATRIという作品は本当に素晴らしいスタッフに恵まれて製作された奇跡みたいなゲームだと思います。

紺野アスタ

最終話まで完結お疲れ様でした!

黒須葉一

原作からのファンでしたが、アニメも最高でした 素敵な作品をありがとうございました

言京

アニメから入り原作ノベルゲームにどハマりしている者です。 私はアニメも原作もどちらも本当に最高だったなと心の底から思います。 シナリオ、キャラデザイン、bgm、ボイス、歌唱、演出その全てが合わさり不朽の名作になっていると感じます。 こんなにも素敵な作品に出会えた事が私にとって人生の大きな道標に、光になっています。 全ての製作に携わった方々へ 本当にありがとうございました!

ぐらしおん


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