足元の魔法陣の光が失われたと、那月が気付いたのとほぼ同時に、地中から細長い大量のツルが這い出て来た。
「きゃあっ!! なにこれっ、痛っ……!」
硬い土を簡単にひび割り、大量のツルが、高速で伸びる。そして、あっという間に、那智に絡みつき、ぐるぐる巻きにしていく。魔法使いの証である、ゆったりとした紺色のローブと白いワンピース。そして、首から掛けた、紫色のドロップ型の魔法石がついたペンダント。
それらが、ぎゅむり、と緑のツルに締め付けられ、那月のやらわかな胸のカーブと、すらりとした脚の曲線を露わにしていく。
「ん……っ、く……っ、苦しい……っ、離してったら!」
両手、両足も、ぴたりとくっつき、縛られてしまった。
ペンダントの革紐が、首に擦れて痛い。
すっかり魔法陣が消えてしまった土に、パンプスを履いた足で、ぐりぃ、と力を入れ、那月は、己に絡みつくツルを引き千切ろうと試みる。
「魔法使えなくしたら……っ、勝てる、なんて、んぐぅううっ……、思わないでよ!」
ぷちぷち、と数か所で、ツルが悲鳴を上げる。魔力ではなく物理で脱出を試みる那月が、「よし行ける!」と踏んで、両手を握りこぶしに変えて、更に力を入れた時だった。
ぶわりっ、とツルが、一気に伸びあがり、ぐるぐる巻きにされていた那月も、宙へと持ち上げられる。
「ひゃあぁあ!?」
那月が驚き、声を上げている間に、ツルは伸び続け、那月をキツく締め上げていく。
ぎちぎちぎちっ、ぎゅむうぅうっ!!
「痛……っ! いやッ、やだ、離してっ、だめっ、あ、熱……っ!」
縛り上げていたツルが、急に熱を持ち、那月が悲鳴を上げる。
「ぁっ、あぁあっ、ぁうっ……! なにこれぇっ、熱いっ、だめぇっ、たすけてぇっ!」
びくんっ、と身体が大きく震え、那月は、全身を縛られたまま、のけ反る。
頬が熱く紅潮し、目尻に涙が溜まる。時折、ぴくぴくと、身体を揺らしながら、ぱくぱくと、口を開ける。
ツルは熱と共に、強度を増していく。つまり、魔力を増しているのだ。
その魔力の出所は、縛り上げている那月からに違いなかった。
「私……っ、魔力、取られてる……? いやっ、いやぁあっ、離してっ」
カクカクと震えながら、那月は、声を上げ、熱い光に包まれていく。
「あぁああぁああああああああ!!」
溶けてしまいそうに熱い、光の中で、那月は、絶叫した。
くらくらと、高熱に魘されるように、那月は、目を細め、意識を手放す。
かくん、と、肩に巻き付いた緑のツルに、顔を預ける。
白い肌は、赤みが増していて、長いまつ毛の影を落としている。
汗ばんだ肌に張り付いた灰色の髪が、緑のツルに撫でられたと同時に、那月の身体はひと際大きく、跳ねあがった。
「はぁ……んっ……!」
緑のツルを持つ植物型の魔物が、那月の魔力を、ひとかけらも残すまいと、吸い上げていく。
意識を失った那月は、時折、身体を跳ねさせながら、強張っていた身体を弛緩させ、だらりとツルに身体を預けてきた。
カッ!! 那月をぐるぐる巻きに絡みついていたツルが、激しく閃光する。
「ひぁ……っ、あぁあぁぁぁ……っ」
光の中で、意識を失ったまま、那月は声を上げるが、その声は徐々に小さくなっていく。
否、声だけではない。
那月の身体も、少しずつ、そのサイズを縮めていっていた。
光に包まれた那月の身体は、ツルに巻き付かれた紺色のローブの中へと飲み込まれていく。
やがて。
バサリ、と。ツルの隙間から、紺色のローブと、白のワンピースだけが、地面へと滑り落ちた。
*
暗がりの中で、那月はちいさなくしゃみを一つして、うっすら目を開ける。
「……あれ? どこ……、ここ……」
もぞりと、身体を起こして、頭に大きな布が掛かっていることに気付く。
大きな布団だろうか。布団の中にいたから、暗かったのか。
ごそごそと、手を伸ばし、布団をめくろうとするも、端っこが見つからない。
不思議に思い、両手を床につけば、じゃり、と大きなゴツゴツした石にぶつかり、「ひゃっ……」と小さく声を漏らす。
「なにこれ。大きな石……? これ、もしかして、下は土なの?」
ぽすぽすと、布越しに手を進め、気付けば、四つん這いのようなポーズを取っていた。
大きな布を被せられていた状態に、空洞が生まれ、那月は、四つん這いになったまま、ハッと気付く。
「私……。服、着てない……っ!」
思わず叫んだと同時に、たぷん、と、柔らかな胸が揺れ、桃色の乳頭がぴくりと震える。
すらりと伸びた両脚に、ふわりと空気が触れ、那月は、もじもじと、足を引き寄せた。
片手を胸元に寄せ、ぽすんと、再び、布越しの地面に座り込むと、誰がいるわけでもないのに、きょろきょろと辺りを見渡す。
「私、どうなったんだっけ……? 確か、魔力を吸い取られて……」
右の手と腕で、胸を抱えるようにして隠しながら、那月は、そっと、左手を巨大な布に添え、持ち上げる。
べろん、と布が視界を広げ、那月は、少し先に、巨大な何かが落ちていることに気付く。
「あ……っ」
那月の腕くらいの太さの革紐。そして、その紐の先には、大きなドロップ型の魔法石が、繋がり転がっている。
もはや、那月よりも大きな魔法石で、こんなに大きなものは見たことがない。
魔法使いが魔力を溜めるために使う石だが、ハイレベルの魔法使いでも、こんなに大きなものを扱ったりはしないだろう。使いづらいことこの上ない。
那月は、しばし、固まった後、目の前に転がる、大きな大きな、魔法石に、顔を近づける。
向こう側が透けて見える程、透明なその石に、那月の小さな顔が映された。
「これ……、もしかして、私の、ペンダント……?」
ドロップ型の魔法石の傍に座り込んだまま、おそるおそる手を伸ばす。ぺたり、と触れると、冷たい感触が帰ってくる。
那月の魔力の色を示した、紫の光は、すっかり消えてしまっているが、この感触は、覚えのあるものだった。
那月は、小さな口を、めいいっぱい開き、「ちゅっ」と、ドロップ型の魔法石のわずかばかりの先端を口付ける。
そして、そっと、口を開き、唱える。
「──Transfer《移行》」
己の魔力を石へと移す魔法だ。わずかに、那月の周りと石が光る。が、燃料の足りない炎のごとく、すぐに、その光は消える。
私の魔力に反応した……。それに加えて、私、全然、魔力が残ってない。
ということは……。
「私……。小さくなってる……」
サァー、と血の気が引き、現実を振り払うように、那月は、その場に立ち上がる。
相変わらず、大きな布が、那月を押し付けるように覆いかぶさり、那月は、小さな両手で、ぼふぼふと、逆らう。
「これって、じゃあ、もしかして、私の服ってこと?! 嘘でしょ!? なにこれ、どうしよう」
出口すら見つからず、半ばパニック状態となっているその時だった。
──ザク、ザク、ザク、と。大きな足音が聴こえ、那月は、ビクンッと震えあがり、大きな魔法石の傍に座り込む。
誰か来る……。
足音だけでも、攻撃でも受けるかのような、衝撃だ。
人の気配に、こんなに恐怖を覚えたのは、初めてだった。
どうしよう。踏まれちゃったら、私、しんじゃう。
ぶるぶると震えている間に、足音が停止する。様子をうかがったのも束の間。
──ばさり、と。
頭上一面を広大に覆っていた布が上へ上へと、離れていき、周囲に光が戻ってくる。
那月が、大きなペンダントの横で、ぽかんと、見守っていると、光が溢れ出す空間から、ぐわっ、と那月よりも大きな巨大な手が現れた。
「ヒィッ……!!」
息を呑んでいる間に、巨大な手は、あっという間に、那月とペンダントを、むぎゅりと、掴む。
ペンダントの魔法石と、巨大な手の中指につけられたリングが、那月の小さな裸体に押し付けられる。
「キャ────ッ!!! いやあああ、離して離してっ!! 助けてぇええ──っ!!!」
那月は、手のひらから、頭と足を出した状態で、じたばたと暴れながら、大きな指の隙間を探す。
人差し指と中指の狭間に潜り込み、抜け出そうとして、ふと、大きな中指につけられたリングに目が入る。
広い横幅を持つリングは、もはや、今の那月の顔ほどに大きいそれで、ごてごてと、象形文字が象られた金のリングには、紫色の魔法石が組み込まれていた。
この色とデザイン。これって……。
そっと、魔法石に手を乗せれば、馴染みのある魔力の波動をわずかに感じる。
「──暴れるなよ。落ちるぞ」
ぽすんっ、と頭に、大きな衝撃を受け、那月は、自分が大きな指の腹で、頭を押さえられたことに気付く。
見上げれば、そこに、大きな手で小さな那月とペンダントを掴む、大きな稜季(いつき)の姿があった。
黒い短髪の狭間から、茶色いたれ目が、じとりと、那月を睨んでいる。
彼は、かつて那月に魔力の扱い方を教えた、那月の元指導者兼、同じパーティの仲間である。
*
「稜季(いつき)っ! 助けに来てくれたの? ありがと……」
那月は、彼の大きな指に、小さな手を乗せて身を乗り出す。
パニック寸前だった心が、瞬時に、落ち着きを取り戻し、全身が、ホッと力が抜けていくのが分かる。
自分が小さく縮んだせいで、距離感がバグってしまうが、大きな姿で、じっとこちらを見る様は、なんだかドキドキしてしまう。
至近距離で見ているような、大きな絵画に拡大されているような、不思議な感覚だ。
稜季、目が綺麗……。まつ毛も結構長いんだな。手も、骨ばってて大きいし、かっこいいなあ。
那月自身を容易く握った、物理的にも大きな稜季の手に、視線を落とし、そこでようやく、那月は大事なことに気付く。
「はっ……!!! 待って……っ、キャ────ッ!!!! わわわ私、今、服着てないっ!!! みっ、見ないで……!」
「気付くの遅ぇな……」
那月が、稜季の手の中で、わたわたと焦るも、稜季は、ため息ひとつで終わってしまう。
「うっすい魔力しか感じない上に、地面に服が散らばってたのを見つけた時は、溶けてなくなったのかと思ったけど、元気そうだな」
「恐ろしい想像しないでよ!! ツルいっぱいの魔物に魔力吸われちゃって、こうなったんだってば」
稜季の手に小さな全身を握られたまま、那月は、小さく叫ぶ。
那月は小さな片手を、もぞもぞと動かし、胸に添わせ、ちらりと、自身に絡みつく、大きな稜季の指を見つめる。この大きな指に、自分の素肌が触れていることに、今更ながら、そわそわしてしまう。
大きな手。私、裸のまま、全身、掴まれちゃってる……。恥ずかしいよぉ。早く戻らなくちゃ……。
こんなに小さくなっちゃうなんて思ってもみなかった。
稜季の手より、ちょっと大きいくらいだから、今は十センチくらいになってるのかな。
恥ずかしさで熱が上がった頭で、なんとか、現状を計算していると、ふいに、那月を掴む大きな指が解かれ、傾き、那月は、悲鳴に近い声を上げる。
「いっ、稜季、ちょっと、キャ──っ!! 手、開いちゃだめぇっ」
大きな稜季の手のひらに座り込むような体勢になり、那月は、胸と下腹部に手を当てながら叫ぶ。
素肌を覆っていた稜季の人肌が離れ、小さな身体が空気に晒される。冷たい空気は、那月の肌を羞恥でむしろ熱くさせる。
稜季の大きな空いた手のひらが、ぐわりと、小さな那月に近づき、那月は、びくりっと身体を震わせた。
大きな指が、風を切って、那月のすぐ傍をすり抜け、那月の真後ろに転がっていたペンダントの石を掴む。
「ぁ……っ」
きらりと透明な光を返しながら、ドロップ型の魔法石のペンダントが離れていく。
魔法石に引っ張られる形で、付属の革紐も、稜季の手のひらから、するりと落ちた。
「石の中の魔力も、すっからかんだな」
透明の石を光にかざして呟く稜季に、那月は、小さくうなずく。
「う、うん……。全部取られちゃったみたい」
溶けてなくなったかと思ったと軽口をたたかれたものの、あながち、冗談では済まなかった状況だった。
「なんか今頃になって、よく無事だったなって思ってきちゃった……。トドメ刺されてもおかしくなかったよね」
「まあ、人間も、魚や肉の骨は残したりするし」
「リアルに恐怖心を増させないでよ!! 人を食べ残しみたいに言わないで!!」
那月が、ぐわっと小さく怒るも、稜季は大きな手のひらで、那月のペンダントを遊ばせた後、ドロップ型の石と革紐の接続部分を摘まむ。
「ま、そんだけ叫ぶ元気があるなら、とっとと魔力を補充して、元の大きさに戻しても大丈夫だな」
「そっか、魔力が戻れば、身体も元に戻るよね」
人が素っ裸なのに、まったく動じないんだから、こいつは本当に。
那月は、恥ずかしさと拗ねを混ぜて、ひそかに小さく頬を膨らませた後、稜季の提案にうなずく。そして、ハッと我に返る。
「待って、魔力の補充って……」
他者からの魔力を己に移行させる。
人体の血肉に宿る魔力を分け与える術は、容易なものではない。
微々たる魔力の移行や、血の繋がりがある者同士なら、魔力回復の術を他人に向けるだけで成立する。が、今回のように、ほとんど魔力が尽きた者に、他人が魔力を与えるとなると、もはや、魔法を一切使えない、ただの人間を、魔法使いに仕立て上げるようなもの。血などの体液を介した、古来の術式をしなければならないはずだ。
「稜季、血を使うつもりなの? 怪我しちゃうよ」
「そんなの媒介にしたら、お前も血を出さないといけないだろ。もっと簡単な方法でやるよ」
「え?」
稜季は指先で摘まんでいた那月のペンダントを、くるりと回し、自身の口元へと近づける。
口を小さく開くと、ぱくん、と、ドロップ型の石を、半分ほど、容易く口に含ませる。
「ぁっ、それ……っ」
ついさっき、私も口に含んだのに! いや、含んだというか、先端部分に水滴がついたか否か、くらいしか、口に入れられなかったけど。
那月が、ひとり、焦っている間に、稜季は「Transfer《移行》」を行い、那月の石が、明るい紫へと、光を取り戻す。
あっという間に、魔法石に補充されちゃった。
那月が、稜季の手のひらの上で、感心していると、稜季が空いた手で、すっと、口に含んだペンダントを離す。
「ほら、ここに入れた魔力吸えばいいだろ」
スイッと、大きなドロップ型の石を目の前に突き出される。
なるほど、血液じゃなくて唾液を媒介にするわけね~。魔法石に一旦補充しておけば、お互いの負担も少ないもんね~。
って間接キスじゃん!!! 全然よくないわ!! いやもう、さっき、私が一回、口に含んでるから、もう間接キス成り立っちゃってるけども!! なんとも思わないって言うの、こいつは!?
最終的に、こうせざるを得なかったとしても、実行する前に、一言、許可取りなさいよ!! 私の魔法石に、稜季の魔力入れちゃったら、もう、するしかないじゃんか。間接キス──っ!!
ものすごく言いたいことが、那月の脳裏に駆け巡る。しかし、物理的に、稜季に手のひらを返されたら、小さな裸体ごと土に落下するしかない程、今の那月には、他に選択の余地がなかった。
「もう……」
いつも意識するのは、こちらばかりなんだから。
那月は、片手を胸元に添えて、乳房をかばいながら、座ったまましゃきりと背を伸ばす。
魔力を他人からもらうって、ほとんどしたことないんだけど……、吸い付いたらいいのかな。
小さな口を、可能な限り大きく開き、ぱくん、と大きな魔法石を咥える。
「ん……ぅ」
吸い付くようにして、魔力を探れば、口元に、ほんのりと、稜季の魔力を、石越しに感じる。
ドクンッ!
魔力を認識した途端、那月の身体は、桁違いに熱を帯びだした。
「ちゅぅ……っ、んぅ、ふぁ……っ」
小さな身体が、枯渇を自覚し、本能的に魔力を求めだしたのだろう。
那月は、うっすらと汗ばみ、頬を紅潮させ、無我夢中で、自身より大きなドロップ型の魔法石にむしゃぶりつく。
「はぁ……っ、はぁん……、ん、ちゅむ……っ、んむぅ」
魔力を補充されるの、気持ちいい……。
那月は、うっとりと目を細める。
「んん……っ、はあぁ…っ、ちゅふぅ……」
ちゅくちゅく、と、紫色の石の端に吸い付く。
身体が小さくなっているからか、那月が、夢中で魔力を頬張るも、石の色は薄れていない。
那月の身体も、依然として、小さいままだった。
魔力の補充完了には、程遠いことは歴然で、加速するのは、那月の理性の消失ばかりだ。
小さな裸体をかばうように添わせていた手は、いつしか、両手で、しっかりとドロップ型の魔法石を掴んでいる。
ぷるん、と柔らかな胸が、那月の動きに合わせて、揺れ動き、ぷくりと尖りを帯びた桃色の乳頭が、ぷるりと波打った。
「はぁ……んっ、ぁむぅっ、んちゅっ、ちゅぅっ」
頬を染めて無我夢中で魔法石を舐めまわす那月だったが、己の口が小さいのか、それとも、媒介の体液が薄れてきたのか、甘い蜜のように感じていた魔力が、薄れていく。
「ぁれ……? んっ、ちゅむっ、くちゅっ……。ふぁ……っ、たりないよぉ……っ」
那月が、小さな口を開けて、魔法石の先端から口を離し、極細の唾液の糸を作りながら、泣きそうな声を上げる。
「稜季……っ! 魔力、吸えなくなっちゃったよぉ……っ」
大きな手のひらの上で、小さな瞳を涙で潤わせて、那月は、大きな稜季を見上げる。
那月を凝視していた稜季は、茶色の垂れ目を、すっと細めて、那月の横に転がしていた魔法石へと手を伸ばす。
「もう、媒介の唾液、吸いつくしたのか?」
今の那月の半分くらいの大きさもある魔法石を、稜季は、軽々と摘まみ上げ、再び口へ咥える。
石が、ぽぅ、と紫の光を灯したかと思えば、稜季は片手でドロップ型の魔法石を口から離し、べろり、と、舌で、魔法石の先端を舐め上げた。
「ぁ……っ」
那月は、稜季の手のひらの上で足を崩すように座り込み、両手を稜季の大きな手のひらに置いたまま、稜季の補充する様に見惚れる。一糸まとわぬ小さな身体が、露わとなり、柔らかな胸が、両腕で、むにゅりと卑猥な谷間を作り上げていることも、気付かぬほどに、那月は、目の前の光景から目が離せなかった。
おいしそう……。
稜季の魔法石を舐める様を見て、頭を占める感情がそれだった。
べちょり、と、紫色の魔法石が媒介液に浸されていけばいくほど、頭上に持ち上げられた巨大な魔法石が、移行可能な魔力へと変わっていくのだ。
かつてないほど、魔力を枯らし切った那月の身体は、魔法使いとしての生命を維持すべく、爆発的な欲求を細胞中に指示し、那月を欲に溺れた本能に従う動物へと、堕としていく。
「稜季……っ」
那月は、掠れ声を上げる。
魔法石から発された紫色の光を、瞳に浴びて、那月の朱色の瞳は、すっかり魅了一色に染まっていた。
「それ……、稜季の魔力っ……、はやくちょうだい……っ」
荒い息と共に、苦し気にせがむ。おあずけをくらった家畜が、主にねだるかのような姿だ。
稜季は、手のひらの上で、小さく堕ちた那月を見て、息を漏らすように笑う。
「これ? そんなに欲しいのか?」
舌先で遊ぶように舐めていたドロップ型の魔法石を、稜季がスッと離し、那月の目の前でちらちらと揺らす。
「うん……」
欲熱に染まり切った那月の瞳が、魔法石の動きに合わせて、うろうろと動く。
「いっぱい……、ください……っ」
那月が小さく口を開けてねだると、その小さな口に、ズボッと、極太の魔法石を突っ込まれた。
「んぐぅうぅぅ……っ」
ぎちぎちと、音が聴こえそうな程に、那月の小さな口は限界まで拡げられ、咥内が魔法石で埋め尽くされる。
口角からは、たらたらと、稜季と那月の混ざり合った唾液が伝い、落ちる。
「ぁ、ぁあぁ……っ、はぁあぁ……っ」
喉奥まで挿れられた苦しさより、媒介して得られる稜季の魔力の存在の方が大きく、那月の小さな身体は、快楽に悲鳴を上げていく。
「んっ、んんっ、ぁあぁあっ、んふぅうっ、んむぅうっ、ふぐうぅうっ」
那月は、巨大な魔法石を口に咥えたまま、大きな手のひらの上で、十センチの身体を、びちびちと跳ねさせる。
次々と、小さな身体に、稜季の魔力が流れ込んでくる。
小さな電流でも浴びさせられているかのような刺激だ。
「んひぃーっ、はぁんっ、ふひぃ、ひぃっ、激ひぃっ、ぁひぁ……っ!」
那月は、巨大な魔法石を咥えたまま、朱色の瞳を泳がせる。
たらたらと唾液を流し、焦点の合わない目をさせる那月に、稜季が、ずるりと、那月の口から魔法石を引き抜く。
「んぁあっ!」
那月は、小さな身体を手のひらの上で、背を反らして跳ねさせた後、ぜぇぜぇと、息をする。
ぴん、と尖り切った桃色の乳頭が、那月の息に合わせて、ぷるぷると震える。
「大きさ。ぜんぜん戻らないな」
稜季が、ドロップ型の魔法石を摘まんだまま、先端の側面で、ちょんちょん、と、那月の小さな頬をはたく。
「はひぃ……」
那月は、小さな全身に与えられた快楽の余韻で、いっぱいいっぱいだったが、小さな口から吸い上げたところで、全身の大きさを戻すまでの量には、程遠いらしい。
元の大きさ。おおよそ十六倍くらいはある、那月の元の背丈に至るほどの魔力。
それって、あと、どれだけ、稜季の魔力、吸わないといけないの……?
那月が、脳裏に、期待と不安を駆け巡らせているときだった。
手元の魔法石を、ぺろりと舐めた稜季が、そっと口を開く。
「貯蔵するコアが近い方がいいのかもな」
稜季の提案に、那月は、手のひらに寝そべったまま、きょとんとする。
大きなドロップ型の魔法石が、稜季の大きな指先に支えられたまま、ゆっくりと下降してくる。
「ぁ……っ、んっ」
ちゅ、と、那月の小さな唇に、触れるだけのキスをするように、魔法石を充てられ、那月は、ぴくんっと身体を跳ね上げる。
魔法石は、そのまま、那月の咥内に侵入することはなく、喉元から首筋に降り立ち、むにゅり、と、那月の小さな胸を踏みつぶすように那月の身体をなぞっていく。
「んあぁぁ、はぁあぁんっ!!」
ダイヤカットのように複雑な角を帯びた魔法石の尖りが、那月の柔らかな胸を、カリカリと擦り上げ、那月は星が散るように視界が白む。
「ぁ、あぁぁ……っ、ひぁ……っ」
かくかくと震える、小さな立てた脚を、大きな魔法石が、簡単に、ちょい、と広げさせ、既に、とろとろに濡れそぼった割れ目を露わにする。
「──此処」
ふっくらと丸みを帯び、申し訳程度に陰毛を生やし、愛液が光るそこ。
稜季が、軽く、魔法石でそこを押して、口角を上げる。
「挿れてやろうか? 魔力」
ぞわり、と全身が震え、那月は息を呑む。
口からの移行で、あれだけの快楽を得たのに。一瞬、触れた胸の先端越しに感じた魔力ですら、壊れてしまいそうなほど、気持ちよかったのに。
こんなところから注入されたら、私、どうなっちゃうの。
警告に似た思考が走るも、那月は、へにゃりと、頬を歪ませる。両脚の狭間に、ドンと鎮座する大きな魔法石を、無意識に小さな脚で、すりすりと擦り合わせていた。
魔法石に纏わりついた媒介の唾液が、早くも、那月の割れ目に、わずかに到達し、微量な魔力が那月の中に流れ込み、那月は、ひくひくと割れ目から愛液を更に溢れさせていた。
「──那月」
躾のなってない犬を正すかのように、大きなドロップ型の石が、ぐい、と那月の割れ目におしつけられる。
「はぁあぁんっ」
那月は、ぎゅむりと、小さな両脚で、魔法石を挟み上げ、弓なりに身体を跳ね上げる。反動で、魔法石の先端が、より、那月のどろどろに濡れそぼった割れ目に触れ、那月は、「ぁっ、はぁ……っ!」と息を零す。
ぱくぱくと、口で呼吸し、目に涙を浮かべる。
欲しい、欲しい、欲しい。こんなの、がまん、できない……っ!!
「ぁ……っ、い、……ッ、挿れて……っ!! 那月のなかに、稜季の魔力、いっぱい、いっぱい、挿れてぇ……っ!!」
泣きながら、那月が言えば、稜季が満足気に笑う。那月の寝そべった手のひらが揺れたかと思えば、大きな親指が、那月の両腕を、ぐいと、手のひらに押さえつけた。そして。
くちゅり、と。
魔法石の先端が、那月の割れ目に、わずかに侵入を始める。
「んぉっ!?」
桁違いの刺激が、那月に走り、那月は、ぴきんっと身体を強張らせる。
「ほら、力抜け、那月」
稜季が、ぐりぐりと、魔法石を左右に回すように動かし、隙間を探るような様をする。
「奥まで挿れられねぇだろ?」
言い添えるその目は、獲物を狙う目そのもので、ぎらりと妖しく光っている。けれど、小さな那月は、小さな身体に、びりびりと走る刺激で、気付く余裕などあるわけもなかった。
「ま、待って、これ……っ、私っ、あぁあぁんっ!! ひぃっ、激し……っ、ぁあぁっ……、こんなの、挿れたら、私……っ」
先端だけで、震えがとまらない程の快楽に、那月は、恐れをなして、イヤイヤと首を振るが、稜季の大きな指は、しっかりと小さな那月の腕を押さえつけ、那月を逃さない。
ずちゅ、ぐちゅ……っ、ぐちゅうぅっ。
大きな魔法石が、ゆっくりと確実に、小さな那月の中へと侵入する。
それと同時に、那月の下腹部は、キュンキュンと魔力に反応し、獲物を逃すまいと、魔法石に吸い付いていく。強い快楽を伴い翻弄される那月など、おかまいなしに。
「ひぃぁあぁぁあんっ! あぁあっ、あぁぁあんっ!! 魔力、いっぱいっ、はいってくるぅうううっ!!! うぁあぁぁっ!! らめぇっ、ひゃめへぇえっ、あぁぁあぁんっ!!! 那月、こわれちゃうぅううっ!!!」
那月は鳴き叫び、小さな両脚をはしたなくMの字に広げる。愛液を決壊させひくつくそこは、口とは裏腹に、大きな侵入を許し、那月の下腹部を、ぼこりと膨らませていく。
どちゅぅうん……、ぐちゅぅ、ずぶずぶ……。ぐちゅぅん……。
重く最奥に到達したらしい魔法石は、ごりごりと、それを分からせるかのように、小さな那月の中で、左右に半回転を繰り返される。
「はぁあぁあ……っ!!! ひぃっ、ひぃいぃんっ!!」
「ほら……っ、挿いったぞ、全部」
稜季が、トントン、と、軽いピストンを行い、那月は、小さな身体を揺さぶられる。
「え……っ、ひぅっ、はぁあ……っ」
己の下腹部へと視線を落とせば、異様なほどにまで膨れ上がった腹が、はしたなく広げた両脚を膝上ほどにまで隠している。
「ひぃっ……!! な、なにこれっ、私どうなって……っ!? ひぃやぁぁああっ!?」
稜季が、那月の中に挿入した魔法石を、ぐりぐりと動かすと、那月は、膨れ上がった腹と共に、小さな身体を揺らす。動きと共に、下腹部が悦ぶように、キュンキュンと激しく疼き、那月は、ガクガクと身体を震わせる。
体内に魔力を溜めるコアが、大きな魔力を逃すまいとするあまり、暴走しかけているようだ。
本来、入るはずのないサイズの魔法石を、容易く侵入させ、桁違いの快楽を覆わせながら、那月のコアが、魔法石をしゃぶりついているらしい。
身体中の全ての細胞が、今、膣内に挿入された巨大な魔法石を求め、悦んでいる。
そんな異常事態と言える状況の快楽に、那月は晒されていた。
「ひぎぃいぃいいっ!!! たしゅけて、らめぇええぇえっ!! わ、わらひ、おかしくなるぅうううっ!!! んひぃいいいいっ、あぁぁああぁああっ!!!」
那月が小さな身体でめいいっぱい泣き叫ぶも、魔法石のピストン運動は、容赦なくそのスピードを上げていく。
どちゅ、ぐちゅ、ずちゅ、どちゅどちゅ、どちゅどちゅ、どちゅどちゅ。
「いぁっ! ひぁっ!!! ぁああぁああっ!! 稜季っ!!! 稜季ぃいっ!!! 魔力、いっぱいで、わらひ、こんな……っ、あぁああひぃいいんっ!!! ほひぃいいっ!!!! いぁあぁあぁあっ!!!!」
どちゅどちゅ、どちゅどちゅ、どちゅどちゅ。
──ばっちゅっ、ばっちゅっ、ばっちゅっ、ばっちゅっ!!!
「ぁっ、あぁっ、あぁあぁああっ!!! 魔力っ、いっぱいっ、はいっちゃうぅううっ!!! 私っ、魔法石でイっちゃううぅううっ!!! きちゃうっ!!! あぁあぁああぁっ、あぁあぁあぁああっ!!!」
ちかちかと視界が白み、小刻みに身体が震え、那月の小さな身体は、快楽を駆け上がっていく。
下腹部が、より一層、熱く疼き、那月は、はしたなく顔を歪ませる。
「あぁあぁひぃいいんっ、おひぃいぃ、イグぅうううっ!! わらひのコアが、吸い上げちゃうぅうううっ!!! 稜季の魔力、いっぱい、吸い上げちゃうぅうううっ!!!!」
──ぎちゅちゅちゅちゅ、どちゅちゅちゅちゅ、ぐちゅちゅちゅちゅ、どちゅうううううんっ!!!!!!
「あぁぁあああぁああ、あぁひぃあぁぁああああああっ!!! らめぇえっ、イクぅうううっ!!! きちゃうぅうううううっ!!! ぁぁああぁぁあ、あぁぁああ、イクぅううううううううっ!!!! あぁああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
那月は、膨れ上がったお腹を差しだすように、弓なりに身体を反らし、大きく跳ねあがる。
──ぷしぃいぃいいいっ!!!
小さな潮吹きと共に、絶頂すると、稜季の手のひらを卑猥に濡らした。
「ぁあぁひぁ……っ」
那月が、へにゃりと顔を緩ませたまま、焦点の合わない目をして、絶頂の余韻に浸る。
とろとろと、割れ目からは愛液が溢れていた。
挿入された魔法石の形が分かるように、歪に膨れ上がった腹が、やがて、少しずつ、へこんでいく。
否。那月の身体が、少しずつ、大きくなっている。
「ひぁ……っ、熱……いっ……! 身体が、熱いのぉっ!!」
那月が、稜季の手のひらの上で、悩まし気に身体をくねらせる。
少しずつ、那月の身体は、そのサイズを拡大させていく。
片手の上に乗るには、すこし大きい。手乗り、というよりは、片手で鷲掴みのような持ち方をされた。
携帯するボトル瓶ほどの大きさ。二十センチほどにまで、サイズを回復させたところで、那月の変化は落ち着いた。
「はぁ……っ、はぁん……っ。はぁっ……、私、大きくなってる……っ」
「まだ充分、小さいけどな」
稜季が息を漏らして笑う。
片手で鷲掴みされた那月は、上半身を稜季の大きな指で巻き付かれたような格好だ。
大きな指が、むにゅう、と二十センチになった那月の、柔らかな胸を押し付けている。
ぷらぷらと、足場をなくした小さな両脚は、その狭間から、とろとろに愛液で濡れた革紐を生やしている。
「なーんか、お前が魔法石みたいになってるな」
稜季が、愛液まみれの革紐に手を伸ばし、ぐいっ、と容赦なくその紐を下へ引く。
「ひぁあぁぁああぁんっ!!!?」
那月は、深部を掴まれたかのような感覚を、強い快楽と共に受け、稜季の片手に掴まれたまま、嬌声を上げる。
ぴくぴくと、身体を震わせていた最中、稜季が、「あれ?」と声を出す。
「なんか抜けねえな」
「ふぇ……?」
那月は、泣きださんばかりに情けない声を上げながら、ちらりと、宙に浮いた足元を見つめる。
大きな稜季の手に掴まれた、どろどろの革紐は、依然として、その先端が、那月の中へと続いている。
那月自身、キュンキュンと疼く下腹部に、心地よい圧迫感があり、己の膣内に、依然として魔法石が居座っていることを体感する。
十センチだった頃に挿入を許していたので、深く考えてはいなかったが、さっきまでの状態が特殊すぎるわけであって。
「取れなくなっちゃったってこと……?」
血の気が引きつつも、恥ずかしさで死にそうな、複雑な表情で、那月が尋ねれば、稜季が「ん──……」と声を漏らす。
そして、大きな指先が、ぐちゅうんっ、と那月の割れ目に、容赦なく触れる。
「ひゃああぁあぁんっ!?」
那月が、驚いて身体を震わせ、へにゃりと、脱力し、稜季の手に身体を預ける。
「何、声上げてんだよ。今、魔力移行させてないだろ」
稜季がそう言いながら、くちゅくちゅと、卑猥な水音を立たせ、指先で、那月の割れ目をかきわけていく。
「い、移行とかじゃなくて……っ、ひゃぅううっ!! あぁあぁ……っ」
稜季の大きな指が、私の中に、入ってくるぅううっ!!
那月は、羞恥で染まった赤い顔を隠すように、ぎゅっと目を閉じて、下を向く。
十センチだったころは、手の中に隠れることも可能だっただろうが、二十センチに回復した今、那月に逃げ場はない。
魔力を伴っていれば、言い訳が効くものの、指だけで触られていたら、ただ自分がいやらしく感じているだけになってしまう。
魔力移行のことを差し引いても、既に、手のひらの上で、散々、卑猥な自身を晒しまくっている那月だったが、それを棚に上げて、必死で、声を我慢する。
ずちゅん……っ、と水音を立て、稜季の大きな指が、一本、那月の中に挿入する。
「ぁ……っ」
「これ……、だな」
革紐に繋がった、魔法石の先端を指先で見つけたらしく、稜季が、膣内で、トントンと叩く。
「んッ! ぉおぉ……っ、はぁぅっ!!」
それと同時に、那月は、ピンッと身体を強張らせ、声をあげる。我慢、なんて簡単な言葉で済むような刺激ではない。下腹部のコアを突かれたようだった。
「んー……」
ぐりぐりと、大きな指の腹で、那月の中に埋もれる魔法石を前後に揺らされる。
「はぁっ、ぅ……っ、ひぅ、あぁぁんっ……! い、つき……っ、これ、変に、なるぅ……っ!」
那月が、切なげな声を出して、天をあおぐ。とぷとぷと、革紐を伝って、那月の愛液が伝っていく。
「妙に食い込んでるな。……もしかして」
どうしよう?