那月は、師匠の陰茎の中で、自分の十数倍の大きさをした大量の精子に、全身を犯されながら、高速で運ばれていた。
「ひぃあぁあんっ!! イグぅう! また私、イっちゃう!! あぁああ、あぁああぁああんっ!!!」
何度目になるか分からない絶頂を遂げた頃、那月の周囲は、急激に光を取り戻す。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、どちゅん!!!
「ひぃんっ! ぁひぃいんっ!!」
那月は、巨大な精子に絡まったまま、大きな衝撃を受ける。
泳ぎ続けていた精子が、行き止まりに辿り着いたのか、うぞうぞと所せましと回遊する中に、那月は放り出されていた。
二十五メートルプールのコースロープ程の大きさを誇る精子が、ひとり迷い込んだメスの那月に、巨大な尾と先端で、那月を弄る。
長い精子の尾が、那月の小さな脚と腕に絡みつき、那月をMの字に開脚させ、小さな、けれど、欲情しきった割れ目をなぞり上げる。
「あぁあぁっ、やぁあぁっ、こんなの大きすぎて、挿いらないよぉおっ」
那月は、精子の束の中で、ちっぽけな身体を震わせながら、嬌声を上げる。
上も下も、右も横も、師匠の巨大な精子が取り囲んでいて、何も見えなかった。けれど、これまでと違って、周囲に光が戻ったのは確かだった。
どこかに射精されたのだろうか。
那月が、大量の精子の尾の上で、微小な身体の熱を上げている時だった。
──ドクンッ、と全身が大きく震える。
「はぁぅっ!?」
ぴくぴくと、精子に捕まった小さな身体が小刻みに震えた後、那月は、大きな絶頂を迎えた時のような快楽が、全身を駆け巡った。
「ひぃぎぃいいっ、なにこれ、あぁああぁんっ、わたし、わたしっ、イクぅううううっ!!」
小さな腰を左右に激しく振りながら、那月は泣き笑うようにして、絶頂し、そして、その身体の大きさを少しずつ、大きくしていた。
「あぁぁあはぁあんっ! うそっ、私、大きくなって、あぁあぁんっ!! ふきゃぁあああっ!!」
あんなにも大きかった精子に、那月は少しずつサイズを近づけていく。尾の先すら挿入が困難だった那月の膣に、精子の先端が入り込み、那月は、更に快楽を駆け上る。
「あぁあんっ!! 精子に突かれてるぅうう! 奥まで入ってるぅうう!! はぁぁ、あぁぁあぁんっ!!」
熱を放ちながら、那月の成長は止まらず、精子はやがて、那月にとってドクターフィッシュのようにまとわりつくサイズへと変貌する。
ちりちりと、全身をこすりあげる精子に、那月は、もどかしい心地良さを得ながら、腰を振る。
やがて、精子は、那月の全身をまとわりつく液を化す。
「ぁ……っ」
那月は、両手にべとつく精液を見つめ、泣きそうな顔をする。
この液よりも縮んだ那月を、ずっとメスとして認識し、求め続けてくれていたのに。
寂しさを感じてしまっている自身に困惑しながらも、べとつく液をそっと撫でる。
しかし、そうしている間も、那月の成長は止まらず、やがて、むぎゅううう、と全身を包む、柔らかなものに触れた。
「な、なに、これ」
薄桃色の半透明の膜が、窮屈に那月を包んでいる。
那月が、手で、触れると、ぐにょりと曲がる。
もしかして、これは、ゴム?
思案している最中、ぶちり、と大きな音が上空から響き、那月は驚いて上を見上げる。
薄桃色、一色だった世界が、急に、鮮やかで大きな様々な色を見せる。
その大きな空から、巨大な親指と人差し指が伸びて来た。
白く細長い指先で、那月の顔よりも大きな爪は、ベージュ色のマニュキュアが塗られていた。
驚き固まる那月は、あっという間にその巨大な指先に、腰を摘ままれる。
どろりと、精液を溜めたゴムの中から取り出され、小さな那月の身体から、ぽたぽたと、白濁の液が落ちる。
「──ようやく見えるサイズになったわ。やっぱりここにいたのね」
ぽとり、と那月を手のひらに落とし、那月を大きく見下ろす彼女の顔を、ようやく那月は確認した。
「……茉莉、さん……?」
那月を小さくしたチョコレートを持ち込んだ張本人。師匠の愛人の大学院生が、全裸で那月を見下ろしていた。
茉莉のウェーブのかかったセミロングの髪が、ずぶ濡れ状態で、頬にはりついている。全身がぽたぽたと大きな雫が垂れていて、大きな湯気と石鹸の香が、茉莉と小さな那月を包んでいた。
きょろきょろと辺りを見渡し、知らない浴室にいることに気付く。
「ここはあたしの家のお風呂場よ」
茉莉がそう言い添えると、大きな白い指先を、手のひらに座り込んだ那月へと伸ばす。
むに、と那月の胸を、指の腹で包むように押す。
「ひゃぅっ、きゃぁあっ!」
大きな力に敵わず、那月は、茉莉の手のひらの上に仰向けで倒れ込む。
「どう? 今、八センチくらいまで戻してあげたの。さっきまで、コンドームの中にいるのかも、よく分からなかったんだから。ずいぶん、世界が大きく見えるんじゃない?」
茉莉が妖麗な笑みを浮かべて、首をかしげる。ぽたりと大きな雫が那月の小さな頭に落ちて、那月の顔を濡らす。
ザー、と遠くで、大きなシャワーが流れる音が聴こえる。
「チョコレート。先生にあげたのに、那月ちゃんが食べちゃったのね」
茉莉の柔らかな声が那月を包み、那月は、サッと血の気が引いていく。
爛れた関係とはいえ、師匠に夢中の茉莉だ。この誤解は、絶対にいいものではない。
那月は、必死で小さな身体を起こそうとしながら、声を上げる。
「ち、違うんです! あれは、師匠が私に無理やり食べさせてきて、私、どんどん身体が小さくなっちゃって……!」
那月は、じたばたと、手のひらに押さえつけられた小さな身体を動かすが、茉莉の細長い人差し指に胸元を押さえつけられていて、起き上がることが出来なかった。
その様は、ひっくり返ってもがく亀や虫のようで、茉莉は、瞳を甘く細め、ふっと息を漏らして笑う。
「先生が那月ちゃんに食べさせたの? ふうん。先生ったら、年上のくせに悪戯っ子なのね」
そんなレベルの所業ではなかったが、那月は、息を殺しながら、茉莉の様子を見守る。
むにむに、と、那月を押さえる指が増え、大きな茉莉の指が、那月の小さな身体を妖しく愛撫していく。
「ひぁんっ、や、やぁっ、茉莉さんっ」
「それで? そこから何があって、那月ちゃんは先生の中に、はいっちゃったの?」
那月の小さな全身にべとついていた精液を、茉莉の大きな指の腹が拭う。
優しく微笑みかける茉莉の目は、少しも笑っていなかった。
「ぁ、あの……っ」
那月は、小さな身体を茉莉の手の上で震え上がらせる。
するすると、茉莉の白く細い、人差し指と中指が、那月の顔に近づく。
ベージュ色のマニュキュアに塗られた爪が、那月の両頬を、むに、と挟んだ後、茉莉の指よりも細い、那月の首先へと到達する。
湯に濡れた大きな指が、那月の小さな首の両端を支えている。
那月は、茉莉の手の上で、恐怖でガクガクと震えあがる。
死んじゃう……。
那月が小さな涙を浮かべ、小さな口をぱくぱくと声すら出せずにいると、茉莉はかまわず、ふぅ、と大きなため息をついて口を尖らせる。
「珍しくゴム使って、おかしいと思ったのよね。半信半疑だったけど、中から那月ちゃん出てきて、びっくりしちゃった」
茉莉の大きな親指が、那月の両足をかきわけ、那月の小さな割れ目をぐいと押しやる。
「ひぃ……んっ!」
ぐり、と大きな爪が、那月を押し上げ、那月は、ビクンッと身体を揺らす。
「ねえ、先生の中、気持ち良かった? 濃厚な精子、いっぱいだったんでしょう?」
カクカクと、指先を揺らされ、那月の小さな身体は、快楽に溺れていく。
きゅ、と首元に置かれた二本の指が、那月の頭を支え、那月は、息苦しさと快感を入り混じらせながら、余裕をなくしていく。
粒のように小さな乳頭は、ぷくりと尖りを帯び、小さな全身から、汗が噴き出していく。
「ぁっ、ぁんっ、あぁっ、はぁんっ!」
くちゅくちゅと、茉莉の親指の先が、那月の小さな愛液で濡れていく。
警鐘を鳴らしていた頭とは真逆に、那月の小さな身体は、今日一日で、すっかり、快楽に敏感かつ貪欲になり果ててしまっていた。
己より、はるかに大きなものに全身を揺さぶられることに、すっかり虜になり、那月を翻弄させていく。
「いったい、何匹の精子に抱かれたの? 那月ちゃん」
「あぁあぁっ、らめっ、茉莉さ……っ、はぁんっ! ぁあぁんっ、私っ、イっちゃう、ひぁ、あぁあ、あぁああああああああああああっ!!!」
ガクガクと、那月は小さな身体を震わせ、茉莉の手のひらの上で絶頂する。
ぷしぃいい、と小さな水音を立てて、茉莉の親指を潮吹きで濡らした。
「ひぃ……んっ、はぁ……っ」
絶頂の余韻で、息も絶え絶えの那月から、茉莉は支えていた指を離し、那月を見下ろす。
「人の手の上で潮吹いちゃうなんて、いけない子ね」
茉莉が冷たく言い放った後に、手の上で横たわる那月の尻を、強く指先で弾く。
「きゃんっ! きゃあぁああぁあああ!!」
那月は、勢いよく弾き飛ばされ、茉莉の手のひらから落下する。
どぷんっ!!
鈍い音と共に、那月は、薄く湯が張られた巨大な洗面器の上へと落下した。
ボディソープの泡が、小さな那月の肩と腹部に乗り上げる。
洗面器に不時着した臀部が、じんじんと痛む。
尻餅をつくような体勢で、那月が上を見上げると、大きな茉莉と目が合った。
茉莉はバスチェアに座り、長いすらりとした脚を、膝をつけた状態でこちらを向けていた。両手を膝に置いて、大きな胸に、むにゅりと谷間を作り、洗面器に落ちた那月に顔を近づける。
「那月ちゃんが、こんなにえっちな子だったなんて、知らなかったわ。それで先生も惑わされちゃったのかしら」
茉莉は、うーん、と悩まし気な声を出した後、那月の入った洗面器を両手で掴む。
「このまま流しちゃったら詰まっちゃうわね。もう少し、小さくしようかしら」
恐ろしいことを言われ、那月は、弾かれるように八センチの身体を起こし、ざばざばと薄い湯をかき分け、洗面器の端へと小さな両手を乗せる。
「まっ、待って!! 待ってください!!! 茉莉さん、私、彼氏います!! 私、師匠のこと、狙ったりなんかしてません!!!」
必死で小さく叫べば、茉莉が、大きな瞳を那月へと向ける。
「……ふうん。那月ちゃんって彼氏いたんだ」
「います!! 全然、師匠のことなんて、好きじゃないです!!」
散々、体内で師の精子に犯され悦んでいたことを棚に上げ、那月は、生き延びるために必死でアピールする。
しかし、茉莉は、洗面器を、那月の後方へと少し傾ける。
「きゃあっ!!」
とぽとぽと、湯が少し零れ、那月は湯に圧され、両手を思わず離し、洗面器の縁へと小さな身体を滑り落す。
「ひぃっ、落ちちゃう!!」
那月が傾く洗面器の縁に、背中をくっつけ、傾斜が生まれた洗面器の底に、両脚を預ける。
湯に濡れた那月のロングヘアが、洗面器の縁から飛び出て、ぽたぽたと小さな雫を浴室の床へと落とす。
「……ッ、茉莉さんっ」
「ということは、先生の片思いってことなのね。かわいそう。それならいっそ、那月ちゃんがいない方が楽なんじゃないかしら」
茉莉の飛躍的発想に、那月は、洗面器の縁でばたばたと小さな身体を動かす。
「違います、違います!! 絶対そんなことないです、私、実験に使われたんです! 小さくなって中に入るなんて危ないじゃないですかっ、死ぬかと思いましたもんっ。だから……っ」
那月が必死で並べる言葉に、茉莉は、大きな瞳を、ぱちぱちと瞬きさせ、くるりと那月に向ける。
「実験……」
「そう、そうですっ」
「そうだったのね」
ぐらりと、洗面器が水平を取り戻し、那月は、ころりと洗面器の上に転がる。
「先生ってば、那月ちゃんに毒味させちゃったのね。いけない人ね」
茉莉が、ほんのり頬を染めて、うっとりと声を出す。
どこにうっとりする要素が、と那月が、洗面器から茉莉を見上げて思っていると、茉莉が、大きな指を再び伸ばし、八センチの那月を摘まみ上げる。
「それなら、あたしも那月ちゃんで先に試すべきよね」
「え……っ?」
熱を帯びた茉莉の大きな瞳が、那月をじっと見つめる。
「ちゃんと先生が小さくなったときに気持ちよくできるよう、那月ちゃんで実験しておかなくちゃいけないわね」
桃色の艶めいた茉莉の唇が大きく開かれ、小さな那月にしゃぶりついた。
「んっ、んんっ、はぁっ、茉莉ひゃんっ、あぁんっ」
那月は全身をスティックキャンディーのように舐められ、茉莉の手の中で身もだえする。大きな舌と唾液の音が、己の小ささを物語っていた。
「んちゅっ、む、ちゅぶっ、はぁんっ……、先生の匂いがするわ。素敵……っ」
茉莉が息を荒げて、夢中で那月を舐め上げる。
どろどろと、茉莉の唾液が那月を包み、生暖かい大きな舌が、那月の胸を圧し潰し、小さな割れ目をなぞり上げる。
「ひきぃいぃんっ、あぁあぁんっ」
「ちゅむっ、ちゅぅ、ちゅっ、ちゅぶ……っ、はぁんっ、那月ちゃんは、ここが好きなのね。ふうん」
茉莉が、大きな舌で、那月の割れ目をトントンと突き上げる。
「はぅっ、はひぃんっ、茉莉、ひゃんっ! あぁあぁ、らめぇ、私っ、また、イクっ、イっちゃうっ、あぁあひぃい」
「んっ、ふぁっ、んんっ、ちゅっ、いいわよ、こんなに小さいんだもの。那月ちゃんのえっちなお漏らしも、今度はあたしが舐めてあげる」
「イヤーッ! だめぇえええ、お願い、茉莉さんっ、あぁあんっ、私、ホントにイっちゃうっ、離して、あはぁあんっ! イク、イクイクっ、きちゃうぅうう!!!」
はむん、と茉莉は那月の小さな下腹部に、柔らかな唇で包み込み、じゅくじゅくと音を立てて、舌で撫で上げる。
「ひきゃぁあぁああぁあああ、あぁぁあぁあぁあっ、ら、めっ……、あぁああ、あぁあああああああああっ!!!!」
那月は、視界を白く飛ばしながら、小刻みに身体を震わせる。
全身からドッと汗が吹き出し、長い絶頂へと飲み込まれていく。
そして、ちょろりと、微量な潮を、茉莉の咥内へと吐き出した。
手のひらで、唾液と愛液にまみれ、はしたなく全身を緩ませきった那月を他所に、茉莉が口元に人差し指を当て、思案する。
「うーん。那月ちゃんは女の子だものね。先生も、こんな風に舐めて悦んでくれるかしら」
どろどろ状態の那月を、茉莉は、指先で、ぷにと押す。那月が、ぴくんっと身体を小さく跳ねる。
「ねえ、那月ちゃん。どうすれば先生、悦んでくれるかしら。あなたは今、どうされたい?」
「も……、元に、戻りたいです……」
那月がなんとかそう言えば、茉莉は、首をかしげる。
「もう戻ってしまうの?」
尋ねる茉莉の指に、那月は、小さな両手を絡め、身体を震わせた後、ぽたぽたと小さな涙を流し始めた。
「私……っ、こんなにいっぱい……っ、えっちなことしちゃった。っ、昂輝くんに、嫌われちゃう……っ」
精子よりも小さく縮められていたときは、もはや、人間を視認できることすら叶わないと思い、目の前の精子に縋りついていた那月だったが、八センチまで、サイズを回復させた今、那月はようやく、自分が越えてしまった行いを自覚するまでに至る。
あんなに、ずっと好きで、ようやく両想いになれたのに。
キスだって、今日、初めてしたのに。
「茉莉、さんっ……っ、ひっく、ぐすっ、お願いします……っ、私のこと、元に戻して……っ」
茉莉の手の上で、那月は懇願し、泣き続ける。
「ふうん……。昂輝君のこと、そんなに好きなのね」
感心するような声を上げた後、茉莉は、手のひらごと、那月をシャワーの真下へと持って行く。
出続けていたシャワーの湯が、那月を大雨のように濡らしていく。
「ふきゃぁああああっ」
流れ落ちそうになり、那月は、茉莉の指にしがみつく。
茉莉が、サッとシャワーの真下から手を引き戻し、カショカショと音を立て、空いた手に、ボディソープを乗せた後、那月へとソープを塗り付けてきた。
「んっ、やぁあっ、茉莉さんっ?」
「そんなに彼氏くんのこと好きだなんて、素敵だわ。すぐに綺麗にして戻してあげる。好きな人とは、少しでも一緒にいたいものね。分かるわ~」
ふふふ、と笑いながら、茉莉が、ボディソープにまみれた大きな指で、那月の全身を洗っていく。
同系列に扱われるのもどうなのか、と思いながらも、茉莉の気が変わると、排水溝に流されるかもしれないと、那月は口を噤む。
それに、ソープで、ぬめぬめした指が、那月の全身を撫で上げるので、再び、身体が快楽に転落してしまいそうで、那月は、必死で耐えていた。
茉莉には見透かされていたようで、むにむにと、大きな指が、胸と内股を撫で上げ、妖しい声が降り落ちる。
「あら。いいのよ、我慢しなくて。女の子同士なら、問題ないでしょう?」
絶対、そんなことない、と思いながら、那月は、茉莉の手の中で、小さく身体を跳ねさせた。
大きなフェイスタオルにくるまれ、那月の濡れた身体は、あっという間に、水分が拭われる。
「ちょっと待っていてね」
脱衣所のカゴにタオルごと置かれた那月は、目の前で行われる茉莉の着替えを静かに見守る。
豊満な胸を、たぷたぷと揺らしながら、茉莉はバスタオルで全身を拭いた後、小さな那月を包んだフェイスタオルの横に置かれたショーツへと手を伸ばす。
濃い紫の布地に、蝶が飛び交い黒のレースをあしらった、大人っぽいショーツへと、茉莉が長い脚を通していく。
同じ柄のブラジャーを、手に取り、大きな胸へとあてがう。
あんなに大きなサイズのブラジャー、間近で見たの初めてかも。何カップくらいかな。
己の立場を忘れて、那月は、ついそんなことを考えてしまう。
茉莉の胸が巨大に見えるのは、けして、那月が八センチに縮んだせいだけではないだろう。
ブラジャーをつけおわった茉莉が、黒のゆったりとしたシャツを着込む。
下着がなんとか隠せている程の丈だが、茉莉は、それ以上の衣類を着込まず、フェイスタオルに包まれた那月を手に取り、脱衣所を後にした。
リビングと寝室を兼ねそろえた茉莉の部屋まで運ばれ、シンプルな白のシーツが敷かれたベッドへと置かれる。
そして、茉莉が、ちょん、と那月の小さな頭を指先でひと撫でした後、じっと那月を見つめて、口を開く。
「──那月ちゃん。元の大きさまで、大きくなあれ」
「……──ッ!!」
途端、ドクンッと那月は、小さな身体を震わせ、むくむくと身体を成長させていった。
「あぁあぁ……っ、ひぁっ、ひゃぁああああっ!!」
那月を布団のようにすっぽりとくるんでいたフェイスタオルは、あっという間に、那月の胸元すら隠すことができなくなり、ひらりと、ハンカチサイズへと成り果てる。
茉莉の部屋が、小さくなっていくような感覚を覚えた後、那月は、ぼすんと、茉莉のベッドの上へ、全裸で倒れ込んでいた。
素肌をシーツが撫で上げる感触がぞくりとして、那月は、慌てて身体を起こして、茉莉のベッドに座り込む。
しかし、フェイスタオルは、那月の衣服の代わりとしては、もう成り立たないサイズとなっており、那月は、もじもじと、両手を、胸元と下腹部に当て、正座を崩すようなポーズをして、内股を摺り寄せた。
「ふふ。これで元通りね」
平然として微笑む茉莉を他所に、那月は、恥ずかしさで、茉莉を見れずにいた。
ようやく元に戻れたとはいえ、今、那月は、己だけが裸で、茉莉のベッドの上に乗り上げているのだ。
「ぁ……っ、あの、……も、元に戻してくれて、ありがとうございます……」
「一度、戻ったら、次のチョコレート食べるまで小さく出来ないの。だから、安心してね」
くすくす笑う茉莉に、那月は、なんとか声を出す。
「茉莉、さん……、私…、服とか、縮んじゃったときに、破れちゃって……」
「あぁ、そうね。着替えがないんだったわね。ちょっと待っててね」
茉莉が、壁に備え付けられたクローゼットへと足を運びながら、頬に手を当て、はぁ、と甘い溜息をつく。
「ということは、先生が小さくなったとき、ちゃんと着替えをここに置かないといけないわけね。先生のお洋服、用意しておかなくっちゃ」
うっとりと妖しい話が聴こえ、那月は、聴かなかった振りをする。
「下着、これでいいかしら。未使用なんだけれど」
茉莉がぴらりとショーツを両手に持ち、那月へと見せる。
真紅の狭い布地に、サイドは結んだ紐で留められているだけ。フリルの隙間から茉莉の手のひらが見えていて、ショーツの後ろ側は、本来あるべき布がほとんどないことがうかがえる。
「それは、その……っ、ちょっと、お借りするには、勝負すぎるっていうか……」
「でも、この後、昂輝君と会わないの? 下着だって、可愛くしておかないと」
「……会えるなら、会いたいですけど……」
下着を見せることを前提とした逢瀬を想定する茉莉を他所に、那月は、那月の忘れた携帯を持って、師匠の店まで那月を探しに来てくれていた昂輝を思い出す。
なんて話して、どう謝ったらいいのだろう。
那月が、意気消沈している最中、茉莉が、ぐい、と那月の手を引き、ベッドから起き上がらせる。
「わっ、茉莉さん?」
那月は、柔らかな胸をふるりと揺らして、全裸のまま、茉莉の向かいに立つ。
ほんの少し、那月より背の高い、茉莉を見上げれば、茉莉はくすりと笑う。
「可愛くしてあげるわ」
茉莉が、てきぱきと、那月に妖麗な下着をつけさせる。
ブラジャーはサイズが合わないのでは、と那月が焦るも、借りた下着の未使用の理由は、胸のサイズを誤って購入したから、だったらしく、杞憂に終わる。
やっぱり、私より、全然、サイズ大きい。
那月が、胸元の、真紅のブラジャーを見て、少しだけ口を尖らせる。
紺色のワンピースを着た那月に、茉莉が、化粧を施した。
細い筆先で、那月の唇に紅をひいた後、那月のアッシュグレーの髪を、クシで掬い、ハーフアップへとまとめ上げ、シュシュを添える。
「ほら、素敵よ。これでいいわ」
茉莉が壁に置いた姿見を指差し、那月は、自身の姿を見つめる。
目で見つけることすら叶わない程に縮められ、精子にいたぶられていたとは思えない程に、身なりの整った、正常な大きさをした那月がそこにいた。
「そろそろ出発しましょう。送ってあげるわ」
茉莉に促され、那月は、茉莉の部屋を後にした。
茉莉の軽自動車が、那月を単身アパートの自宅へと運んでいく。
ふわりと、花の香がする静かな車内には、すっかり陽が傾き、夜の街の灯りが差し込んでいた。
師匠の店の玄関で、師の下着越しに聴いた話では、昂輝は自身の家に戻ると言っていた。今もいるのだろうか。
茉莉の携帯で、彼が預かっているはずの那月の携帯を鳴らしたが、受話器が上がることはなかった。
紳士らしい彼のことだ、那月宛てのプライベートコールを気遣って出なかったのかもしれない。
那月は、助手席から、ちらりと運転席でハンドルを握る茉莉を見つめる。
整った顔立ちと、長いまつ毛に護られた瞳が、じっと前を向いている。
綺麗な人だな、と思う。
「……茉莉さんは、」
「え?」
茉莉が、前を見たまま、聞き返す。
どうして、あんな人のこと好きなんですか。
言えば、再び、サイズが変わりそうな質問が、喉元まで出かかり、那月は飲み込んだ。
「いえ、……運転、上手なんですね」
「よく乗っているからね」
賑やかな街を抜け、カーナビが目的地に近いことを知らせた。
「あっ」
茉莉に、自宅への道を教えている途中で、那月は声を上げる。
那月の単身アパートの入り口近く。アパート名の描かれた塀と生垣の傍に、昂輝の姿を見つけたからだ。
「へえ、彼が昂輝君? ふうん」
茉莉が、興味深そうに言った後、すぐ傍で車を停める。
すぐに気付いた昂輝がこちらの様子をうかがう最中、茉莉が、「はい」と那月に小さな布鞄を渡す。
「先生の家に置いたままだったもの、入れておいたわ」
中に、那月のハンカチやらポーチが隙間からうかがえた。縮む前に、職場に置いたままだった那月の私物だ。
那月は、ぺこりとお礼をした後、茉莉の軽自動車から降り立つ。
すぐに茉莉は、車を発進させ、那月は昂輝とふたり、陽の落ちた住宅街へと取り残される。
家の淡い灯りが、降り注ぐ。
「昂輝くん……」
那月のぽつんと呟いた声に、昂輝は心配そうな顔を浮かべて、那月へと近づく。
「ごめんね、那月ちゃん。遅くに急に来ちゃって。携帯、忘れてたから、那月ちゃんの先生のお店に届けに行ったんだけど、来てなかったみたいだから、こっちかな、と思って」
那月は、首を左右に振り、「ううん」と言った後、なんとか口を開く。
「ありがとう、あの、……私……っ」
そこまで言って、那月は、急にこみ上げ、ボロボロと涙を流していた。
「那月ちゃん……っ、どうしたの?」
昂輝が、那月の背中をそっと触れて、那月を覗き込む。
「うぅうう、……っ、ごめん、なさい、私……っ、ふ……っ、うぅう」
昂輝に会えた安心と、罪悪感で、涙が止まらなくなってしまった。
泣き続ける那月を、昂輝は、ぎゅっと手を握り、痛ましい顔をする。
「とにかく、まず部屋で落ち着こう」
昂輝に促され、那月は、アパートの自宅へと進む。
昂輝は、那月と共に那月の家の扉の前まで来て、那月が布鞄から鍵を取り出すのを見ながら、優しい声で尋ねる。
「──僕、一緒に居てもいい?」
彼の声に、那月は、再び、涙を流し、強くうなずく。
「うん……っ、おねがい、一緒にいて」
昂輝は那月にうなずき、那月の開いた扉のドアノブを握る。
ゆっくりと開かれる、那月の家へ、ふたりは足を踏み入れた。
茉莉が那月に持たせた布鞄の中に、那月を縮めたチョコレートが入っていることなど、この時、那月は、知る由もなかった。
タゴシロー(改名)
2022-11-10 15:03:56 +0000 UTCタゴシロー(改名)
2022-10-30 07:54:23 +0000 UTCタゴシロー(改名)
2022-10-10 14:21:05 +0000 UTCやめはる(仮)
2022-10-02 13:19:38 +0000 UTCタゴシロー(改名)
2022-09-19 11:40:09 +0000 UTCアズキャト(アズキ)
2022-09-19 10:33:32 +0000 UTC