SakeTami
タゴシロー(改名)
タゴシロー(改名)

fanbox


縮められた私が、お祭りのかき氷の中で、ストローや氷を挿れてひとりえっちしたり、きんぎょと一緒にビニール袋に入れられちゃう話


 秋めいてきた週末。ワンルームの自室で、なんとなしに見ていたテレビが、地元の祭りを映し、那月は「あ」と声を上げる。

「凛ちゃんが今日行くって言ってたお祭りだ」

 夜の花火に向けて、人が集まって来ている様子や、既にオープンしている屋台に集まる人だかり。

 老若男女問わず、楽しむ様子の中、浴衣姿の子供も見かけ、那月は、ふふ、とひとり笑う。

 凛ちゃんも、浴衣着るって言ってたなあ。テレビに映ったりしないかな。

 しかし、カメラはすぐに切り替わり、夕方のニュースが流れ始める。

 那月は、リモコンを手に取り、ぼんやりとザッピングをしながら、お祭りに行くと言っていた凛のことを思い出す。

 地元以外からも、そこそこの来場を誇るお祭り。

 前々から、行きたいとねだっていた凛は、今年ついに、凛の友達と行けることになったらしい。保護者役として、凛の両親は都合がつかず、凛の友達の両親に、連れていってもらうのだそうだ。

 那月も一緒に行こうと駄々をこねられていたのだが、目玉の花火大会で、特別観覧席を四人分、予約済みとの情報を聴き、今回は遠慮させてもらうこととなった。

 凛ちゃんのお友達のご両親も、凛ちゃんなら、家族ぐるみでお付き合いのある子だろうけど、私は初対面だし、凛ちゃんのお友達が遠慮しても可哀そうだしなあ。

 私が、本当に凛ちゃんのお姉さんだったら、また話は違ったかもしれないけど。

 そんなことをぼんやりと考えながら、テレビの電源を落とした時だった。

 ぴんぽ~ん、と、玄関のチャイムが鳴り、那月は首をかしげながら、壁に設置された親機に近づく。宅急便かな、と、オートロックのカメラ映像を見て、驚く。

「えっ……?! 凛ちゃん?」

 那月は、慌てて解錠し、Tシャツと短パンという普段着のまま、玄関へと走り、凛を迎え入れる。

「那月お姉ちゃん~! やっほ~!」

 凛が、ぶんぶんと手を振り、カラコロと下駄を鳴らす。薄水色と紫のグラデーションの浴衣は、夜明けが近い空のような色だ。あちこちに散りばめられた朱色のツバキが、品よく引き立てている。編み込んだみつあみの上に、お団子が結われていて、浴衣の色に合わせた朱色の花飾りまでつけられていた。

「わあ、凛ちゃん可愛いね」

「えへへ、そうでしょ! 凛、かわいいでしょ!」

 満足気に、超笑顔を浮かべ、凛が、何度も繰り返す。那月は、凛を部屋へと招いた後、膝をついて、凛に視線を合わせる。

「お祭り、行くんだよね? 今日はどうしたの。ひとりで来たの?」

「ううん。凪ちゃんちのママの車で来たよ」

「車で? どういうこと。お祭りの途中で寄ってくれてるの?」

 その場合、外で、『凪ちゃんのご両親と凪ちゃん』は、待ってくれているのでは、と思うも、凛は、明るく、「そう!」と声を上げ、きんちゃく袋から、ごそごそと袋を取り出す。

「凛ねえ、これ、那月お姉ちゃんに渡したかったの」

 凛が、くるくるのリボンでとめられた、透明のセロファン袋を、小さな手で渡す。見覚えのある話題のスイーツが中に入ってあった。

「えーっと、これ、マリトッツォ?」

「そう! すごいんだよ~。凪ちゃんのママ、お菓子なんでも作れるの」

「まさかの手作り」

 コンビニとかで見かけるものと比べ、中に、フルーツやチョコスプレーがちりばめられていて、豪華な造りになっている。お祭りに行く前に、凪ちゃんなるお友達の家に行き、みんなで作ったらしい。

「へー、すごいね。それで、お祭りの前に、わざわざ持ってきてくれたの? ありがとう」

「ううんっ、凛、ぜったい、那月お姉ちゃんにあげたかったの。あと、浴衣も見せたかったの」

「そっかあ。うれしいな。凛ちゃんの可愛い浴衣姿も見れて、うれしいよ」

 那月が微笑み言えば、凛は、得意げに胸を張り、上機嫌になる。那月は、そっと、大事に、マリトッツォを机に置く。

「届けに来てくれてありがと。あとで食べるね。じゃあ、凪ちゃんの車の場所まで送っていくよ。行こっか」

 那月が立ち上がりかければ、凛が「だめー!」と抗議の声を上げる。

「今、食べて! せっかく作って来たんだから食べて!」

「ちゃんと、あとで食べるよ。凪ちゃんたち、待ってくれてるんでしょう?」

 あまり長居させても、悪いと思い、そう言うも、凛は、むすうと頬を膨らませる。

「ちゃんと、那月お姉ちゃんに食べてもらうって言ってきたもん! 凪ちゃんのママも、おいしくできてるか心配って言ってたし、食べて! ちゃんと美味しかったかどうか、凛が凪ちゃんのママに言うの」

「もー。しょうがないなあ」

 那月は、細長いリボンをしゅるりと解き、透明のセロファンでできた袋から、マリトッツォを取り出す。

「じゃあ、半分こする?」

「凛は、凪ちゃんちでいっぱい食べたし、それは那月お姉ちゃんのだからいらない! これからお祭りで、おやついっぱい食べるし」

「そっか、お祭り、屋台いっぱい出てるもんね」

 小さい子供が見ている前で、自分だけお菓子をいただくのもなんだが、人が待っているだけに、時間もかけてられない。那月は、小さく口を開けて、凛のマリトッツォにかじりついた。

 柔らかなクリームの中に、ふわりとバニラが香る。カットされた甘い苺と合い、那月は自然と顔がほころぶ。

「うわあ、おいしい」

 もぐもぐと、咀嚼を進め、苺を飲み込む。そして、ほんのりと隠し味のように、チョコレートの風味が混ざっていることに気付く。

 なんだろう、これ、本当においしい。

 那月は、無我夢中になってマリトッツォを頬張る。

「んっ、ふぁっ、おいしい……、おいしいよぉ……っ」

 頬を赤く染め、必死で食べ進めていくが、手元のマリトッツォは一向になくならない。

 それどころか、むしろ、増えている? ふらふらと、熱を上げながら、那月は、手元のマリトッツォを見つめる。

 両手で包み込める程の大きさだったはずのマリトッツォが、いつの間にか、バレーボールくらいのサイズに膨れ上がっている。膨れ上がるのは、とどまらず、マリトッツォは那月の顔より大きくなってしまう。これまでと同じように、かじろうとして、パン生地に挟まれたクリームの中に顔を埋めてしまいそうになり、そこでようやく、那月は、ハッと我に返る。

「なにこれッ……、マリトッツォが……」

 顔を上げて叫んだ途端、那月のTシャツの襟首が、ぱさりと、那月の肩からずり落ちる、那月は、大きな食べかけのマリトッツォを全裸で抱えていることに気付く。

「わ、……私っ、小さくなって……、きゃあっ!」

 那月は、大きなマリトッツォを抱えたまま、ぐらりとバランスを崩し、マリトッツォの下敷になる。

 じたばたと、パン生地の下で暴れていると、凛の大きな手が、マリトッツォを退け、裸の那月を救出する。

「ふふふ。那月お姉ちゃんを縮めるの、大成功~!」

 凛の手の中に捕まった那月は、きょろきょろと、辺りを見渡す。

 見慣れた、自分の自室が、何倍にも大きく見える。

「凛ちゃんっ! なにこれ、私、なんで小さくなっちゃったの?」

「実は、凛が、まとりっつおのクリームに、チョコレートこっそり入れていたのでしたっ」

 いたずら大成功と言わないばかりの笑顔で種を明かされる。

 凛の大きな指で、那月の小さな頬についたべちゃりとついたクリームを拭われる。

 クリームに紛れたチョコレートを食べて分からなかったが、いつもより、小さく縮められてしまった。

 おそらく、五センチくらいだろうか。チョコレート、二つ分食べた時と、近いサイズだ。

 自室で縮められたのは、初めてだ。

 那月は、今更ながら、くらりと、身体が熱に引き寄せられるのを感じながら、慌てて声を上げる。

「何してるの、だめでしょ、凛ちゃん! お祭り行くんでしょ。こんなことしてないで早く戻してったら」

「やーだよっ。凛、那月ちゃんとお祭り行くって決めたんだから」

 那月を、ストン、とフローリングの床に置くと、凛は、持ってきていたきんちゃく袋から、バサリと、小さな浴衣を取り出した。紺色の生地に薄桃色の朝顔を咲かせ、赤い帯を持つ浴衣だ。

「私と行くって……。小さくなった私を、連れていくつもりなの?」

「うんっ!」

 一点の迷いもなく、うなずかれ、那月は、一瞬、のまれかけるも、すぐに厳しい顔をする。

「だめだよ、そんなの。誰かに見つかっちゃったらどうするの。お友達だって、一緒にいるんでしょう?」

「きんちゃくの中に、こっそり入れておくだけだもん、大丈夫だよ!」

「危ないでしょ、そんなの」

 なんとか、強い口調でそう言いながらも、那月は、ちらりと、凛のきんちゃく袋を見つめる。

 いつもより、小さな五センチくらいの身体なら、中で余裕で隠れられちゃうかも……。

 ショッピングモールのパウダールームで、少しずつ、小さくされたことはあるけど、こんなに小さくされていきなり、外に連れ出されるなんて、初めて……。

 ふらふらと、誘惑に呑まれそうになり、ハッと我に返る。

 ダメ、ダメ! 外なんて、誰かにバレちゃったら大変だし、凛ちゃんのことだから、うっかり、落とされでもしたら、私、二度と元に戻れないかもしれない。

 そうだ、何より。

「そもそも、外に小さな私連れていって、帰りはどうするの。お祭り終わった後、もう一回、ここに寄るつもり?」

「ううんっ。凛の家に帰るよ」

「もー~。そんなの、どこで大きな私に戻ればいいのよ。無理でしょ。早く元に戻るチョコレート、ちょうだい」

 那月は、裸のまま、フローリングの床に立ち、大きく座り込んだ凛に向かって、小さな手を差し出す。

 しかし、凛は、にやにやと、いたずらめいた笑みを浮かべたままだ。

「あのね、明日の朝は、ママとパパ、またいないの」

「……?」

「だから、那月ちゃんは、今日は、ずーっと、小さいまま、凛とお祭り行って、凛のお家に泊まって、明日の朝、ママとパパがいない時に、大きくなったらいいと思うなあ」

「えっ……」

 ずっと小さいまま……。しかも、凛ちゃんのママやパパには、内緒で、凛ちゃんのお家に……。

 てことは、時間を気にせず、ずっと、このサイズのまま、いっぱい、えっちなことも出来ちゃうかも……。

 もじもじと、内股を引き寄せ、那月は、よからぬ想像を膨らませる。

 こくん、と唾を飲み込んだ後、顔を真っ赤にしたまま、なんとか、声を上げる。

「ッ、だめよ、そんなの! もう、早く元に戻して」

 しかし、凛は、目を細めて更に続ける。

「凛、元に戻すチョコレート、お家に忘れてきちゃった。だから、今は戻せない」

「そんな……っ」

 ということは、那月の取れる選択肢は、もはやひとつしかない。

「じゃあ、那月ちゃん。かわいい浴衣、着ましょうねえ~」

 上機嫌な声で、凛が、那月の着せ替えを開始した。


  *


「凪ちゃん、お待たせ~!」

 バタン、と車の扉が閉じる音が聴こえる。

「那月お姉さんに、マリトッツォ、渡せたの?」

「うんっ。あのねえ、すごく美味しいって喜んでたよ~! 凪ちゃんのママ、ありがとう」

「ふふふ、良かったわねえ」

 ガタゴトと、揺れるきんちゃく袋の中で、小さくなった那月は、凛たちの声を聴く。

 五センチ程に縮められた那月と比べて、きんちゃくは、三倍程の高さで、なかなかの広さだ。

 きんちゃくの底には、木で出来た枠があり、那月は、それを小さな手で、ぎゅっと握る。

 凛の浴衣の柄と合わせて作られたらしい布製の袋は、薄水色の生地に、朱色のツバキがあしらわれている。

 フタを紐でしっかりと閉じられてはいるが、薄い色合いの生地だからか、袋の中にまで、淡い光が差し込み、袋の中からでも、カバンの中身が分かる程だった。

 しかし、それは同時に、外の人影も、ぼんやりと見える状態であり、逆に言えば、袋の外にいる人からも、きんちゃく袋の中身が、ほんのり透けて見えることに等しい。

 現に、きんちゃく袋を、強く握る、凛の手のひらが、布越しに見えている。

 那月は、きんちゃく袋の中で、凛のハンカチやスマホの影に隠れ、息を潜ませる。

「そうだ、凛ちゃん。お祭りのビンゴカード、さっきママからもらったよ。はい、これ、凛ちゃんの分」

 凪と呼ばれた凛の友達が、凛へとカードを手渡す。

 凛は、「わあ」と声を上げる。

「ありがとう! 凛、しまっとく」

 そして、ためらいなく、きんちゃく袋が開けられ、那月は、慌てて、ハンカチの下へと隠れる。

 ハンカチの真上から、布を巻き込むように、巨大なビンゴカードが入れられ、那月が隠れていた布も、例外なく、ビンゴカードの下へと引き寄せられる。

 見つかったらどうするの。あと、あぶないでしょ。

 那月は、恨みがましい顔をして、きんちゃく袋の入口を見上げれば、袋の外から中を覗く凛と目が合う。

 凛は、目が合うなり、浮かれた顔が、しまった、という顔に変わる。

「? どうしたの、凛ちゃん」

「えっと、なんでもない」

 凛が、ゆっくりときんちゃく袋のヒモを引っ張り、口を閉じる。

 その時、凛と凪を運ぶ車が、大きな曲がり角を曲がり、凛の膝の上のきんちゃく袋が、大きく揺れる。

 がさりと、袋の中身も、合わせて、揺れ、那月がハンカチの合間から顔を出し、上を見上げる。

 すると、ガサガサと音を立てて、凛のスマホがこちらに傾いてくるのが分かった。

「~ッ!!」

 那月は、叫び声を堪えながら、再び、ハンカチの下にもぐり、しゃがみ込む。

 ビンゴカードを巻き込んで、スマホが、斜めになって、布にもたれかかる。

 なんとか、真下で下敷になるのは、免れたようだ。

 淡い光が差し込んでいた袋の中が、スマホの影によって、一気に暗くなった。

 ガタンッと、車が揺れ、スマホの傾きが、鋭角に変わり、ハンカチの下に隠れる那月へと迫ってくる。

 逃げなきゃ……! スマホに圧し潰されちゃう……!

 那月は、ハンカチの下で、四つん這いになり、そっと、きんちゃく袋の端へと進む。

 ガタガタンッ! と車が再び揺れ、那月は、小さな身体を一瞬、浮かせた後、きんちゃくの隅へと、転がっていく。

「ふひゃっ……!」

 思わず、小さな声を上げる。すると、袋の外から、凪の声が聴こえる。

「なんか、変な音しなかった?」

「えッ、そうかなあ」

「なんか、……凛ちゃんの袋、ガサガサしてない?」

 鋭い指摘が聴こえ、那月は、身を強張らせる。

 きんちゃく袋の隅で、怯えるように、丸まり、息を潜ませていると、凛の焦るような声が聴こえる。

「してないよお。なんにも入れてないったら」

「なにそれ。チュッチーとか、もしかして入れてるの?」

「そんなわけないじゃん。たぶん、スマホが鳴ってただけ」

「ほんと? ちょっと、袋貸してよ」

 待って待って、貸しちゃだめ! 見つかっちゃう!

 那月が、袋の中から、祈っていると、凪を制する声が聴こえてくる。

「凪。お友達のカバン、取ったらダメでしょう」

 凪の母親らしき声が聴こえ、凪が、はあい、と観念する声を上げる。

 那月は、ホッと、小さく息を漏らし、ハンカチの下に再びもぐり込み、息を潜めた。

 凛に、半ば無理やり小さくされて連れてこられたとはいえ、小さい身体で外に行ってみたいと少し思ってしまった自分に、那月は、猛省しながら、そっと、目を閉じた。


 *


 ふわり、と冷たい空気を感じる。

 那月は、薄目を開けながら、朦朧とする。 

 いつの間にか、眠ってしまっていたらしい。

 静かで暗い空間から、一気に、騒がしい音と明るい照明を感じ、慌てて、目を覚ます。

 目を開けて、顔を上げれば、大きな凛が、那月をつまみ上げているところだった。

 そして、周囲から、祭りの音が聴こえ、ぎょっとする。

 那月が、動きを止め、固まっている間に、凛は、那月をつまみ上げた二本の指先を、ぱっと離す。

 重力に従い、那月は、風圧を感じながら、落下していく。

「凛、ちゃ……、ひゃああっ」

 ぴしゃぴしゃ、と冷たい液体を浴びながら、ぽとん、と、那月は、白いケースの中に落とされる。

 小さな浴衣姿のまま、尻餅をつくように、落ちたそこで、那月は、きょろきょろと辺りを見渡す。

 カップ麺でも入れるような白い容器の中らしく、那月は、つるつるした素材の白い壁に手を当てる。

 ひやりとした空気を背に感じ、立ち上がり、背後を見て、息を呑む。

 そこには、小さな氷の粒をいくつも並べて出来た、氷の壁があった。

 ゆっくりと顔を上げていくと、氷の粒の合間に、鮮やかな紅色の甘い液体を見つける。

「……ここ……って、かき氷?」

 疑問に答えるかのように、那月の目と鼻の先に、どすんっと大きな音と共に、何かが降ってくる。

「ひぃっ」

 驚いて振り返る。音の正体は、白と青のストライプ柄のストローだった。底を切って拡げ、スプーンの代わりに仕立て上げたものだ。

「あ、那月ちゃん、起きてる~。おはよ~」

 かき氷のカップの上から、大きな凛が、小さな那月を覗き込んでいる。結われた髪と、それを彩る赤い花の髪飾りが、風で揺れていて、まだ、ここが、外であることがうかがえる。

「凛ちゃん! 何してるの。お祭りは?」

 尋ねれば、凛が、更に、カップに顔を近づけて、気持ち小声で、ひそひそと声を出す。

「今、お祭りだよ。 あのねえ、ここ、花火の観覧席なの。凪ちゃんと凪ちゃんのママは、飲み物もらいにいってくれてて、凪ちゃんのパパは、ケータイで電話してるから、凛は今、ひとりなの」

 言われて、耳を澄ませば、車内で聴こえていた凪の父親らしき人の話し声が、聞こえてくる。

 仕事か何かだろうか、少し込み合った話をしているようだ。しかし、電話とはいえ、観覧席のすぐ近くにいることは確かで、油断していい時ではない。

「凛ちゃんっ、こんなことしてたら、見つかっちゃうでしょ。今すぐ、私、きんちゃくの中に戻して」

「だって那月ちゃん、お祭りのごはん、何も食べてないでしょ。だから、凛のかき氷あげる。ちゃんとこっそり食べられるように、凛が、かき氷、深く掘っておいてあげたの。その中ならバレないでしょ。凛、頭いい!」

 確かに、この深さなら、五センチ程の小ささに縮んだ那月がいるとは分からないだろう。

 しかし、どちらかと言えば、深い穴に閉じ込められているような恐怖が勝る。

 那月は、なんとか、外に出してもらえるようにしなければ、と口を開く。

「こんなに大きいの、私たべられないよ」

 パウダースノーのような氷だけではなく、大粒の氷の欠片が入ったタイプのかき氷だった。

 それに、かき氷が崩れれば、埋もれてしまいかねない程、今日の那月は縮んでしまっている。

 ストローでできたスプーンも、今の那月が扱える大きさではない。

 それを理由に、外へ戻してもらえるかと思い、言うも、凛は、得意げな顔をする。

「大丈夫だよ。凛が那月ちゃんに食べさせてあげる。凛はおねえさんだからね!」

 そう言って、凛が、スプーンを模したストローをつまみ上げ、上部の苺シロップがかかったかき氷をすくい上げる。

 一部の氷が、バランスを崩して、那月の足元へ、パラパラと落ちてくる。那月は、氷とかき氷カップの壁で出来た深い穴の中で、小さく叫ぶ。

「きゃあっ、危ないよお、凛ちゃん! 崩れちゃうから、動かさないで」

「那月ちゃんこそ、動いちゃだめでしょ。はい、口開けて! あーん」

 凛が乱暴にストローのスプーンを、那月へと傾ける。

「んぎゅふぅっ、んんぅっ、冷たいぃっ!」

 凛のすくった氷を、那月の小さな口では含みきれず、氷の粒は、頬の横から首筋へと零れ落ちる。

 氷は、那月の小さな首筋を伝い、浴衣の隙間から、胸元の中へと、いたずらに落ちていく。

「んひぃぃっ! 冷たいよおっ」

 那月の小さな体温で、かき氷は、ゆっくりと溶けながら、浴衣の下の肌を滑り落ちていく。

「那月ちゃん、くねくねして、どうしたの?」

 カップの上から、凛が不思議そうに尋ねるので、那月は、顔を真っ赤にして、凛を見上げる。

「かき氷が零れて、浴衣の中に入っちゃってたの。やっぱり、私には大きすぎるよ」

「えー! なにそれ、おもしろい~!」

 凛が目を輝かせ、再び、ストローに氷をすくう。

 那月はぎょっとして、かき氷の底で、うろうろと逃げ回るが、隠れる場所もなく、すぐに凛のスプーンが追いつく。

 そして、パラパラと、上から氷の粒をまかれる。

「ひゃんっ、やだ、凛ちゃんっ! あそばないで!」

 頭や、顔にかき氷の欠片が降り、那月は声をあげて走り逃げまわるが、凛は増々おもしろがり、次々と氷を振らせてくる。

 那月の薄墨色の長い髪が、溶けた氷で濡れ、頬にはりつき、浴衣へと大きな雫を垂らしていく。

 うなじに落ちた氷が、襟首から、那月の背中へと、ころころと転がり、那月は、びくんっと身体を反りかえる。

「ひぅっ!! ゃあっ、背中……っ! やだやだっ!」

 那月は、片手をかき氷カップにつき、お尻を突き出すように背を曲げ、自身の後方を振り返る。

 少しずつ、氷が溶けながら、那月のカーブを描いた背を転がり、お尻に到達した後、割れ目をなぞるように、氷が転がり落ちていく。

「ひぃんっ、お尻、冷たいよぅっ」

 那月が身悶えていると、拍車をかけるように、更に、かき氷が、上から降ってくる。

「きゃああ! やめてえぇ、凛ちゃんっ! 氷が、どんどん入っちゃう!」

 うなじから、次々と、氷の粒が入り込み、那月の肌を弄んでいく。

 冷たい氷を入れられているはずなのに、身体はどんどん、熱を帯びていく。

 那月は、両手を、カップの壁に置き、お尻を突き出したまま、はぁはぁ、と息をあげていく。

 どうしよう……。氷が、だんだん、気持ちよくなってきちゃった……。

 荒い息をしながら、上空へと顔を上げれば、凛が、くすくすと笑いながら、カップの中の那月を見つめている。

 新たなかき氷を一さじを乗せたストローが、こちらに近づき、那月の口へと押し込まれる。

「んぶひゅうううっ」

「那月ちゃん、赤い顔して可愛い~。いっぱい、食べて、涼しくなってね」

「ぁひゅぅ……っ! んひぃ……」

 とろとろと、口から溶けたかき氷を零しながら、那月は、壁に手をついたまま、上空を見つめる。

 エサを待ちわびたメスの顔をして、次のかき氷を待っていると、凛が、ストローに新しいかき氷をすくう。

 それを那月の小さな口、ではなく、胸元から、腹部にかけて、氷を押さえつけるようにストローを動かされる。

「ふぁあん……っ!」

 那月が嬌声を上げて、びくりと身体を震わす。冷たい氷の粒が、薄い浴衣越しに、ごろごろと、那月の肌を撫でつけていき、那月は、とろりと目を細め、甘い声を漏らす。

「はぁ……んっ……、かき氷、きもちいいよぉ……」

 凛のされるがままに、身を預け、那月は快楽の階段を上っていく。

 氷の粒を乗せたストローが、ごろごろと、更に下腹部へと進み、那月は、立ったまま、脚を大きく開く。浴衣がはしたなく左右へと広がり、那月の素足を露わにしていく。

 凛の持つストローの氷が、浴衣の途切れ目を抜け、那月の脚の間に滑り込み、とろとろに溶けた割れ目へと到達する。

「あぁあぁぁんっ!」

 冷たい氷の粒が、割れ目の襞に触れ、那月は大きく跳ねあがる。

 那月の熱く濡れそぼった蜜壺に触れ、氷は水へと変わっていく。

 那月は、そっと、両脚を引き寄せ、ストローを、太ももではさむ。

 ちらりと、熱を帯びた瞳で、凛を見上げ、細長いストローに、小さな両手を添える。

「はぁ……っ、はぁッ、はぁん……、もっと、もっと……!」

 那月は、ストローを、割れ目に挟み込むように、腰を前後に動かす。

 那月の腰の動きに合わせて、かき氷カップの外にまで伸びたストローが、ゆらゆらと揺れ動く。

 凛は、くすくすと笑い、那月の割れ目の中をなぞり上げるように、ストローをゆっくりと引き抜く。

 くちゅ、くちゅと、卑猥な水音と共に、ストローが浴衣をまくり上げながら、上へ上へと進む。

 次の氷を期待して、とろりとした瞳で、カップの上を見上げた時だった。

「凛ちゃん、お待たせ。はい、これ凛ちゃんのジュース」

 大きな声が、かき氷カップのすぐ傍で聴こえ、那月は、身を強張らせる。

「あ、凪ちゃんのママ、ありがとう」

 凛が嬉々として、声を上げ、持ち上げていたストローを手離す。

 カコンッ、と音を立て、那月のすぐ目の前に落とされ、ぱらぱら、と大粒の氷が、那月の足元に転がる。

「パパったら、ずっと電話してたのね。ごめんね、ひとりで待ってもらっちゃって。大丈夫だった?」

「うん、凛、ちゃんと待ってたよ」

「花火に間に合って良かった。あとちょっとだね」

「凪ちゃんのそれ、何ジュース?」

「凛ちゃんのと同じリンゴだよ」

 がやがやと矢継に会話が始まり、かき氷のカップが大きく揺れる。

 映画館の座席のように、観覧席の合間に、カップが置けるようになっていたらしい。

 ガタンッと音を立てて、凛が、座っている観覧席の横に置いたようだ。

 凛と、凪たちの声が、少し遠ざかって聴こえたことから、凛が、凪たちが座る席とは逆側に、かき氷を置いたのだろう。

 那月は、こっそり、カップの中で、ぴょこん、と小さく飛ぶも、外の様子は全く見えない。

「凛ちゃん……」

 ぽつりとつぶやいた声も、外の会話にかき消されてしまう。

 せっかく、気持ちよくなってきてたのに。しょんぼりしながら、那月は、治まらない熱をかかえながら、その場に正座を崩すようにして座り込む。

 わいわいとはしゃぐ声を、遠くに聞きながら、那月は、こくん、と息をのみ、目の前に立てかけられたストローへと手を伸ばす。ストローの底に、凛がすくい上げていた氷の粒が、ひとさじ、乗っている。そのうちの一粒を手に取る。小さな那月の手のひらを丸まる埋めてしまう程のそれで、那月は、冷たさに、一度、カップの底へと氷を下ろす。

 床に置いた氷を、指先で、そっと両端を支え、那月は小さな口を開くと、先端へと舌を伸ばした。

「ん……ふぅ……ぁん……」

 ちろちろと、小さな舌で、氷を少しずつ溶かす。ほんのりと甘い苺の香りがして、かき氷の中にいることを思い出す。

 先端の溶けが進み、巨大なボールのようだった氷が、丸い尖りを帯びてくる。

 那月は、うっとりとした顔を浮かべ、腰を浮かし、そっと氷を、割れ目へとあてがう。

 くちゅ、と小さな水音と共に、氷が那月の中へと入り込んでいく。

「ひゃぅっ! あぁ……ん……! 冷たくて、気持ちいい……」

 ひくひくと疼く那月の膣が、氷を飲み込み、溶かしていく。太ももを寄せ、ぎゅっと氷を抱え込み、床に座り込む。冷たい刺激が、度合いを増し、那月は息を漏らす。

「ふ、はぁん……っ! やぁ……っ、冷たいっ!」

 身体中の力が抜けていき、へなへなとかき氷カップの底に横たわる。

 片膝を立て、はだけた紺色の浴衣から、太ももがさらけ出される。冷たい快楽を秘めた己の膣へと手を伸ばし、そっと、更に、中へと氷を押し込む。

「ぁあんっ!」

 かき氷のカップの底で、小さく那月は跳ねあがる。

 見上げれば、カップと、氷の山で出来た小さな楕円型の空が見えて、那月の浴衣と同じくらい、暗い紺色に染まっていた。

 すっかり、陽が落ちてしまったらしい。

 祭囃子の音が、より一層、大きく聞こえ、今、自分が野外にいることを、改めて感じる。

 もし、誰かに覗かれでもしたら……。

 小さく縮んだ身体というだけでも、大騒ぎになるのに、こんなことを、外でしてるなんて。

 リスクはいくらでも思いつくのに、那月は手を止められなかった。

「はぁっ、はぁん……、もっと……!」

 上げた熱が、中の氷を溶かし、那月は、ストローに乗った次の氷に手をのばす。

「んうっ、んんん~っ!」

 新しい氷を口に含み、熱にうなされた顔で、指先が胸元に伸びる。

 浴衣をかき分け、露わにした胸の先端を、ぎゅっと握る。

「んんひぃい~!」

 びくびく、と身体を揺らし、那月は浴衣をはだけさせていく。

 腰元を結ぶ赤い帯は、かろうじて那月に巻き付いたままではあるが、胸元から腹部、脚はすっかりむき出し状態だ。

 快楽に呑まれていく頭が、ぼんやりと外の声を拾う。

 凛と凪たちの声だ。はしゃぎ声が大きくなった、と思えば、大きな飛来音と共に、花火が弾ける音が聴こえた。

 ひゅるるるるるるる、ぱーん、どん、どん、ぱーん。

 花火大会がついに開始されたらしい。

 かき氷カップの底に横たわり、ほとんどの裸体状態の那月の肌を、上空から色鮮やかな光が那月を照らしていく。

 大きな音は、那月にむしろ安心感を覚えさせ、大胆にさせていく。

 更に、氷の粒を掴み、いくつもの氷を、那月は、自らの秘部に押し当て、転がしていく。

 ぐりぐりと、冷たい刺激が、いたずらに那月を冷やす。けれど、身体の熱は上がるばかりだった。

「はぁんっ、あぁああっ、いいのおお、気持ちいいっ!」

 ぐちゅうう、と音を立てて、那月は、無理やり、自身の小さな膣に、大きな氷を挿れ込む。

 更に、氷を手に掴み、今度は、胸の先端に、それぞれあてがう。ぐりぐりと、転がし、乳首がくにゅりと曲がり、耐えるように尖りを帯びていく。

「ひんっ! いひゃい……ッ! きもひいい! 氷でわらひ、イっひゃううう!」

 内股を強く寄せ、より気持ちの良い場所へと導こうとするも、那月の熱に負け、氷が水へと変わっていく。

 次の氷、と寝転がったまま、とすぐ傍のストローを見るも、ひとさじ分の氷は、すっかり、使い果たしてしまっていた。

 那月は、浴衣が脱げかけたほとんど裸状態の身体を起こす。

 こんなんじゃ、全然、足りない。

 那月を背後から取り囲む、大きなかき氷を見上げる。

 氷は、まだ、いっぱいあるけど、この小ささだと、かき氷の底にある氷を引き抜くことになる。

 もし、崩れでもしたら、と思うと、躊躇してしまう。

 それなら、残りは、こちらを使うしかない。

 かき氷カップの壁に立てかけられた、大きなストローへと、那月は、ゆるゆると近づく。

 自分の三倍くらいはある長さのストローの先端。スプーンを模したそこに、小さな手を添える。

 懸命に、小さな手に力を入れ、そっと、ストローの先端を浮かし、細長く丸める。

 そして、那月は自身の中へと挿れ込んだ。

「ふひゃぁ……っ、大きいよぉ……っ!」

 大きなストローが、小さな那月の中に留まるには無理があったのか、外に出ようと暴れ出す。

 那月が無理に丸めていた先端が、広がりだし、那月の膣壁を、無遠慮に叩いていく。

「ぁひぃんっ! はぅうっ! 出ちゃらめええ!」

 那月はストローを、腿ではさみ、必死で腰を振る。

 上空の、カップの外にまで繋がった長いストローが、那月の淫らな動きに合わせて、ふりふりと動く。

 かつん、かつん、とカップの縁に、ストローが軽い音を奏でるが、大きな花火の音に全てかき消されていく。

 もっと、もっと! 那月の腰の動きに、激しさが増していく。

 ストローにかじりつくように、しがみつき、胸の谷間にストローを挟む。

 くちゅん、くちゅん、と音を立てさせながら、自身の中でピストン運動を行う。

「はんっ! はぁあんっ! イクぅう! イっちゃう!!」

 那月の余裕をなくしていく様に合わせるように、空には、次々と花火が上がっていく。

 観覧席というだけあって、花火の音も相当大きく聞こえる。那月にもう、ためらう気持ちはなくなっていた。

 ピストンの動きを速めていき、カコカコとストローを鳴らし、己を慰めていく。

「あん! あん! あんっ!! 私っ! こんなところで、イっちゃうぅう! イクうっ、ぁうっ、あぁあああああああああっ!!」

 那月が絶頂に辿り着き、ストローに抱き着いたまま、ガクガクと震える。

 五センチ程に縮んでいるとはいえ、那月の激しい動きに耐え切れなくなったストローが、くるくると回り、バランスを崩す。

「ふひゃぁあ……っ」

 ストローと共に、那月はバランスを崩し、ストローを抱えたまま、背中を床につける。

 とろりとした目で、空を見上げていると、ストローが、食べかけのかき氷にぶつかるのが見えた。

 長時間、食べずに放置されていたかき氷は、液化が進んでいたらしい。

 ハッと、目を開いた時には、溶けかけのかき氷の塊が、苺のシロップと共に、那月の上へと崩れ落ちて来ていた。

「きゃあああああああ」

 べちゃべちゃと、半分水と化した氷が、那月に降り注ぐ。

 熱を帯びた身体を、ふわふわの氷が包み、少しずつ、溶けていく。

「ふひゃあぁああ、冷たいっ! 助けてえ!」

 那月は、秘部にストローを突き刺したまま、じたばたと、暴れる。

 溶けたかき氷が、底に溜まっていき、次々と、かき氷が崩れ、液化していく。

 那月は、身体を起こし、ストローを引き抜くと、柔らかな氷をかき分ける。

 氷の狭間を作り、上空に小さな穴が出来るが、氷の背丈は、すっかり自分を隠してしまう程になっていた。

 カップの底には、苺シロップが混ざった水が、少しずつ、その水面を上げていく。

 足首を隠すほどだった水が、じわじわと上がり、膝を浸からせようとしている。

 那月は、まだ溶けていないかき氷に、手と足を乗せるが、強度が足りず、足場の氷は崩れ落ち、新たな水へと溶けていく。

「どうしよう……! 出られない! ……ッ、凛ちゃんっ! 助けてーッ!」

 那月は、氷の底から声を上げるが、まだ続いて打ちあがっている花火の音にかき消される。

 ドシャドシャドシャ、と音を立てて、かき氷が更に降り注ぎ、溶けていく。膝上まで来た水に、那月は怯える。

 重い足元に鞭を打ち、溶けかけの氷をかき分け、那月は、水面に突き刺さったストローへと手を伸ばす。

 小さな両手で、ストローを掴み、手に、ありったけの力を使い、ストローの向きを変える。

 かき氷カップの縁に触れたのを確認する。

 ごくん、と息を呑んだ後、那月はストローに両手、両足を使い、しがみついた。

 小さな身体が飛びつき、ストローは、ぐらっ、と少し揺れるが、大きく動くまでには至らなかった。

 自分の倍以上の高さのカップの縁を目指して、那月は、斜めに立てかけたストローを、棒のぼりのように進んでいく。

 かき氷をたっぷりと吸い込んだ脱げかけの浴衣が重い。ぼたぼたと、雫が落ちていく。

「ん……っ、早く、でなくちゃ……! ひゃっ!」

 ずるり、と足が滑り、那月は両手のみでストローにまたがってしまう。

 落下を防ぐべく、必然的に、太もも、および秘部でストローを挟みあげ、きゅるりと下腹部が疼きだす。

「ふひゃあああっ! 擦れちゃう!」

 上半身を、斜めに立てかけたストローに添わせ、下半身は直角を作るように、ストローを挟み上げる。

 ふらふらと宙に浮く足は、快楽で、ぴくぴくと震え、那月は声なき声を上げる。

「だめぇ……っ! 感じちゃだめええっ、落ちちゃうよおお」

 震える足を、なんとか伸ばし、那月は、かき氷カップの壁に、足をつける。

 ふらつく身体は、安定を得たが、濡れそぼった秘部は、ますます、擦り付けられてしまう。

 上にあがらなくちゃ……! このままだと、かき氷の中で溺れちゃう!

 那月は、頬を赤く染め上げ、荒い息をしながら、両手に力を入れ、身体を上へと押し上げる。

 同時に、くちゅ、くちゅ、と卑猥な水音を立てて、割れ目をストローに擦り上げる。

「んはぁ……ッ! いいよぉお……っ! しゅごい……」

 うっとりと卑猥な笑みを浮かべ、那月は、腰をストローに打ち付ける。

「ぁあぁ……、らめえ、うえ、行かなきゃ、なんだから……ッ」

 とろけた表情を浮かべた後、那月は、ストローを両手で握ったまま、腰を激しくグラインドする。

 ぱちゅぱちゅぱちゅと、水音を立てながら卑猥な腰打ちに激しさが増していく。

「おぉんっ! あぉんッ! きもひいいいっ! あひぃいいんっ! いひゃぁああぁああッ! あぁあああ、あぁああああああんッ!」

 ぷしいいい、と小さな水しぶきを上げながら、那月がストローの上で絶頂する。

 ひくひくと震えた後、かくんと脱力し、かき氷カップを押さえていた足が、壁を離れる。

 力の入らない両手だけで、身体を押さえきれず、那月は、ストローの上に跨ったまま、つるつると、下へ滑り落ちていく。

「ひぃゃあぁあぁあぁあんッ! また、イっちゃう……ッ! あぁああぁああんっ!!」

 那月はビクビクッと小刻みに震えながら、落下していく。

 ばしゃああああんっ、と大きな水音を立て、那月は、溶けきったかき氷の中へと、転落した。


  *


「ごめーん、那月ちゃん。花火見てたら、かき氷、全部とけちゃった」

 打ち上げ花火が終盤を迎え、凪たちが帰りの準備を始めた隙を見つけて、凛がひょこりとかき氷の紙コップを覗く。

「あれ。那月ちゃん、苺ジュースで泳いで遊んでたの? ずるい~!」

 カップの中には、ストローに必死にしがみついたまま、頬を赤らめ、息も絶え絶えの那月が、身体の半分ほどまで溶けたかき氷に浸している姿があった。

 あれから、何度も登るのを試みたようだが、登れば登るほど、快楽を重ねてしまい、登頂は叶わなかったようだ。

「浴衣もびしょ濡れだね~。きんちゃくに入れると濡れちゃう。どうしよう……。あ、そうだ」

 那月が何度試しても、登り切れなかったかき氷カップの中に、凛が大きな手を突っ込み、いとも簡単に、那月をつまみ上げる。

 ぽたぽた、と苺シロップの混ざった水が、ぐったりとした那月から零れ落ちる。

 凛は、那月の、ほとんど脱げかけの浴衣を、引き抜くようにして剥がす。腰に赤い帯を巻いただけの状態になった那月と、びしょぬれの紺色の浴衣を、凛は、まとめて掴み、ビニール袋の中へと放り込んだ。

「ひゃあっ」

 ぴしゃん、と小さな水音を立てて、那月は、ビニール袋の底へと辿り着く。

 ビニール袋の中には、尻餅をついた那月には、浴槽のように感じる程の水が入っていた。

 そして、今日の祭りで手に入れたらしい、スーパーボールが三個。さらに、わずかな水の中に泳ぐ、小さな赤い金魚の姿があった。

 小さな、といっても、体長は五センチほどで、那月と同じくらいの大きさだ。

 突然の侵入者に驚いて泳ぎ回る金魚により、那月の入る水面に波が生まれる。

 那月は、ヒィッと声を上げて、慌てて、ビニール越しに、凛を見つめる。

「凛ちゃんっ! どこに入れてるの。私のこと、外に出して! 誰かに見つかっちゃうでしょ」

 かき氷カップと違い、ビニール袋は、那月の姿を隠してくれない。

 加えて、那月は、今、腰に赤い帯を巻いただけなのだ。

 胸元を両手で押さえて隠しながら、那月は叫ぶが、凛は言うことを聞かない。

「大丈夫だよ。きんちゃく袋の後ろになるように金魚もっておくから! それに、帯の色、赤いから、那月ちゃん今、金魚さんみたいだよ。かわいい~」

「み、見ないで……。ちゃんと私のこと、隠して……!」

 水面にたゆたう紺色の浴衣を引き寄せて、泣きそうな顔をして言うが、那月の小さな声は、外の声にかき消される。

「凛ちゃん。車の準備できたから、帰りましょう。忘れ物ない? そのかき氷は、もういいの?」

「うん、これはもう捨てる」

 凛が笑いながら、ビニール袋の上に、きんちゃく袋を重ねて持ち、那月の視界が、凛のきんちゃく袋で埋められる。

「花火、楽しかったね」

「凛ちゃん、疲れたんじゃない? 今日は早く帰って寝ないとね。ママも心配してるわよ」

「ふふふ。凛、今日は、帰ってからもいっぱい遊ぶって決めてるんだ~」

 ぎゅ、と凛の小さな手が、きんちゃく袋と、金魚と那月が入ったビニール袋を握りしめる。

 大きく波立つ水の中で、那月は、今日、明日はたして自分は、無事に済むのかと、この先、自分に起こる未来を予想する。

 はらはらとする心が諦めるよりも先に、水に浸した下腹部は、既に疼きを再開していた。

 遠くで、花火まつりの終わりを告げるアナウンスが流れ始めていたが、那月の夜は、まだ終わりそうになかった。


縮められた私が、お祭りのかき氷の中で、ストローや氷を挿れてひとりえっちしたり、きんぎょと一緒にビニール袋に入れられちゃう話

More Creators