遠い親戚にあたる、幼稚園児の凛の家。
その大きな家のゲストルームの、キングサイズのベッドの上で、那月は、ふぅとため息をついた。
いつものように、凛の遊び相手として、この家に招かれ、
いつものように、凛に身体を縮められ、人形ごっこと称して、散々、えっちな遊びをさせられた後、
どろどろの身体をリセットするために、凛と二人でお風呂に入り、更に、小さな身体を弄られて、常識を逸した絶頂を遂げたのは、全て今日の話だ。
連続した絶頂に気を失い、身体を元に戻してもらった後、のぼせたと勘違いされて、こうして凛の家に、半ば強制的にお泊りすることになったわけだが。
遠い親戚とはいえ、那月の実家とは桁違いにお金持ちの家だけあって、ゲストルームがちょっとしたホテルの部屋並みに広くて豪華だ。
通常サイズに戻っているはずなのに、ベッドも大きくて、那月はなんだか落ち着かなかった。
しかも、自分の理性を狂わすチョコレートを持っている凛の家で、一晩過ごすのだから、なおさらだ。
早く寝て、明日は、朝のうちに帰らせてもらおう。
那月が、そっと布団を被りなおした時だった。
――コンコン、と。
扉をノックする音が聴こえる。
凛の母親だろうか、と思い、返事をすると、カラカラと開くスライド音と共に、吊り引き戸からこちらを覗く凛と目が合った。
「那月お姉ちゃん。ぐあい、どう?」
「凛ちゃん。遅くにどうしたの」
「あのね、凛、飲み物持ってきたの」
片手に、マグカップを二つも持っていることに気付き、那月は扉へと駆け寄る。
引き戸を支えて、凛を招き入れながら、カップを受け取る。
「熱いからあぶないよ。一人で来たの?」
「那月お姉ちゃんと一緒に飲みたかったの」
じっと、那月を見上げて、そう言うので、ふう、とため息をついて、カップをベッドサイドのテーブルへと置く。
幼稚園児の凛にとっては、既に、眠ってもおかしくないような時間だ。
ネグリジェ姿の凛を見て、那月は手に、腰を当てる。
「凛ちゃんのママに内緒で来たんじゃないの? 見つかったら怒られるよ」
「大丈夫だもん。朝になって凛のお部屋に戻ればバレないもん」
「私の部屋で寝るつもりで来たの?」
呆れて軽く睨むも、凛は、きゃははと甲高い声で笑い、那月のベッドへと飛び込む。
「凛、那月お姉ちゃんとお泊り会、やってみたかったの! 本当はお菓子持ってきたかったけど、飲み物でガマンしたんだよ。凛、えらいでしょ」
もはや、那月の具合を気遣うことが、完全に形式だけになっている。
お菓子、つまりは那月を縮めるチョコレートを持っていないだけ、まだ良かったのかも、と那月は思いなおす。
ベッドに寝転がる凛の横に、那月は座り、凛が用意したカップを手に取る。
「もー。飲み物でも歯磨きしなくちゃダメでしょ。これ飲んで、ちょっとだけおしゃべりしたら、一緒に歯磨きして、凛ちゃんはお部屋に戻りなさい」
「えー! 凛はここで那月お姉ちゃんと一緒に寝るの」
「寝ても、凛ちゃんのこと、私、お部屋に運んじゃうから」
「むー……!」
不満げに頬を膨らませる凛に、くすりと笑う。
いつもは小さくされて、凛になすがままの那月だが、こうして見ると、凛が一回り以上年の離れた子どもであることを思い出す。
凛が、お気に入りのキャラクターが描かれたカップを手に取り、ふぅふぅと息を当てて、冷ました後、ホットミルクを飲むので、那月も手元のカップに口をつけた。
暖かなミルクに、ほんのり甘い香りと味がプラスされていて、那月は惹かれるように、こくりと飲み干してしまう。
「美味しい……。なんだか不思議な味……。凛ちゃんが作ってくれたの?」
「そうだよ」
那月からカップを受け取り、凛がウェイトレスのようにポーズを決めながら、サイドテーブルへとカップを置く。
「すごいでしょ。凛、特製のホットミルク!」
「すごいねえ」
素直に褒めれば、凛が誇らしげに胸を張る。そして、じっと那月を見つめる。
「? どうしたの、凛ちゃん」
「そろそろかなあ、と思って」
「そろそろ?」
「那月お姉ちゃんのホットミルクには、チョコレート、混ぜてたから」
「えッ」
しれっとそう言われ、ぎくり、と身体を強張らせたと同時に、那月は全身が、ドクンッと熱くなるのを感じた。
「ひぅッ! ぁ……ッ、ぃやッ、身体が……ッ!」
「何かに混ぜると、ちょっと小さくなるのが遅くなるみたい。うふふ。那月お姉ちゃんが、ホットミルク気に入ってくれて、凛、うれしいな」
無邪気に笑いながら、凛が、那月の変化を楽しんで見つめる。
その横で、那月は、身体の変化に伴い訪れる快楽に呑まれていっていた。
「ぁあぁッ! らめぇッ! 小さく、なっひゃう!! 止まって、とまってぇええ! あぁあああああああああッ!!」
ビクビクンッと身体を跳ねさせながら、那月は、ベッドの上で、しゅるしゅると身体を縮ませていく。
スリッパが足からずり落ち、ネグリジェがみるみるうちに、那月を飲み込む。
やがて縮小を終えた那月は、背襟についたサテン生地のブランドタグの上に、ぽすんと倒れ込んだ。
「ハァッ、はぁ……ッ、ハァッ」
息を荒くして、快楽の余韻に浸りながら、那月は、大きな凛を見つめる。
「うふふ。今日は、凛、那月ちゃんと一緒に寝るんだ~」
「凛ちゃん……ッ!」
ネグリジェに埋もれた那月を、凛が取り出す。
「お人形さんのパジャマも、こんなときじゃないと着せられないもんね」
密かに持ち込んでいたらしい、ドールサイズのネグリジェを、まだ熱を帯びた那月に、凛が嬉々として着せていく。
フリルとリボンのついたネグリジェを着せられた那月は、凛の手の中で、ばたばたともがく。
「もう! 急に私のこと小さくさせて、何するの、凛ちゃん! こんなことしたら、私のこと、小さくさせてるのバレちゃうでしょ」
「大丈夫だもん。朝になったら、ちゃんと戻すもん」
「それまでに、凛ちゃんのママが起こしに来るかもしれないでしょ」
「ママ、朝弱いし、いっつも家にいないから大丈夫だよ」
「それでも、私が泊まってるんだから、様子見に来るでしょ……」
那月は言いながら、凛が寂しそうな顔をしていることに気付く。
夫婦そろって、忙しいが故に、那月がこうして凛の家に、たまに来るようになったのだが、やはり寂しい想いをよくしているのだろう。
那月としては、身体を縮ませられていることがバレたら、凛も怒られるだろうし、こちらも散々、凛による人形遊びで淫らな体験をしてしまっているので、この状況は避けたいのだが。
どう説得しよう、と悩んでいると、凛は那月を抱えたまま、ベッドに潜り込んでしまう。
「明日の朝、早くに凛が起きて、那月ちゃん戻してあげるから。だから大丈夫でしょ」
言いながら、凛の声が、半分、眠気を帯びていることに気付く。
「待って、それなら、せめてアラームかけるか、元に戻すお菓子、すぐ傍に置いておいて!」
「凛、起きれるから、だいじょうぶ、だもん……」
「お昼寝のとき、いつもアラームかけてるって、前、ママが言ってたでしょ?! 凛ちゃん、待って、寝ないで!」
那月が小さく叫ぶも、凛は溶けるように、こてん、と眠りこけてしまった。
もぞもぞ、と凛の手の中から抜け出し、那月はきょろきょろと辺りを見渡す。
そして、ベッドの横のサイドテーブルに、那月は自分の携帯を見つけた。
あれで、せめてアラームをつけられたら。
しかし、ベッドとサイドテーブルの間は、今の那月の背丈以上の隙間が空いており、断崖絶壁と化している。
那月はベッドの端っこで、四つん這いになってその崖を覗き込み、そして、向かいのサイドテーブルを見つめる。
ベッドは、シーツや布団がある分、まだ、なんとか床へと降りられるかもしれない。
けれど、サイドテーブルは、つるつるの木製の板で出来ていて、なんの尖りも見当たらない。
この小さな身体で、登るのは、かなり困難に見える。
こんなに大きなベッドに、座って腰掛けてたなんて……。
那月は、改めて、自分の今のサイズを思い知る。
再び大きなベッドで眠る、大きな凛を見つめる。
スゥスゥと、規則的に寝息を立てる凛に近づき、凛と布団の隙間に入り込む。
那月を、元のサイズに戻すお菓子を持ち込んでいないだろうか。
四つん這いで、進めば進むほど薄暗くなる隙間を進む。凛のお腹の近くまで進み、那月は、必死に目を凝らしながら、凛の寝間着を確認する。
しかし、ネグリジェに、そもそもお菓子を隠せるようなポケットが見当たらない。
くいくい、と小さな手で、凛の大きなネグリジェを触るも、布が擦れる音しか聞こえず、那月は、大きな布団の中でため息をつく。
「凛ちゃんのお部屋のおもちゃ箱にしかないのかな……」
ぽつんと呟いたと同時に、凛が「うぅ~ん……」と寝言と共に、寝返りをする。
ギョッとしながら、慌てて、那月は、凛とは反対側の布団の中へ、必死で逃げる。
今のサイズで、凛に乗られると、さすがに潰れてしまうかもしれない。
薄暗く、重い布団に押し付けられながらも、必死で那月は、四つん這いで進む。
小さい頃に、運動会の障害物競争で、布の下をくぐる競技があった、と遠くで思い出していると、ふいに、ガクンッと手が、バランスを崩した。
「きゃッ……!?」
そのまま、身体全体が、引き込まれるように、下へ下へと落ちていく。
必死で、凛から離れている内に、ベッドの一番端にまでたどり着き、端から落ちてしまったのだ。
「ぁああぁああああああッ!!!」
ベッドの端と布団の隙間で、那月は叫び声をあげながら、床へと落下していく。
厚手の布団で、視界が薄暗いまま、落下による風を全身に感じながら、那月は目を瞑った。
――死んじゃう!!
覚悟と同時に、ぼふんっ、と柔らかな衝撃に包まれた。
「……?」
恐々、そっと目を開けると、フリルをあしらったリボンが目に入る。
那月が身体を縮める前に着ていたネグリジェだった。
布団の下を、ほふく前進している内に、ベッドの下へと落ちていたらしい。
ほっと、安堵してから、那月は身を起こす。
自分の背丈の何倍もの大きさとなったベッドを見上げ、それから、大きな広々としたゲストルームを見渡す。
変わり果てた部屋を一瞥してから、那月は、ぺたぺたと、裸足で床を進む。
高級そうな絨毯が柔らかな感触を返し、大きなホールの中を歩き進んでいるようだと錯覚しながら、那月は出口の扉までたどり着いた。
元の大きさに戻るお菓子が置いてある、凛の部屋は隣だ。
通常のサイズなら、なんてことない距離だが、今の那月には、果てしなく遠い。
扉の前で、那月はしゃがみこみ、木製の扉の下の隙間を覗き込む。
2センチ程の隙間から、廊下の間接照明が見える。しかし、ドールサイズに縮んだとはいえ、那月が通り抜ける程の隙間には至らない。
那月は、そっと、引き戸に、小さな手を触れる。
扉が開かなかったら、諦めよう。
そう決意してから、ぐ、っと力を込めると、引き戸は意外にも、カラカラと静かに音を立てて小さな隙間を作った。
そっと、隙間を維持させながら、那月は廊下を慎重にうかがう。
品のある間接照明が、ほんのりと長い廊下を照らしているが、静寂そのものだった。
意を決して、那月は、大きな廊下へと、小さな身体で踏み入れた。
*
とてとて、と小さな足音を鳴らしながら、隣の凛の部屋を目指す。
この小ささで、傍に凛がいない状態で行動するのは、初めてだった。
ましてや、今は、凛の両親もいる時間なのだ。
一秒でも早く、凛の部屋に駆け込まなければ、と那月は小さな身体で、必死に走る。
凛の部屋の前に着き、ゲストルームと同じような吊り引き戸に、那月は力を込めて引っ張る。
カラカラカラ……、と小さく音を立てて、扉が隙間を作る。
薄暗いその部屋に、那月は、飛び込むように入った。
カーテンから漏れる街灯のみで照らされた、凛の大きな子供部屋。
何度も訪れたことのある部屋に辿り着き、ほっと、息を吐く。
部屋の遥か彼方と化した、奥を見つめれば、凛の大量のオモチャが目に入る。
あの山の中にある、小さな宝箱、といっても那月にとっては大きなそれに、目的のお菓子はあるはずだ。
よし、と那月は気合を入れて、歩を進める。
もしもの時のために、何個かあわよくば持っておこうかしら。
と、今後の自分の身を守る策をふと思いつく。
そして、同じ箱の中に、きっと入っているであろう、那月を縮めるチョコレートのことにも、思考が辿り着く。
もし。
そのチョコレートも持って帰れたら……?
例えば、誰にも邪魔されない自宅で、自ら小さくなることだって可能になるのでは?
そうすれば、背徳を感じることなく、思いきり、淫らに、自分の思うまま、小さな身体で、一人で愉しめるのでは。
くらくら、と、快楽への誘惑が、頭を巡り、ハッと我に返る。
考えを振り払うように、那月は、首を左右へと振る。
何考えてるの!
とにかく、今は、元に戻ることが最優先なんだから!
この大きさになると、感度が上がるせいか、いつも、すぐに考えが淫らな方へと逸れてしまう。
深呼吸をして、落ち着かせ、そして、ふと大事なことに気付き、那月は振り返る。
吊り引き戸を、那月が通れるほどの隙間を作ったまま、歩き進んでしまっていた。
廊下の間接照明による、ほのかな光の道が、那月へと伸びてしまっている。
念のため、閉めておいた方がいい。元に戻る前に、凛の両親でも来たら大変だ。
那月は、小さな足音を鳴らして、再び、吊り引き戸へと進み始めた。
その時。
カタカタ、と小さな音が廊下から聴こえてきた。
ビクリ、と身を震わせ、思わずその場に凍り付く。なんの音だろう。どんどんこちらに近づいて来ている。
きょろきょろと周りを見つめ、どこかに隠れた方がいいかも、と考えている最中、ガタリ、と吊り引き戸の隙間から大きな音が聴こえる。
那月は扉に目をやり、そして、息を呑んで後ずさりした。
隙間から、小さな赤い光を放ちながら、凛の部屋を凝視する機械が見えた。――自動掃除機のロボットだった。
ガタン、ガタン、と何度か音を鳴らした後に、カラリ、と引き戸の隙間が広がってしまう。
それを更に押し広げるように、丸い自動掃除機が、凛の部屋の中へと侵入してきた。
部屋に入り切ると、反動で引き戸が、カタン、と閉まり切り、部屋が再び、薄暗い密室へと変わる。
ロボット掃除機の側面には、凛の両親が務める有名な研究所のロゴが、那月の顔よりも大きな文字で、描かれている。
そのすぐ下に、不気味な赤い光が、ぐるぐると方角を探るように動き、那月の足元にも、その光が届いた。
那月は、血の気が引く程に恐怖を覚え、ロボットに背を向け、全力で駆け出した。
ロボット掃除機の高さは、今の那月より、ほんの少し低い程だ。
丸みを帯びたフォルム全体は、今の那月には、ベッドにも成り得る程に大きい。
捕まれば、那月を吸い込むことなんて容易いだろう。
ウィンウィンウィン、と静かなモーター音を背後に聞きながら、那月は、泣きそうになりながら部屋の中を走り続けた。
どこか、ロボット掃除機が入り込めないような場所に逃げなければ。
吸い込まれて、ゴミと共に息絶えてしまう。
大きな凛の部屋を、走りながら、左右を見渡す。
普段から、ロボット掃除の侵入を許した作りにしているのか、ベッドもテーブルもソファーも、全て脚下に大きな隙間ができてしまっている。
ロボット掃除機の手の届かない場所に行くには、小さな那月にしか入れない狭い場所にいくか、ロボット掃除機が登れない場所をよじ登るしかない。
もともと目指していた凛のオモチャ入れなら、隠れる場所も多いし、何より元の大きさに戻れるお菓子がある。
しかし、徐々に、ロボット掃除機のモーター音が近づき、那月との距離を縮めてきている今、最奥のそこに辿り着く前に、吸い込まれてしまいそうだ。
息を切らしながら、那月は、一番近くにあるソファーの脚下へと駆け寄った。
急な方向転換にも関わらず、ロボット掃除機は、那月と同じようにソファーへと近づく。
センサーによって、確実に、那月を認識し、追跡している。
那月を、虫か何かと思っているのかもしれない。
「ハァッ、ハァ……ッ、こ、来ないでッ!」
荒い呼吸をしながら、那月は、必死でソファーの脚にしがみつき、震える身体を叱咤しながら、よじ登る。
木製の脚を少しずつ進み、革張りのソファー部分に頭をぶつける。
以前、凛の部屋に来た時に、心地よさを感じながら、このソファーに座ったことを思い出しながら、那月はソファーに小さな手を伸ばす。
革張りのそれは、つるつるした感触を返し、汗ばんだ手を拒むかのようだった。
どうしよう。大きすぎて登れない。
ソファーじゃなくて、ベッドの方にすべきだった。
――ガタンッ!
「ひぅッ!」
ソファーの木製脚に、ロボット掃除機がぶつかり、振動で那月は揺さぶられる。
――ウィンウィンウィン、ガタンッ!
――ウィンウィンウィン、ガタンッ!
「ゃ……ッ、い、いやッ! 揺らさないで!」
那月は震えながら、眼下のロボット掃除機を見つめる。
ロボット掃除機、本体の真上に降りてみようか……。
それとも、ソファーの上を、なんとか目指してみる?
恐怖の狭間で、必死で考えている最中。
――ギュイーン
何かの制御音なのか、これまでと異なるモーター音を、ロボットがうなり、那月はビクンッと驚きで震える。
そして、バランスを崩してしまった。
「ぁ……ッ!」
汗ばんた手が、木製脚から離れ、那月の身体は床へと落下し、ロボット掃除機の目の前へと、ぽとりと落ちた。
ギラリ、と赤い光に、那月の小さな身体が照らされる。
しりもちをつくように、床へと落ちた那月は、光に包まれながら、身体を動かせないでいた。
自分より大きな、ロボット掃除機が、トラックか巨大な蟲のように見える。
掃除機の両サイドに、巨大なはけが、一つの塵も逃さないよう、わしゃわしゃと蠢いている。
そのはけに、那月は大きなゴミのように捕まえられ、ロボット掃除の内部へと引き込まれていく。
恐怖から我に返った那月が、ようやく上げた小さな叫び声は、ロボット掃除機のモーター音にかき消されてしまった。
*
薄暗い、静かな夜。
子供部屋と呼ぶには随分と広い部屋に、一台のロボット掃除機が、ソファーの傍でひっそりと念入りな掃除をしていた。
ウィンウィンウィン、と規則正しいモーター音を立てながら、その場に留まり続けている。
傍から見れば、ソファーの脚の下のごみを取り除いているようにしか見えないだろう。
そのロボット掃除機の真下に、身体を縮められた那月が、吸い込まれかけているなんて、思いもしないだろう。
「ぃやああああぁああッ!! 助けてッ、助けてぇええええ!!」
那月は、ロボット掃除機の真下で、巨大なハケと、回転し続けるほこり吸引部分に、小さな身体をいたぶられ続けていた。
「誰かッ、誰かぁあああああッ!!」
必死で泣き叫ぶも、小さな身体での叫び声は、ロボット掃除機のモーター音にも及ばない。
ソファー下の絨毯に、うつ伏せで必死でしがみつき、吸い込まれないよう耐えながら、那月は泣きじゃくっていた。
那月をすっぽりと覆いかぶさる程、大きいロボット掃除機だ。到底力が敵わない。
誰かにロボット掃除機を退かしてもらうか、ロボット掃除機の電池が切れるまで、耐え抜くしか他なかった。
薄暗くて、よく見えないが、ほこり吸引口は、那月を吸い込める程の大きさなのだろうか。
吸い込まれてしまうと、那月を見つけてくれる可能性は、かなり下がってしまうだろう。
何より、那月の小さな身体が、衝撃に耐えられるかどうかも分からない。
吸引口の大きさを確認したいところだが、少しでも体勢を変えると、命にかかわってしまいそうで、那月は動けないでいた。
――ギュイーン
那月を、取り除きづらいしつこいゴミとでも認識したのか、ロボット掃除機の吸引力が上がる。
「ヒィッ!」
身体を震わせていると、ビリビリビリ、と背中で服が悲鳴を上げる音が聴こえた。
凛が那月に着せた、人形用のネグリジェが、吸引力に負けて、破れてしまったようだ。
ちらり、と背中に視線を向ける間にも、ネグリジェがどんどん裂けていく。
裂け目は全身に、あっという間に広がり、ギュルギュルギュル、と音を立てた後、スポンッと、ネグリジェが吸引口に吸い込まれていった。
「ぁ……ッ」
衣類を失った那月が、呆然としている最中、巨大なハケが、再び那月を襲う。
「ひぁああッ!!」
地肌に直接触れるハケが、那月の全身を撫でつける。
ほこり吸引口の、回転するハケが、那月を上からプレスし、絨毯に胸が強く触れる。
ビクビクンッ、と身体が刺激に反応し、熱が上がっていく。
「ハァッ……、ゃ……ッ、こ、こんなときに、嘘でしょ……ッ? あぁんッ!」
息苦しさの呼吸が、やがて、艶めかしい吐息へと変わっていく。
死が迫る程の危機状態にも関わらず、欲のスイッチが入ってしまった身体に、那月は泣きながら熱を上げていく。
「ぁんッ、あぁ……ッ! だめ、だめぇッ、今、それどころじゃ……、ひゃぅッ!」
掃除機に押さえつけられ、那月は身をよじる。
大きな絨毯が、胸や秘部を撫でつけ、那月は嬌声を上げる。
巨大な怪物に、獣のように乗り上げられ、乱暴されているかのような錯覚すら感じてしまう。
ウィンウィンウィンウィン
サカサカサカサカ
ギュイーン
規則的な機械音と、ハケの音が那月を包む。
那月の様子などかまうことなく、無慈悲に刺激を与え続けるロボット掃除機とは対照的に、那月は余裕をなくしていく。
「はぁッ、あぁ……ッ! も……ッ、ゆるし、て……! ぁんッ! 私、ゴミじゃないの、ぁあぁんッ!」
絨毯を掴む手が、少しずつ弱まっていく。
大きな《ゴミ》を吸い込ませようと、ハケが那月を強く押し付け、吸引口の回転するハケへと押しやる。
回転を続けるハケが、那月の全身を撫でつけ、那月の背中や柔らかな臀部が、押さえつけられる。
大きなハケが、臀部の割れ目にも入り込み、いたずらに、那月の割れ目もなでつける。那月は、ハケの下で、小さく口を開けて、快楽に呑まれていく。
「ぁあぁ……ッ! そんなとこ……ッ、掃除しちゃ、らめぇッ! あひゃぅッ!」
小さく跳ねあがる身体は、回転するハケに押さえつけられ、那月は、ロボット掃除機と絨毯の間で、小さく跳ね続ける。
傍から見れば、小さなゴミが、絨毯に引っ掛かり、掃除機に吸われかけているようにしか見えない。
しかし、那月本人にとっては、巨大なハケと絨毯の大きな毛による高速のピストンで、身体をなぶり続けられている状態だった。
ロボット掃除機と絨毯の合間を、高速で行ったり来たり。
その都度、ハケと絨毯が那月の割れ目を激しく撫でつけていく。
那月は、快楽に溶けきった顔を浮かべて、小さな身体で、嬌声を上げながら、揺さぶられ続けた。
「あぁあああああッ! 吸い込まれちゃうううぅううッ! 那月、お掃除されちゃううぅううッ!! きもちいいッ、お掃除されちゃうのに、きもちいいのぉおおッ!! らめぇえ、らめぇええ!! また身体、おかしくなっちゃうぅううッ! たしゅけてぇえええ!!!」
ウィンウィンウィン
ギュイーン
那月の喘ぎなど、なんの関係もなく、ロボット掃除機が機械音を上げる。
「あぁああんッ! あぁああんッ! あぁあああんッ! イっちゃう! お掃除されながら、イっちゃう!! いいの、きもちいいのおおッ!!! あぁあああッ、あぁあああああああああああああああああッ!!!!」
ロボット掃除機と絨毯の狭間で、那月は、小刻みに震えあがる。
ビクビクと、唾液を垂らして、目に火花を飛ばしながら、絶頂を遂げている間も、ロボット掃除機は、変わらず、那月を掃除し続ける。
無意識のうちに、那月は、身体を絨毯に押さえつけて、臀部を見せつけるように腰を上げて、絶頂していた。
そのわずかな体勢の変化を、ロボット掃除機は見逃さず、大きなハケが、那月の腹の下に滑り込んだ。
そして、快楽でとろけきり、恍惚とした表情を浮かべる那月を、大きなハケが、くるりとひっくり返したのだ。
「ふきゃッ!」
予期せぬ動きに、達したばかりの那月は対応しきれず、簡単にひっくり返ってしまう。
仰向けに寝転がった那月に、ロボット掃除機は、回転するハケで、容赦なく撫でつけてきた。
「あぁああひゃぁああああああああッ?!」
那月は、自身の柔らかな胸や、すらりと伸びた脚、絶頂で溶けきった蜜壺に、桁違いの刺激を受け、泣き叫ぶ。
絶頂で弛緩し、力が抜けた那月の小さな身体は、巨大なハケに押され、回転する吸引部の中央へと、簡単に吸い寄せられる。
しかし、那月の小さな身体は、小さいといえど、回転するハケを潜り抜けて、吸引部の最奥へと吸い込まれる程の小ささには達しておらず、回転部に引っ掛かる大きなゴミと化してしまっていた。
「あぁああぁああああッ! ひゃめへぇええええええッ! ひぁあああああああああッ!」
振動に合わせて、那月は揺さぶられながら、声を上げる。
仰向けで、絨毯の毛に掴まりながら、再び、那月は高速のピストン運動を強制的にさせられる。
脚を広げて、跳ね上げられ、吸引部の回転するハケに割れ目全体をかき混ぜられた後、絨毯の上に振り落とされる。その繰り返しだった。
柔らかな胸にも、押しつぶす程に押さえつけるハケが連続して回転と共に、襲っていく。
那月は、上下へとめちゃくちゃに揺さぶられながら、視界が白んでいくのを感じた。
自分が、絶頂を迎えているからなのか。
狭い空間で、吸引を繰り返され、呼吸が追いついていないのか。
小さな身体が、限界を迎えているのか。
もはや判断がつかなかった。
「あぁぁあぁああッ! ぁぁあぁあああッ! あぁああああぁッ!」
那月は、焦点の合わない目をして、小さな口を大きく開け、唾液を零しながら、ひたすらに喘ぎ続けた。
規則的にモーター音を立てるロボット掃除機と呼応して、ただただ、刺激に合わせて、声を出す。
やがて、連続絶頂に耐え切れなくなった那月が、ずるり、と絨毯の毛を掴む手の力を緩める。
那月の小さな身体は、《引っ掛かり》を無くし、身体がふわりと浮いて、回転する吸引部へとはりつく。
絶頂の狭間で、那月は、スローモーションのように、自分の身体が吸い込まれる瞬間を見ていた。
しかし、吸引部の隙間は、小さな那月を吸い込みきる程の大きさは伴っていない。
吸い込みきれない《大きなゴミ》を張り付けるように、ロボット掃除機は、吸引部に那月を吸引し続ける。
「あぁぁあぁあッ、離しッてぇ! ふきゃあああッ! ぁあぁひぃいッ」
全身を回転するハケで撫でつけられながら、那月は身体を反らすように吸われ続け、泣き叫ぶ。
那月が宙に浮いた今、絨毯との引っ掛かりを無くしたロボット掃除機は、大きなゴミの吸い込みが完了したと判断したのか、その場に停止することをやめて、動き始める。
――那月を、吸引部にはりつけたまま。
「あぁあぁあああッ! いやぁあああッ! 降ろしてぇええ! 離してぇえええ!」
回転するハケが、那月の身体を犯し続けられながら、ロボット掃除機が、凛の部屋を徘徊していく。
ガタゴト、と、いたずらに床や絨毯の小さな段差で揺れる振動で、那月の身体は揺さぶられていく。
必死で、那月は、ロボット掃除機から離れようとするが、吸引が強すぎて敵わない。
仰向け状態で、脚を大きく開いたまま、掃除機の裏面に張り付く様は、巨大な化け物に抱かれたまま、移動しているかのようだった。
那月は、ロボット掃除機の裏面に、吸い付けられながら、人知を超えた快楽を与え続けられる。
「ひゃめぇえええッ、もう、ゆるひへぇええッ! あぁあひゃあああッ、また、わらひ、ひぐぅううッ!!」
小さな抵抗として、掃除機の裏面から離れようと、掃除機を手が押さえつけていたが、やがて、だらりと力を無くし、その手も吸い込まれ、吸引部へと張り付く。
吸引の振動に伴い、揺さぶられる那月は、律動に合わせるかのように腰を揺らす。
もはや、逃れることを諦めた那月は、吸い付けられた裸体が揺れるたび、だらしなく口を開き、声を漏らす。
「あぁあんッ、あぁ……ッ、いい……ッ、いいのぉ……ッ! あぁああッ、ヒグゥッ! ヒグゥうっ! はぁあああんッ!」
ぐるぐると、ロボット掃除機が、那月を犯し続けながら、凛の大きな部屋を掃除していく。
那月の小さな身体の隙間から、部屋のゴミが吸い込まれていく。
それらと同じように、小さな自分自身が、ゴミとして扱われて、大きな部屋を連れまわされている。
けれど、同時に、全身を、回転する大きなハケで撫でつけられ、那月に強烈な快楽を与え続けていく。
那月の理性は、とっくに焼き切れ、自ら、腰を振り、自身の秘部を押さえつけていた。
巨大な化け物に悦んで身を捧げる小さな虫のようだ。
気持ちいい……! もう何も考えられない。
私、もう、ここから離れられない。
「あぁあひぃいいんッ! あぁああぁああッ! もっとぉおッ! もっといっぱい、那月のこと、お掃除してぇえええッ!」
恍惚とした表情で、快楽しか目に入らない雌と化した那月が、大きく腰を打ち付ける。
モーター音の狭間に、那月の小さな蜜壺から零れる水音が混ざる。
ガタガタと、ロボット掃除機が揺れる。
その揺れが、那月には、巨大な化け物が、腰を動かしているようにすら感じて、嬌声を上げる。
「あぁあああんッ! お掃除、らいしゅきッ! イクゥッ! またイっちゃうううッ!! あぁああああぁあああんッ!!」
ガタガタと、大きな揺れを伴う。
那月はかまわず、腰を打ち付け、喘ぎ叫びながら、絶頂へと上り詰める。
「しゅきぃいいッ! しゅきいいぃいッ!! 那月、小さい身体でえっちするの、大好きぃいいッ!! イクッ、イクゥうっ! あぁあぁあああ、あぁあああああああああああああああッ!!!!」
吸引部に、必死でしがみつきながら、那月は大きな絶頂に辿り着く。
ガタガタと、ひときわ、大きく、ロボット掃除機が揺れる。
ガターーンッ!!!
「あぁぁあああぁああああああああああああああああああッ!!!」
那月を張り付けたまま、ロボット掃除機は、ひっくり返った。
凛の片づけそこなったオモチャを避け続けるうちに、おもちゃの山へと乗り上げ、足を取られたのだ。
エラー音を鳴らした後、ロボット掃除機は、動きを止める。
緊急停止したことにも、那月はしばらく気付かず、ひっくり返り、止まった吸引部のハケの上で、ひとり、ハケに抱き着いていた。
未だ、吸引でもされているかのように、身体を自身で揺らしながら、腰をハケに打ち付け、恍惚とした表情を浮かべている。
虚ろな視線と共に、ひとり、ぐちゅぐちゅと水音を鳴らして動く様は、壊れた小さなオモチャのようだった。
那月の大きさを元に戻すお菓子は、結果として、すぐ傍のオモチャの山の中にあるのだが、もはやそれを食べたところで、戻るのは那月のサイズだけであり、今日一日で快楽を徹底的に叩き込まれた身体は、元には戻らないだろう。
そんなことに気付くことはなく、那月は、薄暗い大きな子供部屋で、壊れたオモチャのごとく、しばらく腰を揺らし続けていた。
溶けきった笑みとともに。
タゴシロー(改名)
2021-05-03 07:54:00 +0000 UTC