白いシーツが、大きな海のように見える。
自分の背丈より大きくそびえ立つ掛布団の合間を、那月は必死でもがくように走る。
けれど、すぐに背後から黒い大きな影が覆い、那月の全身を、がしりと掴む。
片手で那月を掴めてしまう程の大きな手が、那月を掴んで離さない。
ふわりと高く持ち上げられ、自分が必死で逃げ回っていた場所が、子供用のベッドだということが分かる。
大きな手の中で、振り返れば、じっと、自分を見つめる大きな瞳と目が合う。
「――どこ行くの、那月。戻れなくなっちゃうよ」
近所に住む、那月よりずっと年下の幼馴染、陽和だ。
那月は、陽和の大きな指に、小さな手を乗せて、泣きそうな顔で陽和を見つめる。
「戻りたいんだろ?」
問われて、那月は、小さく何度もうなずく。
「じゃあ、ちゃんとここにいなきゃダメだろ」
「で、でも……」
「今日は、枚数、増やすって前から言ってたじゃん」
増やす、と聞いて、那月は、ビクリと身体を震わせ、首を横に振る。
「やだ、やだ。やっぱり、いやだ。私、これ以上、小さくなりたくないっ」
じたばたと手の中で暴れれば、陽和が小さくため息をついて、手の力を強める。
「ひ、ぅ……ッ、く、苦しいよぉッ、陽和くんっ」
「那月が大人しくしてないからだろ」
手中の那月に、冷たい視線を送ってから、陽和が那月を握りしめたまま、ベッドの上へと両ひざを乗せる。
壁際に進み、壁に貼られたコルクボードに、空いた手を伸ばす。
ボードにかけられたキーホルダーのボールチェーンを、ひとねじりして、その隙間に、那月の手をくぐらせる。
もう片方の手も、同じようにして、那月をコルクボードへと押し当てる。
明らかに、これまでと異なる良からぬ展開に、那月が言葉を失い、震えていると、
陽和が、空いた手をコルクボードに伸ばし、ピン型の画びょうを手に取る。
ちらりと、那月を見つめて、画びょうを近づける。
ぞくり、と身体が震える。
虫の標本か何かのように、刺されてしまう?
「ぁ……、よ、陽和く……ッ、あの……」
「動かないでよ、那月。服破れるよ」
大きなピン型の画びょうが目と鼻の先に近づいてくる。
「ぃ……ッ、いやぁあああッ、やめて、やめて! 刺さないで!! ごめんなさい、もう逃げないからっ!」
目を瞑り、ぼろぼろと、涙を流しながら叫ぶと、とすん、と大きな針が、コルクを刺す音が間近で聴こえる。
恐る恐る、目を開ければ、那月の小さな脇の下にピン型の画びょうが来るよう、刺されている。
反対側の脇にも、画びょうが刺され、那月は、両脇の下の画びょうと、キーホルダーのボールチェーンで身体を支える形となる。
小さな涙で濡れた頬を、陽和の大きな指が、そっと撫で、涙が拭われる。
「ふふ。飾れちゃったね。本当に、那月、小さくなったんだな」
感心するように笑う顔には、邪気が見られず、逆に那月は恐怖を覚える。
自分が小さくなったことで、本来のサイズではありえないような乱暴な扱いを、陽和は無意識に行っている。
それは同時に、那月自身が、今は、いかに非力で、裁断を握られた状態であるかを思い知らされた。
ぶらぶら、と宙に浮いたままの足元を見つめる。
体感、十数メートル下は、ベッドのシーツがあるが、壁とベッドにはわずかな隙間が生まれているし、ベッドには木製の小さな柵がついている。
下手に落ちたら、柵に小さな身体を強打するか、ベッドと壁の暗い隙間に落ちることになる。
どちらにしろ、ただでは済まない。
ぞくり、と身体が震える。
ボールチェーンで雑に支えられた手首を見つめる。
陽和に貼られた赤いシール。
きっと、あれを剥がさないと、元には戻れない。
けれど、こんな不安定な状態で、自力で剥がすのは無理だ。
パニックになって、大きなベッドで逃げ回っている場合じゃなかった。
あの時、試しに、剥がしてみれば良かった。
後悔に駆られながら、那月は、陽和をなんとか見つめる。
「よ、陽和くん……。あの……、足が浮いてて怖いから、足場も欲しいんだけど……」
「足? あ、そっか。でも、すぐサイズ変わるんだし、那月の今の軽さなら、簡単に落ちないと思うよ」
けろり、と言葉を返し、陽和が、コルクボードのピンに、プラスチック製のメジャーを引っかける。
その反動で、コルクボードが軽く揺れ、那月の小さな身体も振動を受ける。
「ヒィッ……! よ、陽和くんっ、怖いよ、落ちちゃいそうで、怖いの」
「大丈夫だって。下、ベッドだろ? 那月って結構、怖がりなんだな」
笑いながら、陽和がメジャーをベッドの柵まで下ろす。
那月は、震えて汗ばむ手で、必死にボールチェーンを掴み、下を見ないように、うろうろと視線をさまよわせる。
怖い……、怖い……!
「陽和くん……」
「よし、準備できた。今で、十センチ足らずくらいかな。一枚でこれくらいか。二枚目だと、どこまで小さくなるんだろう」
「二枚貼って、本当に大丈夫なの? 私、消えちゃわない? あの、ベッドの上で測った方がよくない?」
「大丈夫だと思うよ。もらったシールは、もっと枚数あるし」
びらり、とシール台紙を見せられて、那月は絶句する。
一枚で、こんなに小さくされるのに、あんなの全部貼ったら、絶対、もう元に戻れない。
というか、シール本体は、小さくならないのだから、那月にシールを貼ること自体が不可能だろう。
もはや、身体全体より、シール本体の方が大きくなってしまう。
そんな状態で、シールを剥がすとして、自分の身体は、無傷を保てるだろうか。
簡単に折れたり取れたりするんじゃないだろうか。
トリモチに引っ掛かった小さな虫けらのように。
一気にそこまで考えて、那月は、再び、パニックに陥る。
「や、やだやだやだ、もう小さくなりたくないッ! 怖いよ、嫌だぁあッ、お願い、元に戻してええ」
泣きながら、那月が声を上げる。
反動で、コルクボードが、ガタリ、と揺れて、那月は一瞬、驚きで泣くのをやめる。
「那月、大丈夫だって。今日は、増やすの一枚だけだから。ていうか、動くとさすがに危ないよ」
「……ッ、ぅ……」
ほろほろ、と静かに泣きながら、那月は陽和を見つめる。
どうしてこんなことになったんだろう。
必死に記憶を辿るも、自分がなぜ、小さくなって陽和の部屋にいるのかが、思い出せない。
ただ、漠然と、こうやって小さくなったのは、今回が初めてではないということ。
小さくなるのは、手首に貼られている、赤いシールによるものであること。
戻るには、おそらく、赤いシールを剥がすか、青いシールを貼って陽和に元に戻してもらうか、してもらわないといけない、ということ。
それらが、那月の中には、刻み込まれていた。
「そうだ。シールで那月を押さえるようにして、コルクボードで貼ればいいよな。それなら落ちにくいだろ」
ぺり、と音を立てて、赤いシールを、陽和が指先に持つ。
無邪気かつ、どこか楽しそうな表情を浮かべたまま、静かに、陽和の指が近づく。
「ぁ……ッ、ま、待って、だめ……ッ」
那月の震えた小さな声もむなしく、ぺたり、と手首に新たに、赤いシールが貼られる。
そして、すぐに、那月は、ドクンッと身体が反応するのが分かった。
「ん、ヒィッ! あ、ぁぁああッ、か、身体が……!」
全身が熱く唸り、くらりと眩暈がする。
必死で、ボールチェーンを掴みながら、陽和をみれば、彼が大きくなっていくように見える。
いや、陽和だけではなく、部屋全体が、そうだった。
那月は、更に身体を縮めていた。
これまでにない身体の変化と恐怖に、那月は言葉を失い、反応が終えるのを待つ。
ずるり、とボールチェーンが、手から滑りおち、那月の身体は重力に従って、下へと落下しかける。
身体が小さくなりすぎて、脇を支えるピン型の画びょうと、ボールチェーンまでの長さに、小さな那月の腕が届かなくなってしまったのだ。
慌てて、ピン型の画びょうを掴もうとするも、片手だけ赤のシールでコルクボードに固定されているため、バランスを崩し、那月の小さな脇は、ピンから滑り落ちる。
ガクンッと、より大きな反動で、那月の身体は落下する。
「きゃあああッ」
那月は叫びながら、思わず目を閉じるも、コルクボードと那月の片手を固定した赤いシールにより、落下は不発に終わる。
片手だけを、赤いシールで貼り付けられたまま、反動でぐらぐらと振り子のように、小さな身体が揺れる。
「た……、助けて……」
小さく叫ぶも、陽和は、那月のすぐ隣にメジャーをのばし、数値に目を向けている。
「ふーん。五センチくらいになってる。どういう割合で縮んでいくんだろうな、これ」
不可解な顔を浮かべながら、陽和がつぶやく。
ゆらゆら、と那月の身体の揺れは収まらない。更に縮められたということは、先ほどより、ベッドの柵や床は、更に遠くなったということになる。
那月は、震える身体に鞭を打って、必死で口を開く。
「陽和く……、もう、元に、戻してぇ……」
「そうだなあ。さすがに、いきなり、これ以上、増やすのもなー」
うーん、とシール台紙を見つめて、陽和が呟く。
そして、ぺり、と青いシールを一枚、取り出す。
「那月が戻りたいって言うなら、青いシール、貼ってもいいかな」
赤を剥がす、のではなく、青を貼る、方法で戻すようだ。
那月は、ふいに、自身の中のおぼろげな記憶が、少しだけ鮮明になった。
あの青色を貼ると、冷静を保てなくなる。
自分の立場や状況を忘れて、ただただ、ひたすら、性欲に溺れてしまうだ。
そうだ。
前にも、青色を貼った時、自分は淫らに小さな身体で、陽和と肌を重ねたのだ。
どうして忘れていたのだろう。
元に戻ったときに、陽和に触れられるだけで、身体が反応してしまい、かつてない程の情欲が自分をむしばみ、耐え切れず、那月は自ら、この部屋に足を踏み入れたのだ。
なぜ、自分より、何歳も下の、まだ子供と呼べる陽和相手に、自分の身体が淫らに反応しているのか、分からなかった。
何度も何度も、迷い、自分自身を止めようとしたのに、この部屋へ陽和を訪ねに来てしまった。
――身体を縮められていた時のことを、自分は忘れてしまっていたのだ。
「ま、……待って、陽和くん」
「那月。反対側の手首、見せて。そっちを今度は、青いシールで固定してあげる」
にこりと笑って、陽和が近づく。
前よりも小さくなっている身体で、自分が理性を失うシールを貼られるとどうなってしまうのか。
那月が身体を動かせないでいると、陽和が、小さな那月の腕を壁伝いに持ち上げる。
そして、べちゃり、と。
青いシールを張り付け、コルクボードへと固定する。
「ひぃ……ッ! ぁ……ッ、あぁあぁあッ」
ドクン、と那月の身体が震え、熱が上がっていく。
恐怖が性欲に呑まれていき、不安定な拘束状態だということも、那月の中で次第にどうでもよいことに変わっていく。
むしろ、酷くされていることすら、熱を上げる材料へと変わる程だった。
呼吸を荒くして、頬を熱で染める那月を見て、陽和は妖しく笑う。
「怖がってるのも可愛かったけど、そっちの那月、俺、好きだな」
「ハァ……ッ、ハァッ……、陽和くん……! いっぱい、触ってぇ」
「いいよ」
両手を拘束されたまま、那月が腰をくねらせる。
陽和が、机上のペン立てから、絵筆を取り出す。
「五センチの那月は、初めてだから新鮮だな」
言いながら、筆先を、那月の小さな頬に充てる。
柔らかな毛がふわり、と那月を撫でる。筆先が頬から、首筋へと流れ、那月は身体を反らす。
「ふぁ……ッ」
制服のシャツ越しに、筆が那月の胸をなぞる。
むにゅう、と胸の形が変わる程に、押し付けられて、那月は目を輝かせながら、嬌声を上げる。
「はぁん……ッ!」
胸の周囲を、筆が円を描き、腹部から脚へと伸びる。
スカートの下の脚に、毛先が直接触れ、那月は身体を震わせながら、脚を開いていく。
那月の期待に応えるように、陽和は、那月の脚の合間へと絵筆を忍ばせていく。
膝丈のスカートがめくりあがり、パステルカラーの下着があらわになる。
既に、布地が液に濡れて色を変えているのが見える。
そこを重点的に、太い絵筆が下から何度も押さえつけられる。
「ひぅッ、あぁあッ、あぁああんッ!」
動きに合わせて、那月が声をあげて悦ぶ。
ぐちゅ、ぐちゅ、と布越しにも拘わらず、愛液が増していく音が小さく響く。
ぐりぐりと、絵筆の動きを上下から、前後へと動きを変えれば、那月が連動するように腰を動かす。
「あぁあんッ、気持ちいいよぉっ。もっと、もっといっぱい、那月のこと、触ってぇえ」
すっかり青いシールで我を忘れている那月が、欲に溺れた笑みを浮かべながら声を上げる。
陽和は、筆先で、那月のスカートをたくし上げ、腹部と下着の隙間に、絵筆をねじ込む。
「ひぃああぁんッ」
那月が身体を反らし、コルクボードを小さく鳴らすのもかまわず、絵筆を奥へと進ませ、下着を膝へとずらす。
そして、無防備となった那月の秘部へと、毛束を進める。
恥骨近くに、筆先を束ねる金属部分が当たり、冷たさに那月が声をあげる。
「やぁあぁん……ッ」
その様子に、陽和は、小さく笑みを浮かべ、筆の向きを縦から横へと傾けていく。
たくし上げられたスカートが筆の支えを無くして下がるのを、陽和の大きな指が阻み、指先でぺらり、とスカートをまくり上げる。
ぐしゅり、と、毛束が那月のクリトリスを包むように触れ、那月は、ビクリッと身体を大きく震わせる。
「ひぁあぁぁあぁあッ!!」
秘芽の形を確かめるかのような動きで、絵筆が小さく前後へと動かされ、那月は小さく小刻みに震えながら、短く息をする。
「ぁッ、ぁあッ、ぁんッ、ひゃめっ、ぁあぁッ、よしか、ずっ、く……ッ、あひゅぅうんッ」
絵筆を、ぐるりと上へ突き上げるように傾ける。ビクビクと存在を主張する小さな秘豆を、毛先で側面すべてをなぞるように円を描いて撫であげる。
「ひぃあぁああぁあんッ! ぁッ、あぁッ、らめぇえッ、来ちゃうっ、わたし、イっちゃう……ッ!!」
カタカタ、とコルクボードを鳴らし、那月が両手を磔にされたまま、身体を強張らせていく。
陽和は、熱を帯びた目で、那月の様子を見ながら、筆の動きを増していく。
「あぁああッ、イクゥ! イっちゃうッ、やぁあッ、あぁあああああああああああああッ!!」
ヒクヒク、と身体を硬直させた後、那月が、カクンと脱力する。
とろとろ、と絵筆の筆先から、柄を伝って、那月の愛液が糸を引き、小さな雫が、シーツの海へと落ちていく。
液を吸い取るかのように、ぐり、と陽和は筆を、液が溢れ続ける蜜壺へと動かす。
難なく侵入を許すその奥へと、筆を進めていく。
「ひゃぁうッ! ぁッ、あぁあッ、は、入っちゃううう」
刺激で再び熱を上げる那月が、絵筆を挿されたまま、じたばたと小さく脚を動かす。
こすん、と大きな絵筆は、すぐに最奥に達する。
くりくり、とかき混ぜるように筆を回すと、那月は身体を反らして鳴き叫ぶ。
「あぁぁあああああッ! な、中……ッ、私の中……ッ、かき混ぜ、ひぁああんッ!」
ひたすら増していく水音に、陽和は笑みを浮かべながら、律動を上げていく。
那月が大きく口を開けたまま、はくはく、と息をする。
液は絶えず、溢れているものの、少し、筆を回しずらくなり、那月が筆を締めつけているのが分かる。
抵抗するように、ぐり、と側面をなぞれば、那月が大きく身体を反らして、叫び声をあげる。
「ひきゃあぁぁあああんッ!!!! ら、め……ッ! そこッ、わらひ、壊れるぅぅう!! ひゃめ、あひぃあぁあああああッ、ひゃめてえぇえええッ、あぁああああッ」
那月の反応を格段に変えるそこを、執拗に撫で上げ、速度を上げる。
液がどろどろに溢れ、那月は、膝を立てて、足を壁に押し付けながら震えて跳ねる。
カタカタと、コルクボードを鳴らし、跳ねるたびに、那月の柔らかな胸が、揺れる。
「あぅんんッ、あぁあぁあんッ、たしゅけてぇええッ、おかひくなっちゃう! 那月、壊れちゃうのぉおおッ! あぁあんッ、やぁあああああッ、イっちゃう! イっちゃうよぉおお!! あぁああッ、あぁああああぁあああああああッ!」
大きく泣き叫びながら、那月が達する。
背を反らして、ひくひく、と震えた後、ずるり、と壁を押さえていた足が離れる。
だらり、と身体をシールの拘束に預け、瞳に光を無くしていく。
やがて、そっと、その目が閉じられ、那月は意識を離していった。
*
透き通るような声で、名前を呼ばれ、那月は、そっと目を開ける。
意識が混濁する中、見慣れないベッドに、ふわりと慣れない香りを感じて、ハッと意識が覚醒する。
まぶたをしっかり開けば、眠っていた那月を、じっと覗く陽和を間近に見つけ、慌てて身体を起こす。
「ひゃッ、よ、陽和くん?! あれっ、ここ……」
「俺の部屋だけど」
「なんで、私、またここで寝ちゃってたの?!」
尋ねながら、必死で自分の記憶を辿るも、全く思い出せない。
自分が悩みに悩んで、自ら陽和を訪ねて来たことは憶えている。この部屋に入ったことも。
けれど、そこからの記憶が、ふつりと消えている。
そして、ベッドに座り込み、那月は自分の下着が酷く濡れていることに気付き、かぁああああ、と頬を赤く染める。
一瞬、陽和の寝具の残り香にすら、反応していた自分を思い出し、那月は慌てて、陽和へと顔を向ける。
「陽和くんっ、私、その……、ね、寝ちゃう前、変なことしてなかった?」
「変なこと?」
那月の言葉を復唱し、楽しそうに笑う。
「なにそれ。たとえば、どんなこと?」
「えっと、そのあの……」
自ら年下の彼に迫ったり、この子供部屋で自分の醜い欲を晒したり、とか、そういうことを。
……聞けるわけない。
那月が言葉を返せずにいる様を、どう受け取ったのか、陽和は楽しそうに口を開く。
「なんか寝言は言ってたよ」
「えッ、な、なんて……」
「あはは。秘密。……那月、そんなの言ったりするんだ~って感じの奴」
「なにそれ、教えてよ!」
真っ赤になりながら、那月は、ベッドから降りて、陽和の腕をつかんで睨む。
笑って逃げる陽和を、那月が追いかけ、ベッドの布団が少し揺れる。
その反動で、壁のコルクボードが小さく、カタリと音を立て、ピンにかけられたボールチェーンが床へと静かに落ちた。
タゴシロー(改名)
2021-04-09 00:22:18 +0000 UTC芽キャベツ
2021-04-08 12:56:42 +0000 UTCタゴシロー(改名)
2021-04-07 10:33:38 +0000 UTC