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【今月限定】エアプ


 ふと、物語の書き方について驚かれたことがあるなと思いだしたので、今日はそのことを書き連ねようかなと。


 ネタバレあります。かみまほ、イストリア、るぺかりの。要注意!


 出会う方々の中には僕の作品を知っている方もいらっしゃって、その方からはプレイした作品に応じて、〇〇している人だと思っていました! と言われます。


 特に顕著だったのが、るぺかりのときの、


「演劇経験者ですよね?」


 でした。


 参加される声優さんの中には演劇経験者もいらっしゃって、だからこそ演劇仲間と囚われる節があって……。


 結論から言うと、私は演劇をしたことがありません。

 更に言うなら、るぺかりを書くまでこれっぽっちも興味がありませんでした。


 興味があったのは戯曲の方で、シェイクスピアのハムレットのセリフ回しが好きだったんです。あと、古典文学の古びた美しい言い回しとか。そういうのが好きで、それを全面に押し出せる理由から、演劇に照準を合わせました。


 更に言うなら、演劇を観劇したことすらありません。素人です。取材するために見に行こうと思ったんですが、演劇シーン執筆のタイミングとコロナの流行りがもろ被り。結局、クソエアプ状態で執筆しました。


 ああ、いや、ぱられろの座談会で朗読劇をやったことがあるので、ギリギリエアプじゃないかもしれません。生の演劇体験は、後にも先にもあれだけです。思い返すと、やべえ。


 じゃあ、どうやって演劇をモチーフにお話を作ることが出来たのかと言うと、自分が演劇経験者だと思い込んでプロットを書いたからです。これは冗談でもなんでもなく、自分が生まれたときから主人公のように幼い頃から演劇漬けの毎日を送っていて、才能があったりなかったり、嫉妬したりしなかったり、そういう経験を自分の体験談だと思い込んで細部を作り込みました。


 その上で必要だったのが、本物の声。つまり、演劇経験者の生の体験談です。この世はインターネッツが広がっていて、無名有名問わず、いろんな人がいます。Twitterやブログ、放置された記事など、目につくものから片っ端に脳に叩きつけます。たくさんの演劇経験者の言葉や思想、行動や経験、挫折や成功など。たくさんの人のデータを食べて、飲み込んで、あたかも自分がそれを経験したように錯覚して、物語を想像して、同調し、共感するのです。今回は作中のキャラがみんな演劇経験者なので、特に強く思い込むことに必死でした。インターネットだけじゃなくて、書籍やらも片っ端から買ってたので資料費がえぐかったですね……。演劇評論の本とか、結構高いんですよ。


 作家という存在は、究極のエアプを徹底した存在ですから、思う存分知ったかぶりをしました。その結果、演劇経験者だと思ってくれた方が多くて、少し嬉しかったです。反面、どこかエアプをかましている場所があっても不思議ではありません。でも、それは当然です。だって、演劇のことなんて机上の空論でしか知らないのですから。


 あと思いつくのは、かみまほの瑠璃くんのお父さん。この人、若干(?)狂っていて、絶望的な家庭環境なのに、何故か奥さんとやり直せるて信じていて、そのことを電話で語るシーンがありますが、あれは「将来自分が過程をぶち壊して狂った哀れな男」になった姿を想像して描きました。こんなことを言うんだろうな。そして、傍から見たら異常で、寒くて、恐ろしくて……。


 イストリアのパパもそうですね。猟奇的な犯罪者の思考をたくさん学んで、その中の美学を形どって、想像して描きました。狂った人って、こんな感じの思考で動くんだろうなって。ちょっとアクが強すぎて現実離れしたので、上手く想像できてたか疑問の例ですけど。


 人生や思考を想像して、創造する。そういうプロセスを踏んだキャラクターやストーリーは、結構好評を頂いているような気がします。


 情報が出揃って、十分にイメージできるようになったら、次にキャラクターの行動理念を考えます。演劇漬けの少年を創造しただけでは、足りません。ガワだけ用意しても駄目なのです。


 奇人変人狂人も、美少女もお兄ちゃんも妹も、何かを愛することによって性格が浮き彫りになります。愛するものがあるから怒り、悲しみ、叫ぶ。ずっと、この手順で想像を繰り返して、創造していくのです。そっからはもうあれよ、適当にな!!雑!!


 もっとこの想像の解像度を上げていければ、凄いお話が作れるんだろうなぁ。まだ曖昧なところがあったりするのが、悔やまれる。ここにテーマ性やストーリー性、商業的な要素が加わるとはちゃめちゃになる……。


 書いててすげー気持ち悪いなと思ったので、今月で消す記事になりました。ふふっ。


 僕自身、特別に才能があるわけでも、文章が上手なわけでもありません。

 そんな私が生き残れてきたのは、少数にぶっ刺さる変なリズムの筆致と、この妄想力だと思っています。


 僕は物語を書いているのではなく、文字の上で演技をしているのかも知れませんね。

 

【今月限定】エアプ

Comments

てっきり、演劇が好きなのかと思っていました。 すごいです。

水海 瞬

あなたの文字が好きで、私はとても趣があると感じます


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