SakeTami
ぶんちゃん
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スク水戦闘員を殲滅せよ

「スパイ養成学校?」 少年は眉をハの字にしながら聞き返した。 「ああ、前にも言っただろ。数週間前から調べてるんだが一向に尻尾を掴めん。」 スキンヘッドの大男はそう言ってコーヒーを啜った。 「おいおい…黒崎のおっさん。まだそんなガキみてえな事信じてんのかよ。」 黒崎はただでさえ強面な顔をさらに顰めて舌打ちをした。 もうすぐ30歳に達しようとしている大の大人が正真正銘のガキにガキ呼ばわりされるのはお世辞にも面白いとは思えないだろう。 まあしかし… 「俺も最初は馬鹿げた話だと思った。しかし、もし本当にあるなら今後俺たちの仕事を脅かす存在になるかも知れんだろう。」 こいつはこう言うやつだ。 毎度毎度、黒崎はそう思ってやり過ごしている。 まあすでに慣れたという言い方が正しいだろう。 「で、今回は、何? まさかそんな話するためだけに呼んだの? 勘弁してくれよ〜。この宮本 春樹(ハルキ)。もう高校生なんだから学生の本分である勉強で忙しいんだよ〜。」 着崩した制服。締まりのない顔つき。不真面目という言葉がとてもよく似合うその少年が、全くそうは思ってない風に棒読みで言った。 「まあいい、ハル。俺も決して暇じゃねえんだ。ちゃんと仕事の話も持ってきた。」 黒崎は諦めたようにスキンヘッドの頭をボリボリ掻くと、コーヒーをまた一口啜る。 「今回はどこ?山?海?洞窟?」 「海だ。」 「イイねー。可愛い女の子とキャッキャウフフしながらダイビングでもしたいぜ。」 ハルと呼ばれた少年は自らのカップにコーヒーを注ぎつつ、黒崎の方などそっちのけで口元をニンマリとさせた。 「残念だが今回は紗羅(サラ)は居ない。 お前一人だ。」 「別にあいつの事を言ったわけじゃねえよ…。」 ハルキは心底心外そうな顔でむくれた。 「紗羅のやつに怒られるぞ。」 黒崎が少し意地悪そうに茶化すと、ハルキは誤魔化すように話を促した。 「…ッで?、内容は?」 すると黒崎もすぐに真面目な表情に戻し、一つ、咳払いをすると、 「ついこの前、太平洋側の日本から少し離れたある地点に沈没船を見つけた。 紗羅が潜って調べたところ、明治初期の貨物船だったらしい。」 「なるほどね。今回あいつ抜きでお宝探索する理由が分かったよ。 …てかあいつどんだけ物知りなんだよ。普通ちょっと調べただけで分かるか?そんな事。」 「彼女は博識だ。…どこかの誰かさんとは違ってな。」 「うっせーよ。…まあ、そういやあいつ高校の入試も首席で入学したんだっけか… あん時は俺が大変だったぜ… あいつ、"みてくれ"もかなり良いもんだから、毎日オレのとこに野郎どもが『頼むからあの女の子との仲を取り持ってくれ』って押しかけてきやがった。」 「その男どもに言ってやらなかったのか? 『オレの彼女に手ェ出すんじゃねえ』って」 「か、彼女じゃねーよ!あれは中学の時からのただの腐れ縁だ!」 「どうかな…。まあでもそういう事だ。何でもかんでも彼女一人にやらすわけにはいかねえ。今回はお前一人だ。彼女はサポート役に回す。」 「へいへい…。分かったよ。」 ハルキはやれやれとばかりに肩を竦めた。 とりあえずの話は終わったかのように思えたが… 「しかし、ハルキ。よく覚えておけ。俺たちのやってる仕事、俺たちトレジャーハンターというのは常に危険が付きまとう。 それこそ人間ってのはお宝を目にすると簡単に殺し合いもできちまう生き物なんだ。」 急にしかめっ面になった黒崎に対して、気怠そうな表情で様子を伺うハルキ。 「例えば国のお偉方でさえもこういったお宝を狙っている…。」 「お、おいおい…ちょっと待てよおっさん。 それってどういう意味だよ? 政府が自衛隊のミサイル使って俺たちをやっちまうってことか? いつからこの国は独裁国家になっちゃったんだよ?」 ハルキは黒崎に対し、まるで冗談を返すかの様に問いかけた。 「ああ、確かに平和で民主主義な日本国でそんな大それたことは出来ねえだろう。 だが…もしも誰にも存在を知られていない武装組織があれば…」 「おいおい!やめてくれって…。それってさっきの話じゃねえのか?えと…あの、なんだっけ? すぱいようせいがっこう?だっけか?」 ハルキは思わず吹き出してしまい、つい話を遮ってしまった。 「てめぇら…二人揃って同じ事言いやがる。」 「やっぱそうか! あんた紗羅からさぞ痛々しい目で見られたろうな! だってあいつたまに遠慮無しにズバッと痛い事言ってくるもん!」 …図星だった。 黒崎はまた嫌な事を思い出してしまった。 いくら雇い雇われの関係とは言え、年頃の女子高生にあんな冷めた目を向けられては流石の自分も少しは傷つく。 それにこの目の前にいる無礼な少年はさっきもひと回りも歳上である自分に対して、ガキだのなんだの… …彼はだんだん腹が立ってきた。 「まーでも、顔がいかつくて筋肉もモリモリのあんたにもそんな子供みたいな所があるって知れて…うげっ…逆に嬉しいぜ。」 ハルキは一つ啜ったカップを苦々しげに置くと、諦めたように素早く角砂糖を二つほどコーヒーに放り込んだ。 だから黒崎はせめてもの仕返しとばかりに… 「…背伸びしてブラックで飲もうとするな。子供にはまだ早い。」 「う、うるせーなッ!!背伸びなんかしてねーよ!! 砂糖入れるの忘れてただけだよッ!!」 …図星だったようだ。

スク水戦闘員を殲滅せよ

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