"喋る動物の村"に足を踏み入れた女子高生が太って帰る話 全文(全体公開6215文字+限定公開11028文字、48kg→ピーク時96kg)
Added 2023-12-31 15:50:29 +0000 UTC高校生になって1年が過ぎた。
東案下高校でまあまあ普通な高校生活を送ってはいるつもりだけど、何か物足りない日常な感じ。
それで最近は面白いことに遭遇したいという気分で毎日を過ごしている。
だけど中々そんなことに巡り合えないんだよね……
(今から暇だなぁ……)
7月3日の今日は学校が昼までで終わり。
特に部活にも入っていない私はさっさと高校から出ていつも通り東案下駅まで歩く。
このまま家に帰っても何だか面白くない。
東案下駅に着いた私は、改札口で今まであまりじっと見たことの無い路線図を眺めていた。
折角だからどこかに寄り道してから帰ろうかなーなんて思ったりしたから。
えっと、東案下駅からどこに行けるんだろう……
(『狐影丘(こえいおか)』……?)
東案下駅からずっと先にある、多分一番遠い駅。
名前さえあまり知らないような場所……
(あっ!)
私は何となく電車の発車案内に目を移した。
すると、丁度あと3分後に『快速急行 狐影丘行き』という電車がやって来ると書いてある。
何か全然分からないけど、無性に訪れてみたくなった。
狐という字が入ってるからきつねと関係があるのかも?
もしかしたら観光地かもしれないし、何か美味しいものが食べられるかもしれない。
まあいいや。偶には普段行かない場所に行ってのんびりしよう。
……
『この電車は快速急行 狐影丘行きです。
終点狐影丘へは約1時間20分後に到着いたします』
私はとりあえずやってきたこの電車に乗り、席に座った。
座席は普段乗ってる各駅停車と違って2人掛けの席がたくさん並ぶ配置になっている。
何だか本格的な旅をしてるみたいで面白い。
家の最寄り駅は準急さえ止まらないから、こんな電車はあまり乗ったことなかったんだよね……
……着くまでの時間、どうしよう。
のんびり車窓でも眺めておこうかな……
ゆっくり何もしないのも良いよね……
……なんだか眠い……
……
『狐影丘、狐影丘。
終点です。ご乗車お疲れさまでした』
「はっ!?」
どうやら完全に昼寝をしてしまっていたらしい。
そして私は目的地の狐影丘へやって来た。
(へぇ……)
私の住んでる街や、普段見てる東案下の街は何だかんだで家やビルがびっしりだけど……
この辺りは古い家や田畑が広がっている。
そしてすぐ近くにはそこそこ高い山も連なっていた。
改札を出てみて改めて駅を見ると、かなりこじんまりとした古風な駅舎……
空も広々していて……家の最寄り駅とこんなのどかな場所が線路で繋がってるなんて知らなかった。
(……でも何があるんだろう?)
駅前にあった案内図を見ると徒歩20分以内の距離で何件か旅館や美術館とかがあるらしい。
……だけどそれには特に興味は無いかな。
駅周辺を見廻しても民家がある程度で……
どうしようかな……
ノープランで来たら当然こうなるよね。
私は一旦駅前の小さなロータリーに設置された古びたベンチに座り、そして観光情報をスマホで調べようと……
「ちょっとそこのお嬢さん!」
「な、何ですか!?」
スマホを仕舞って見上げると、目の前にはおばあさんがいた。
いきなり話し掛けて何だろう?
「その恰好からすると東案下の街からやって来たんだろう?」
「えっ!?知ってるんですか!?」
「あたしも東案下にはこの電車で出かけることがあるからのー。
街からわざわざこんな何もない所へどうして来たんだい?」
「い、いや……のんびり過ごして、何か美味しい物でも食べれたらなぁって」
私の言葉を聞いたこのおばあさんは、ニコリと笑った。
「分かった分かった!旨い飯をたらふく食べれる所に連れて行ってやるよ!
あたしに付いてきな!」
「えっ、ありがとうございます……!」
この人……かなり元気なご老人だなぁ。
そういう訳でおばあさんの後ろを付いて知らない道を歩いてる訳だけど……
(あ、暑いなぁ……)
7月に入ったのもあるけど……それにしても蒸し暑い……
汗が出てくるし、ずっと歩くのはちょっと疲れるかも……
だけどこの人の足取りは軽快で、暑さなどへっちゃらという感じ。
その元気は一体どこから来るんだろう。
……
歩き始めて20分が経ったかな……
そろそろちょっと休憩したいよ……
「まだ着かないんですか?」
「このトンネルを抜けたらすぐだから我慢しなさい」
「は、はい」
(このトンネルを抜けたらどうなってるんだろう?)
目の前には小さなトンネルがあり、これを通ったら目的地に着くらしい。
……薄暗くて嫌な感じだけど、さっさと通ろう……
1分ぐらいかなり暗いトンネルを歩き、そして外に出た。
「わぁ……!」
出てきた場所は四方を山で囲まれた本当に小さな盆地で、外から隔絶された世界って感じがする。
狐影丘駅周辺自体も何だかのどかって感じだったけど……もっとすごい。
「あれ?」
だけど……さっきまでいたおばあさんがいない。
どこに行ったんだろう?
キョロキョロ辺りを見ていたら、すぐ近くに狐がいた。
「誰を探しておるんだい?」
「え……えっ!?」
「あたしはここにいるさ!外の世界は仮の姿、これがあたしの本来の姿だな」
「き、狐さん!?」
「ああそうさ。狐だ」
何と……訳が分からないけどさっきまで案内してくれていたのは狐……だったらしい。
そんなことある!?
「ここは動物しかいない村でのー。名は『狐影小盆村(こえいこぼんむら)』という。
人間も大歓迎だが中々来ない。だからあたしは駅前に来た旅人を時折誘うのさ」
「そ、そうだったんですね……」
「あとあたしは村長だからの。
ここにいる間はそう呼んでおくれ」
「わ、分かりました村長……」
全く訳が分からない……
こんなの経験したこと無いよ……
「さてと、村長としてもあんたを歓迎したいと思っている。
あたしが自ら連れてきたから当然だ。
それで……この村にはたくさんの旨いものがある。
野菜や魚、鳥は豊富にあるからのー。」
「動物なのに動物を調理するんですか……?」
「まーあたしらは何というか……普通の動物ではないからな。村の外の動物とは全く違うのさ。
あと当然村の連中を食う訳がない。食材自体は仮の姿になって外の市場で仕入れてくる。
気にせんといてくれ」
「は、はあ……」
疑問はたくさんあるけど、気にしても仕方がない気がしてきた。
でも……美味しいものがたくさんあるのは事実みたい。
「お、美味しいものが食べれるんですよね?」
「当然だ!言っただろう、『旨い飯をたらふく食べれる』って。
しかし……『心から満足するまで食べまくってほしい』と願っている。
それでだ、あんたにその覚悟があるか問いたい」
「か、覚悟……?」
「そうだ。山ほどの飯があんたを待っている。
想像以上だろう。だからもしその覚悟が無いのならここで引き返すんだな。
そう決めるならあたしは悲しいが仕方ない。トンネルを通って来た道を引き返して駅まで送り届けてやるよ。
どうだ?食べるか?」
食べるのに覚悟とか、全く意味不明なんだけど……
でも私は食べるの大好きだし大丈夫だよ。
よく分かんないけど。
「食べますよ!食べるためにここまで頑張ってきたんですから!」
「良い返事だのー!
じゃああんたを客人用の家まで案内してやるよ」
動物の表情というのはよく分からないけど、声の調子は嬉しそう。
そんなに人間が来たら嬉しいのかな?
私はまたしても村長に付いて行き、村の小道を歩く。
「一応聞きますけど、お金ないですよ……?」
「ああ気にするでない!そもそも女子高生なんぞそんなに大量の金を持ってる訳がないと分かってて誘ったからのー。
当然全部タダに決まっとる」
「嬉しい!ありがとうございます!」
「礼には及ばん。ここがあんたの滞在する場所だ」
目の前には小さな家屋があった。
見た目は古い家だけど……
「入ってみなさい」
「は、はい!」
いざ中を覗くと……リフォームされているらしく、かなりピカピカだった。
正直私の部屋よりも綺麗かも……
思っていたより現代的で、今風のお風呂もあれば大きなベッドもある。
床は綺麗なフローリングだし、荷物を置く棚やクローゼット、そして小さな机や姿見も置いてあった。
内装はホテルの一室といった方がいいかもしれない。
「き、綺麗ですね……!」
「驚いたかのー。
ここは外とは隔絶されとるが、人間とそう変わらぬ文明的な暮らしをしておる。
ただし時の流れが違う」
「時の流れ……?」
さっきから理解が追い付かない……
そもそもどうして動物の村があって、そして平然としゃべってるの?
時の流れが違うってどういうこと?
今の所悪い場所じゃなさそうだけど意味不明な事が続く。
「ああ、ここで何日過ごそうが外の世界に出たら時間はほとんど経過していないということだ。
だから好きなだけここにおれば良い。」
「それって最高じゃないですか!?」
「だがのー。その影響で外との通信は全くできん。
あんたのスマホも圏外になる」
「確かに通信できない!」
スマホを取り出してみると圏外になってる……
別に私はそこまでスマホを使う訳じゃないけど、ちょっと不便だなぁ……
「さてさて、村の説明はこの辺でいいかのー。
服は風呂にでも入る時にそこの箱みたいな装置に突っ込んでおくれ。
10分もせぬうちに新品同然になる」
「それ凄いですね」
「村の誰かが見つけてきた秘蔵の機械だ。
人間が羨ましいと思うらしいが、動物のあたしらにはそこまで恩恵はない」
「確かに……」
洗濯機……なのかな?それとも全然違う未知の機械?
まあいいや、不思議なことだらけだから別に気にしなくても……
「後は飯の話だが……
飯は朝と昼、夕と晩の4回は食べてほしい」
「3食じゃないんですか?」
「折角だから山ほど食ってほしいと思っとる。
飯の時間になったらあたしが呼びに来るから、この家で待っておくんだな。
暇なら近くを散策でもするか、そこにある本棚に参考書があるから勉強でもすればいい」
「ここまで来てわざわざ勉強ですか?」
「案外集中できるかもしれんぞ?」
「ええ……」
のんびりしたいのに勉強をしなきゃいけないのは嫌だなぁ……
でもどうせ何もないし、悪くないかも?
「じゃあの、早速昼飯でも食いに行かんか?」
「お昼は食べましたけど……」
「遠慮するでない」
「は、はい……分かりました……」
何だかこの村長に従わなきゃ大変な事になりそうな気がする……
ちょっと怖いかも……
……
「人間さん、お待ちどう!」
「わぁ、美味しそうですね!」
案内されたのは狸の家。
そこで出されたのは天ぷらとざるそばだった。
椎茸やじゃがいも、なすやかぼちゃに海老天……他にも色んな天ぷらがたくさん並んでいる。
そしてたっぷりのざるそばも……
……たっぷり過ぎる気がするけど。
とても美味しそうなのは事実。
でも量がどう見ても1人前では無く、軽く見ても5人前はある……
「……量が多くないですか?」
「前来た人間はこんな量ぺろりと食ってたがな!
お嬢さんは無理なのかい?」
「い、いや食べます!いただきます!」
早速口にしたけど……
やっぱり美味しい!
揚げたての天ぷらはサクサクで、材料も多分新鮮なんだと思う。
どうやってこの動物たちが調理してるのか分かんないけど……
それでもしっかり作れる腕前があるんだよね。
ざるそばも……つゆもそばも良い……
「美味しいです!」
「どんどん食べな!」
……
「はぁ、お腹いっぱいです……」
「よっしゃ!全部食ってもらえてこっちも嬉しいってもんだ!」
「ありがとうございました!」
「また来てくれよな!」
美味しいからか、お昼を食べてたはずなのに……この凄まじい量を完食してしまった。
自分でもびっくりするよ……私ってこんなに食欲あったんだね……
狸に見送られてから、私はホテルみたいな家に戻った。
---
それからは毎食毎食、美味しい物を食べまくった。
うなぎ丼や天丼、魚やエビフライの定食にオムライス、海鮮たっぷりのパスタにアツアツのデカいピザ……
いずれも味はかなり美味しかった。
でも……量がどれもこれも尋常じゃない。
最初に食べたざるそばは5人前程度だったけど、今や10人前ぐらいのとんでもない量を用意してくる。
こんなの食べれる訳ないでしょ!って思いながら箸を付けるんだけど、何だかんだで何故か完食できてしまう。
どう考えてもおかしいよね……?
まあ約束通り美味しいものが本当に食べ放題なんだけど……
「そりゃ、太っちゃうよね……」
姿見の前に下着姿で立った私。
そのシルエットはここに来る前よりも一回り太くなっている。
この村に来て1週間ぐらいだけど……こんなにすぐ体重が増えるなんて……
元々丸みがあって童顔っぽい顔は更に丸くなってしまった。
Dカップのブラに包まれた胸は見るからに窮屈そうで、サイズが明らかに大きくなってる……
背中を見ればブラが食い込んでしまってるし、ホックも一番緩くしないと着けられない……
まあ胸が育つのは嬉しいけど、その下のお腹も当然のように膨れてるのが……
ウエストにはちゃんと括れがあったはずなのに、すっかり姿を消してしまっていた。
おへそ周りはポコッとせり出してしまい、ショーツの上にもお肉が乗っかってる……
(食べ物が脂肪になってお腹に付いちゃってるなぁ……)
おへそ周りの贅肉を手で掴んでみると、たくさんのお肉が簡単に掴めてしまった。
柔らかい皮下脂肪が順調に付いてしまって、おへそも横長に変わっている。
そして下半身も脂肪が付いていて、大分ムッチリと大きくなったお尻が目立っていた。
ショーツも食い込む程にキツくなったし、なんだかいやらしい……
そして太ももは結構なムチムチ度合になっていて、こちらもお腹と同じく柔らかい贅肉が増えてしまった。
「こんなに太ったこと無いよ……どうしよう……」
着てきた制服だって段々キツく感じるようになってきたし、そろそろこの村から出ようかな……
私はちょっとサイズが小さくなってしまった制服を着てから村長の家までやって来た。
「村長、そろそろ村から出ようかと思います」
「……それはならぬ」
「どうしてですか?もう十分食べましたよ……」
「まだまだあんたには食べてもらう必要がある。
少なくとも1カ月はいてもらうとしよう」
「えっ!?」
そんなにここにいたら、どれだけ太っちゃうんだろう……
今でも私にとっては十分ぽっちゃりし過ぎな体型なのに……!
「大丈夫だ、外ではほとんど時間は経っておらん」
「で、でも……」
「覚悟があるんだろう、あんたには」
……確かに、そんなことを最初に言われた気がする。
覚悟が無いとダメだって……
これって、もうどうしようもないよね?
「……はい」
「なら今日もたらふく食ってもらうとするかのー」
……とんでもない場所に来ちゃったことに、ようやく気付いた。
でも……今更後悔しても、遅いよね……
---
村に来て更に1週間が経った。
「こ、これはマズいよ……!」
鏡を見た私はかなり焦っている。
だってどんどん身体が太っていくんだから……!
この間見た下着姿も中々にぽっちゃりしてたけど、今はもうデブって感じ……
顔はもっと丸くなり、ほっぺも膨れてるし二重顎がとうとう常にできてしまうように……
そして胸は随分育ったらしく、もうブラがキツくてしょうがない。
ブラのカップに収まり切ってないし、背中は赤い跡がくっきりできる程食い込んでしまう……
確かに大きさはもうかなり立派で、女子高生としては自慢できるサイズなんだけど……
お腹も更にお肉が付いてしまい、だらしない段々腹がしっかりと作られてしまった。
ショーツの上にはたっぷり贅肉が乗り、触ってみるとかなり柔らかい……
両手でもギリギリ掴み切れるかと言う程にお肉が付いてる……
お尻もサイズを増して巨大な感じになってしまった。
ショーツはミッチリと締め付けるように食い込み、尻肉の大部分が白い生地からはみ出てる……
太ももはかなりのムッチムチで、歩くとお肉がプルプル震えるようになっちゃった……
「ブラもショーツもギチギチだし、制服もぱつんぱつんだし!
もう着れなくなっちゃうよ……!」
実際スカートのホックは飛んでしまい、村長から借りた安全ピンをホック代わりにして何とか穿いている状態……
そしてブラウスも胸やお腹の一番膨れてる部分のボタンがかなり閉めにくい……
確かに外の世界なら買い替えたりできるけど、でもここは閉じた場所だから……
でも服ぐらいあるかも?
私はサイズの違う服がないか村長まで尋ねに行った。
「服なんぞない」
「えっ……」
「人間がおらん村に人間用の服は置いてない」
「……でも私、太ってもうサイズが」
「覚悟があるんじゃないのか?
あんたさんには。それ位で泣き言を言ってはならん」
「……はい」
ダメだった。
……こんなに太ってもまだこの村から帰ることはできない。
確かに食べ物は一級品、村の動物たちは良い人(?)たちで色んな話も聞かせてくれる。
本当に私の事を歓迎してくれているというのはよく伝わるんだけど……
「でも……そろそろ、心から満足したので帰っても……」
「いいや、まだ満足していない」
「でも……」
本当に私は……この2週間で凄く食べまくってるし……
これでもかってぐらいの量だから……
満足というよりもう勘弁してほしいって感じだけど。
「何を勘違いしておる。
あたしらが満足するまで、食べまくる必要がある」
「えっ?」
「あんたではない。あたしらがまだまだ満足しておらん。
せっかく久しぶりに来た人間だ、この程度で帰すわけにはいかんのー。
前も言っただろう、最低でも1カ月はおるようにと」
「だけど、もうこれ以上太りたく」
「太る、だと?」
急に村長の語気が強まった。
そして私の方を睨むような目つきで直視している。
「それの何が問題というのか。
たくさんの贅肉はまさしく贅沢な暮らしができてる証だ。
むしろ喜ぶがいい」
「いや良くないですよ!私、女子高生だし……
体型とか気になるし……!」
贅肉なんて要らないよ。
お腹の肉だってもう凄い量になっちゃったし、太ももやお尻、二の腕……
極めつけは丸々してしまった顔……
こんなに太ったらみんなにどう思われるか分からない。
しかも1日のうちに。
きっと奇妙に思われるか、嗤われるか……そんな感じだと思う。
「そんな価値観などあたしらは知らん。
この村のみんなは、特に若い女子はたくさんの贅肉を付けるのが適切だと思っておる」
「皆さんはそうだとしても、私は違います!
女子高生は太りたくないんですって!」
「ふん、なるほどな。
でも太ったからと言って何がいけないのかのー?」
「えっ……」
村長に言われたけど、私は……なんで太るのが嫌なんだろう?
そりゃみんなも太りたくないって思ってるし、女子高生なら痩せたいと思うのが普通だと思ってたんだけど……
でもそれは回答になってないみたいだから……
えっと……
「回答に窮しておるな。
だって太ったからと言って何が困る?」
「今服がきつくて困ってますけど……」
「外ならいくらでも服など売っておるだろう。
この現代では非常に大きな衣服もあるからの。
他には何が困るんだ?」
「えっと、体が重いから運動が……」
「本当に困っておるのか?」
「……」
確かに元々部活にも入ってないし、運動などせいぜい体育の時にする程度。
困らないと言えば困らない?
「もう一度問おう。本当に太るのが問題かの?」
「……でも、でも……」
「気にするでない。服が入らなかろうが些細な事だ」
「些細じゃないし……服無いんですよね?」
「ああ。
……あたしにも用事があるから話はそろそろこの辺にしてもらっていいかのー?」
「……はい」
結局村長に言いくるめられてしまい、私はどうしようもなかった。
この太った身体が、もっともっと膨張する……
そしてやがては何もかもサイズが合わなくなり、とんでもない事に……
---
更に3日が経った。
「うぅ……!キツい……!もう無理!」
日に日にデカくなるお尻にショーツが耐えきれない。
食い込み方が尋常じゃなくて、ずっと痛みが続く程になっている。
それだけじゃなくて、ブラもかなり強引に引っ張って着けている状態。
制服はお腹を凹ませてボタンを何とか留めてて、胸もギリギリのギリギリでボタンが留まってるけど……
スカートはファスナーも徐々に閉まらなくなってきてて、本当に我慢の限界で……
今に破けてもおかしくない、そんな感じだった。
「ちょっと来てくれるかの?」
このままじゃマズいと悩んでいた時、村長が家までやって来た。
「は、はい!」
私は急いで玄関まで出た。
そして村長の行く道を付いて行く。
「そ、そろそろ服が破けそうです……!」
「しょうがないな、耐えなさいな」
「そんなこと言わないでください!」
今歩いてても、なんか服の生地がミシッと嫌な音を立てている。
そしてショーツの食い込みがあまりにキツくて気持ちが悪い……
しかも暑いせいで汗もダラダラ流れてる……
「あの、ちょっと休憩しても良いですか?」
「もう疲れておるのか?あんたは体力が乏しいのー?」
「元々運動がダメでしかも贅肉の重しが大変なんです!」
「分かった分かった、あのベンチにでも座ればいい」
すぐ近くにはベンチと、大きな木のある公園のような場所があった。
木陰にベンチが設置されてるから、暑さもちょっとはマシかな?
「ありがとうございます!
やっと座れる……」
疲れていた私は勢いよくベンチに腰掛けて……
『(ビリッ!)』
「う、嘘!?」
何かすごい音が自分の身体から……出た。
これって……もしかして……
お、お尻を締め付ける感覚が急に緩和された。
……
(う、うわぁ……ショーツ破けちゃってる……)
はしたないけど、スカートの裾から手を入れて(ウエストはギチギチで手を入れる余裕さえない)確認したら……
側面の部分が見事に破けてしまい、全く使い物にならなくなっている。
しかもショーツだけじゃない。
胸の方も一気に解放感が……
(ブラもホックが壊れてるなぁ……)
背中に手をやってみると、ブラのホックが外れてしまっている。
多分もうちゃんと着けることは無理かな……
制服も無事では無く、ブラウスを見たらおへその辺りのボタンが弾け飛んでいた。
当然トップバストの部分もボタンが見事に消え去っている。
こんなに太ったらこうなるのも仕方がない。
でも、下着が破けるなんて……!
「し、下着が破けちゃいました……!
なにか替えは無いんですか!?」
「……基本的にはない」
「基本的?だったら全くない訳じゃないんですね!?」
「……実はのー、今から行く倉庫には人間の衣類が眠っていると聞いておる。
それであんたにも来てもらおうと呼んだ訳だ」
「やった!早く案内してください!」
私は喜んで、歩くのを再開したんだけど……
両方の下着が耐えきれずに悲鳴を上げた影響は大きかった。
まず胸はもう窮屈なブラの拘束も無いせいで、歩く度にブルンブルンと大きく上下に揺れちゃってる……
しかもブラウスのボタンが飛んだ関係で谷間の部分が見えちゃってるし。
そしてショーツも破れちゃったからスカートをずっと抑えながら歩かないと怖すぎるよ……
「あんた、考えてみなさいな。
人間なんぞここにはおらん。あたしらはあんたがどんな恰好だろうが特に気にしないからの。
そんなに恥ずかしがってどうする?」
「人が見てなくても恥ずかしいのは恥ずかしいんですって!」
全く、村長はなんて人……いやなんて狐なの……!
でも付いて行かなくちゃ替えの服や下着も手に入らないんだから……
ここは進むしかない。
とにかく、今はこの暑い道中を歩くしか……
……
恥ずかしさに耐えながら私は歩き、そしていよいよ倉庫にたどり着いた。
木造でそれなりに大きく、中を見てみると結構いろんなものが入っている。
ここに人間の服も眠っているのかな……
「この倉庫って何なんですか?」
「ああ、これは村全体で共用している倉庫だ。
あたしはあの辺に物を置いている。
で、人間用の衣類は……確かこっちにあるのー」
村長が進んでいった先には、何か入ってそうな袋が置いてあった。
「これに入ってるんですね!」
「きっとそうだ。
中を見てみなさい」
「分かりました!」
私は喜んで袋を開けて、そして……
「えっ?」
中身は……何とビキニタイプの白い水着。
そして明らかに丈の短いミニスカと、明るい緑色のタンクトップだった。
これだけで、あとは何もない。
「あのー村長、他には」
「それが全部だったと思うがのー」
「何で!?」
「いやー、人間の衣類なんぞこの村には不要だからの。
どういう訳か昔来た人間がこれを残して行ったが、本当に例外的なことだ」
「もしかして、これを置いて行った人間って……」
ここに来た人は多分私みたいにどんどん太っていく。
ということは、着れなくなってしまったということ。
「ああ、あんたと似たような年頃の娘だったが。
随分と肥えて帰って行ったのー」
「……何か着てたんですよね?」
「とりあえず布切れを渡して何とかしてもらった。
この村には『職人』もおるからな」
「……」
きっとその人はすさまじい巨デブになって帰ったんだろう。
そして"布切れ"が何なのかは分かんないけど、大きな布ならまだワンピース状に加工できるかもしれない。
だけど村長がそんな優しいことなんてしなさそう……せいぜい胸の辺りとお尻を辛うじて隠すような布切れで……
まあ言ったらブラやショーツみたいに下着みたいな形状に加工できる程度なんだと思う。
ということは、それだけで帰ったという事……?
考えるだけでも恐ろしくなってしまう。
だってこの水着やスカート、そしてタンクトップもよく考えてみればサイズが大分大きい。
多分今の私で丁度良いぐらいだと思うんだけど、ここにやって来た時は遥かに痩せてたんだよね。
でも……これが着れなくなっちゃうぐらい私も太らされるってことかも。
そういや何で下着じゃなくて水着なんだろう……元々泳ぎにこの辺りに来てたのかな?
でもそんな場所あったっけ……まあいいや。
「どうするんだ?着替えるのかのー?」
「は、はい!
あっちの方で着替えます!」
私は村長のいる大きな部屋から、誰もいない小さな部屋に行った。
ちゃんとドアを閉めてから、私は一旦全部脱いだ。
「うわぁ……ショーツもブラも酷いなぁ……」
改めて下着を見ると、無残な感じになってしまってるのがよく分かる。
すっかり破れてもう役目を果たせなくなったショーツ……
そして金具が折れ曲がってるブラ……
いずれも何ら着用するのに問題無かった下着なのに。
『(むにょん……)』
私は出っ張ったお腹のお肉を掴んだ。
これ、ここに来てから付いた贅肉なんだよね……
びっくりするぐらい太ってるよ……
触ってみるとお尻だってかなり大きくなってるし、胸も元々Dだったのが多分G位にはデカくなっていた。
どこを触ってもお肉がたっぷりで、この体型じゃまともに着てきた服も入らないよね。
……あんまりこんなことを考えても時間が勿体ない。
村長がやって来て、私のこんな姿を見られるなんて絶対嫌だよ。
早く水着を着けなきゃ。
「……まあ、こんなもんかな」
まずショーツの方だけど、両サイドの紐を軽く結んでから脚に通し、そして改めて結び直した。
元の持ち主は今の私と同じぐらいの体型だったみたいで、特に問題なく穿くことができている。
そしてブラの方も、大きくなったバストをちゃんと包み込めて紐の長さも一応足りた。
だけど、それでも余裕があるとは言えない感じなんだよね……
次に、タンクトップを着てみる。
こちらも一応は問題なく入った。
ただし胸やお腹の頂点部分がちょっとピッチリしてる感じもするけど。
そしてスカートは腰で穿くタイプで、お腹を締め付けないから穿きやすい。
でも妙に丈が短いのが気になるんだよね……
だって太ももとかかなり見えてるし、ちょっと捲れたらすぐ下着が……
あっ、水着だった。
……って言っても正直下着としか思えないよ。
やっぱり恥ずかしい。
(無いよりはずっといいけどね……)
服があった事には一応感謝しつつ、元々着てた制服や下着類を袋の中に入れた。
「着替えました!」
「遅かったのー。待ちくたびれたぞ」
「すみません」
「で、どうだ?着心地は」
「まあまあですね」
「ふむ、良かったの。じゃあそろそろ飯を食ってもらうか」
「はい……」
確かにこれで一応服の問題は何とかなった。
だからもうちょっと太っても……でもどれだけ太るのか分からない。
というか前来た人はこれが入らなくなったから、それは覚悟しないと……
……
「さあさあどんどん食べなさって!
お腹いっぱい食べまくりましょー!」
村長に連れられ、私は愛想のよい猫から出されるご飯を食べている。
今回はチャーハンとラーメンだった。
「前から思ってたけど、ここって外の世界の料理とあまり変わらないんですね」
「そりゃ全く違う世界って訳じゃないですからな!
でもウチら猫はこの料理はそんなに好みませんけど」
「そうなんですか……じゃあ私のためにわざわざ」
「はい!だからいっぱい食べてくださいな」
「あ、あはは……ありがとうございます……」
当然ながらチャーハンの量は数kgありそうな凄まじい量で、ラーメンもどんどん出してくるらしい。
恐ろしい程食べさせられてるのに……それでも順応しつつある自分自身が怖かった。
自分が自分じゃなくなるような気さえして……
だけどとにかく言われたように食べるしかない。
村長の気が済むまで……
今は2週間と3日が経っている。
たしか1カ月はいなくちゃいけないから……
どれだけ太っちゃうんだろうなぁ……
やっぱり今着てる服もダメにするのかな。
そんな風に思いながら私はご飯を食べ続けた。
---
1週間が更に経ち、村に来たのもこれで3週間と3日になる。
「わ、私……凄いデブになってきてるよ……!」
鏡で見る下着……いや水着姿は、デブなのは当然だけど……なんだか巨デブっていう感じになりつつある。
体重計が無いからどれ位太ってるか分かんないけど、80kgは軽く超えてそうな見た目だよね……
顔はほっぺがパンパンに膨れてて、二重顎がかなりタプタプしてしまっている。
水着に包まれた胸は更に育ったみたいでビキニがかなりキツい。
既に布からかなりバストがはみ出てる状態で、背中の紐だってだんだん結びにくくなっている。
大きさはHカップはありそうで、俯くと胸が大きすぎて足元がちょっと見えにくい程。
まあ巨大なバストはいやらしくて女の子として魅力的な気もするし、女子高生としては凄くデカいけど……
でもお腹も同じく存在感マシマシで、ビキニの上にでっぷりした太鼓腹がドンと乗っている。
この張り出したデカいお腹のせいで折角育ったバストがあまり目立たない。
ちなみにもちもちして柔らかいから触り心地は凄くよくて、無意味に触ってしまうこともある。
お尻は穿いているビキニのショーツがすでに全く余裕がない。
紐はもう辛うじて結べている程度で、無理して穿いてるからか結構食い込んでしまっている。
これでも大分大きな水着のはずなんだけどな……
太ももは非常に太くなり、干渉しあって内側が擦れ合うのが嫌だなぁ……
既にビキニはキツくなってしまってるし、タンクトップも胸がぱつんぱつんで横にしわが出来てしまう。
お腹も頻繁にはみ出てしまうからその都度生地を引っ張って直している状態。
スカートは腰で穿くタイプだからかまだ一応大丈夫だけど、それでもホックはもう割とキツい。
恐ろしいのは、もう服に替えが無いという事が確定しているということ。
そして、まだ1カ月が経ってないということも……
……
お昼、私はいつも通り村長に会っていた。
「村長……まだ食べないといけないんですか?」
「そうだ」
「……いつまで?いつまでなんです?」
私はちょっと語気を強めてそう尋ねた。
だって期間も分からないなんて恐ろしいから。
もし2カ月いなきゃいけないならどうするの?
入る服は確実に消滅して、考えたくもない程に太るに違いない。
「分かった分かった。
後1週間もすればほぼ1カ月だ。
だからそれで元の世界に帰すことにする」
「本当ですね!?」
「ああ、あたしに二言は無い」
「ありがとうございます」
……とりあえず、あと1週間耐えたら何とかなるらしい。
でも、この服がそんなに持つとも思えなかった。
「話は以上かのー。だったら今から食いに行きなさい」
「はい」
できたら、食べる量ももうちょっと減らしてほしいけど。
だけど慣れてしまったし、完食は問題なくできるから……別にいいかな。
お腹も空いてるし。
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今日でこの村に来て4週間と3日が経った。
まさしく1カ月いたということになる。
だけど外の世界では全然時間が経過していないらしい。
村長の言うことを信じるならだけど。
いよいよ今日でこの村ともおさらばできる。
確かに料理はとても美味しいし、山ほど食べられるのは……
慣れてくると気分が良かった。
そして珍しいお客さんということもあって、村の住民には大体親切にしてもらえたり。
意外にもずっとここに閉じ込められてて苦しい、という感じではなかった。
むしろ楽しいぐらいで。
でも……
「100kg……超えてないよね……?」
食べまくったせいで身体はさらに膨張し、すさまじい巨デブへと変化してしまっている。
体重は……というか体重を測るまでもなく非常にマズい事態になってるのは明らかだった。
首は顎肉に埋もれ、二重というか三重顎?とか訳わかんない状態になっている。
真ん丸になってしまった顔は、元のパーツから辛うじて私だと分かるレベルで……友達にも気づいてもらえないかも。
顔がこんな状態だから、いくら胸がどデカいと言っても嬉しさも半減してしまう。
というかあまりに大きいせいでビキニも着けられず、ただ自重でだるんと大きく下がってしまっている。
いやらしいというか、綺麗な球形を維持できてないだらしない見た目だし……これは抵抗あるかも……
そんな胸よりも出てしまってる気がするお腹は真ん丸で、そしてあまりにもデカい。
未だにこれが自分の身体だって信じられないというか、実感が湧かないんだよね。
お肉の量が凄まじいから両手で掴んでも全く掴み切れないし、ただ手が贅肉に沈み込んでいく。
そしてお尻も更に育っていて、ビキニのショーツのサイズが全然合わない。
紐はもう長さが足りなくて、村の住民から貰った紐を継ぎ足して凄く強引に穿いてるんだよね……
太ももは元のウエストより余裕で太く、両脚が擦れすぎて赤くなってしまった。
ビキニはまともに入らなくなり、服も全然サイズが合ってない。
タンクトップはデカすぎる胸に負けて破けてしまい、胸元が大きく開いている。
お腹は全く入らないし、スポブラみたいな状態と言ってもいいかも。
そしてスカートは辛うじてお尻を通過するけど、こちらもファスナーやホックが壊れている。
しかもお尻がデカいせいで丈が更に短くなり、歩く度に中が見えそうに……
こんな感じで、私はこれ以上太れない状態になっている。
いや、既に服は限界を迎えて破けてるんだけど。
……
「いよいよだな。今から元の世界に戻ってもらおう」
「はい……」
「どうした、名残惜しいか?」
「い、いや……それはそうですけど……」
私は村長と一緒に、村に入ってくるのに使ったトンネルに向けて歩いていた。
あともうちょっとでトンネルの入り口に差し掛かる。
名残惜しいかというと、まあそういう気持ちも0じゃない。
だけど……それはそうとして、もう私は汗だくで、そして凄く恥ずかしかった。
(こんな姿で戻るなんて……は、恥ずかしいよぉ……)
村長が言ってた通り、村では私の恰好や体型を気にする住民は特にいなかった。
私も恥ずかしいという思いはあったけど、それでも動物相手ということもあってそこまでではない。
正直、こんな異様な恰好に慣れてしまっていた。
だけど今からは全く事情が変わる。
そもそも電車でそれなりに長い時間掛けてここまでやって来たんだから。
当然帰りもそれに乗る必要がある。
しかも東案下駅という大きな駅で一旦降りないといけない。
今、私の恰好は本当にとんでもない状態で……
ブラも何も着けてない巨大すぎる胸がバルンバルン激しく上下し、しかもタンクトップが破けてるせいで谷間がくっきり……
規格外なバストを下品なほど過剰にアピールしてるように見えて、あまりにも恥ずかしい……
そしてお腹は丸出しで、狸の置物のような太鼓腹を晒す羽目になっている。
何より、ムッチムチすぎるお尻が頻繁にスカートを捲って中を見せまくってるのが……
いくら中が水着とはいえ、ほとんど下着の白いショーツと同じ見た目。
こんな……頻繁にパンチラするような超短いスカートを穿いてるなんてどうかしてると思われるじゃない……!
……どうかしてるよ、こんな恰好。全身全部が。
こんな、こんな姿で戻るなんて無理だよ……
身体は巨デブ、そして恰好は意味不明で……
学校のみんなにはどう言えばいいの?
家族にはどう説明したら?
嫌だ、いやだ……!
「村長……!でも……元の世界に戻れるのは嬉しいです……
だけどこんな姿で帰ったら、もう私は……!」
「……とにかく、このトンネルをくぐりなさい」
「でも外に出たら……!」
「いいから進むんだ!」
私は重苦しい身体で、村長に言われるままにトンネルへ進んでいき……
視界が真っ暗になって……
……
---
……
『狐影丘、狐影丘。
終点です。ご乗車お疲れさまでした』
あれ?
狐影丘ってさっきまでいた場所だよね?
なのにどうして今ここに着いてるの?
あと電車から降りてたよね?
訳が分からなくなりつつも、私は一旦降りて駅の外へ出た。
(やっぱり、見たことのある風景だよね……)
田畑も広がるのどかな風景。
確かに私の記憶と同じ光景だったと思う。
そして……私の体型は、元通りになっていた。
「えっ?さっきのって全部夢だったの?」
私は駅前にあったベンチにとりあえず座り、混乱していた。
でも何週間もそこに滞在してたような……?
「お嬢さん!」
「……あっ!?」
前に会ったおばあさんだ。
だけど……私には正体が分かる。
狐の村長……
「村長、ですか?」
「ちゃんと覚えてたようだのー」
「どういうことなんですか!?」
「……あんたが見ていたのは夢ではない。
紛れもなく起こった現実だ。
でもまあ、うら若き娘を立派過ぎる肥満体に変えて外の世界に出すのは流石にやめておこうと思ってのー
『無かったこと』にした」
「……?」
全く何のことか意味が分からない。
どうして無かったことに?
「正確に言えば……あんたは途中で電車の中で寝てただろう?」
「は、はい……」
「あたしらの村から出る時に、その時点の時空にあんたを送り帰したんだ。
状態をここに来て太る前に戻しておいて、からな。
過去に遡って送り返す場合は矛盾のない身体の状態にしておく必要がある。
まあ人間、それもまだ大人でもないお嬢さんに理解は難しいと思うがのー」
「……全然意味は分かりませんけど、とにかく元の体型に戻れたってことでいいんですね!?」
「それでいいだろう」
「やった!」
私は思わず飛び跳ねてしまった。
当然身体は遥かに軽快で、駄肉がぼよんと揺れることもない。
「じゃあすべて元通りですね!」
「ああ」
「……今までありがとうございました。
また寄っても良いですか?」
「……今度は太って帰る覚悟があるのかの?
それに耐えれないと思ったから情けをかけたのだが」
「あぁ……」
何だかんだで料理はとても美味しかったし、村長も最終的には元の体型に戻してくれた。
途中結構雑な扱い方をされてた気がするけど。
「まぁ、もっと心を強く持ってからやってくるんだな。
あんたの帰りを待っておるよ」
「はい、村長!」
「じゃあ……あたしは帰る。
またな」
『おばあさん』は、そう言って狐影小盆村の方へ歩いて行った。
……
不思議な事もあるんだなぁと思う。
まさかこんな場所に高校から電車一本で行けるなんて……
『(ぐぅぅぅぅぅ……)』
そういや何かお腹空いちゃったなぁ。
私は駅の近くにあった食堂に入り、そして天丼を注文した。
だけど……
(……全然足りないんだけど)
異変にすぐに気づいた。
前ならこれである程度お腹が膨れてたはずなのに。
全く足りない。
いや腹八分どころか腹一分という感じで、本当に食べた気がしないんだよね……
もしかしてこれって……
体型は戻してくれたけど、食べる量自体は増えたまんまじゃ。
ああ、いっぱい食べまくった記憶とかそういうのは残ってるし。
身体も『覚えてる』んだ……
……もしかして、このままだと本当にデブになっちゃうかも?
食欲を抑えていかなくちゃ、折角痩せて元の世界に戻れたのに意味が……
『(ぐぅぅぅ……)』
「すみません、かつ丼も良いですか?」
「お、お嬢さん!?凄い食べっぷりだねぇ!?」
お店の人にも驚かれてしまった。
だけどもう私は空腹に勝てない。
本当だったのか分からない夢みたいな体験だったけど、デブになるのは現実になりそう……
あはは……どうなるんだろう、私……
[END]