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女体化症候群研究レポート【前編】

 近年、男性が突如として女性に生まれ変わるという現象が立て続けに起きている。これは、数か月前には観測されていなかった事象であり、まったく新しい病気であるという見解が強い。

 そこで私は、その現象を「女体化症候群」と名付け、その原因などについて研究を進めている。

 「女体化症候群」が発症した男性には、共通点があることは既にわかっている。その共通点は2つあり、1つめは「20年以上、女性との性行為を経験していない」ということ、2つめは「繫殖適齢期であること」である。つまり、「女体化症候群」が発症する男性はいずれも、20歳以上の童貞、もしくは、10代のうちに性行為をして以来、1度も性行為をしていない30代以降の男性に限られるということである。

 また、「繫殖適齢期であること」が条件であるから、性行為を行っていなくとも、50代以上の高齢の男性には、今のところ「女体化症候群」は確認されていないのである。

 今回の目標は「なぜ女性経験の少ない男性のみが女体化するのか」、そして「なぜ高齢の男性は女体化しないのか」を解明することである。


・・・


 「女体化症候群」は、前兆がある。それは、発症する直前に、高熱にうなされるということである。高熱以外にも、ひどい関節痛に苛まれ、動くことすらままならない状態になってしまう。

 そこで私は、ホームページやTwitterにて「女体化症候群の兆候がある人物」を募った。その結果、「20代でありながら童貞」であり、現在高熱と関節痛に襲われているという「池田大夢(ひろむ)」さんとコンタクトを取ることに成功した。池田さんには、報酬をお支払いすることを条件に、しばらくの間、観察対象になって頂くことを承認して頂いた。


 池田さんは、3日前より39度の発熱があり、1日前より、動けないほどの関節痛も併発した。職業は大学生で、一人暮らしであったため、私は、池田さんの自宅にお邪魔し、経過を観察するための定点カメラを設置する許可を頂いた。

 以下、定点カメラの映像である。

  23時。布団に横たわっているが、眠ってはいない。本人曰く、体が痛すぎて寝ることもままならないそうだ。

 連日、この体勢のまま布団の上から動けないらしい。

 撮影し始めて初めての動きが。突如として苦しみ始め、うずくまった。後で本人に聞いたところ、体の痛みが急激に悪化したらしいが、この体勢になると不思議と痛みが和らぐという。

 1時間ゆっくりかけて、池田さんの皮膚が硬化・溶解しはじめた。「女体化症候群」は、女体化する際、体の表面に分厚い“幕”を作り、さながらサナギのようにその内部で細胞の再構築が行われるのだ。これは、女体化経験者の証言によって、世間では周知の事実であるが、こうして映像に収めることが出来たのは世界初である。

 池田さんが「サナギ」になってから約6時間半後、新しい肉体が完成したのだろう。硬化していた外皮が解けるようにして無くなっていき、中身が這い出ようとしている。本人曰く、この時の記憶は無いそうで、一連の動きは本能的に行っていることがわかる。

 体にまとわりつくサナギや、邪魔な衣服を脱ぎ棄て、ようやくひと段落したようだ。体力をかなり使ったのか、しばらくこの状態で放心している。

 いわば生まれたままの姿なので、当然髪などは伸びきったままである。

 男性の時とは容姿がまるっきり変わっているが、体を丸ごと作り変えられるサナギだからこそ出来ることなのだ。

 体の痛みや発熱は、とうに引いている。


・・・


 その後、池田さんはとりあえず女性ものの服などをまとめ買いし、YouTubeなどに上がってるメイク動画などを見て、化粧も練習したようだ。

 男性の頃はオシャレに無頓着だった池田さんだが、心境の変化があったことがわかる。


 

 2日後には、インスタライブにて、新しく生まれ変わった自分の体を知り合いにお披露目していた。

 私は、どんな心境の変化があったのかのインタビューと、カメラの回収をするために、池田さんのお宅を訪れた。

 以下は、インタビューの映像である。




 筆者の貞操の危機を感じたので以上で映像は終了である。念のために記しておくが、誓って手は出していない。

 さて、映像を見ればわかるとおり、池田さんには驚くべき人格の変化が訪れたと言っていいだろう。

 男性の頃の池田さんは、童貞であることからもわかるように、恋愛には奥手な性格であったようだが、女性になると一変、強引に性交を持ちかけてくる性格になってしまった。

 また、性的志向が女性から男性に変わり(厳密には本人曰く“バイ”)、男性の頃には興味が無かったという、身だしなみ関係の意識にも変化が訪れていることがわかる。

 以上の事から、「女体化症候群」が発症した男性は、その身体ばかりか、心まで女性化が進んでしまうのだ。

 また、インスタライブで自分の体を披露したり、胸を見られると興奮したりなど、承認欲求の肥大、貞操観念の低下など引き起こしていることもわかる。

・・・


 池田さんへの取材から、一つの仮説が立てられる。

 まず、池田さんは、私に性行為を持ちかけてきた。女性経験に乏しい筆者であるが、「タイプだ」とまで言い切られてしまった。私自身、そういった言葉を言われたことはなく、池田さんの方便だったともとれるが、いずれにせよ池田さんは、私のような魅力に欠ける男性にまで見境なく誘惑するほど「発情している」と言えるだろう。

 ここで気になるのが、「20年以上、女性との性行為を経験していない」男性のみが女体化するという法則である。「子孫を残せない男」と、「子孫を残したがる女」とで、対比の構造が出来ているのだ。

 つまり、「女体化症候群」とは「繁殖能力が無いと判断された男性でも子孫を残せるように、女性に生まれ変わる」という、人類の繁栄の為に遺伝子が暴走した末の病気なのではないだろうか。

 そう考えれば、「高齢の男性は女体化しない」理由も説明がつく。高齢男性が高齢女性に転身しても、既に繁殖能力が失われているからだ。

 この仮説が正しければ、池田さんを始めとする「女体化症候群」患者は、もう男性に戻ることはないだろう。なぜなら、池田さんは男性として生きる「資格」を失ったからである。事実、現時点で「女体化症候群」が治ったという報告はきかない。池田さんは、このまま女性として生きるのだ。

 そうとわかれば、行動である。次回のレポートでは、「女体化した男性は元に戻らない」という、確固たる証拠をみつkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkk



【つづく……】


 

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