※プロットの見方※
プロットをそのまま貼り付けるため、非常に見づらいことをまずご了承ください。
どのキャラクターがしゃべっているか、明記はしていません。私だけがわかればいいように書いたものだったので。ですが、キャラクターとキャラクターのセリフの間には
‥‥こんな感じで一行空白をあけています。
なので、だいたい誰が話しているか想像はつくとおもいます。
登場人物のヒントとしては
スペちゃん:○○さん、など敬称をつけるのが特徴。ですます口調。()を使うモノローグがあればスペちゃん。
スズカ:よく「スペちゃん」と言っている。
ハヤヒデ:御剣怜侍をイメージすればわかりやすいかも。
リジチョ:語尾によく「ッ!」をつける。熟語を連発する。場をまとめる発言が多いのが特徴。
テイオー:一人称がボク
チケット:よく泣く
エアグルーヴ:2人称はキサマが多い。ハヤヒデとしゃべり方が近いが、こちらは法廷控え室のシーンでしか登場しない。
ルドルフ:四字熟語を多用する。敬語ではないが、ハヤヒデよりは柔らかいしゃべり方。
という感じになります。
また、場面転換などを記号で表現しています。
~:場面の切り替え
*:回想シーン
ー:証言のシーン
これだけ見て「なんのこっちゃ」という人もいるかもしれませんが、読み進めたらたぶんわかると思います。
また、非常に長いです。
プロットpart4の最後に、簡潔に事件解決までのあらすじまとめたので「長ったらしくて読む気しねーよ!」という方は下までスクロールして頂ければ幸いです。
part4
――――――“信 念”――――――
(ルドルフ尋問 アレグロ)
“善き指導者と成れ”‥‥幼き頃より
両親に、そう教育されてきた。
すべてのウマ娘の幸福を願うことこそ
私の生きる意味。生きる希望だ。
そのためにはなんでもした。生徒会に
籍を置き、重賞をいくつもとった。
たったひとりのウマ娘をおとしいれる
ために、こんな騒動を起こすなど‥‥
言語道断。その努力を無に帰す行為。
湛然不動として、断固抗議する。
―――――――――――――――――
証言はここまでか。
この“信念”にイツワりがなければ。
今回の事件の“動機”が、
一瞬にしてなくなってしまう。
すなわち、会長が犯人であるとは
考えにくい、ということになる。
逆に考えれば、私たちが
指摘しなきゃいけないみたいね。
会長の“信念”にひそむ
《ウソ》を‥‥。
(“信念”にひそむ《ウソ》を
さがす‥‥)
(ということは、つまり私は
証明しなきゃいけないんだ)
(会長さんが、“ウマ娘の幸福を
願っていない”って‥‥)
(そんなこと、本当に
できるのかな‥‥)
ゆさぶる
「“善き指導者と成れ”~」
待った!
会長さんの、その信念は‥‥
お母ちゃんから来てたんですね。
“お母ちゃん”というより、
“両親”だけれどね‥‥。
常に大局的な視点を持ち、
万事万端を己が糧とする。
幼少期より、厳しくしつけられた
思考様式だからね‥‥。
もはや、治らぬクセのようなものだ。
‥‥ああ、カン違いしてくれるなよ。
私は両親をとても尊敬しているし、
こう育ててくれて感謝もしている。
感心ッ! さすがは生徒会長!
見上げた心がけだな!
(イナカでのんびり育った私とは
住む世界が違うなあ‥‥)
ゆさぶる
「すべてのウマ娘の幸福を願う~」
待った!
すべてのウマ娘の幸福‥‥そんなの、実現できるワケありません!
デリカシーのかけらもないな、
‥‥キミは。
スペちゃん。さすがにそれは
ひどいと思うわ。
イタいところをついてくるな。
‥‥スペシャルウィーク。
うう‥‥ごめんなさい。
かまわないよ。ジッサイ、私も
アタマを抱えたことがあってね。
“どうすれば皆の模範になれるか”
考え出すとキリがなかった。
しかし、あるとき。私はひとつの
コタエにたどり着いた。
コタエ‥‥ですか?
ああ‥‥“皆の模範となる”
それを実現するには。
すなわち、絶対的な“権威”を
わがものにする必要があった。
ゆさぶる
「そのためにはなんでもした。~」
待った!
なんでも‥‥ですか?
ああ。なんでもだな。
生徒会長になったのもそのためだ。
“権威”を誇示するためには、まず
わかりやすい印が必要だった。
つまり‥‥“冠”だ。
かんむり‥‥!
(GⅠレース優勝のアカシ‥‥)
目標は馬氏五常。8冠をかかげた。
そのための努力を惜しんだ日はない。
まあ‥‥その結果。私の“夢”は
ついに、かなわなかったわけだが。
‥‥お気持ち、お察しします。
スズカさん。“かなわなかった”
って。‥‥どういうことですか?
えっ‥‥スペちゃん、知らないの?
会長さん、最後の最後で、
8冠には届かなかったの。
あっ‥‥! もしかして、
あの“事件”のことですか?
ええ‥‥。
(‥‥今年の、3月)
(アメリカは、サンタアニタパークで
おこなわれたG1レース‥‥)
(サンルイレイハンデキャップ‥‥
それに、会長さんは出走した)
(日本から来た《皇帝》が、ついに
海外のレースに殴り込み‥‥)
(圧倒的な大差で1着をとるって、
みんなが期待した)
(日本だけじゃない。全世界の
メディアが殺到した)
(‥‥でも、結果は6着)
(無理がたたったのか、会長さんは
レース直後に入院‥‥)
(失意のまま、生徒会長の座を
一時的に、降りた‥‥)
‥‥あれ?
どうしたの? スペちゃん。
会長さんが、生徒会長に復帰したの
って、いつでしたっけ?
え。ええと‥‥。
サンルイレイハンデキャップが、
今年の3月で‥‥
それから、7か月ちょっと入院
していたから‥‥
あ! そうだわ。
つい、この間よ。
会長さんが復帰したのは、
たった1週間前よ。
(会長さんが復帰した、1週間後に
この事件がおきた‥‥)
(なにか、関係あるのかな‥‥)
ゆさぶる
「たったひとりのウマ娘を~」
待った!
実は、スズカさんに、
個人的な恨みがあったとか‥‥!
‥‥ない。
スズカさんに、退学してほしい
理由があったとか‥‥!
‥‥ない。
‥‥。
‥‥。
‥‥‥‥あ、あの。それだけですか?
ああ。なぜなら、ないからな。
スズカの活躍は目覚ましい‥‥
最近は、学園のカオとなったほどだ。
私は、この学園からそういうウマ娘が
排出されたことを、嬉しく思うよ。
そんなスズカにヌレギヌを着せて、
いったい何の意味がある。
スズカの活躍を阻止するためか?
個人的な恨みを晴らすためか?
そんなことをして、いったいダレが
得をするというのか。
もし、私がスズカの退学を
心の底から願っているなら‥‥
直接、スズカに伝えるよ。
こんな陰湿なことなど、しない。
お、おっしゃるとおりです‥‥
(こわいよお)
仮に‥‥仮に、だ。
私が、スズカの部屋に
侵入したとしよう。
なぜ、屋根裏に“秘伝の書”を
隠す必要がある?
え‥‥! ど、どういうことですか!
スズカに、“秘伝の書”を
見つけてもらうだけなら‥‥
机のうえにでも、置けばいい。
私がハンニンなら、そうする。
わざわざ、見つけにくい屋根裏に
隠すイミなど、まったくない。
あ‥‥!
(た、たしかに‥‥)
そうよね‥‥。
私がぐうぜん、屋根裏をのぞく
気分になったからよかったものの‥‥
普通なら、フタを閉じられて
オシマイ‥‥よね‥‥
私が見つけなかったら、会長さん、
どうするつもりだったんだろう‥‥
(ううう‥‥ただでさえアタマが
いっぱいなのに‥‥)
(これ以上、ムズカしいモンダイ
ふやさないでくださあい‥‥)
ゆさぶる
「言語道断。その努力を~」
待った!
私たちの部屋に、“秘伝の書”を
かくしたのが会長さんでないのなら。
会長さんは、犯人がスズカさんだ‥‥と、そう本気で思ってるんですか?
‥‥‥‥。
私は‥‥スズカが犯人だとは
信じたくはない‥‥が。
思慮分別のすえ、彼女にしか
犯行が不可能ということになれば‥‥
‥‥認めるのも、
やぶさかではない‥‥。
(なんだろう。会長さん、急に
歯切れが悪くなったような?)
(やっぱり‥‥ツミの意識が
ある‥‥からなのかな)
‥‥‥‥。
そこまでッ!
この証言を聞く限り、やはり証人には
“動機”は存在しないように思う。
そして‥‥“信念にひそむウソ”を
弁護人は証明できないようだ。
‥‥!
(も、もしかして‥‥
時間切れですか!?)
ま、まってください!
私たちは証明しました!
スズカさんに犯行が
不可能だったことを!
異議あり!
待ってくれ。被告人の無実を
証明しただと‥‥?
いったい、いつ。そんなことを
証明したというのだ。
え‥‥! そ、それは!
モチロン! 会長さんが、こわれた
引き出しに気づかなかったときです!
気づかなかった理由‥‥それは、
引き出しがこわれていなかったから!
つまり! スズカさんに
犯行は不可能です!
そう。逆に言えば、それしか
コンキョはないのだ。
もし、会長が‥‥引き出しの異変に
本当に気づかなかったとしたら?
異議あり!
でも! これだけこわれてて、
気づかないなんてことは‥‥
異議あり!
引き出しは、窓側に向いている。
部屋に入っただけでは、気づけまい。
異議あり!
でもでも! 会長さんはそのあと、
事務作業をしたそうじゃないですか!
仕事はふつう、席に着いてから
するものです!
異議あり!
そうとは限らない。
‥‥スズカが座っていたソファ。
作業だけなら、そこでもできる。
いかがだろうか、会長。
あなたは、あのとき。引き出しに
気づかなかったのではないですか?
‥‥‥‥。
そう、だな‥‥。
あまり、覚えていないが‥‥
当時の私が気づかなかったのなら‥‥
机には、近づかなかったのだろう‥‥
だ、そうだよ。弁護人。
(うう‥‥! そんなの
ヘリクツだよお‥‥!)
ふむう。やはり、“鉄壁の動機”が
ある以上‥‥
シンボリルドルフに、有利な
考えをしてしまうな‥‥
スズカさん! なんだか
風向きがあやしいです!
せっかく、スズカさんの無実を
証明できたと思ったのに‥‥
このままじゃ、逆転されちゃいます!
‥‥‥‥‥
“逆転”ね‥‥。
‥‥? す、スズカさん?
“逆転”するのは、なにも
検察側だけじゃないわ。
私たちも、してみましょう。
‥‥逆転を。
‥‥‥‥。
‥‥で、でも。逆転なんて
そうカンタンには‥‥。
ちがうわ、スペちゃん。私たちが
逆転するのは、この状況じゃない。
‥‥発想よ。
‥‥発想を、逆転させるの。
‥‥発想を‥‥逆転させる‥‥?
いまの証言で、アキラカになった
ことがあったわ。
“会長さんが、私をキズつける
理由は存在しない”こと。
そうです! だから、なんとなく
会長さんが無実って流れに‥‥
その発想を逆転させるの。
“会長さんが、私をキズつける
理由は存在しない”‥‥。
それならば。
“会長さんが事件を起こしたのは、
私をキズつけるためじゃなかった”
‥‥こうは考えられないかしら?
‥‥で、でも。
今。スズカさんは“窃盗犯”の
汚名を着せられてるんですよ!
‥‥こんなこと、スズカさんのためを
思ってるなら、やりませんよ!
その前提が間違っているとしたら?
‥‥スペちゃんも、発想を
逆転させてみるの。
そうしたら、おのずと“真実”が
見えてくるはずよ。
(発想を、逆転させる‥‥)
(会長さんが、なぜスズカさんに
ヌレギヌを着せようとしたか)
(‥‥そう考えるんじゃなくて)
(部屋に侵入したのには、なにか
ほかの理由があった‥‥?)
‥‥弁護人。どうした?
さっきから、黙り込んでいるが。
‥‥! は、はい!
長考ッ! なにか、考え込んでいた
ようだが‥‥
検察側の主張に、まだなにか
反論があるのか?
シンボリルドルフの“信念”‥‥
これがウソだとでもいうのか?
・会長さんの信念はウソ
〇会長さんの信念はホンモノ
‥‥私は。
スペシャルウィークは‥‥。
検察側の主張を、
認めようと思います。
‥‥! な。なんだと?
なんのつもりだ、弁護人。
会長さんの証言を聞いた結果。
‥‥よくわかりました。
会長さんは、ダレかをキズつける
ような行動は、ぜったいしない。
弁護側は、その“主張”を
認めようかと思います!
‥‥!
ほ、ホンキか、弁護人。
‥‥キミは、サイレンススズカを
助けるのを、諦めるというのかッ!
異議あり!
違います! 私は、スズカさんの
ツミを認めたわけじゃありません!
私が認めるのは、次の証言です。
つまり‥‥。
『会長さんが、スズカさんの部屋に
“秘伝の書”を隠す理由はない。』
‥‥たしかに、会長さんは
私たちの部屋に侵入しました。
でも、それは‥‥
本を隠すためではなかった!
‥‥ッ!
(ざわざわ)
異議あり!
‥‥し、しかし! だとしたら‥‥
いったい、なぜ!
“秘伝の書”は、被告人の部屋から
見つかったのだぞ!
本を隠すためでないのなら‥‥
部屋に侵入した理由は、なんだッ!
まさか‥‥わかるはずがない。
(いよいよです。‥‥この事件にも
終わりが見えてきました)
(会長の、いっけん不可解な行動‥‥
それを、すべて証明するんだ!)
それでは、弁護人に問うとしよう。
皇帝・シンボリルドルフが‥‥
被告人の部屋に侵入した理由‥‥
それを証明する証拠品とは?
つきつける
「テイオーさんの証言書」
さっき、休憩室で。私、
テイオーさんに、聞いたんです。
*****************
あ! あれ? コレ、
まだ話してなかったっけ。
‥‥あのとき。ボク、スズカの部屋の
まえをとおりかかったんだ。
そうしたら、出てきたんだ。
カイチョーが、スズカの部屋から。
*****************
カイチョー、スズカの部屋から
秘伝の書を持って出てきたんだ。
そして、ボクと目が合ったんだ。
そのときのカイチョー‥‥
すごいコワい“目”をしてた‥‥
カイチョーは、ボクに気づくと、
スズカの部屋にもどったんだ。
*****************
‥‥おかしいと思いませんか?
“秘伝の書”を部屋にかくすのが
目的だったなら‥‥
テイオーさんが目撃するべきなのは、
“部屋に入るところ”です。
でも、ジッサイは逆でした!
会長は、スズカの部屋から、
“秘伝の書”を持って出てきた‥‥
‥‥いったい、それによって
なにが変わるというのか!
発想を、逆転させるんです!
“かくすつもりなら、部屋に侵入する
シーンを目撃するはず”
それならば‥‥
“本を持って、部屋から出てきた”
このシーンは‥‥
“かくす”のと、逆の行為を
示している‥‥
そうは考えられませんか?
異議あり!
ま、まて。弁護人。
“部屋に本をかくす‥‥”
その《逆》の行為といえば‥‥!
‥‥はい。
“部屋から、本を持ち出す”です。
‥‥ッ!
会長さんは、あの日。スズカさんに
ヌレギヌを着せるつもりはなかった!
‥‥ただ、盗み出すことが
目的だったんです。
‥‥そう。
この、“秘伝の書”をね!
な‥‥
なんだってェ!
(ざわざわ‥‥)
せ、静粛ッ! 静粛ッ!
静粛にィィィ!
あの日起きたのは、会長さんが
ヌレギヌを着せる事件ではなかった。
れっきとした、
盗難事件だったんです!
異議あり!
そ‥‥
そんなバカなハナシがあるか!
‥‥そもそも、秘伝の書は
生徒会室に保管されていたハズだッ!
異議あり!
‥‥みんなそう思っていました。
でも、そうじゃなかった!
前提が間違っていたんです!
“秘伝の書”は、最初から
私たちの部屋の中にあった!
バカな!
そ、それを証明できるのか!
最初から、生徒会室に“秘伝の書”は
存在しなかった、と!
はい! “証明”できるかは
わかりませんが‥‥
少なくとも、その“可能性”は
じゅうぶんに示されてました!
あ、唖然ッ! 予想外の事態だが‥‥
弁護人! 立証できるというなら、
してもらうぞ!
最初から、“秘伝の書”は生徒会室に
存在しなかった、そのコンキョは!
つきつける「秘伝の書」
最初に、気づくべきだったんです。
この“秘伝の書”は、
理事長さんはおろか‥‥
いつも近くにいた、エアグルーヴさん
ですら、存在を知りませんでした。
机の引き出しに入っていたのに。
そんなことがありえるでしょうか?
学園の、どんな教本よりも
すぐれた“秘伝の書”‥‥
そんな本を、今までダレにも教えない
理由が、存在するでしょうか?
‥‥!
コタエは、たったひとつです!
そんなことは、ありえません!
最初から、生徒会室にこんなもの、
存在しなかったんです!
な、なんだとおおおッ!
(ざわざわ‥‥)
異議あり!
スペシャルウィーク! 被告人とは、
キミも同室のハズだ!
“秘伝の書”の存在に、今まで
気づかなかったというのか!
異議あり!
‥‥はい! 気づかなかったんです!
‥‥スズカさんの証言を
思い出してくださいッ!
*****************
ほう‥‥? ならば、どこでこの本を
手に入れたというのだ?
それは、その‥‥
自分の部屋‥‥です。
私、スペちゃんと同じ部屋を
借りているのだけれど‥‥
おとといの放課後、屋根裏の
フタがずれてることに気づいて‥‥
なんとなく、屋根裏に上ってみたら
そこに、この本が‥‥
*****************
や、屋根裏‥‥か!
会長さんの言ったとおりです。
ヌレギヌを着せたいだけなら、
目につくところにおけばいい‥‥
なら、屋根裏にかくされていた
理由は、いったい何か!
そう! “秘伝の書”は‥‥最初から
そこに眠っていたんです!
だから、ダレも、その存在に
気づけなかった!
異議あり!
し、しかし! それならば!
なぜ! 会長はその存在を
知っていたのか!
“秘伝の書”とともに暮らしてきた
キミたちですら気づかないのに‥‥
会長が、知っていたわけがない!
異議あり!
それは、逆なんです!
会長さんしか、知る機会はなかった!
‥‥思い出してください!
この“秘伝の書”を書いたのは、
いったい、ダレでしたか?
それは‥‥あああああああッ!
*****************
なんでも、その伝説のウマ娘とやらは初代の生徒会長だったようで。
代々、生徒会長だけに受け継がれて
きた‥‥と、現会長はおっしゃった。
*****************
そう! この本の書いた人は
初代の生徒会長さんです!
その“存在”が、歴代の生徒会長に
伝わっても、フシギじゃありません!
異議あり!
ま、まて‥‥! まだ、
ギモンは残っている!
この本が、最初からスズカの
部屋に眠っていたとして‥‥
それを盗むと言う事は、
リッパな犯罪だ!
会長の信念については、
キミも認めていただろうッ!
異議あり!
そう‥‥すべては、会長さんの
“信念”から始まったんです。
会長さんの“信念”‥‥
一番重要なのは、なんでしたか?
それは‥‥
“すべてのウマ娘が幸福になる
世界を創ること”‥‥だ。
‥‥ま。まさかッ!
“秘伝の書”の内容について、
ハヤヒデさんはこう言いました!
*****************
秘伝の書‥‥これはかつて、
伝説のウマ娘が書いたとされる本だ。
ウマ娘が必要とする情報がすべて
詰まっている、夢の書物だ。
現在。トレセン学園で行われる、
どのカリキュラムよりも優れている。
*****************
もし、その“チカラ”を‥‥
会長さんが手に入れたとしたら?
その“権威”は、よりゼッタイ的な
ものになったハズです!
会長さんの目的は、スズカさんの
失脚ではなかった!
そう! まさに、すべてのウマ娘の
幸福を実現するためだったんです!
(ざわざわ‥‥)
し、しかし‥‥!
この本は、ジッサイ。
スズカの部屋から見つかっている!
会長が、これを盗むことが
目的だったのなら‥‥
きちんと目的を遂行して、いまごろ
生徒会室に保管されているハズだ!
異議あり!
それに関しては‥‥不幸だった
としかいいようがありません。
不幸‥‥だと!
‥‥あの日。
会長さんは、スズカさんを
生徒会室に呼び出しました。
‥‥モチロン。スズカさんの部屋に
侵入して、これを盗むためです。
そのために、フジキセキさんの
部屋に立ち寄り、アリバイも作った!
そうして、空白の20分間を
利用して、部屋に侵入しました。
目的のモノを見つけ出し、いざ
部屋を出ようとした瞬間‥‥
‥‥まったく、想定外のできごとが
起こってしまったんです!
‥‥トウカイテイオー、か!
まさに、盗みの決定的瞬間を見られた
会長さんは、あせりました!
そして、“秘伝の書”をあきらめる
しかなかったんです。
‥‥でも、想定外のできごとは、
これだけで終わりませんでした。
‥‥その、たった翌日のことです。
こんどは、スズカさんにその本を
見つけられてしまった!
それを見つけたとき。屋根裏のフタが
すこしズレていたんです。
会長さん。本を戻すとき、あせって
しめわすれたのではありませんか?
会長さんは、そのとき‥‥本を
手に入れたい一心だったんでしょう。
小さな‥‥でも、決してとりかえしの
つかない、ウソをついてしまった!
*****************
今、キミが手にしているその本。
それは、本来。生徒会室で厳重に
保管されているハズなんだが‥‥
いったい、なぜスズカが
その本を持っている?
*****************
どうでしょうか、会長さん。
何か、間違った部分があったら、
教えてください。
‥‥‥‥。
そう、だな‥‥。
異議あり!
待ってもらおうか。
スペシャルウィーク。
‥‥! ハヤヒデさん?
(そ、そんな! まだ、
なにかあるの‥‥?)
キミの“論理”‥‥
スバラシイものだった。
しかし、長いながい
“物語”を語るうちに‥‥
あらたなムジュンがカオを
だしてしまったようだ。
え。む、ムジュン‥‥!
い、いったい、なんのことですか!
‥‥この裁判だ。
え‥‥!
弁護人は、会長の“信念”‥‥
すなわち、“ウマ娘をキズつける
ことはありえない”‥‥
この点については、認めていたな。
そして、会長が
やったことと言えば‥‥
本を手に入れるために、小さな
“ウソ”をついてしまったことだけ。
ただ、スズカに、その本を
渡してもらいたかっただけだろう。
‥‥そのとおりです!
何か、おかしいですか!
‥‥いいや、なにもおかしくない。
非常にスジが通っている。
モンダイは、その“あと”だ。
あ、あと‥‥?
弁護人の主張では、会長は
本さえ手に入ればじゅうぶんだった。
スズカを、キズつけるつもりなど
まったくなかった。
‥‥それならば。
なぜ、こんな裁判が開かれている?
‥‥あっ!
裁判とは、和解が成立していたら
本来、起こり得ないものだ。
つまり‥‥会長が、スズカを
本気で訴えたことになる。
しかし。弁護人も
認めたではないか。
“会長は、スズカをキズつけようと
したわけではない”‥‥と。
あああああああッ!
(ざわざわ)
‥‥収束! ながい裁判だったが、
どうやら、最後に残ったナゾは‥‥
この裁判、そのものにまで
関わってくるらしい。
(大丈夫。いままでの情報を
整理すれば‥‥)
(おのずと、見えてくるのは
たったひとつの“真実”だ!)
答えてもらおう、弁護人。
“なぜ、会長は、こんな裁判を
起こしたのか?”
・被告人が許せなかった
・賠償金が目当てだった
〇裁判は想定外だった
会長さんが、ダレかをキズつける
ことは、ありえません。
‥‥つまり、この裁判は。
会長さんの、想定外だったんです。
想定外‥‥だと?
バカな! いったい、どんな
外的要因があればこんな事態になる!
それには‥‥登場人物が
足りませんでした。
この事件には、もうひとり‥‥
事態をウラで動かした、
立役者が居たんです。
会長のかわりに、裁判を引き起こした
もうひとりの人物‥‥?
つ、つまり‥‥
“黒幕”というワケか!
(ざわざわ‥‥)
黒幕ッ! まさか、そんな言葉を
聞くことになろうとは思わなんだ。
弁護人は、その者の名前を
述べることができるのか?
‥‥はいッ!
了解ッ! それでは、本法廷
最後の質問にうつろう!
今回の事件の“黒幕”‥‥
いったい、ダレだ!
つきつける
「エアグルーヴ」
“黒幕”という言いかたは、
少し違いますけど‥‥
‥‥きのう。食堂で、スズカさんが
問い詰められたとき‥‥
そこには、会長さん以外に
もうひとり。重要人物がいたんです。
そう‥‥。
エアグルーヴ先輩‥‥です。
え、エアグルーヴ‥‥だと!
エアグルーヴさんと、会長さん。
この2人の、決定的に
違う部分とは、なんでしょうか?
違う部分‥‥だと?
そ、それは‥‥
それは、“真犯人を知っているか
否か”‥‥だな。
そうだろう?
‥‥スペシャルウィーク。
‥‥!
(か、会長さん‥‥!)
そ、そうです!
あのとき。たしかに、会長さんは‥‥
スズカさんから、本を取り返したい
一心で、ウソをついちゃいました。
でも、その“ウソ”を‥‥
真に受けたヒトがいたんです。
それが、その場に出くわした‥‥
エアグルーヴ、というワケか!
ウラで、どんなやりとりが
あったのかは、わかりません。
でも、いちどついた“ウソ”は‥‥
どんどんふくらんでしまいました。
エアグルーヴは、とても正義感が
強い子よ‥‥。
被害者が会長ともあれば
なおさら‥‥ね。
この裁判も‥‥エアグルーヴの
提言、なのでしょう? 会長さん。
‥‥‥‥。
会長さんは、ひとりでに大きく
なっていく“事件”を見て‥‥
いつしか、ウソをひっこめることが、
出来なくなってしまったんです。
そして‥‥“ウソ”を“ホント”に
する必要が出てきました‥‥。
だから‥‥
だから会長は‥‥
引き出しのカギを、こわさざるを
得なかったのか‥‥
そういうことです。
な、なんということだ‥‥
‥‥会長さん。もう、こんな裁判
終わりにしましょう。
小さな“ウソ”が引き起こした
悲しい《事故》の連鎖‥‥
いま。会長さんが、それを
断ち切るべきときじゃありませんか?
‥‥‥‥‥‥。
その、とおりだな。
(会長が罪を認める 自白のシーン)
“伝説のウマ娘が書いた
秘伝の書が存在するらしい‥‥”
前の生徒会長から聞いた、その言葉が
‥‥私を狂わせた。
あの因縁の“アメリカの舞台”で‥‥
私は8冠を、みじめにも逃した。
さらに‥‥そのあと。ムリがたたって
私は、入院するハメになった。
ながい、とてもながい時間だった‥‥
いまでも、ユメに出る‥‥
このままでは。生徒の模範たる
“王の器”たりえない‥‥
失意の中にいた私は‥‥ふと、
秘伝の書の存在を思い出したんだ。
***************
“秘伝の書は、伝説のウマ娘が
引退するときに‥‥”
“自分の住んでいた寮の部屋の
どこかに、かくしたらしい‥‥”
***************
私は、それを知っていた。
1週間前。退院して、
生徒会長の座に復帰してから‥‥
秘伝の書を見つけるために、
過去のデータを徹底的に調べた。
そして。ついに、その部屋の
居場所をつきとめた。
‥‥まさに、現在。スズカが
住んでいる部屋だったよ。
‥‥!
それを知った私は、いてもたっても
いられなくなった。
その“ウワサ”が本当かどうか、
確かめようと思ったのだ。
しかし。時はすでに、遅すぎた。
スズカは天皇賞でケガをし、
トレーニングにも出られない。
私は、スズカを部屋から追い出す
必要があったんだ。
だから‥‥スズカさんを
生徒会室に呼び出したんですね。
信じてもらわなくても
かまわないが‥‥
私は、“秘伝の書”を盗むつもり
など、まったくなかった。
‥‥ただ、あのウワサが本当なのか
確認したかっただけ‥‥
それだけの、ハズだったのに‥‥
“秘伝の書”を目の当たりにした
あなたは、その完成度に驚いた。
ああ‥‥。
結論から言うと、“秘伝の書”は
あった。ウワサは本当だったんだ。
しかし、ページをめくる手を
進めているうちに‥‥
‥‥私の中に、悪魔が宿ったんだ。
****************
“秘伝の書さえあれば、私は
ふたたび王の座に輝ける‥‥”
“存在を知ってるのは私だけ‥‥
今なら、盗んでもバレない‥‥”
****************
‥‥しかし、悪いことは
できないものだな‥‥。
“秘伝の書”を手に入れ、部屋を
あとにしようとしたとき‥‥
よりにもよって、いちばん
見られたくない人物に目撃された。
トウカイテイオーさん‥‥ですね。
彼女と目が合ったとき、
私は血の気が引いた。
私に憧れ、私を追いかけるために
入学を決意してくれたテイオー‥‥
彼女の目に反射する私は、
とてもミニクいカオをしていたよ。
私は自分が恥ずかしくなった。
‥‥私の中の悪魔は去ったんだ。
そして、秘伝の書をもとに戻した。
すべてをなかったことにするために。
‥‥もう二度と、こんなアヤマチは
おかさないように‥‥
でも‥‥結果的に、それは‥‥
私が、“秘伝の書”を見つける
キッカケになってしまった‥‥
‥‥次の日。私は肝を冷やしたよ。
見つかってはいけないはずの本が‥‥
見つかってはいけないはずの人物の
手に、握られていたのだから。
そして、それを見た瞬間。‥‥私の
ココロに、ふたたび悪魔がやどった。
そして、次の瞬間。
‥‥私は。私自身、信じられない
ようなことを口に出していた。
*****************
今、キミが手にしているその本。
それは、本来。生徒会室で厳重に
保管されているハズなんだが‥‥
いったい、なぜスズカが
その本を持っている?
*****************
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥ただ、“秘伝の書”を
手に入れたいがためについたウソ。
すべてを言い終えたあと。
私を、激しい後悔がおそった。
エアグルーヴ先輩が、それを
聞いていたんですね‥‥。
先に断言しておこう。
‥‥エアグルーヴは、悪くない。
彼女は、彼女の思う“正義”を
実行したまでだ。
その日の放課後‥‥私は
エアグルーヴに問い詰められたよ。
*****************
“‥‥会長。その本は、本当に
スズカが盗んだものなのですか”
“‥‥‥‥‥。”
“なんとか言ったらどうなのです。
‥‥会長”
“スズカは‥‥きのう。生徒会室に
ひとりでいる時間があった‥‥”
“考えられるとしたら‥‥
‥‥そのとき、だ”
“な‥‥”
“なんという、ことだ‥‥”
*****************
私が、すべて悪いんだ。
‥‥私が、彼女を
たぶらかしたから‥‥。
以前、エアグルーヴは、スズカを
いちばんの親友だと謳っていた。
だから‥‥ことさらに、
許せなかったのだろう‥‥。
そういえば‥‥。
学級裁判の申し出をしたメンバーも、
エアグルーヴが率いていた‥‥
彼女の目は、怒りの他に、どこか
悲しみも含んでいたよ‥‥。
ひとつよろしいでしょうか。会長。
‥‥ああ、なんだろうか。
“権威を絶対的なものにするため、
秘伝の書が欲しかった”‥‥
お気持ちはよくわかります。
しかし、それなら‥‥
部屋にいるスズカに、捜索の
協力を仰ぐべきでした。
‥‥‥‥ああ。
返す言葉もない。
私は‥‥おそらく。ウマ娘の
幸福を願っていたワケじゃないんだ。
ただ、ちっぽけな、自分の欲望を
満たしたかっただけ‥‥。
そのせいで、スズカが、私の
踏み台になってしまった。
‥‥今にして、おもえば‥‥
私は、そのときからすでに‥‥
悪魔に、魅入られていたのかも
しれないな‥‥
‥‥‥‥‥‥。
いま、ふたたび。ここに宣言する。
エアグルーヴは、悪くない。
全ては、私の責任だ。
私は、こわかったんだ‥‥。
“指導者”の立場が、陥落するのが。
“全てのウマ娘を幸福にする”ために
獲得しようとした《権威》が‥‥
それ自身が目標になってしまい、
“幸福”など、考えなくなっていた。
いつのまにか。自分自身の
“エゴ”と化していたんだ‥‥。
‥‥‥‥。
今、この裁判を傍聴している
生徒諸君。ならびに、教師陣。
みなさまの貴重な時間を、私の
“わがまま”で無駄にしたこと‥‥。
そして、なにより。
‥‥サイレンススズカ。
キミのココロに、何にも代えがたい
深い“キズ”を負わせたこと‥‥。
重ねて、ここにお詫び申し上げる。
‥‥本当に、申し訳なかった。
‥‥‥‥。
(会長さん‥‥)
私は、どんな処罰も受けるつもりだ。
生徒会長の座は、もう降りる。
‥‥必要ならば、退学もする。
だから、私の“わがまま”に
振り回された、わが友‥‥
エアグルーヴの処遇には、どうか
便宜をはかってやってはくれまいか。
‥‥‥‥‥。
カオをあげてください。
‥‥会長。
‥‥!
す‥‥スズカ‥‥。
私、気にしていません。
やめるなんて、言わないでください。
会長さんが犯した、明確な“ツミ”は
‥‥私の部屋の、不法侵入だけです。
それなら、私‥‥許します。
だから、会長さん‥‥
しかし!
私は、自分の身を守るために、
キミを見捨ててしまった。
スズカの犯行に見せるために、
偽装工作もおこなった。
それなのに‥‥
そうだよ! カイチョー!
と、トウカイテイオー!
いったい、どこから!
カイチョー、さっき言ったよね。
“幸福を考えなくなった”って。
そんなワケない! カイチョーは
いつだってみんなの事を考えてる!
自分ひとりで責任を負うために、
ウソをついたんだよね!
テイオー‥‥
‥‥私も同じ気持ちです。
会長さんに呼び出されたとき‥‥
会長さんにとっては、《計画の一部》
だったのかもしれませんけど‥‥
あのときの“目”は‥‥
本気で心配してくれていました。
私、そのおかげで。気分が
ラクになったんです。
会長さんには、それだけの
“チカラ”があるんです。
(ざわざわ)
そうだ! 会長さん!
やめるなんて言わないでください!
みんな、会長さんのこと
尊敬してるんですから!
み、みんな‥‥
私には、わかっていました。
もし、会長さんが。この事件の
犯人だったとしても‥‥
ゼッタイ、何か深い事情が
あったハズだって!
やっぱり、合ってました!
会長さんは、私たちのために
この事件を起こしたんです!
そして、なにより‥‥
あんなすごい走りをするウマ娘に、
ワルいヒトはいません!
‥‥‥‥。
会長。これは、いっときの
悪いユメ‥‥そう思うべきです。
ユメは、すべからく覚めるもの。
また明日から、普段通り。
私たちを導いてはくれませんか。
‥‥‥‥。
キミたちの言葉‥‥
この胸に、刻んでおくとしよう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そろそろ、この裁判も
終わりが近づいてきたようだ!
弁護人! スペシャルウィークよ。
こたびの“証明”‥‥
ミゴトなものであったぞ!
‥‥ありがとうございますッ!
今回、真犯人はシンボリルドルフ‥‥
罪状は、不法侵入ということだが‥‥
皆の厚意で。その件については
不問とするッ!
裁判長。おそれながら‥‥
シンボリルドルフの犯したツミは
不法侵入だけではありません。
この通り。備品のハカイも‥‥
引き出しのひとつくらい、問題ない!
私が何とかしよう!
(裁判長さん‥‥
ちょっと、カッコイイかも)
それでは、被告人‥‥
サイレンススズカよ!
‥‥はい。
今回のことを、気に病む
必要はない!
次のレースのために、ゆっくりと
ケガを治していってくれ!
‥‥はい。わかりました。
終結ッ! ‥‥いい時間だな!
それでは、被告人、
サイレンススズカに判決を言い渡す!
無 罪
では本日は、これにて閉廷!
~~~~~~~~~~~~~~~~~
(終わったんだ。最初で‥‥
そして、最後の学級裁判が)
スペちゃん。
スズカさん‥‥!
ありがとう、スペちゃん。
カッコよかったわ。
あなたは、私のことだけじゃない‥‥
会長さんの、ココロも
救ってくれたの。
す、スズカさん‥‥
すずかさあああああああああん‥‥
え、ちょっと‥‥! な、
泣かないで、スペちゃん。
‥‥ふふ。緊張の糸が
切れちゃったのかしら。
わだじい‥‥よがっだでずう‥‥
ズズガざんが犯人じゃなぐでえ‥‥
スペちゃん。落ち着いて。
この法廷、ヒトが泣きすぎだから。
‥‥邪魔するぞ。
‥‥! え、エアグルーヴ先輩。
このたびの‥‥って!
なんだ、キサマ‥‥その鼻水は!
あっ! す、すみません!
すぐにふきます!
‥‥やれやれ。なにを話そうとしたか
忘れたではないか‥‥
‥‥ふふ。エアグルーヴ。
素直じゃないのね。
‥‥本当は忘れてないくせに。
‥‥! う、うるさい!
‥‥ああ。その、なんだ。
‥‥すまなかった。
‥‥!
このたびの、私の不手際。
いくら謝罪しても、しきれない。
本当にすまなかった。
‥‥サイレンススズカ。
いいのよ。あなたには、あなたの
“信念”があった。
それは、会長さんと同じでしょ?
‥‥信念、か。
どうだろうな。
‥‥。
“裏切られた”‥‥スズカの犯行だと
聞かされたとき、そう思ったよ。
いくどとなく、私と切磋琢磨した
かけがえのない親友‥‥
そのスズカが、どうして‥‥
私を、深い絶望がおそった。
そして、しだいにそれは‥‥
“怒り”へと変わってしまったんだ。
その“怒り”は‥‥私の、
《真実》を見る目を曇らせた。
エアグルーヴ‥‥
会長がついた“ウソ”を‥‥
私は、見抜くことができなかった。
お前を信じきってやることが
できなかったんだよ。
“かけがえのない親友”が
聞いてあきれる‥‥そう思うだろう。
それで‥‥その。
‥‥‥‥うう。
言いたいことがあるなら、
サッサと言っちゃえばいいのにー。
ガマンは健康によくないよ!
うわっ! キサマら、
どこから湧いて出た!
‥‥ごほん。
スズカ。こんな私だが‥‥
今から、また“親友”に戻ることは
できるだろうか‥‥
なに言ってるの、エアグルーヴ。
私たち、ずっと親友じゃない。
‥‥!
‥‥ああ、ああ。
‥‥そうだな。
‥‥ありがとう‥‥。
これで、このお話はおしまいです。
小さな“ウソ”から始まった
大きな“事件”だったけど‥‥
スズカさんを取り巻いていた
イツワりはスガタを消して‥‥
今では、みんな。
笑顔に戻りました!
そして。また‥‥明日から。
みんな、それぞれ。トレーナーさんと
過ごす、いつもの日常に戻ります。
私も、日本一のウマ娘になるため‥‥
これから、けっぱるべー!
‥‥ああ、スペシャルウィーク。
けっぱる前に、ひとついいか。
‥‥え! な、なんですか!
実はな‥‥今回。キサマの活躍を
見ていた、複数の傍聴人から‥‥
生徒会あてに、弁護の依頼が
殺到しているのだ。
『ぜひ、私もスペシャルウィークに
弁護してほしい』‥‥と。
え。
それで。今、学園内で起こっている
さまざまな《事件》を‥‥
“調書”にまとめてきたので、
すべてに目を通してくれないか。
‥‥ざっと、100通ほど。
半分くらいゴールドシップだが。
え。え。
あら! スペちゃん‥‥
なんだか、人気者みたい‥‥
いいじゃん、スペちゃん!
もうそのままなっちゃいなよ!
日本一の弁護ウマ娘に!
わあ! それいいアイデアかも!
じゃあ‥‥アタシ、そのときもまた
刑事役、やろうかな!
え。え。え。
‥‥エアグルーヴ先輩。その。
ヒトコト、言ってもいいですか?
あ! アタシ聞きたい!
スペちゃんの“あのコトバ”!
ボクもボクもー!
スペちゃん。最後だし、思いっきり
叫んじゃえば?
‥‥わかりました。
じゃあ、思いっきり、いきます!
あげません!!
END
事件のあらすじ
今年の3月、アメリカのG1に参戦したシンボリルドルフは、惨敗を喫し、さらには入院することになってしまった。そして、生徒会長の座を、一時的に下りた。「すべてのウマ娘を幸せにする」「最高の指導者になる」のが目標だったルドルフは、このままでは生徒会長の座から転落するかもしれないと怖くなった。そこで、前の生徒会長から聞いた《あるウワサ》を思い出した。『初代の生徒会長が残した秘伝の書が存在するらしい』『その秘伝の書は、前の生徒会長が住んでいた寮の部屋のどこかに隠してあるらしい』ルドルフは、それがもし実在すれば、自分がまた理想の指導者になれるのではないかと考えた。退院し、生徒会長に復帰したのは、天皇賞秋の少し前。ルドルフは、必死になって初代生徒会長の情報を調べ、ついにその部屋をつきとめた。そしてそれは、スズカが現在使っている部屋だった。ルドルフは、スズカの部屋に侵入しようとしたが、スズカは天皇賞秋でケガをしてしまい、部屋から出られない。しかたなく、スズカを生徒会室に呼び出し、ダレもいないスキに部屋に隠された秘伝の書を捜索。屋根裏に隠されていたそれを見つけた。擁護しておくが、彼女は秘伝の書を盗むつもりなどなかった。ウワサを確認したいだけだった。だが、その秘伝の書の内容があまりにすごかった。ルドルフは、それをこっそり持ち去ろうと考えた。部屋から出ようとしたとき、トウカイテイオーに出くわす。自分を追いかけてきてくれたテイオーを見てルドルフは目が覚めた。そして秘伝の書を屋根裏に戻し、スズカに会いに行った。いっぽうスズカは、会長と面談した後自分の部屋に戻り、屋根裏の異変に気付く。焦っていたルドルフが、ふたをきちんと閉めていなかったのだ。スズカは偶然、秘伝の書を見つけてしまい、翌日、食堂に持って行った。そこをルドルフに見つかる。自分が手に入れるはずだった本をスズカが手にしており、気が動転したルドルフは、小さな、でも取り返しのつかないウソをついてしまう。「それはもともと、生徒会室に保管されていたものだが」…ルドルフは、秘伝の書を渡してもらえればよかった。スズカにヌレギヌを着せるつもりなどなかった。しかし、そのウソを、近くにいたエアグルーヴが真に受けてしまった。たちまち生徒会内で問題となり、事件がどんどんふくれあがってしまった。ついには、学級裁判が開かれるまでに発展した。ルドルフは、ウソをひっこめることができなくなり、辛酸をなめる思いで引き出しを破壊した。カギがかかっていれば、スズカが犯人だとつじつまがあわなくなるからである。こうして、小さなウソは“秘伝の書窃盗事件”となってしまい、裁判が開かれた。スペシャルウィークによってすべてがアキラカになったあと、ルドルフはスズカに謝罪する。しかし、今回の事件でルドルフがやった明確なツミは、部屋に不法侵入することだけだった。スズカは、それだけなら許すから、ルドルフを罪に問う必要はないと説得した。そうして、誰かがキズつくことはない学級裁判が閉廷した。
Lonnie
2021-10-30 19:49:14 +0000 UTCLonnie
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2021-06-15 01:48:36 +0000 UTC基本読む人
2021-06-15 01:40:04 +0000 UTC