※2009年頃の作品です。
スマホもなく、DSでドラクエ9が発売されようとする頃の話…
#1
「うほっこれがファミコンか。現物初めて見たぜ。
「ボクん家、テレビゲームこれしかないの。
「すげーな。配線がテレビのアンテナに繋がってるけど
これ…できんの?
「たぶん…
「マジか。じゃあやろうぜ。ソフトは?
「この箱の中に。
「おー。ファミコンカセットかー。すげーな…少ないな。
「ウチって昔からあんまりおもちゃ買う習慣がないんだけど
昔おじーちゃんがすーぱーまりおをやるって買ってきたんだって。
「伝説だな。おお、これドラクエ3じゃん。ハンパねぇな。
「有名なの?
「知らねーの?いくらなんでもドラクエは知ってろよ。
まぁ、オレも8しかやった事ないけど。
ええと、ここに差して…(ガコッ)うう、かてぇ。
これでいいのかな。電源入れてみていいか?
「うん…たぶん。
「(ガチョッ)…おー生きてる。タイトルでた。
なんか昔のケータイのゲームみたいな画面だな。
「ケータイでゲームができるの?
「オマエって…かわいいな。まぁいいけど。
うぉ、まだデータ残ってる。
もう20年くらい前のゲームなのに。
ゆうしゃ、いぬかみ?…なんだこれ。オレ?
オマエ、最近やったんだろ。
「しっ知らないよぅ。
「パーティは…勇者いぬかみ、戦士くまた。
ほらー。
「し…知らないよ…本当に本当だよっ。コワイよっ。
「勇者いぬかみ、戦士くまた、武闘家しし、僧侶はる…なんだこれ。
まぁいいか。データは消して…と。
ほら、始めっぞ。
名前ひらがなしかないんだな…
じゃあ、勇者たくや、な。
「名前つけるの?なにするゲームなの?
「オマエ…RPGも知らねーのか。知らなすぎだろ。
じゃあちょっと見てな。どーせひとり用だし。
「ホッ…ずっと見てればいいんだね?
「起きなさい私のかわいいたくや、と。
16才の誕生日よ、と。
王様に挨拶にいきなさい、と。
「うわーホントにタッくんのママさんがでてきた。すごいね。
「んな訳ねーだろ。(似てっけど…)
勇者の息子である所のオレは魔王を倒しにいくんだってさ。
こーいう話の元ネタがこれなんかな。ハンパねぇ。
酒場で仲間を集めるって…ここかぁ。
仲間も自分で登録できるみたいだ。
じゃあ、戦士しんご、な。
「ええっ見てればいーんじゃないの?わかんないよぅ。
「…見てればいーんだよ。
ちょっとふたりで外に出てみるからな。
「あっふたりになった!こっちがボク?
「そー、青いのがオレでピンクがオマエ。
「すごいねぇ。色もボクらと同じだね。
「たしかに…おっ、モンスターでた。
「わー知ってる!これ!スライムでしょー?
「ま、まさかコイツを知ってるとは!
オマエ天才じゃねぇ?
「えへへ…スライムってかわいいよねぇ。
「でも殺すけどね。
「えー!冗談でもやめてよぅ。
「冗談じゃねぇし。殺さないと話が進まねぇし。
「そんな…ヒドイ…
「偶然に名ゼリフがでたな。
「やめてよぅ。スライムはそっとしとこうよぅ。
「しかしオマエがダメージを受けてるぞ。
シンゴは2ダメージをうけた!って。
「ええーっ!
「スライム殺さないとオマエが死んじゃうよ?
「いいよ…スライムを殺すよりいいよ。
「シンジ君かオマエは。
「シ、シンゴですけど…
(つづく)
#2
「しくしくしく…。
「なーにシクシク言ってんだ。
「だってタッくん、
わざとお城のまわりをぐるぐるまわって
スライムを全滅させようとしてるんだもん。
「オマエ、そんなにスライム好きなのか?
「うん。抱いて寝るとひんやりしてキモチよさそう!
「でもな、しょーがないんだよ。
魔物から世界を救うのが目的なんだから。
「えっスライムって魔物なの?
「なんだと思ってたんだよ。
「ぽよぽよっとしたしずくの妖精かと…
「しずくじゃねーよ。廃液だよ廃液。ヘドロ的な。
「…じゃあ、抱いて寝れないの?
「朝には溶けて流れてオマエはいなくなるな。
「(ゴクリ…)
「しかも、あの目にみえるの、あれ目じゃないから。
死んだ魚の目があの位置にあるだけだから。
「ぎゃあああ!!!
「……。
「…ウソでしょ?
「ウソだといいねぇ…ケッケッケ。
「ヒドイよ。ヒドすぎるよ。
「でも経験値稼ぎはRPGの基本だからな。
こーやって戦ってるとレベルがあがって強くなるんだ。
なにも無意味にスライム狩りしてる訳じゃねーし。
「そーなの?
「しかもスライムいなくなんねーし。
無限だし。
「いなくならないの?
「だって汚物だもん。
「やめてよーやめてよぉー。
「と、いってもこれも飽きてきたな…
同じとこぐるぐる回っててアホみたいだし、
そろそろ別の場所にいってみっか。
「あれっ!上の方にどんどん森が広がってく!
「なっ。世界は広いんだぜシンゴ。
小さい事でシクシク泣いてらんねーだろ?
「うんー!
「見てみ?町が見えてきたぜ。
「ホントダ。お城以外にも人が住んでいるの?
「そりゃそう…うわっカラスの大群!
「あっ!あーっ!やられてるよっ!
画面の色が変わったよっ!
「オレ…死んだ…。
「タッくぅーん!!!
「呼んでもダメだから。城に戻って立て直すぞ。
シンゴ…連れて帰ってくれ。オレの遺体を。
(操作するのはオレだけど)
「どきどき…
「シカバネとふたり旅…
「あっ!ついた!城についたよ!
ママさーん!タッくんが死んじゃったんですけどー。
「オレが死んでると回復もしてくれないな。
「ゴメンナサイ…ママさん…
ボク…これからどーやって生きていけばいいの…
「思い出を胸に抱いて生きてくれ。オレの分まで。
「あっそーだ!酒場にいって新しいタッくんを
登録すればいいんだ!
「オマエ…オレが死んだらすぐ似たような男を探して
仲間にするわけ?
「ハッ!そ、そうだよね…
タッくんはひとりしかいないよね…
許してなんて言えないよね…
「死んだら教会で復活させるんだってさ。
取説があってよかったな。w
「うわーあ、棺桶がまた元のタッくんに!
ありがとう神父さま…ボクん家無宗教だけど!
「寄付金取られたぞ。
「それはしょうがないじゃない。
タッくんが生き返るんなら全財産寄付するよ。
「んな事してたら自分の家から一歩も離れらんねぇ。
なるべく死なないよーに、防具も揃えて、薬草も買って…
「旅はモノイリだねぇ。
「さっきの神父、殴りたくなってきた。
「また棺桶に戻されちゃうよ…。
「実はな。
「えっ。
「もうふたり、旅に連れていけるんだけど。
「ふたり旅じゃないの?
「4人旅の方が戦闘もラクなんだけど。
「ふたりじゃ…ダメ?
「メンドくさくなってきた。いろんな意味で。
「じゃあしょうがないね…
誰を入れるの?
「誰がいい?
(つづく)
#3
「仲間かぁ……あっそーだ!
タッくんのママさんとパパさんを呼ぼうよ!
「うぉい!
父兄同伴ってオマエ。オレがかわいそーだろ。
「でもママさん癒してくれそうじゃない?
パパさんも強そうだし。
「超ダメ。超ムリ。超アホ。
「うえーん。じゃあ誰ぇー?
「そうだな…ヤマネなんかどうだ。
おもしろそーだろ?
「えー。そうかなぁ…↓
「サゲサゲか。
いーじゃん、アイツ強そうだし。w
大丈夫だよ。オマエはオレのそばにいれば。
「わかった…。
わかったけど、そのかわりヒビキちゃんも入れて。
「なンだそれ。オマエッ!
「ヒビキちゃんだって強そうでしょ?
ヤマネ君もヒビキちゃんがいればおとなしいかも。
「そーいう事を言うか…。
オマエにしては鋭いところをつくじゃんか。
「でしょでしょ。
「うーん、まぁいいや。他に人材もないし。
んじゃ登録しにいくかんな。
「ふふふ。
「オレに勝ったと思っただろオマエ。
「勝たないよぅ。
「オマエ、もしかして実はかしこいのか?
「そんなにバカじゃないよ!
「こないだの中間は全科目平均点より上取ってたもんな…
もっと頭悪いのかと思ってたが。
「バカじゃないもぅん。
「その口調がバカっぽいんだよな。見た目も。
「ふぇーん。
どーしたらいいのぅ?
「いーよオマエは。それで。
見た目が賢くて中身がバカな奴よりよっぽどマシ。
「このままでいいの?
「ニコニコしとけ。
「わかった。
「えーと…じゃあ、ヒビキは魔女な。
「魔女子さん?
「そんなカワイクいうなよ。カワイクねーし。
もっと呪いをかけてきそーなの想像しろよ。
「ヒビキちゃんはさぁ…(パラパラ)
こっちの武闘家の方がよくない?
鍛えた拳の一撃はバツグン!って書いてある。
ヒビキちゃんに殴られると痛かったよね~。
「うう…。思い出してもハラが立つ。
魔法使いも欲しいが、勇者も魔法覚えるみたいだし、
そっちの方がアイツに似合ってるな…暴力オンナ。
ピッピッピッと。登録したぞ。
「ヤマネ君は?
「アイツはそりゃオマエ。
アホだから魔法使いじゃねーだろ。
「あ!じゃあ逆だ。ヤマネ君が武闘家で
ヒビキちゃんが魔法使い…むごー!むぐぅー!
「登録した後に逆とかゆーんじゃねぃ!
キライなんだよゴチャゴチャやり直すの!
「肉まん詰め込まないでよ…(もぎゅもぎゅ)
それはタッくんの悪いクセだと思うなぁ。
数学のテストでも方程式途中で間違えてるのに
ムリヤリ答えだそーとするから…むぎゅー。
「うっせ!
「あんまん詰め込まないでよ…(もぎゅもぎゅ)
ワガママなんだからもう~。
「わかった!ヤマネはこれだ!
遊び人!wwww
「アハハハハ!
「わはははは!
「こ、この格好…ぷっくすすすすー。
「デブっちゃった食い倒れ太郎君かよ!ww
「おもしろいけど…
後で怒られるんじゃない?
「関係ない関係ない。
アイツ、ゲームなんか興味ねーだろ。
「ちょっと悪い気がする…
「大丈夫だよ。
これ、オレ達だけの秘密だから。
「ふたりの秘密?
「そう。楽しいだろ?
「うん…楽しい。
「そいじゃ、心機一転。
この4人で出発だぜ。
「やったー。
「………。
「………。
「………………ぷっ。
「…あはっ。あははははは。
「ヤマネ、ウケル。
なにこの世界観。
「やっぱり悪いよーこんな…うふふふ。
「酒場にいた奴が
『遊び人は本当に役立たずだ』
つってたけど…
マジで役に立たなそーwwwww
「いいの?大丈夫なの?
「いいよおもれーから。
先頭歩かしちゃお。
「あははははは!
「わははははは!
(つづく)
#4
「オッス!オラヒビキ!
世の中には強ぇーヤツがいっぱいいるなぁ!
オラ、ワクワクしてきたぞ!
「シンゴ。
「はい。
「オマエの中のヒビキってそんなキャラなのか?
「うーん…なんかこんな感じ…?
「武闘家だからって
インスパイアされたんだろ。なにかに。
「でもでも、
こんな事は考えてそうじゃない?
強いやつを見るとわくわくしてそう。
「そんな口調ではないだろうけどな。
「でも、どらごんぼーるはアメリカでも
人気あるってゆーから。
今度聞いてみようか?
意外とすんごく好きかもしれないよ。
「シンゴ。
「はい。
「あっちにオカシがあるぞ。
「そーだった!
買ってきてたんだよね…ゴソゴソ。
「…さてと。
戦、勇、武、遊でレベルも結構あがったぞ。
ゆーほど悪くねぇんじゃね?このパーティ。
フツーにヤマネも戦ってるし。
「(さくさく)ヒビキちゃんはやっぱり(さくさく)
素手でも強いねー。(しゃくしゃく)
「じゃがびー食いながらしゃべんな。
回復魔法は心もとないが、全員に薬草持たせとけば
かなり長旅でもいける。なにしろ強い。
「イモムシも倒せるよーになったしね!
「盗賊の鍵が手に入ったから
城の宝ももらい放題じゃん。ウハウハ。
この金で装備揃えて薬草買って…
あとは…
「さっき村のおじーさんからもらった魔法の玉で
あそこの洞窟の壁が通れるようになるんじゃない?
「おーそっかそっか。
余裕だな。
「いっぺん回復しに戻った方がいいと思うけど…
「しかしだな、ここまできたらイッキに。
「あっ毒みどりちゃんの群れ。
うわわ、ヤマネ君以外みんな毒だよー。
「コイツラウゼー。ちくしょうバブリシャス!
「毒消しないよー。
「もう一歩で洞窟に…
くぅ、魔法使いかよー。
「メラが!メラが!
「でぇーい倒したる!!
「もうちょっと!もう一撃!
がんばれー!
「いけるぜコナロー!
ヤマネ、最後の一撃いけぇー!
「あっ。
「ヤマネはにっこりほほえんだ…。
「……。
「……。
「全滅したね…。
「なんだコイツ!ヤマネー!!
バカじゃねーの?
「ヤマネ君…だもんね…。
「あーなくした。
完全にやる気なくしたわ。
「えーっもう?
おしまい?
「だってオマエ、全滅して
手持ちの金が半分になって
3人死んでるんだぜ?
「大ジョブだよ。
ボク生き返らせて、またふたりで
お金稼ごうよ。世界救おうよ。
「シンゴ…オマエって地味な生き方が似合うなぁ。
「タッくんは派手に生きて派手に散るタイプ?
「チッ!シンゴ、お金稼いどいて。
オレ、ドリンク買ってくる。
「タッくん、怒ったの?
「怒ってねーし。
情けねー声で言うな。
オマエ、オレといるとなんか
性格悪くなっちゃうかもな。
「悪くなんないよ。
ちゃんと言い返せるよーになるよ。
いつもタッくんが
黙ってるからイジメられるんだって
言ってたの、わかってきたの。
「そっか…。
「黙ってたら会話にならないんだよね。
だからみんなイラつくって言うんだよね。
「…じゃ、ちょっといってくっから。
「いってらっしゃーい。
稼いどくねぇ。
(つづく)
#5
ガラッ
「たでーま。あっコイツ。
「ぐーぐー。
「寝てやがんの…
「ぐーぐー。
「オイ。
「はわっ冷たーい!
あっ!はーげんだっつだ!
「寝てただろオマエ。
「ね、寝てないよ?
「顔に畳の跡とヨダレと寝グセがついてる。
「寝てた?ボク。
「ぐーぐー寝てたな。
「ゴメン…
「ごてーねーにテレビとファミコン消して
寝る気まんまんじゃねーか。
「えっ消してないよ!?
「消えてんじゃん。
「本当だ。
「ちょーオマエー。
「知らないよ!コワイよっ!
「今、玄関でオマエのオヤジさんに会ったぞ。
お早いお帰りでっつったら、ちょっと用があって
家に寄っただけでまた現場に戻るってさ。
「じゃあお父ちゃんのしわざだ。
ビンボー症だからすぐ電気消すんだよ。
「まぁ節約は美徳だけどな。
「ゴメンね。
「寝てるオマエが悪い。
それはそれとして…セーブしてたか?
「うんうん!
レベルが2こあがったから王様のとこにいったよ!
そんで、お金もたまったから教会にいこーとして…
えーと…
「寝ちったの?
「うん…
「まぁ上出来だ。
「えへへ。じゃあまた始める?
「アイスも食ったし目も覚めたろ。
「はーい。
「あっ!
「ど、どーしたの?
「そーいやな…
ファミコンは電源切る時はいちいち
リセットボタン押しながら切らないと
データが消えるらしいんだぜ。
「えーなんでー。
「電圧が不安定になってデータが破壊されるらしい。
昔のバックアップだからな。雑なんだろいろいろ。
「お、お父ちゃん、
リセット押しながら切ってくれたかな…
「ムリじゃね?
「ムリかな…
「オヤッさんが雑じゃん。
「そ、そうだね…
「しかもオヤッさん、
ファミコンなんてやんねーだろ?
「やんない…ウチにあるゲームカセットは
お父ちゃんの友達がウチに持ってきて
遊んでたやつなんだって。
「あーあ。
終わっちゃった…オレ達の冒険。
「え、ええ~。
せっかく…がんばったのに…
「いちかばちか立ち上げてみるか。
「ゴクッ。
「シンゴ、電源入れてごらん。
「ボクがですか?
「そう。
「これがスイッチですか?
「そう。
「かっかたい!
「そこをグッと。
「コワイよっ!
「いいから。
「ガチャガチャ。
「おーい!入れたり消したりすんなよー!
ますます消えるじゃねーか。
「うえーん。
「動転すんな。一回グッと押せ。
「いっかいぐっ。
「ん?立ち上がんねーな。
ロムの接触か…?
「あっそれ知ってる!
昔おじーちゃんがやってたの見たよ!
「なにを?
「このね、差すところをね、ふっふって。
「吹くのかよ。
「魔法の息なんだって。
「端子のホコリを飛ばしてんだろ?
「これでどうかな…差して、一回ぐっ。
「おー。
「字が出たー。
魔法の息って本当なんだねー。
「で、肝心のデータは?
「これ?
LV10たくや?
「ツエー!いっこも消えてねぇ。
なんだこのカートリッジ…不死身?
「よかったよぉー。
データ消えてたらタッくんに殺されちゃうよ。
「バカ。ゲーマーがこんな事くらいで殺してたら
たちまちジェノサイドだよ。
いいか、ゲームは結果じゃない。
経過をいかに楽しんだか、だ。
データが残ってようが残ってなかろうが
そんなもん人生の得にゃなんねーよ。
「うわーカッコいいなぁー。
「それとは別にゲームの見張りもできないシンゴは
超究武神覇斬の刑だけどな。
「なんか絶対死んじゃいそうな技だね…
「さて、レベルもあがった事だし、
ヤマネを生き返らせて鍛え直してやっか。
「それがいいよ。うんうん。
(つづく)
#6
「…ねぇタッくん。
「ん~?
「このゲーム、これでおわり?
「なんで。
「だって、王様になっちゃったよ?
「なっちゃったなぁ。
「よーやっとアリアハンから出て
新しい大陸にきたのに…
「だってよー王冠取り戻してやったら
なっちゃったんだもん。王様に。
返さないで先に進んだ方がよかったのか?
「ダメだよー。
あとで絶対怒られるよ。
「そーだろ?
まぁ、あの金のかんむり…
ヤマネに似合ってたけどな。
「う、うん…。
「想像してみ。あの顔で。
「ぷっくくー。あはははははははは!
「まーそんなこたどーでもいいんだ。
王様だよ王様!
門番がいて町から出らんねーし
町の人にも完全に王様扱いされてるし
元々の王様もどっかいっちゃったし……
「先に、上の方の村にいった方がよかったのかな。
「あー、あったなぁ。村。
カザーブ村からもっと北のだろ?
ちらっと見て戻っちゃったんだよな。
「先に西の塔の盗賊を倒してから!って
タッくんが意地になってたんだよ。
「ちゃんと話がまとまってから
先に 進むもんなの!冒険の旅っつーのは!
「まとまりすぎて王様になっちゃったね。
「くっそー『シンゴはイヤミをおぼえた!』か?
「そんなんじゃないお!
「なンだよ『お?』って。
しょこたんならいいってもんじゃねいぞ。
「お?なんて言ってないよ!
「言ってないおっおっおっ(^ω^;)(;^ω^)か?
「もー!
「シンゴ、お茶入れて。
「はい…。
「詰んだかな、こりゃ。
「詰み?
「昔のゲームって、なんか間違って進んじゃって
取り返しがつかなくなる事もよくあったって。
「ええーそうなのー?
「ゲーマーコミュのチャットでそんな話をしてたんだ。
そこの常連の、超年上っぽい人が昔のゲームをよく語んの。
そーすっとみんな落ちてくんだけど。w
「…………(言ってる意味が全然わかんない…)
「つっても言ってる意味わかんねーよな。
シンゴはチャットとかやんねーもんな。
「パソコン持ってないもん…
「まぁ、そんなたいした話じゃねぇし。
今度ウチにある使ってないPCやるよ。
一台くらいあってもいいだろ?
「いいよ別に。
「そっか?
夜中でもチャットで会話できるし便利だぜ?
「でもいい。お父ちゃんに怒られるの。
やたらに物をもらうと。
「ふーん…。
「あ、ゴメン…怒った?
「やっぱ、オマエのオヤッさんはカッコイイな。
「全然カッコよくないでしょ!
あ、それがイヤミっていうやつ?
「違げーよ。ちゃんとしてんじゃん親として。
本当に…ウチの親父のチャラさと比べたらさ…
チャラくてチャラくて死にそーだよオレは…
「じゃあ、交換する?
「いーねぇ。オレは好きだぜ。オマエのとーちゃん。
「ボクだって、タッくんのパパさん好き。
「じゃあ、問題ないじゃん。
オマエ、オレん家いって住めよ。
オレこのままここで暮らす。
「タッくんは無理だと思うけど…この家。
「なんで。
「…お父ちゃんのイビキすんごいよ?
「へー。
「ホントだよ。ものすごい轟音だよ?
お隣からたまに苦情がくるよ。
「オマエよりすごい?
「えっ!ボク?イビキなんてかかないよ!
「さっきかいてた。
「えっ!かいてないよ!
「そりゃオマエは寝てたから知らないだろ。
「えええええ。そ、そーなの?
「うん。
「……。
「黙っちった。そんなにショックだった?
「……。
「放心状態かよ。
「……。
「じゃあこの隙に地下の格闘場へ…と。
「あっ!ダメだよっ!ギャンブルは!
「これには敏感なんだな。
なんで賭け事すると怒るんだよ。
トラウマでもあんのか?
「うん…おじーちゃんがちょっと…
すごく賭けごとが好きでよくケンカしたり…
お金が無くなっておばーちゃんが怒ってた。
「こわかった?
「うん。
おばーちゃん…いつもあんなに優しいのに…
おじーちゃんを殺すのかな?って思ったの。
お父ちゃんでも止められなくって…
まだボク3才だったけど覚えてるの…
ガクガクブルブル。
「あっヤッベ。しっかりしろ!シンゴ!
わかるか?オレだぞ。
「タ、タッくん…
「横になって深呼吸しろ。
目を閉じてオレの事だけ考えるんだ。
「タッくん…すーはーすーはー。
「……。
「すーはーすーはー。
「……。
「すーはーすーはー。
「あっ!
「え、どーしたの?
「いた!闘技場に王様いたっ!
「なんで闘技場にいくのっ!
「あー、遊び好きの王様だから…
ここで遊んでたんだ。
バカ!シンゴ!オマエが邪魔しなきゃ
もっと早く王様みっかってんだよ!
「なんてバカな王様なの…?
「ホントにバカだ…あーあ。
「あーあ……
「疲れたなシンゴ……
「うん…
でもおもしろいね、これ。
「やっぱハンパないっスねードラクエ。
さすが伝説。
「ねぇ、これIIIって書いてあるけど
IIとかIとかあるのかな?
「そら、あるだろ。
「順番にやんなくていいのかな?
「いいんじゃね?
問題ないじゃん今んとこ。
「そぉ?
「ないんだからしゃーない。
「箱の中に…ないもんねぇ。
「これしかないって事は、
これだけで成立してたって事だろ。
「あ、そうか。
「いい、いい。いまさら。
まずはこの冒険を終わらせるぜ。
「…タッくんて、A型?
「教えない。
「なんでー?
「個人情報だから。
「ひどい…。
(つづく)
#最終回
「あっ!タっくうーん!
「おうシンゴ。
「なんか最近ぜんぜんうちに来ないねー。
「そうか?
「もう、あれ、やらないの?
「ん?
「どらごんくえすと3。
「んなこたーねぇよ。
「あ、じゃあじゃあ、これからくる?
泊まっていく?
「今日はちっと…
「忙しいの?
「ちっとだけな。
「あれ、なんか買ってきたの?げーむ?
「ああ、これ?そう…新作。
「また一緒にできるやつ?
「あー…できたりできなかったりするなぁ。
「そうなの?見せてよー。
「ああ…(ガサガサ)
「あれ、これって…?
「ドラクエ9。DSの。
「DSってちっちゃくてパカッてするやつだよね。
「うん。(ゴソゴソ)コレな。
「あ、本物。オシャレーだねぇ。
どらくえ9ってこれで遊べるんだ?
「そーなんだよ。
なんで携帯機なんだよって話だよな。
「ふーん…
こんな画面だと一緒に見られないね。
「ちょい暑苦しいかもな。
冬ならまぁ、よかったけどな…
「そっか、今日からそれで遊ぶんだね。
「お、おう。
「ゴメンネ、引き止めちゃって。
ボクも帰るね。
「いや、いいんだ…
「どらごんくえすと3は触らないようにしとくね。
セーブしたの消えないようにしとくからねー。
「ああ…
「じゃあまたね。月曜日に学校でー。
「じゃあ、な。
「ちょまてよ!
シンゴッ!シンゴー!!
「なに?どうしたの?
「オマエん家いって、続きやろうぜ!
ドラクエ3!
「えーでも、せっかく新しいの買ったんでしょ?
「いいんだ、こんなのは。
おいっそこの小坊!おまえゲーム好き?
そうか、じゃあこれやるよ。ドラクエ9とDS。
ああ、いいから全然!親には黙っとけ?じゃあな!
「ななな、なんで!?あげちゃったの?
本当に?ほんとーに?
「知らない子にあげちったもん。
返せなんて言ったら鬼じゃん?
「もう、タっくんのお金持ち!
「そうだ。金で買えるんだからいーんだ。
今は金で買えないものがいいんだ。
「…どらくえ3とふぁみこん?
「それだって金出しゃ買えるさ。
オマエと遊んだ分のデータとこれから遊ぶ時間は…
楽しいだろ?きっと。
「タっくん…
「ムネキュンした?
「した…
「さっき、オレもオマエの後ろ姿見て…さ。
(若い女と浮気したのがバレて女房にひっぱたかれるの覚悟したけど
女房が優しくその女と遊ぶ金を苦しい家計の中からそっと渡して
くれた、そんな惚れ直してしまうやろ!な気持ちになったなんて
絶対言えねーよな…)
「なに?
「なんでもねーよ。さっさとオマエん家いこうぜ。
「うんうん!
ひそかに楽しみにしていたドラクエ9。
どうせ知らない子にあげてしまうくらいなら、
シンゴに1セットあげて自分でもう1セット買って
通信プレイしたらもっと楽しかったかも…
と、その夜タクヤは気づくのであった。
FIN
*補足*
このファミコンカセットはその昔シンゴの父ちゃんが友達から借りパクしたモノ。
残っていたデータはその友達のデータでした。その友達とはタクヤのパパ。
ちなみにシンゴの父ちゃんはゲームの始め方がわからず
このデータを使ってちょこっと遊んだだけだったようです。で、返さなかった。