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タクヤとシンゴがドラクエを始めるようです

※2009年頃の作品です。

スマホもなく、DSでドラクエ9が発売されようとする頃の話…

#1


「うほっこれがファミコンか。現物初めて見たぜ。


「ボクん家、テレビゲームこれしかないの。


「すげーな。配線がテレビのアンテナに繋がってるけど

 これ…できんの?


「たぶん…


「マジか。じゃあやろうぜ。ソフトは?


「この箱の中に。


「おー。ファミコンカセットかー。すげーな…少ないな。


「ウチって昔からあんまりおもちゃ買う習慣がないんだけど

 昔おじーちゃんがすーぱーまりおをやるって買ってきたんだって。


「伝説だな。おお、これドラクエ3じゃん。ハンパねぇな。


「有名なの?


「知らねーの?いくらなんでもドラクエは知ってろよ。

 まぁ、オレも8しかやった事ないけど。

 ええと、ここに差して…(ガコッ)うう、かてぇ。

 これでいいのかな。電源入れてみていいか?


「うん…たぶん。


「(ガチョッ)…おー生きてる。タイトルでた。

 なんか昔のケータイのゲームみたいな画面だな。


「ケータイでゲームができるの?


「オマエって…かわいいな。まぁいいけど。

 うぉ、まだデータ残ってる。

 もう20年くらい前のゲームなのに。

 ゆうしゃ、いぬかみ?…なんだこれ。オレ?

 オマエ、最近やったんだろ。


「しっ知らないよぅ。


「パーティは…勇者いぬかみ、戦士くまた。

 ほらー。


「し…知らないよ…本当に本当だよっ。コワイよっ。


「勇者いぬかみ、戦士くまた、武闘家しし、僧侶はる…なんだこれ。

 まぁいいか。データは消して…と。

 ほら、始めっぞ。

 名前ひらがなしかないんだな…

 じゃあ、勇者たくや、な。


「名前つけるの?なにするゲームなの?


「オマエ…RPGも知らねーのか。知らなすぎだろ。

 じゃあちょっと見てな。どーせひとり用だし。


「ホッ…ずっと見てればいいんだね?


「起きなさい私のかわいいたくや、と。

 16才の誕生日よ、と。

 王様に挨拶にいきなさい、と。


「うわーホントにタッくんのママさんがでてきた。すごいね。


「んな訳ねーだろ。(似てっけど…)

 勇者の息子である所のオレは魔王を倒しにいくんだってさ。

 こーいう話の元ネタがこれなんかな。ハンパねぇ。

 酒場で仲間を集めるって…ここかぁ。

 仲間も自分で登録できるみたいだ。

 じゃあ、戦士しんご、な。


「ええっ見てればいーんじゃないの?わかんないよぅ。


「…見てればいーんだよ。

 ちょっとふたりで外に出てみるからな。


「あっふたりになった!こっちがボク?


「そー、青いのがオレでピンクがオマエ。


「すごいねぇ。色もボクらと同じだね。


「たしかに…おっ、モンスターでた。


「わー知ってる!これ!スライムでしょー?


「ま、まさかコイツを知ってるとは!

 オマエ天才じゃねぇ?


「えへへ…スライムってかわいいよねぇ。


「でも殺すけどね。


「えー!冗談でもやめてよぅ。


「冗談じゃねぇし。殺さないと話が進まねぇし。


「そんな…ヒドイ…


「偶然に名ゼリフがでたな。


「やめてよぅ。スライムはそっとしとこうよぅ。


「しかしオマエがダメージを受けてるぞ。

 シンゴは2ダメージをうけた!って。


「ええーっ!


「スライム殺さないとオマエが死んじゃうよ?


「いいよ…スライムを殺すよりいいよ。


「シンジ君かオマエは。


「シ、シンゴですけど…



(つづく)




#2

「しくしくしく…。


「なーにシクシク言ってんだ。


「だってタッくん、

 わざとお城のまわりをぐるぐるまわって

 スライムを全滅させようとしてるんだもん。


「オマエ、そんなにスライム好きなのか?


「うん。抱いて寝るとひんやりしてキモチよさそう!


「でもな、しょーがないんだよ。

 魔物から世界を救うのが目的なんだから。


「えっスライムって魔物なの?


「なんだと思ってたんだよ。


「ぽよぽよっとしたしずくの妖精かと…


「しずくじゃねーよ。廃液だよ廃液。ヘドロ的な。


「…じゃあ、抱いて寝れないの?


「朝には溶けて流れてオマエはいなくなるな。


「(ゴクリ…)


「しかも、あの目にみえるの、あれ目じゃないから。

 死んだ魚の目があの位置にあるだけだから。


「ぎゃあああ!!!


「……。


「…ウソでしょ?


「ウソだといいねぇ…ケッケッケ。


「ヒドイよ。ヒドすぎるよ。


「でも経験値稼ぎはRPGの基本だからな。

 こーやって戦ってるとレベルがあがって強くなるんだ。

 なにも無意味にスライム狩りしてる訳じゃねーし。


「そーなの?


「しかもスライムいなくなんねーし。

 無限だし。


「いなくならないの?


「だって汚物だもん。


「やめてよーやめてよぉー。


「と、いってもこれも飽きてきたな…

 同じとこぐるぐる回っててアホみたいだし、

 そろそろ別の場所にいってみっか。


「あれっ!上の方にどんどん森が広がってく!


「なっ。世界は広いんだぜシンゴ。

 小さい事でシクシク泣いてらんねーだろ?


「うんー!


「見てみ?町が見えてきたぜ。


「ホントダ。お城以外にも人が住んでいるの?


「そりゃそう…うわっカラスの大群!


「あっ!あーっ!やられてるよっ!

 画面の色が変わったよっ!


「オレ…死んだ…。


「タッくぅーん!!!


「呼んでもダメだから。城に戻って立て直すぞ。

 シンゴ…連れて帰ってくれ。オレの遺体を。

(操作するのはオレだけど)


「どきどき…


「シカバネとふたり旅…


「あっ!ついた!城についたよ!

 ママさーん!タッくんが死んじゃったんですけどー。


「オレが死んでると回復もしてくれないな。


「ゴメンナサイ…ママさん…

 ボク…これからどーやって生きていけばいいの…


「思い出を胸に抱いて生きてくれ。オレの分まで。


「あっそーだ!酒場にいって新しいタッくんを

 登録すればいいんだ!


「オマエ…オレが死んだらすぐ似たような男を探して

 仲間にするわけ?


「ハッ!そ、そうだよね…

 タッくんはひとりしかいないよね…

 許してなんて言えないよね…


「死んだら教会で復活させるんだってさ。

 取説があってよかったな。w


「うわーあ、棺桶がまた元のタッくんに!

 ありがとう神父さま…ボクん家無宗教だけど!


「寄付金取られたぞ。


「それはしょうがないじゃない。

 タッくんが生き返るんなら全財産寄付するよ。


「んな事してたら自分の家から一歩も離れらんねぇ。

 なるべく死なないよーに、防具も揃えて、薬草も買って…


「旅はモノイリだねぇ。


「さっきの神父、殴りたくなってきた。


「また棺桶に戻されちゃうよ…。


「実はな。


「えっ。


「もうふたり、旅に連れていけるんだけど。


「ふたり旅じゃないの?


「4人旅の方が戦闘もラクなんだけど。


「ふたりじゃ…ダメ?


「メンドくさくなってきた。いろんな意味で。


「じゃあしょうがないね…

 誰を入れるの?


「誰がいい?



(つづく)



#3


「仲間かぁ……あっそーだ!

 タッくんのママさんとパパさんを呼ぼうよ!


「うぉい!

 父兄同伴ってオマエ。オレがかわいそーだろ。


「でもママさん癒してくれそうじゃない?

 パパさんも強そうだし。


「超ダメ。超ムリ。超アホ。


「うえーん。じゃあ誰ぇー?


「そうだな…ヤマネなんかどうだ。

 おもしろそーだろ?


「えー。そうかなぁ…↓


「サゲサゲか。

 いーじゃん、アイツ強そうだし。w

 大丈夫だよ。オマエはオレのそばにいれば。


「わかった…。

 わかったけど、そのかわりヒビキちゃんも入れて。


「なンだそれ。オマエッ!


「ヒビキちゃんだって強そうでしょ?

 ヤマネ君もヒビキちゃんがいればおとなしいかも。


「そーいう事を言うか…。

 オマエにしては鋭いところをつくじゃんか。


「でしょでしょ。


「うーん、まぁいいや。他に人材もないし。

 んじゃ登録しにいくかんな。

 

「ふふふ。


「オレに勝ったと思っただろオマエ。


「勝たないよぅ。


「オマエ、もしかして実はかしこいのか?


「そんなにバカじゃないよ!


「こないだの中間は全科目平均点より上取ってたもんな…

 もっと頭悪いのかと思ってたが。


「バカじゃないもぅん。


「その口調がバカっぽいんだよな。見た目も。


「ふぇーん。

 どーしたらいいのぅ?


「いーよオマエは。それで。

 見た目が賢くて中身がバカな奴よりよっぽどマシ。


「このままでいいの?


「ニコニコしとけ。


「わかった。


「えーと…じゃあ、ヒビキは魔女な。


「魔女子さん?


「そんなカワイクいうなよ。カワイクねーし。

 もっと呪いをかけてきそーなの想像しろよ。


「ヒビキちゃんはさぁ…(パラパラ)

 こっちの武闘家の方がよくない?

 鍛えた拳の一撃はバツグン!って書いてある。

 ヒビキちゃんに殴られると痛かったよね~。


「うう…。思い出してもハラが立つ。

 魔法使いも欲しいが、勇者も魔法覚えるみたいだし、

 そっちの方がアイツに似合ってるな…暴力オンナ。

 ピッピッピッと。登録したぞ。


「ヤマネ君は?


「アイツはそりゃオマエ。

 アホだから魔法使いじゃねーだろ。


「あ!じゃあ逆だ。ヤマネ君が武闘家で

 ヒビキちゃんが魔法使い…むごー!むぐぅー!


「登録した後に逆とかゆーんじゃねぃ!

 キライなんだよゴチャゴチャやり直すの!


「肉まん詰め込まないでよ…(もぎゅもぎゅ)

 それはタッくんの悪いクセだと思うなぁ。

 数学のテストでも方程式途中で間違えてるのに

 ムリヤリ答えだそーとするから…むぎゅー。


「うっせ!


「あんまん詰め込まないでよ…(もぎゅもぎゅ)

 ワガママなんだからもう~。


「わかった!ヤマネはこれだ!

 遊び人!wwww


「アハハハハ!


「わはははは! 


「こ、この格好…ぷっくすすすすー。


「デブっちゃった食い倒れ太郎君かよ!ww


「おもしろいけど…

 後で怒られるんじゃない?


「関係ない関係ない。

 アイツ、ゲームなんか興味ねーだろ。


「ちょっと悪い気がする…


「大丈夫だよ。

 これ、オレ達だけの秘密だから。


「ふたりの秘密?


「そう。楽しいだろ?


「うん…楽しい。


「そいじゃ、心機一転。

 この4人で出発だぜ。


「やったー。


「………。


「………。


「………………ぷっ。


「…あはっ。あははははは。


「ヤマネ、ウケル。

 なにこの世界観。


「やっぱり悪いよーこんな…うふふふ。


「酒場にいた奴が

 『遊び人は本当に役立たずだ』

 つってたけど…

 マジで役に立たなそーwwwww


「いいの?大丈夫なの?


「いいよおもれーから。

 先頭歩かしちゃお。


「あははははは!


「わははははは!




(つづく)



#4


「オッス!オラヒビキ!

 世の中には強ぇーヤツがいっぱいいるなぁ!

 オラ、ワクワクしてきたぞ!


「シンゴ。


「はい。


「オマエの中のヒビキってそんなキャラなのか?


「うーん…なんかこんな感じ…?


「武闘家だからって

 インスパイアされたんだろ。なにかに。


「でもでも、

 こんな事は考えてそうじゃない?

 強いやつを見るとわくわくしてそう。


「そんな口調ではないだろうけどな。


「でも、どらごんぼーるはアメリカでも

 人気あるってゆーから。

 今度聞いてみようか?

 意外とすんごく好きかもしれないよ。


「シンゴ。


「はい。


「あっちにオカシがあるぞ。


「そーだった!

 買ってきてたんだよね…ゴソゴソ。


「…さてと。

 戦、勇、武、遊でレベルも結構あがったぞ。

 ゆーほど悪くねぇんじゃね?このパーティ。

 フツーにヤマネも戦ってるし。


「(さくさく)ヒビキちゃんはやっぱり(さくさく)

 素手でも強いねー。(しゃくしゃく)


「じゃがびー食いながらしゃべんな。

 回復魔法は心もとないが、全員に薬草持たせとけば

 かなり長旅でもいける。なにしろ強い。


「イモムシも倒せるよーになったしね!


「盗賊の鍵が手に入ったから

 城の宝ももらい放題じゃん。ウハウハ。

 この金で装備揃えて薬草買って…

 あとは…


「さっき村のおじーさんからもらった魔法の玉で

 あそこの洞窟の壁が通れるようになるんじゃない?


「おーそっかそっか。

 余裕だな。


「いっぺん回復しに戻った方がいいと思うけど…


「しかしだな、ここまできたらイッキに。


「あっ毒みどりちゃんの群れ。

 うわわ、ヤマネ君以外みんな毒だよー。


「コイツラウゼー。ちくしょうバブリシャス!


「毒消しないよー。


「もう一歩で洞窟に…

 くぅ、魔法使いかよー。


「メラが!メラが!


「でぇーい倒したる!!


「もうちょっと!もう一撃!

 がんばれー!


「いけるぜコナロー!

 ヤマネ、最後の一撃いけぇー!


「あっ。


「ヤマネはにっこりほほえんだ…。


「……。


「……。


「全滅したね…。


「なんだコイツ!ヤマネー!!

 バカじゃねーの?


「ヤマネ君…だもんね…。


「あーなくした。

 完全にやる気なくしたわ。


「えーっもう?

 おしまい?


「だってオマエ、全滅して

 手持ちの金が半分になって

 3人死んでるんだぜ?


「大ジョブだよ。

 ボク生き返らせて、またふたりで

 お金稼ごうよ。世界救おうよ。


「シンゴ…オマエって地味な生き方が似合うなぁ。


「タッくんは派手に生きて派手に散るタイプ?


「チッ!シンゴ、お金稼いどいて。

 オレ、ドリンク買ってくる。


「タッくん、怒ったの?


「怒ってねーし。

 情けねー声で言うな。

 オマエ、オレといるとなんか

 性格悪くなっちゃうかもな。


「悪くなんないよ。

 ちゃんと言い返せるよーになるよ。

 いつもタッくんが

 黙ってるからイジメられるんだって

 言ってたの、わかってきたの。


「そっか…。


「黙ってたら会話にならないんだよね。

 だからみんなイラつくって言うんだよね。


「…じゃ、ちょっといってくっから。


「いってらっしゃーい。

 稼いどくねぇ。



(つづく)



#5


ガラッ


「たでーま。あっコイツ。


「ぐーぐー。


「寝てやがんの…


「ぐーぐー。


「オイ。


「はわっ冷たーい!

 あっ!はーげんだっつだ!


「寝てただろオマエ。


「ね、寝てないよ?


「顔に畳の跡とヨダレと寝グセがついてる。


「寝てた?ボク。


「ぐーぐー寝てたな。


「ゴメン…


「ごてーねーにテレビとファミコン消して

 寝る気まんまんじゃねーか。


「えっ消してないよ!?


「消えてんじゃん。


「本当だ。


「ちょーオマエー。


「知らないよ!コワイよっ!


「今、玄関でオマエのオヤジさんに会ったぞ。

 お早いお帰りでっつったら、ちょっと用があって

 家に寄っただけでまた現場に戻るってさ。


「じゃあお父ちゃんのしわざだ。

 ビンボー症だからすぐ電気消すんだよ。


「まぁ節約は美徳だけどな。


「ゴメンね。


「寝てるオマエが悪い。

 それはそれとして…セーブしてたか?


「うんうん!

 レベルが2こあがったから王様のとこにいったよ!

 そんで、お金もたまったから教会にいこーとして…

 えーと…


「寝ちったの?


「うん…


「まぁ上出来だ。


「えへへ。じゃあまた始める?


「アイスも食ったし目も覚めたろ。


「はーい。


「あっ!


「ど、どーしたの?


「そーいやな…

 ファミコンは電源切る時はいちいち

 リセットボタン押しながら切らないと

 データが消えるらしいんだぜ。


「えーなんでー。


「電圧が不安定になってデータが破壊されるらしい。

 昔のバックアップだからな。雑なんだろいろいろ。


「お、お父ちゃん、

 リセット押しながら切ってくれたかな…


「ムリじゃね?


「ムリかな…


「オヤッさんが雑じゃん。


「そ、そうだね…


「しかもオヤッさん、

 ファミコンなんてやんねーだろ?


「やんない…ウチにあるゲームカセットは

 お父ちゃんの友達がウチに持ってきて

 遊んでたやつなんだって。


「あーあ。

 終わっちゃった…オレ達の冒険。


「え、ええ~。

 せっかく…がんばったのに…


「いちかばちか立ち上げてみるか。


「ゴクッ。


「シンゴ、電源入れてごらん。


「ボクがですか?


「そう。


「これがスイッチですか?


「そう。


「かっかたい!


「そこをグッと。


「コワイよっ!


「いいから。


「ガチャガチャ。


「おーい!入れたり消したりすんなよー!

 ますます消えるじゃねーか。


「うえーん。


「動転すんな。一回グッと押せ。


「いっかいぐっ。


「ん?立ち上がんねーな。

 ロムの接触か…?


「あっそれ知ってる!

 昔おじーちゃんがやってたの見たよ!


「なにを?


「このね、差すところをね、ふっふって。


「吹くのかよ。


「魔法の息なんだって。


「端子のホコリを飛ばしてんだろ?


「これでどうかな…差して、一回ぐっ。


「おー。


「字が出たー。

 魔法の息って本当なんだねー。


「で、肝心のデータは?


「これ?

 LV10たくや?


「ツエー!いっこも消えてねぇ。

 なんだこのカートリッジ…不死身?


「よかったよぉー。

 データ消えてたらタッくんに殺されちゃうよ。


「バカ。ゲーマーがこんな事くらいで殺してたら

 たちまちジェノサイドだよ。

 いいか、ゲームは結果じゃない。

 経過をいかに楽しんだか、だ。

 データが残ってようが残ってなかろうが

 そんなもん人生の得にゃなんねーよ。


「うわーカッコいいなぁー。


「それとは別にゲームの見張りもできないシンゴは

 超究武神覇斬の刑だけどな。


「なんか絶対死んじゃいそうな技だね…


「さて、レベルもあがった事だし、

 ヤマネを生き返らせて鍛え直してやっか。


「それがいいよ。うんうん。



(つづく)


#6


「…ねぇタッくん。


「ん~?


「このゲーム、これでおわり?


「なんで。


「だって、王様になっちゃったよ?


「なっちゃったなぁ。


「よーやっとアリアハンから出て

 新しい大陸にきたのに…


「だってよー王冠取り戻してやったら

 なっちゃったんだもん。王様に。

 返さないで先に進んだ方がよかったのか?


「ダメだよー。

 あとで絶対怒られるよ。


「そーだろ?

 まぁ、あの金のかんむり…

 ヤマネに似合ってたけどな。


「う、うん…。


「想像してみ。あの顔で。


「ぷっくくー。あはははははははは!


「まーそんなこたどーでもいいんだ。

 王様だよ王様!

 門番がいて町から出らんねーし

 町の人にも完全に王様扱いされてるし

 元々の王様もどっかいっちゃったし……


「先に、上の方の村にいった方がよかったのかな。


「あー、あったなぁ。村。

 カザーブ村からもっと北のだろ?

 ちらっと見て戻っちゃったんだよな。


「先に西の塔の盗賊を倒してから!って

 タッくんが意地になってたんだよ。


「ちゃんと話がまとまってから

 先に 進むもんなの!冒険の旅っつーのは!


「まとまりすぎて王様になっちゃったね。


「くっそー『シンゴはイヤミをおぼえた!』か?


「そんなんじゃないお!


「なンだよ『お?』って。

 しょこたんならいいってもんじゃねいぞ。


「お?なんて言ってないよ!


「言ってないおっおっおっ(^ω^;)(;^ω^)か?


「もー!


「シンゴ、お茶入れて。


「はい…。


「詰んだかな、こりゃ。


「詰み?


「昔のゲームって、なんか間違って進んじゃって

 取り返しがつかなくなる事もよくあったって。


「ええーそうなのー?


「ゲーマーコミュのチャットでそんな話をしてたんだ。

 そこの常連の、超年上っぽい人が昔のゲームをよく語んの。

 そーすっとみんな落ちてくんだけど。w


「…………(言ってる意味が全然わかんない…)


「つっても言ってる意味わかんねーよな。

 シンゴはチャットとかやんねーもんな。


「パソコン持ってないもん…


「まぁ、そんなたいした話じゃねぇし。

 今度ウチにある使ってないPCやるよ。

 一台くらいあってもいいだろ?


「いいよ別に。


「そっか?

 夜中でもチャットで会話できるし便利だぜ?


「でもいい。お父ちゃんに怒られるの。

 やたらに物をもらうと。


「ふーん…。


「あ、ゴメン…怒った?


「やっぱ、オマエのオヤッさんはカッコイイな。


「全然カッコよくないでしょ!

 あ、それがイヤミっていうやつ?


「違げーよ。ちゃんとしてんじゃん親として。

 本当に…ウチの親父のチャラさと比べたらさ…

 チャラくてチャラくて死にそーだよオレは…


「じゃあ、交換する?


「いーねぇ。オレは好きだぜ。オマエのとーちゃん。


「ボクだって、タッくんのパパさん好き。


「じゃあ、問題ないじゃん。

 オマエ、オレん家いって住めよ。

 オレこのままここで暮らす。


「タッくんは無理だと思うけど…この家。


「なんで。


「…お父ちゃんのイビキすんごいよ?


「へー。


「ホントだよ。ものすごい轟音だよ?

 お隣からたまに苦情がくるよ。


「オマエよりすごい?


「えっ!ボク?イビキなんてかかないよ!


「さっきかいてた。


「えっ!かいてないよ!


「そりゃオマエは寝てたから知らないだろ。


「えええええ。そ、そーなの?


「うん。


「……。


「黙っちった。そんなにショックだった?


「……。


「放心状態かよ。


「……。


「じゃあこの隙に地下の格闘場へ…と。


「あっ!ダメだよっ!ギャンブルは!


「これには敏感なんだな。

 なんで賭け事すると怒るんだよ。

 トラウマでもあんのか?


「うん…おじーちゃんがちょっと…

 すごく賭けごとが好きでよくケンカしたり…

 お金が無くなっておばーちゃんが怒ってた。


「こわかった?


「うん。

 おばーちゃん…いつもあんなに優しいのに…

 おじーちゃんを殺すのかな?って思ったの。

 お父ちゃんでも止められなくって…

 まだボク3才だったけど覚えてるの…

 ガクガクブルブル。


「あっヤッベ。しっかりしろ!シンゴ!

 わかるか?オレだぞ。


「タ、タッくん…


「横になって深呼吸しろ。

 目を閉じてオレの事だけ考えるんだ。


「タッくん…すーはーすーはー。


「……。


「すーはーすーはー。


「……。


「すーはーすーはー。


「あっ!


「え、どーしたの?


「いた!闘技場に王様いたっ!


「なんで闘技場にいくのっ!


「あー、遊び好きの王様だから…

 ここで遊んでたんだ。

 バカ!シンゴ!オマエが邪魔しなきゃ

 もっと早く王様みっかってんだよ!


「なんてバカな王様なの…?


「ホントにバカだ…あーあ。


「あーあ……


「疲れたなシンゴ……


「うん…

 でもおもしろいね、これ。


「やっぱハンパないっスねードラクエ。

 さすが伝説。


「ねぇ、これIIIって書いてあるけど

 IIとかIとかあるのかな?


「そら、あるだろ。


「順番にやんなくていいのかな?


「いいんじゃね?

 問題ないじゃん今んとこ。


「そぉ?


「ないんだからしゃーない。


「箱の中に…ないもんねぇ。


「これしかないって事は、

 これだけで成立してたって事だろ。


「あ、そうか。


「いい、いい。いまさら。

 まずはこの冒険を終わらせるぜ。


「…タッくんて、A型?


「教えない。


「なんでー?


「個人情報だから。


「ひどい…。



(つづく)


#最終回



「あっ!タっくうーん!


「おうシンゴ。


「なんか最近ぜんぜんうちに来ないねー。


「そうか?


「もう、あれ、やらないの?


「ん?


「どらごんくえすと3。


「んなこたーねぇよ。


「あ、じゃあじゃあ、これからくる?

 泊まっていく?


「今日はちっと…


「忙しいの?


「ちっとだけな。


「あれ、なんか買ってきたの?げーむ?


「ああ、これ?そう…新作。


「また一緒にできるやつ?


「あー…できたりできなかったりするなぁ。


「そうなの?見せてよー。


「ああ…(ガサガサ)


「あれ、これって…?


「ドラクエ9。DSの。


「DSってちっちゃくてパカッてするやつだよね。


「うん。(ゴソゴソ)コレな。


「あ、本物。オシャレーだねぇ。

 どらくえ9ってこれで遊べるんだ?


「そーなんだよ。

 なんで携帯機なんだよって話だよな。


「ふーん…

 こんな画面だと一緒に見られないね。


「ちょい暑苦しいかもな。

 冬ならまぁ、よかったけどな…


「そっか、今日からそれで遊ぶんだね。


「お、おう。


「ゴメンネ、引き止めちゃって。

 ボクも帰るね。


「いや、いいんだ…


「どらごんくえすと3は触らないようにしとくね。

 セーブしたの消えないようにしとくからねー。


「ああ…


「じゃあまたね。月曜日に学校でー。


「じゃあ、な。








「ちょまてよ!

 シンゴッ!シンゴー!!


「なに?どうしたの?


「オマエん家いって、続きやろうぜ!

 ドラクエ3!


「えーでも、せっかく新しいの買ったんでしょ?


「いいんだ、こんなのは。

 おいっそこの小坊!おまえゲーム好き?

 そうか、じゃあこれやるよ。ドラクエ9とDS。

 ああ、いいから全然!親には黙っとけ?じゃあな!


「ななな、なんで!?あげちゃったの?

 本当に?ほんとーに?


「知らない子にあげちったもん。

 返せなんて言ったら鬼じゃん?


「もう、タっくんのお金持ち!


「そうだ。金で買えるんだからいーんだ。

 今は金で買えないものがいいんだ。


「…どらくえ3とふぁみこん?


「それだって金出しゃ買えるさ。

 オマエと遊んだ分のデータとこれから遊ぶ時間は…

 楽しいだろ?きっと。


「タっくん…


「ムネキュンした?


「した…


「さっき、オレもオマエの後ろ姿見て…さ。

(若い女と浮気したのがバレて女房にひっぱたかれるの覚悟したけど

 女房が優しくその女と遊ぶ金を苦しい家計の中からそっと渡して

 くれた、そんな惚れ直してしまうやろ!な気持ちになったなんて

 絶対言えねーよな…)


「なに?


「なんでもねーよ。さっさとオマエん家いこうぜ。


「うんうん!





ひそかに楽しみにしていたドラクエ9。

どうせ知らない子にあげてしまうくらいなら、

シンゴに1セットあげて自分でもう1セット買って

通信プレイしたらもっと楽しかったかも…

と、その夜タクヤは気づくのであった。


FIN





*補足*

このファミコンカセットはその昔シンゴの父ちゃんが友達から借りパクしたモノ。

残っていたデータはその友達のデータでした。その友達とはタクヤのパパ。

ちなみにシンゴの父ちゃんはゲームの始め方がわからず

このデータを使ってちょこっと遊んだだけだったようです。で、返さなかった。


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ケモおじグッズが通販で発売中〜!

けもけお疲れ様でした!という事で 販売物の通販が始まっておりまーす。 下記販売サイトをご確認くださいませ! ■ここはケモおじの森(冊子版) https://alice-books.com/item/show/2129-36 ■クマガミぱんいちアクリルフィギュア https://alice-books.com/item/show/2129-37 ■イノマタぱんいちアクリルフィギュア https://alice-books.com/item/show/2129-38 ■タヌキバラぱんいちアクリルフィギュア https://alice-books.com/item/show/2129-39 *オマケ* アクスタの販売推移についてレポート漫画w 実際は数個単位でアガリサガリしてるだけですが… かわいそうなイノマタの顔が描きたかっただけです

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ケモおじ本出します!

9/21(日)けもケット16 S-14 キマグレナイヌ。 アクスタに続いてケモおじ本も出しちゃいます! ケモおじ紹介用のカタログ的な冊子になっております。 描き下ろし漫画6Pもありますのでぜひぜひ。 アクスタ3種と合わせてイベント後通販も予定しておりまーす。

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アクリルフィギュア出します!

9/21(日)けもケット16 S-14 キマグレナイヌ。 ケモおじ初のグッズ!アクリルフィギュア作りました! 全3種 75mm×100mm (前に作ったシンヲタクマと同じサイズ感です) それぞれのパンツ姿をご堪能くださいw

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ここはケモおじの森 #4

『それって、筋トレ?』


翌朝。

クマガミの朝食タイムは毎朝7時。

この時間には、きっちり全員がリビングに着席している。

クマガミは時間に厳しい…わけではないが、

せっかくの食事が冷めてしまうと悲しい顔になる。

そんな顔を見たくないし、なにしろ美味い飯をいち早く

食いたいと、全員が思っているから…らしい。


テーブルの向かいの席のタヌキバラが、

ずっとタクミを見てニヤニヤしていた。

タクミはタヌキバラの顔を見れずに俯いている。

昨夜のあれこれ、全部覚えているようだ。

酔って寝たふりなんて、ズルいタヌキおじさんだ。


「タクミは〜ん!昨夜はすまんかったなぁ〜!

 ワテ、酔っ払ってソファで寝てしもて〜!


皆に聴かせるようにタヌキバラは話し始めた。


「タクミはんが介抱してくれて、めっちゃ嬉しかったでぇ。

 また、いつでもワテの腹ポンポンしてもええんやで?


タクミの肩がひくっと反応する。

このまま全部、公開しちゃう気では…?


「タクミ!こんなタヌキおやじ、ほっといていーんだぜ!

素っ裸で一晩中リビングで寝てるのもしょっちゅうなんだし!

どーせまた狸寝入りだろ?


朝から毒づくイノマタであった。

自慢げなタヌキバラを牽制していくスタイル。

仲が悪い訳ではないが、すぐにふたりはモメたがる。

素っ裸で寝てるタヌキバラも見たい…が。


「ンな事より、いつオレのジムにくるんだ?

 オマエ、筋肉の前に体力つけなきゃって言ってたろ?

 タクミなら、初回無料コースを永遠につけてやるって!


「ハハ…そう、そうですね…行きます、よ?


「いつ!!


「きょ、今日の午後は講義ないんで、のちほど…とか。


「マジか!いいじゃんいいじゃん!待ってるぜぇ!


「イノマタはん、無理強いしたらアカン。


「そうだぞ。イノマタ氏は圧が強すぎだ。

 人間は弱いんだ、タクミを怯えさせるんじゃない。


タヌキバラとクマガミ責められるも、

イノマタは一向に気にしない。


「ウチはなー、獣人メインのジムだけど、小動物用の器具なら

 タクミのサイズのもある!

 心配すんな!なにしろオレの指導付きだ!


「わかりました、15時頃には着けると思います!


タクミも、さすがにイノマタが変に悪者になるのは

忍びないので、嬉しそうな感じでそう応えた。

なにしろタヌキバラの気まずい視線から

逃れられたのは感謝だったし、それに…


イノマタさんの肉体がまた見られる!


というヨコシマな気持ちもあった。

いつかの風呂場で披露してみせたあれを思い出して

タクミは少し下半身が反応してしまった。

イノマタの、ひとりマッスルゲート。

人間界ではあまり見た事のないデフォルメされた筋肉。

太い腕、厚い胸、太い腹、太い腿、短い足。

端的にタクミの性嗜好のどストライクだ。

たしかに、この獣人中心のシェアハウスでは

体力不足も命取りになる気がしている。

そう考えると、先程まで気が重かったジムにも

行くのが楽しみになってきたタクミだった。



イノマタの職場は獣森駅からふた駅先にあった。

ごく普通の街のスポーツジム。

しかし、タクミは少しばかりこの街全体に違和感を感じた。

自分の暮らしていた人間の街とは、なにかが違う。

スケール感…?

この地域は比較的獣人が多く暮らしている。

街には獣人用の衣料品店や、専用施設も多い。

逆にいえば、タクミの実家のような獣人の少ない地域では

獣人はそういった生活用品を手に入れるのも難儀するので、

自然と獣人は暮らしやすい土地に集まる。

やはり、獣人が獣人の少ない地域で暮らすのは

大変だし、リスクもあった。

人間と獣人が完全に調和した世の中には、まだまだ遠かった。


鉄と汗の匂いが充満し、ダンベルやマシンがガチャガチャと音を立てている。


タクミは、獣人メインの施設というのは

全体的なつくりが大きいのだと気づいた。

シェアハウスもそうだったし、ここにくる途中の建物も軒並み大型だった。

タクミの大学周辺もまた、人間中心の街なので

この獣人の街自体かなり新鮮だった。

扉も大きく、自動ドアじゃない所は

自力で開けられるのか自信がない。

この時点でタクミは気づいていないが、タクミの視野外にも

小動物用の小さな入り口やルートがあった。

小さな自販機や、小さなシャワールームなど…

多種族対応型施設というのがこの街の主流である。


タクミは、小型獣人用のクロストレーナーで

軽く有酸素運動をして、ひと息ついていた。

人間サイズに近い器具も同じフロアにあった。

まわりにいるのは見た事のないタイプの獣人ばかり。

大型の象やサイ、ゴリラなど、興味は尽きない。


トレーニングウェアを着た動物達が、

体を鍛えに、運動不足の解消に、ここに来ている。

クマガミより遥かに大柄な獣人も

まるで人間のような仕草でのしのし歩いている。

コミカルだし、可愛いし…えっちだ。

丸い腹や太い足や股間にどうしても目が行く。

みんな…普通にパートナーがいて、

家庭を持ってたりするんだろうか。

夜の営みも…?


ボクは、こんな所にきちゃいけない人種だ、と

自分のどうにもならない性嗜好を恥入ってしまう。


でも…触りたい…。


タクミは思わず、クロストレーナーに乗って

全力で、しゃにむに両足を動かす。

自分の心がヨコシマすぎて死んじゃう!

下半身が爆発するまで動かないと!!!


周りの巨漢獣人達は、この小さな人間が

一生懸命に自分を鍛えてるのを見て、

人間は、獣人との体格差を見ながら

自分を奮起させるのだな、と感心していた。


「タクミぃ!あんま、最初から飛ばすなよ!

 明日歩けなくなっぞ!ワハハハ!


イノマタはといえば、トレーナーとしてジムを回遊しながら

全体的に指導している。

今は、客が各々フリーでマシンを使っていい時間らしい。

初心者などにはトレーナーが(勝手に)指導に向かう。

イノマタの場合、自身の模範演技を見せる方に力を入れていた。

それでいいのか?という疑問もあるが。


「腰落とせ! 筋肉、感じろ!ハイッ!


ムキムキの腕をドンと叩き、太い牙が光る。

時々マッスルポーズを決めながら…。


イノマタコーチ!すげえ!などと声をかける常連客もいる。

熱心にその筋肉に見惚れている小動物達も。

つまり、このイノマタ式指導スタイルには需要があるのだった。

イノマタは得意げにモヒカンをクイッと整える。


「か、カッコいい…。


タクミも水分補給しながらイノマタの全身に光る汗と

熱い上腕二頭筋を悶々と見つめていた。


「タクミ! 次はぁ、筋トレいってみっか!

これくらいのサイズならな、オマエも扱えるだろ!


イノマタは鼻をヒクつかせながら

ひょいとタクミに50kダンベルを渡した。


お、重!


そのまま床までゆっくり降ろすのが精一杯だった。

呆れ顔のイノマタがニヤついている。


「ははぁ、人間ってのは本当に非力なんだなぁ。

 同じウエイトの獣人とも闘えんな、こりゃ。


「た、闘わないですから!


床にべったりと座り込んだタクミの横にしゃがみこむと、

筋肉イノシシが鼻つらを寄せる。

熱い…熱気。汗の匂いを感じる。

熱くてゴツい手が、華奢なタクミの肩をガッと掴んだ。


「体力つけねえとなー!

 とりあえず、オレの筋肉、見て学べ!


おもむろにTシャツをバッと脱ぐ筋肉イノシシ。

ウォームアップしたイノマタの筋肉は

普段よりもテカッていた。



これは…男が惚れる。

タクミは顔が熱い。

首筋から汗ポタポタと流れる。

込み上げてくる感情に戸惑うばかりであった。


「ほれ、オレの腕、触ってみ!


ハイテンションのイノマタが腕をグイと差し出す。

タクミはゴクリと唾を飲み、そっとそれに触れる。


熱い!硬い!

人間とは全然違う。


「タクミ、熱いだろ! 獣人ってすげえだろ?


もっと近づくイノマタ。

汗の匂い。獣の匂い。もわっとくる圧。

タクミは両手で顔を覆う。

乙女の恥じらいか!と心で自分にツッコミを入れた。



いつの間にか、ジムの全面窓から夕陽が差していた。

タクミは、鍛えたり、休んだり、休んだり、

少し鍛えて…床に座り込んでいた。


「今日はこの時間で閉館の日だ!

 タクミもタクミなりに頑張ったじゃねーか!

 ガハハ!さくっとシャワー浴びて帰るか!


うん…とタクミは安堵しながらグッタリ答えた。

立ち上がるのもしんどい…。

本当に体力つけなきゃダメだな、と一応は反省。

夕暮れのオレンジの光が窓から差し込み

立ち並んだマシンが鈍く光る。



シャワー室も広く大きかった。

よろよろと、タクミが更衣室で服を脱ぎ、

中に入るとすでにひとつのブースから蒸気が立っている。

タイルの床が濡れ、シャワーの水音が響く。

ブースを区切る低めのフレームからは

赤いモヒカンが揺れていた。


当たり前だが、イノマタは全裸だった。

背筋が鬼の顔に見えるようで見えない背中。

熱いシャワーの水滴が、硬い毛皮を濡らしている。

足元に流れる熱い水流から湯気が立ち上る。

その合間には…生ケツ。

まさに男のケツだった。

猪の尻尾がフリフリしている。

ガニ股気味の足の間には裏タマがチラリ。


そうなんだ、イノマタさんのタマって…

前に風呂場で披露されたのを思う。

タヌキバラほどではないが、大きな睾丸が

ぶらんと股間に垂れ下がっている。

片タマがニワトリの卵の倍くらいある。

そこには毛はほとんどなく、ツヤっと脂ぎっている。

イノマタの動きに反発するようにスイングする。

無防備でいて、そそる器官。

掴みたい。イノシシボール。


「タクミ遅ぇぞぉー。早く汗流しちまえよー。


と、こちらを振り返って大声で怒鳴る。

ご丁寧にブースから出てきて、タクミを呼ぶ。

全裸フロントが丸見え。

先程までのフロアでの姿とほぼ変わらないが、

パンツを履いていないだけで18禁になる。

ぶっとい逸物が、ぶらぶらと丸見えだ。

足が短い分、3本目の足に見えなくもない…


「あれ、イノマタさん…勃ってるのでは…?


つい、口に出してしまうタクミ。

イノマタの思う壺だ。


「タクミ! じっくり見ろ!これが漢の肉体美!!


見る見る立ち上がっていくイノマタ自身。

その下の陰嚢部とは違う振幅。

ブラブラに対してブンブンといった感じだ。

赤黒く、先端部が太く、血管が浮き立っている。

ちょっとした戦艦大和だった。


タクミも全裸だったが、腰にはタオルを巻いていた。

イノマタからは直接は見えない筈だが、

こちらも間違いなく反応している。


見られたら、絶対弄られる!


いろんな意味で、と脳内でつけ加えた。


そんな事を考えてるうちに、

イノマタが猪突猛進に迫ってくる。

シャワー室に湿った重い足音が響く。


えっなんで!こわい!!


ドン! とタクミの目の前に立ち、壁ドン。

丸太のような二本の腕が、タクミの顔の両側にある。

鼻息が凄い。お湯なのか、汗なのかが飛び散る。


タクミの腹に突き立てられるもの…

腹ドンされていた。熱い。硬い…大きい!!

タクミは正直、腰を抜かしそうだった。

膝がガクッと崩れる。


「タクミ…。オレの熱さ、感じるだろ?


イノマタはもうテンションMAXだった。

フル勃起したそれを、ぐいぐい押しつけてくる。


タクミの腰に巻いたタオルが落ちそうになり、

思わずそれを抑えようとして、両手で

イノマタの亀頭部を掴んでしまった。


「ぶひっ!!?


イノマタの鼻の穴は全開になり、

熱い鼻息をタクミに吹きかけた。


「お、オマエ…マジで…や、ヤベェ…!!!


一瞬、イノマタのギョロ目が見開いたかに見えた。

その目つきが虚ろになり、口元が震慄始めた。

タクミの後ろの壁に手をついたまま、

イノマタが大きく上体を逸らしていく。


次の瞬間、イノマタの身体がガクガクと震え、

地響きのような振動がタクミの手に伝わって…

ドゥブォワーーーーーーッ!


吹き出した熱い精液が、タクミの目の前を飛び越え

頭上まで上がると、まさにシャワーのように

バタバタとタクミに降り注いだ。

何度か飛び散り、タクミの胸や腹をどろどろと

汚しても、射精はなかなか終わらなかった。

シャワー室に拡がる、青臭く生臭い独特の匂い。


「た、た、タクミの手のひら…気持ち良すぎンだろ…

 先っちょ触られただけでイっちまったぜ…


先ほどよりは正気を取り戻したように見える。

賢者イノマタが感極まって呟いた。


人間の手がこれほどの快感を?

皮膚感なのか、温感なのか。指の造形の問題か。


「何人か…人間の手でやってもらった事はあるけど…

 タクミの手は全然違げぇ…人間の女の手はなんかたどたどしくて…

 今の感じ、サイコーだったぜ…!!


なにやら語り出したイノマタに、

なに言ってるの?とは聞けない。

さすがに、初心なタクミも射精くらいは経験がある。

しかし、これは桁が違う。

この量と勢いは、なんなんだ。

自分以外の射精は知らないが、

人間と獣人の違いって想像以上?

でも、それがものすごくエロいんだ…。

ボクは、そう感じてしまうんだ。

やっぱり自分は変態なんだ、とタクミは自認した。


ふたりは、しばらくそうしたままでいた。

奥のブースで出しっぱなしのシャワーの湯気が

もうもうとシャワー室全体の湿度を上げている。

タクミは…イノマタの亀頭を掴んだままたった。

射精した後は萎えるものだと思っていたが、

これはいまだに脈動を続けている。

一向に軟らかくなる気配がない。

間違いなく生き物の一部だが、こんな凶悪なものは

牙や爪と同じくタクミは持ってない。


「タクミ…そのまま、弄ってくんねぇか?


そう言いながら、イノマタはゆっくりと

腰を振り始めていた。


「両手でこう、さ…全体を掴むようにさ…おっおっ。


タクミは、夢にまで見た獣人の生殖器を

この手に掴んでる自分を認識した。

この大きさも、この硬さも、想像したより凄い。

人間の巨漢で巨根というのも、動画で見た事もあったが…

ここまでのものは知らない…。


タクミの両手の中にあるものが、勝手に動いていた。

だんだんと早く、手の中を出入りしている。

自分の出した精液で、ローションのようにぬるぬると動いている。

も、持ってられない…慌ててそれを離さないよう右往左往する。


あっ、と思う間もなく、再びそれは放出した。

先端部の穴が、その瞬間、大きく開くのをタクミは見た。

「うぅおお!どぅおおおおおーーーっ!!!


吠えるようなイノマタの慟哭がシャワー室に響いた。

溢れ出した精液の量は、1回目と変わらない…

いや、それ以上か。

タクミの顔や全身、シャワー室の壁や天井、

至る所に飛び散る白い粘液質。

先のものに何度も重ねるように…とんでもない量だった。


「や…やっぱ良すぎンだよなぁ!タクミの手がよぉ。

 何回でもイけるぜこりゃ…なぁタクミ!?


「し、しし知らないですよ…!


この後、持ち方を変えてもらったりしながら

イノマタはほとんど間髪置かず、立て続けに10回射精した。

シャワー室の排水溝が詰まりはじめて、

さすがにヤバい、とイノマタが精液の回収作業を始めなかったら

まだ続けられたかもしれない。

シャワー室のフロアから粘液質の重い液体をチリトリですくい

トイレに流す作業を、ふたりは繰り返した。

そして、夜は更けていった…。



すでに終電間際。

獣森駅から森の小道を通ってシェアハウスに戻った頃には、

ふたりとも、疲労困憊していた。


タクミはトレーニング疲れの後、

精神的ダメージを受けた上に、

チリトリリレーをさせられて、

限界を超えてフラフラだった。

体力バカのイノマタですら、足元がおぼついてない。


「ふへ、さすがに、出し過ぎた…。


「でしょうね…。


ふたりは、裏口からこそっとシェアハウスに入るが、

すぐにクマガミの低い声が響く。


「タクミ…イノマタ…。完全に晩飯冷めたぞ…。


リビングではクマガミが座して待っていた。

悲しいを通り越した、見た事のない複雑な表情。

その横では、タヌキバラがビール缶を片手に

ソファーにふんぞりかえってニヤついていた。

この人は大体の事態をいつも面白がっている。


「あ〜あ、知らんで〜。

 クマガミはんをこんな追い込んだら、どうなるんやろねぇ?

 タクミはんはこっちにきなはれ。

 イノマタはんがどうなるか、一緒に見物や。


「クマガミ…疲れてもう動けねぇ…

 冷えたメシ、食わしてくれ…あーん。


タヌキバラを押し除けて、ソファーにしずみこむと、

イノマタはそのまま大口を開けて待った。

その姿勢のまま、ぴくりとも動かない。

虚をつかれたクマガミは…そそくさと箸をその大口に運んだ。


「うめ、うめ。あんがと、クマガミぃ。


一瞬で平和的解決をみたイノマタとクマガミ。

タクミは感心しながらもぼーっと見ていた。

イノマタは今日、ずっと凄い。


「なんや、つまらん。なんも起きひんのかいな。

 ほしたら、タクミのごはんはワテが食べさしたろかな?

 ホレ、あーん。



続く。

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ここはケモおじの森 #3

『特別な夜…の始まり。』


深夜、12時を少し過ぎた頃。

シェアハウスのリビングでは、まったりとした空気が流れていた。

くつろぐ巨漢の獣人おじさん三人と、ひとりの人間の若者。

各々、好きな酒を片手に…(タクミはノンアル)

この家での恒例になりつつある、プチ宴会の情景。


「…それはそうと、タクミはん、大学の方はどうやの?


タヌキバラはチーたらをムシャつきながらタクミの顔を覗き込む。

それは狸のようで、丸顔のおじさんのようで。

咀嚼する音も、ビール臭い息も、人間のおじさん。

しかしその顔は、短い毛の生えた毛皮で覆われている。

丸い耳が時折ビヨンと動く。

獣人とは、不思議な存在だった。



「そうですね…割と慣れてきた感じで、いいですよ。

 講義のサボり方もわかってきました!


ベンキョーしいや!とタヌキバラは笑う。


「それもえーけどな、かわいい子、みつけたんか?


「えっ。


「せっかく東京にきたんや、はよ恋人作らんともったないで?

 遊びに行くとこゴチャマンとあるんやし〜。


「ぼ、ボクはそんなの、探してないですし…。


「ほな、どないすんの。これから春休みやら、夏休みやら、

 秋休みやら、冬休みやら、休みばっかりやな!学生はんは!

 ずっと独りやったら、なにして暮らすんや?


「そりゃもう!ナンパに決まってんだろ!オレにまかせとけよ、タクミ!


割って入ったのはイノマタのバカ声。

ゲスな目つきの筋肉おじさんは、タクミの肩に太い腕を回す。

正直言ってこのイノシシの毛並みは硬くて荒い。

常に熱を帯びていて、アツ苦しい。

それもまた野生味があって別の魅力がある…かもしれない。


「タクミはよぉ〜、どんなメスが好みだ?

 てか、やっぱ同族がいいか?最近は異種族カップルも増えてるって

 話だけどな!オレはな、もうなんだってイケる!ぶはは!


呆れ顔のタヌキバラが、イノマタを牽制するように顔を寄せる。


「ホンマ下衆やなぁ、イノマタはんは。

 タクミはん、嫌がってるやろ。あんま絡みなさんな!


「なにが?嫌がってなんかないよなぁー、タクミー?


イノシシのゴツいほっぺたにすりすりされて、

タクミは頭が取れそうになる。

でも…ちょっと嬉しみ。ははは、とはにかんで笑う。


「…お前達、タクミ弄りも程々にしろ。

 明日も早いから、オレはもう寝る。


クマガミがのっそりと立ち上がり、

巨体を揺らして自分の部屋へ向かう。


あ、クマガミさんがいっちゃう…


タクミは残念に思った。

クマガミは多くを語らない。宴会には参加するが

つまみの支度を自分の仕事とし、

テーブルの状況を見ながらまめに動いてくれる。

会話にはあまり参加してこない。

タクミは、クマガミともゆっくり話したいと思っている。

こんな…みんなとの酒の席では無理なのかなぁ。


イノマタも、巨大な牙の生えた口であくびをかますと

ナンパの件はまた明日詰めるぜ!と言い残して

部屋へ引き上げていった。


時計は2時を回っていた。


そうか…もう寝なきゃな、明日の授業早かったんだ…。

タクミは、散らかったテーブルを片付けながら

この歓迎会という名の飲み会はいつまで続くんだろうと考えた。

ボクがここに来てからほぼ毎晩…これから永遠に?

獣人のおじさん達のペースに巻き込まれたら

自分などはすぐダメ人間と化すだろう。

独り立ちしたばかりなんだから、ちゃんとしなきゃ。


ふと。

心地のいいASMRが、部屋中に満ちていた。

振り返ると、ソファーでだらしなく両手両足を放り出した

完全弛緩状態のタヌキバラ。


ああ、おっさんのいびき…。


「タヌキバラさん?もう部屋に戻って寝よう、ね?


タクミはタヌキバラに近づき、少し屈んで太股を揺すってみた。

獣人おじさん達は、皆、スキンシップが得意だけど

こっちから触れるのは…初めてかもしれない。


毛皮の感触。

パンツの裾がめくれてあらわになった太股。

タヌキバラの柔らかくて短い毛並み。

少し、しっとりしている。

ぼってりとしたデブ足。

タクミの手のひらを乗せたまま…息づいている。

時折、荒く引くような呼吸で波打つ。

タヌキバラはまったく起きる気配もなく、

不規則ないびきを響かせる。


「うーん…ビール…おかわり…タクミはん…かわヨ…。むにゃ。


タヌキバラは大きな体をソファにごろんと横たえ、

丸い腹を出し、毛深い腕をだらんと垂らした。

肉厚で下着が張り裂けそうだ。

乳首も、すごく大きい。

タクミは思わず目が離せなくなった。


タヌキバラさん…寝ちゃった?

ムチムチした腹…まるで狸…。


ちょっとくらい、触ってもバレないだろうか?


おじさんに触りたい?…常識的にどうなんだ。ボク。

でも、タヌキバラさん達だって、いつもボクにボディタッチしてくる。

別に性的な行動じゃない筈。親しげな…愛情表現…?


そうだ、ボクはこの同居人のおじさん達に好感を持っている。

それもう、間違いない。

だから…優しくなでたい。毛皮が、柔らかそう。

タクミはそっと、手を伸ばす。

タヌキバラの放り出された太股をなでつけながら、

犬をなでるのと同じ感触だと、タクミはそれに頬を近づけた。



あったかいなぁ…。


小さい頃に犬を飼っていたが今はもういない。

両親に甘える年でもない。

誰かに、こうやって触れるのも久しぶりだった。

暖かくて柔らかい、息づいている生き物。

その太い太股に抱きついてみる。

タヌキバラの匂い。不思議な匂いだった。

動物のような、人間のような。それが獣人って事だ。


目の前には股間のふくらみがあった。


すっかり下着姿のタヌキバラ、下半身はパンツ丸出し。

冷え性なのか、靴下は履いたままだった。

パンツの上からでも、睾丸の巨大さがわかる。

風呂場で見た、生の「それ」をタクミは思い出していた。

パンツという名の布の袋に収めるとこんな感じになるのか。

伸縮性に優れているんだなぁ。


触れてみたいと思った時にはもう、

それに手のひらを乗せていた。


あったかい…むしろ熱い…。


外圧に逆らう弾力。

軽く押したり、引いたりを繰り返してしまう。

楽しい。気が遠くなるくらいに。

催眠効果があるのかもしれない。意識が朦朧とする。


タクミは、自分の下半身が強く反応しているのに気づいていた。

痛いくらいに…


「なぁ!ワテのタマタマ、気持ちええやろ?


え!! タヌキバラさん!?

タクミのふわふわした気持ちが、一瞬で凍りつく。

顔をあげると、そこはタヌキバラの巨大な腹。

その向こうには…タヌキバラの大きな顔。

薄目を開けてこちらを見下ろし、ニヤリと笑っている。


太くて短い腕が、ゆっくりソファーから上がって

ボクの肩をポンと掴む。


いつから? いつから起きてた?

ずっと狸寝入りだった!??


声が出ない。顔が熱くて、耳まで真っ赤だろう。

タヌキバラの股間のふくらみから手を離そうとするけど、

タヌキバラの毛深い指が、手首をムチッと押さえている。


「タクミはん、ええやん。ワテの体…気になるんやろ?


タヌキバラの声は、低くて、どこか甘かった。

太い尻尾が、ソファーでゆっくり揺れている。


必死に手を引こうとするけど、タヌキバラの指は力強い。

ムチムチの胸が、寝返りでボクの方に近づく。

汗とビールの匂いが、むわっと鼻をつく。

タクミはつい、タヌキバラに引き寄せられる。


「タクミはん、獣人はな、触られるの好きなんや。

 特にワテのタマタマは…自信あるで?


タヌキバラはまたニヤリと笑い、ボクの手首をそっと離す。

太い腕を頭の後ろに組んで、腹をゆさっと揺らす。


これは、絶対わざとやっている。とてもセクシーだ。

タクミは慌てて立ち上がるも、足がもつれてソファーに尻もちをつく。

タヌキバラの尻尾が触れる。ゾクッ。


「この豊満なおっぱいと腹も、味わっていき〜。


おもむろに、タヌキバラはタクミをホールドする。

力では、どうしたって、タクミは獣人には敵わない。

ハグしたまま、タヌキバラはごろんと仰向けに寝転び、

タクミはそのまま丸くて大きな腹の上に全体重を乗せてしまう。


弾む!


ソファとタヌキバラの弾力でとめどなく弾むふたり。

ボインボインと上下するが、タヌキバラは力を緩めるどころか

ますますギュウとタクミを抱きしめる。


「かわいいなぁ〜もう…タクミはん!チューや!


タヌキバラの分厚い唇(と、獣人でも言うのか?)が、

タクミの鼻から口まで覆い尽くす。ズチュゥ〜!


吸われる!


この匂いとねとつく感じ…昔、酔った父親にキスされた時と同じだ。


「もう!タヌキバラさんのバカ!!!


両手でタヌキバラの頬肉を掴んで引きはがし、

その勢いでタクミは二階の自室に駆け上がった。

階段を上がる背中に向かって、タヌキバラのご機嫌な声が届く。


「タクミはん!今夜はええ夜やなぁ!!


暗い廊下を走り、部屋の扉を閉め、深い息を吐くと、

タクミはそのままベッドにダイブして枕に顔をうずめた。


タヌキバラのムチムチな胸と腹、

太くて短い手、抱き心地最高な太股、丸い大きな尻尾、

ずっしりと巨大タマタマ…


頭から離れない。体の芯が熱くて、震えてる…


このシェアハウス、絶対ダメになっちゃうやつ!



続く。

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ここはケモおじの森 #2

『シェアハウスの日常とは。』


タクミのシェアハウスでの生活も今日で一週間。

大学での新生活も始まり、慌ただしい日々が続いている。

新しい環境にも少しづつ慣れ、

気持ちもようやく落ち着いてきた。


しかし、やはりそんな中でもタクミの興味の大半は

3人の獣人おじさんに向いていた。

クマ獣人のクマガミさん。タヌキ獣人のタヌキバラさん。

イノシシ獣人のイノマタさん。

獣の姿をしたおじさん達との奇妙な共同生活。

動物好きで、年上の屈強な男性に親しみを感じるタクミにとって

ここはこの上ない環境だった。


とはいえ、タクミはまだちゃんとした恋愛経験がない。

東京でいい嫁見つけて、早く孫の顔を見せろと両親にも言われている。

そんな中で、まだ女性を好きになった事のない自分は

大丈夫なんだろうかといつもどこかで思っている。

だが実際に興味を惹かれるのは…大きな背中であり、

いかつい顔であり、逞しく太い腕であり腹であった。

まぁ、今すぐにどうなるものでもないし、とタクミは考える。

今はこの新生活の期待値に心が躍っている。


そんな獣人おじさん達にもそれぞれの生活リズムがあり、

みんなちゃんと仕事をしているようだった。


クマガミさんは庭師。あと趣味の家庭菜園。


タヌキバラさんは居酒屋『獣の宴』の雇われ店長。


イノマタさんはジムのトレーナー。


それらしいような、意外なような…?

獣人でも人間でも同じ街で暮らしてるのだから、

そんなに変わらない。


タクミにとっては他人との共同生活も初めての経験だった。

家族以外との暮らし自体が新鮮であり、驚く事ばかりだ。

それぞれに自室はあるものの、

風呂、トイレ、キッチン、洗濯機、などなど

生活空間を共有している。

朝起きて、夜寝るまで誰かとすれ違いながら暮らしている。

こんな日常。これが、日常、か…。

シェアハウスだからそれが当たり前だったが、

それで思わぬ触れ合いも起きる。


お互いの洗濯物を取り違える事もある。

まさかね、さすがに獣人と人間の服は間違えないだろうと思ったが、

タクミの洗濯物にタヌキバラのデカパンが混じっていたり…。

こんな…大きなパンツってあるんだ…!

しかも、尻尾を通す為の大きな穴も空いている。

パンツ一枚でも感動と気づきがあった。

タクミは、もちろん獣人用の衣料品屋になど入った事もない。

布地の量がハンパないな…値段も高そうだな。

今度聞いてみよう…。

などと考えてながら、タクミは無意識に

タヌキバラのパンツの匂いを嗅いでいた。

ほんのりと香るタヌキバラの体臭…


「えっヤバ。なにやってんだ、ボク。こわい!自分が!


タクミは慌てて自分の洗濯物と一緒に

そのデカパンも洗濯機に放り込む。

もう一回、取り出したい衝動を抑えつつ。

深いため息をつく。


シェアハウスの共同スペースの使い方には

特にルールはないとの事だ。

冷蔵庫もかなり大型で、それぞれが好きに詰め込んでいる。

クマガミの作り置きの保存パックがかなりの比重を占める。

しかしそれは、皆の食糧でもあるので誰も文句はない。

大量のビール缶は…タヌキバラとイノマタの共同資産か。

減れば減っただけ追加される無限ゾーン。そこが空く事はない。

タクミが、クマガミから受けた注意は、

「甘いものには気をつけろ」だった。

この家に住む全員が甘党だという。(当のクマガミも)

守りたいスイーツは厳重に管理しろ。

名前を書いても無くなる時は一瞬だ。


「皆、いい奴ではあるが、それだけは信用しちゃならん…。


と、重々しくクマガミは言った。

じゃあ、なにかスイーツを買ってくる時は人数分用意しなきゃな!

とタクミはまったく甘く考えていた。(スイーツだけに)

体験しなければわからん事もある、とクマガミは思っていた。


また、いたる所に転がるトレーニング器具にも気をつけろという。

イノマタが常に持っているダンベルやハンドグリップ、

時にはトレーニングボールも突然転がっている。

何度足をぶつけた事か、とクマガミが痛そうな顔をした。

自分も時々借りようかな、と思ったタクミは

ちょうどそこにあったダンベルに手を伸ばす。

でかっ!重っ!?

いつも、通りすがりのイノマタが軽々と上下させていたダンベルが

単品でみるとこんなに扱いづらいサイズだとは…。

人間って非力だ。

さすがに、メシを運んでる時にそんなもんが

足元に転がってたら大惨事だとイノマタに注意するも、

まったく事態は変わらない、とクマガミは愚痴る。

家の中にも危険がいっぱいだ、気をつけるしかないんだ。

そうタクミに言い残して、クマガミは畑仕事に向かった。


日中はそれぞれが仕事に出ている。

タクミも大学があるので、シェアハウスに誰もいない時間もある。

その中でも、クマガミは比較的在宅時間が長かった。

庭師の仕事もそれなりに忙しいらしいが、

クマガミはどちらかといえば畑仕事を重要視しているようだ。

その収穫でシェアハウスの夕飯の多くが賄われている。

野菜作りと魚釣りと料理がクマガミの生き甲斐なんだとか。

タヌキバラも居酒屋は夜からだが、仕込みなどもあり

昼前には家を出るようだ。

そういった意味では、日々のルーティンが一番

規則的なのは意外にもイノマタだった。

ふた駅ほど離れた街のジムでインストラクターを務めている。

朝からジョギングがてら、走って家を出ていく。早起きは得意らしい。

そして、庭に止まった大型車もイノマタの所有物だそうだ。

「ナンパにゃ車が必需品だからな!」と鼻息き荒くイノマタは語る。

あと、筋肉も必需品だ!と付け加えた。

人間基準で見れば、イノマタはあまりモテるように見えないが…と、

タクミは思ったが、たしかに成功率は高くはないがゼロでもないと

タヌキバラが教えてくれた。

押しの強さは充分に知ったし、このタイプが好みの女性もいるだろう。

イノマタ自身は「特に好みというものはない!」らしい。

異種族でも、人間でも、女性には全当たりで挑む。

そこまで守備範囲が広ければ…そうか、とタクミも納得した。


自分もイノマタにナンパされたら…着いていってしまうかも?


規格外にエネルギッシュなイノマタにタクミは強く憧れる。

でも、自分は男なんだから、そんな事は起きないのが残念だ。

酒の席でのふざけた(しかし力強い)ハグをふと思い出して、

よくないよくない!と自分の心を戒める。



その日、

タクミが大学から帰宅すると家の中には誰の気配もなかった。

時々こんな時間がある。この大きな家に自分がひとり。

ちょっとだけ…怖い、とタクミは震えた。

慣れたとはいえ、ひとりになるとふいにそんな事を考えてしまう。

自室に荷物を置くと、少し自分の匂いが気になった。

今日は初夏のような陽気で、日中にかなり汗ばんだ。

とりあえず、シャワーでも浴びてリフレッシュしよう、と

タクミは階下の風呂場に向かった。


シェアハウスの風呂は、和風のタイル張りで落ち着いた雰囲気だった。

石畳の床に、檜のような木材の壁と浴槽。ほんのりと木の香りがする。

湯船は広く、まるで相撲部屋みたいだとタクミは思っていた。

本当にいい家だ。こんなに家賃が安いのに。

日々の管理は住人にまかしているから好きにDIYしていい、

と大家さんが言っていた。

つまり、この環境の良さの大部分はクマガミさんのおかげだろう。

この居心地が良くてタヌキバラさんもイノマタさんも

ここの住みついたのかも。

シャワーを捻り、タクミは熱いお湯を浴びた。

シャワーの径も大きくて快適だ。

鼻歌混じりに髪を洗い流し始める。



「なんだ、タクミ。せっかく風呂の湯を貯めておいたのに。

 シャワーだけじゃあ、サッパリせんだろう?


背後から急に声をかけられて、心臓が止まりそうになる。

自分ひとりだと思い込んでいたタクミは動転してしまった。


「あ、あれ、クマガミさん?い、いたんですか!?


「まぁ、庭の畑にな…畑仕事の後には風呂に入る。

 土だらけじゃ台所に立てないからなぁ。ハハハ。


髪を洗っていたせいで、タクミはクマガミが入ってくる

気配にまったく気づかなかった。


シャンプーの泡を流し損ねながら振り向くと、

そこには、全裸のクマガミが立っていた。


服を着ていない獣人は…まるで獣そのものに見える。

実際の熊に比べれば、クマガミも小さいのもしれないが。

それにしたって身長は2Mを超えてるし、体重だって…。


もちろん、タクミも無防備に全裸だった。

しかも洗髪の途中で目がハッキリと開かない。


威圧的な視線を感じている。

見下ろされてる、気配…。


「驚かせたか?すまんすまん。ちゃんと泡を洗い流せよ?


そういいながら、クマガミはシャワーをひょいと奪い取ると、

タクミの頭に熱い湯をかけ始めた。

目に入ったシャンプーが洗い流されていく。

湯を手で受けて、顔を洗うと視界がはっきりし始めた。


目の前は…深くて果てなく広い毛皮の壁…。


クマガミはタクミの正面に立って頭に湯をかけている。

クマガミの腹が触れそうな…時々触れている距離感だった。



クマガミの毛深い大きな身体。

熊のような体格、がっしりした腕、ふさふさの毛が

湯気の中に見え隠れしていた。

シャワーの湯が跳ねて毛皮が濡れて光っている。


タクミは、自分の顔が真っ赤になっているだろうと思った。


「あ、あ…ク、クマガミさん…!ご、ごめんなさい…!

 ボク、誰もいないと思ってて、お、驚いちゃって…。


「まぁ、お互い様だよな。ハッハハ。


クマガミはタクミの頭を洗い流し終わって、

今度はそのまま自分もシャワーを浴び始めた。


「土と汗まみれだからなぁ。臭うかなぁ。


もうもうと湯煙が立ち、不快な匂いなどは感じない。

クマガミの足元には熱いお湯に混じって泥水が流れ始めた。

足の指は、人間に近い感じだ。

サイズは冗談みたいに大きいけど…。


タクミはその足先から目が離せなかった。

毛深く、大きな足。

逞しく骨と筋肉が隆起した、すね。

丸太のように太く逞しい太腿。


そして…そこも一切隠そうとしない。

巨大で、見慣れないなにかが垂れ下がっている。


お、大人の生殖器…!!


タクミは他人のそれをあまり見た事がない。

彼の住んでた土地には銭湯という文化が少なく、

自分以外のものを見るのは父親くらいだった。

それと比べても、同じ部位とは思えない。

ひどくグロテスクな、なにか。


ひと握りでは指が届かなそうな陰茎部。

それは長く、血管が浮き立ち、包皮から先端部だけが覗く。

重そうに垂れ下がったふたつの睾丸。

身体の大きさや全身を覆った毛にも負けないくらい

それは主張が強かった。

そこだけは毛がなく、人間に近い形状だったが

サイズだけが規格外だった。

タクミは思わず、手を伸ばし、触れてみたくなる。

ズシリとした感触を想像すると、

もう自制が効かなくなりそうだった。


「おお?元気だなぁ、タクミは。ハハハ。


クマガミがそう言うまで、

タクミは自分自身の変化に気がつかなかった。


ああーーーーー!!!!


声にならない悲鳴をあげて、タクミは自分の股間を手で隠す。

もう遅いのに…完全にクマガミに見られたのに…。



「ゴメンナサイ!!ボク、ももも、もう出ますね!!


タクミは逃げるように浴室を出ていった。

まだちゃんと全身を洗ってないのでは?とクマガミは心配する。

走り去る後ろ姿を目で追いながら、口元に笑みが浮かんだ。


「若いって……いいな…。


脱衣所に出たタクミは、息を荒げてしゃがみこんでいた。

気持ちを整えようとするも、一向に下半身の憤りはおさまらない。

間近にあんなものを見てしまっては、無理だ。

本当は浴室に駆け戻りたい。もう一度、クマガミさんを見たい。

しかし、そんな事をしたら…この幸せな生活を失っちゃう。

クマガミさんに嫌われたら…もう死ぬしかないよ!


「どないしたんや?タクミはん、そんな所にしゃがみこんで。

 お腹痛いんか?見してみ?


動転しきったタクミは、脱衣所に入ってきたタヌキバラにも

また気がつかなかった。突然来るのはなんでなんだ。


「た、タヌキバラさん…お店なのでは…?


「いやぁ〜、午前中の仕込みで汗かいてもうたんでな、

 店に出る前に風呂入っとこ思て。

 この時間ならクマガミはんが湯貯めとるやろしな。

 お、クマガミはん、ちょうど入っとるんか?

 おーい、クマガミはーん!ワテも入るでぇ〜!?


と、大声で叫びながら、タヌキバラは着ていた服を

ちゃっちゃと脱ぎ始めた。

作務衣の下は下着だけ。半袖の肌着と例のデカパン。

ぴったりとした肌着は、丸いおっぱいと丸い腹を際立たせ、

あろう事か、丸い大きな乳首までクッキリと主張させていた。



「とわっ、タヌキバラさん!な、なに脱いでるんですか!


「なにて…風呂入るゆーてるやん。

 脱がんで入ったら服がびっちゃぁ〜なって気持ち悪いやん?


そう言いながら躊躇なく下着も脱ぎ去るタヌキバラ。

足先からほいっとパンツを蹴り上げてキャッチ。

その弾みで思いっきり揺れる、巨大な…タヌキの…玉袋。


え…。こ、これが狸の八畳敷??


タクミは度重なる衝撃に、だんだん感覚が麻痺し始めてきた。

彼の知識では、狸の八畳敷という概念は人間が作り出したお遊び。

実際の狸の睾丸は、どうという事もない。

それは昔、地元で見かけた狸のものを自分の目で確かめた。


しかし、目の前にいるのは狸じゃなく、タヌキバラだった。

獣人のタヌキの睾丸って…こんなに大きいの?


先程見たクマガミの睾丸よりもさらに巨大でしかも丸い。

皮の厚みが全然違う。両手で持たないと支えきれない。

パンツを脱いだ時も、すごい勢いで転げ落ちてきた(ように見えた。)


「なんや!タクミはん、タヌキのキンタマ見るん初めてか!?

 そらそーやな、獣人も見た事ないゆーてたのに!ひゃっひゃひゃ!

 アホな事聞いたわ、すんまへん。


タヌキバラはなぜか深々と頭を下げる。

ゆっくりと上げた顔は…満面の笑みだった。


「お詫びに〜、モミモミしちゃっても、ええで?


「えっ!?なっなにを言ってるのかわからない!

 お詫びってなんですか!


「そんな、遠慮する事ないやんか。ワテらの仲やおまへんか!

 ほれほれ、ぶーらぶら〜。逆さに読んだらラブラーブ!や!


「見せつけられても困るんです!わぁーーー!!!


「騒がしいな!タヌキ氏!またタクミをイジメてるのか!?


浴室から湯煙と共にクマガミが顔を出す。

濡れた全身の毛からは、湯がぽたぽたと床に落ちている。

当然、全裸のままだ。


「イジメてるんとちゃう、イジっとるのや。

 もっと言えば、イジらせとるのや。


タヌキバラの姿をみて、クマガミも状況を察した。

やめんか、とタヌキバラを組み伏せて、タクミに目配せする。


「こんな所で遊んでたら湯冷めしてしまうじゃろう。

 早く湯船に入りなさい、タクミ。


そう促しながら、クマガミの太い腕が、タヌキバラを締め上げている。


「イタイタイイタイ!くっ、クマガミはん!密着せんといて!

 毛むくじゃらのおっさんに抱きつかれたらキッショやーん!!



タクミはもう思考停止状態で、言われるままに浴室へ向かう。

しかし、湯船に浸かると、少し気分が落ち着いてきた。

いつの間にか勃起もおさまっていた。ふう。


と、タクミがひと息つく間も与えず、

クマガミとタヌキバラも浴室へ入ってくる。

湯船に入る前にシャワーを浴びろ、と強制的にタヌキバラを

洗い始めるクマガミ。自分でやるがなとタヌキバラも抵抗する。

かわいいおっさん同士の絡みにタクミは…ほっこりした。

あいかわらず、ふたりとも性器は丸出しだったが。


…びたびたびたと足音が近づいてくる。

うつろな目でタクミはそれを認識した。

気がつけば、ふたりの獣おじさんが目の前に立っていた。

横に並んだふたつの生殖器はかたちも大きさも全然違う。

じゅ、獣人って…なんだか…凄い…。


ふたりは片足を大きく上げてタクミの顔に股間を近づけてきた。


「えっ!な、なに!なに!?


そこでタクミはハッと我に返った。

どうやらのぼせかけて意識が飛んでいたようだ。


ざぶわぁーーー!と豪快にお湯が溢れかえる。

大柄のふたりの獣人が、同時に湯船に巨体を沈めたせいだ。

とんでもない湯量が湯船から流れ、石畳に渦巻く。

タクミの両脇では、おじさん達が身体を徐々に湯に沈めていく。

やがて、3人が肩を並べるかたちになり、湯の流れも止まった。

半分以上の湯船の湯が溢れ去っただろう。


「ふぃいー!ええ湯やなぁ…疲れもふっとぶわ!

 なぁ、タクミはん!


広い浴槽ではあるが、横並びで3人並べば密着せざるをえない。

肉厚な圧迫感にタクミは…肩身が狭い。


「は、はい…シアワセ…です…。


タクミはもう限界に近かった。

あ、熱い…本当は、もうとっくに湯船から出たい…。

しかし、ずっと、こうしていたくもある…。

ふたりのおじさんに挟まれて、ふれあいバスタイム。

地獄と天国を同時に体験している。嗚呼。



気がつけば、タクミは居間のソファーに横たわっていた。

どうやら限界を超えて意識を失ったらしい。

視界がぼやける。頭がクラクラする。


「タクミはん!目ぇ、覚めたんか!?気分はどうや?

 ほれ、水や。はよ飲み!飲み!


いきなりペットボトルの水を頬に押し付けられてヒヤリと驚く。

ものすごく近い位置にタヌキバラの丸い大きな顔があった。

もちろん、ここは居間だが、タヌキバラは全裸のままだった。


「あ…ありがとうございます…

 ボク、気を失ったんですね…。


「せやでー!無理したらアカンがなー!

 人間は弱いもんやと聞いとるさけなぁ、

 なんかあったらすぐにおっちゃんらに言うんやで!


タクミは受け取った水をゴクゴクと飲み干して、

マジでヤバかったかもしれないと思った。

水が旨すぎた。あっという間に全身に浸透していく。

しかし、目の前でぶらぶらするものも気になる。

心配げにタクミを見下ろすタヌキバラのそれは、

湯上がりもあってか、重く垂れ下がっていた。

ホカホカの温泉まんじゅう(特大)のようだ。


「た、タヌキバラさん、ま、丸出しです…。


「おほ、慌ててタクミはんを居間に運んださけな。

 着替えとる余裕はチレッコッポもなかったんや。堪忍な。


「いえ、こちらこそすいませんでした…。

 ありがとうございます、ですよね。うふふ。


「しゃーけど、このぶらぶら見とったら落ち着くやろ?

 ヒーリング効果もあるんやで、ワテのタマタマ!


むしろ、ドキドキが止まらなくなるとタクミは思った。

タヌキバラは全然服を着る気配がない。


「おっ、気がついたかねタクミ。顔の赤みはまだ残っとるなぁ。


クマガミも心配げな顔でタクミの顔を覗き込む。

タヌキバラと違って、ちゃんとシャツとパンツを身につけていた。

タクミはしかし、少し残念にも思ったが、それはそれで…

クマガミは下着姿もセクシーだった。


「人間ってぇのは、ヒフが露出してるからな、

 すぐ健康状態がわかるのは便利だなぁ。

 ワシらとはそこが違うな。ほら、君のシャツだ。


クマガミは、タクミの着替えを持ってきてくれたようだ。

礼を言いながらそれを受け取ったタクミ、しかし…

タヌキバラだけじゃなく、自分も全裸だと気づく。


「わっ!わっ!わあっ!


慌てて身体を起こし、シャツで自分の股間を隠す。

突然起き上がったせいでまた頭がくらっとした。


「ホラぁ、まだ寝とらなアカンやん。ええやん別に丸出しで。

 ワテも丸出し。お揃いで恥ずかしないよ。

 クマガミはんはひとりで服着て、でりかしーないなぁ!


「す、スマン…。じゃあ、ワシも脱ぐか…。


と、真面目に自分のパンツを下ろそうとするクマガミを

タクミは慌てて止める。また、それが見たかった、

が、人としての理性がクマガミの行動を止めた。


「い、いいですから!クマガミさんは!

 タヌキバラさんも、パンツくらい履いてください!

 ボクも履くのでみんなお揃いです!


「なんやー、残念やなぁー。

 タクミはんの、かわいいの、もっと見てたかったのに。

 全身つるつるでー、あそこもツルツルでぷるぷる!

 キャワワ〜やのになぁ〜。


「おお!?またタクミが赤くなっとる!!

 大丈夫か、もっと水飲んだほうがいいぞ!待ってろ!


クマガミが慌てて冷蔵庫に走る。

ものすごい地響きが家中に響く。

普段は慎重に歩いているんだな、と、

こんな場にそぐわない事をタクミは思った。


「あれーっ!?なにオレのいない時に

 タクミのヌード鑑賞会やってんンだ!!

 オレにも見せろ!見せろよぉ!


大騒ぎしながらイノマタが居間の縁側から

バタバタとあがりこんできた。

仕事帰りにそのまま庭の方を通ってきたらしい。

重いスポーツバッグを無造作に放り出して、

タクミのそばに走り寄る。

こんなに不躾に覗き込まれる経験もない。

逆に血の気が引いて、タクミは冷静になれた。


「お、おかえりなさい…イノマタさん。


「おうっ、ただいまだぜタクミ!!

 そんでよ、次はどうするんだ?踊るのか?舞うのか?

 しかし人間の身体ってのは、エッロイよなぁ!

 なんでそんな無防備につるっつるなんだろうな!

 あっ!そうだ!これからオレと一緒に風呂入ろうぜ!

 洗いっこするってのはどうだ!お互いに触りっこしようぜ!

 クッソ楽しいなオイ!!


「イノマタ!バカもの!タクミは湯船でのぼせて倒れたんだよ。

 だからこんな所で素っ裸なんだぞ。

 ほれ、タクミ、水だ。飲め。


「クマガミさん…ありがとうございます…。

 でも…ボク、イノマタさんともお風呂、入りたい…。


「なー!?タクミ、なぁー!!

 じゃあ、オレも脱いじゃうからな!

 楽しいよなぁー!全裸は!!ヒャホーイ!


「ほんならワテも、もっぺん風呂入るわー!

 偶然、ワテも服着てへんし!ちょうどええやん!


「い、いいですね…ははは。


もうどうなってもいいやとタクミは微笑んだ。

ふと、クマガミの顔を見上げると、

なにか言いたげな表情をしている…。


「わ、ワシもまたタクミが倒れんように

 一緒に入って見張る…。


と、またパンツに手をかけていた。



続く。

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ここはケモおじの森 #1

『タクミがやってきた日。』


4月初旬、

自由タクミはキャリーケースを手に西武新宿線「獣森駅」で下車した。

獣森(けもののもり)駅…森ばっかりで古い家しかないんだなぁ。

『いわくつきの土地』って噂もあるけど、なにしろ家賃が安かったんだ。

こんな都心で、新宿にも30分程度で行ける駅なのに。


契約したのはアパートやマンションではなくシェアハウスだった。

タクミは東京の大学に通う為に今日ここに着いた。


不動産屋さんは同居人がひとり、ずいぶん長く住んでるって言ってた。

獣人の男性だそうだ。

ボク、獣人に会うの初めてだ。

地元では土地柄、獣人は見かけた事がない。

その代わり自然の動物を見かけるのは日常茶飯事だった。

猪、狸、時々は熊にも出くわす地方都市だった。

それを嫌う大人(両親も)も多かったけど、ボクはむしろ動物が好きだ。


獣人のおじさんか…どんな人なんだろう?

ちょっと…かなり楽しみだった。


タクミの心には緊張と好奇心が入り混じる。

恋愛の経験はないけど、おじさんは好きなんだ。

頼りがいのある、逞しい大人の男性に憧れる。

仲良くなれたらいいけど。


あの森が、そうか?

住宅がまばらに点在する中、渡された住所は森の中程を示している。


なんだかボクの田舎よりイナカなのでは…


タクミは森の中の小道に分け入った。

なにやら怪しげ。たいして深くないのに迷いの森って感じがする。

奇妙な感覚にちょっと平衡感覚が狂いながら小道を歩くと

やがて古い一軒家が見えてきた。


なんだか…思ったより大きな家だ。


古いとはいえ、手入れは行き届いてるようには見える。

森の中心が妙に開けた空間になっていて、そこに建物が建っていた。

伐採した感じでもない。やっぱり少し不思議だ。

敷地内には一台の古ぼけたバンが停まっていた。

そこから反対側に小道よりちゃんとした道も続いている。

家の裏手には小さな畑がある。なんとなく生活感が漂っていた。

大家さんはここには住んでないって話だし、先住者の人のものだろう。

家屋に近づいてギョッとした。どうやら獣人が暮らす前提の家らしい。

ドアも、柱も縁側も全部ボクら人間の基準より大きい。

ま、まぁ逆じゃなくてよかったなとタクミは思う。

大は小を兼ねるっていうしね。


タクミは深呼吸し、玄関のチャイムを鳴らした。


しばらくすると、重い足音が近づき、ドアがガチャリと開いた。

そこには毛深い大男が立っていた。

緑のカーゴパンツと赤い厚手のネルシャツ姿で、真顔でタクミを見下ろす。

なんて、大きいんだろう…!

人間の感覚でいう“大きい人”のイメージでは追いつかない。

しかも衣服で覆われてない部分が毛むくじゃらなのだった。

もちろん衣服の下も毛むくじゃらなのだろう。

頭はまさに熊だった。

しかし、よく見ればちょっと人間っぽくもある。

太い眉毛。目元は暗くてよく見えない。

糸目ってやつかもしれない。

大きなマズル。どっしりと貫禄のある口元。

その周りには立派な髭をたくわえている。

人間寄りの熊の顔。

その口が開くと、太い牙が覗いた。コワっ。



「…君が自由タクミさん?


そう言いながらクマガミは胸をドンと叩いた。

熊のボディランゲージのようだ。


タクミは目を丸くしながらも、最初から失礼があってはいけないと思い

あらためて相手の顔を見ながら笑顔を返した。


「あ、は、はい…! 初めまして自由タクミです! よろしくお願いします…!


「ああ…ワシはクマガミだ。まぁ、入って。


熊のように見えて、話す態度は年上の(毛深い)おじさんって感じだ。

ガウガウワウワウではない。ちゃんと人間の言葉だ。

そうか、これが獣人なんだ。都会に来てよかったなぁ。


クマガミは無言でタクミをリビングに案内し、

座布団が置かれた低いちゃぶ台を指す。

リビングには畳の香りが漂い、和の雰囲気が強い。

人間のスケールで言えば12畳を越えるリビングは、

畳と板の間が混在する和洋折衷だった。

大きなソファーやテーブルの家具もあるし

その奥にはキッチンというか台所が見える。

広大だった。クマガミさんはこれをひとりで使ってるのか。

元々、シェアハウス用の設計になっているのかな…?



「まぁ、座りなさい。荷物は後で部屋に運んでやる。

「ワシは釣り竿の手入れをしてたとこだ。ハハハ。

「お前さん、大学生だってな?


クマガミの優しい低い声が心地よい。

口数は多くないみたいだ。無理して話をしてくれてる。

普段は寡黙なんだろうな…いい人そうだ。

しかしタクミの緊張はまだ続いている。

初めて獣人を見た事、初めての家に上がり込んだ事に加えて

このクマガミという男がものすごく魅力的に見える。

タクミが今までの人生で経験した事のない感情だった。

顔が火照るのを感じながらも冷静に喋る事に努めた。


「は、はい…大学です…。今日上京してきたんです…。

 クマガミさんは…釣りがお好きなんですね…?


「まぁ、そうだな。森の奥に池もあるんだぞ。


と、クマガミは短く答え、ちゃぶ台の急須から湯呑みにお茶を注ぐ。

湯気を立てる日本茶、タクミにまぁ飲めとひと言。

タクミは湯呑みを手に、ほのかな緑茶の香りに少し落ち着くが、

クマガミの存在感にまだドキドキしていた。


「ありがとうございます…!日本茶、落ち着きますね…。


「まぁ、そんなに緊張せんでいいぞ。取って食ったりせんから!ハハハ!

 和食は好きか?夕飯は鯖の塩焼きと味噌汁だ。

 畑で採れた大根も使う。お前も食う…だろ?


タクミはハイ、ぜひ!と頷き、クマガミの言葉にいちいちほっこりしつつも

動揺が収まらない。この嬉しさはなんだろう?

これからボクは、この人とふたりっきりでこの家で暮らすんだ…。

大学生になってラッキー…。



と、その時。

玄関から今帰ったでぇ〜!と陽気な声が響いてくる。


ドアが勢いよく開き、樽のような男が転がり込んできた。

タクミを見て、なぜかニヤリ。


「おー!!あんたはんが新入りやな? タクミはんゆうたか?

 ワテ、タヌキバラや。今日からよろしゅうやで! 獣森、ええとこやろ?


自分の腹をポンポン叩いて笑う。

狸だ。狸が服着てビールを飲んでいる。

丸いふくよかな顔は本物の狸よりも狸っぽく見える。

丸い腹、丸い大きな尻尾。全部丸い。

丸い眼鏡をかけて陽気で優しそうなおじさん。

これもまた獣人なんだろうか。

しかも、問題はそこじゃない。


「ええっ!? タ、タヌキバラ…さん!?

 あ、あの…同居人はひとりって聞いてて…


タクミはタヌキバラの狸のような見た目と気さくさが衝撃だった。

かわいい…動揺が止まらず、また顔が赤くなる。


「まぁ、タヌキ氏もここに住んでおる。ワシの方が長いがな。ワハハ。


クマガミの話をろくに聞きもせずに、

ヒャッヒャと笑いながらタヌキバラは床の間にあがりこんできた。

どっか!とあぐらをかいて座る。

ああ、居酒屋の前に置いてあるヤツだ、とタクミは思う。


「なんやの、大家はん、説明しといてくれへんかったんか!

 タクミはん、この土地はな、昔から獣人が住む場所なんや。

 ワテの腹、どやさ?触ってみたいやろ?うっひゃっひゃ!


そう言いながらタヌキバラはグイッとビールを飲み干し、腹をポンと叩く。

タクミはタヌキバラの気さくさに眩暈すらおぼえていた。

タヌキバラさん…狸みたいで可愛い…優しそうで陽気なおじさん…。

この人もここに住んでるって事は…毎日会えたりするのかな?

落ち着こう。とにかく落ち着いて情報整理するんだ。

つまり、これからボクは獣人のおじさん達と3人暮らしを…



またまた玄関からバン!とドアが開く音と共に、

おう!オレが帰ったぜ!と豪快な声が響く。

そこにいたのは、汗だくの筋肉ダルマのような男。

その顔はまさに猪だった。


重そうなスポーツバックを肩に背負い、

サーモンピンクのTシャツにモヒカン風の髪が目立つ。

なんて派手な猪なんだろう。

大きな猪首をタクミに向けて目をギラッとさせている。


「今日からくるっていう新入りだな! なんたらタクミだっけか!

 オレ、イノマタ! 筋肉触ってみるか!?

 この森はトレーニングに最高だぜ!猛進猛進ン!!」


イノマタはとにかく地声がデカかった。

ヤンチャに見えるがそんなに若くもなさそうだ。

タクミに向かってぶっとい腕をグイッと差し出す。ほれ。

ムッとした熱気と汗の匂いがタクミを直撃する。


「イ、イノマタさん…え、3人…!?

 同居人ひとりって聞いてたのに…3人も!?

 しかも全員が獣人(のおじさん)!?


タクミはイノマタの猪のような見た目と熱い性格に一番の衝撃を受けた。

クマガミの頼もしさ、タヌキバラの優しさとはまた違う、

イノマタの筋肉質な体格と情熱的な雰囲気に

タクミの動揺がピークに達し、顔が真っ赤になる。


タヌキバラがニヤニヤしながらタクミの動揺を見抜いていた。


「タクミはん、もしかして獣人は初めて? しかも嫌いやなさそうやな?

 イけるクチかいな?ひゃひゃひゃ!


「まぁ、慣れろ。鯖の塩焼き、できたぞ。


クマガミがちゃぶ台に人数分の料理を並べ始めた。

いつの間にかタヌキバラもそれを手伝っている。

ああ、これが…この家の日常の風景なのか。


「オレの熱さに早く慣れるんだ!タクミぃ!

 クマガミの和食、ウマイぜ! タヌキの中華料理もウマイ!

 同居人が増えてこの家も楽しくなるぜー!


イノマタに激しく肩を叩かれ、タクミはますます動揺してしまう。

落ち着けるわけ、ない!



3人の圧に戸惑いつつ、4人でちゃぶ台を囲みクマガミの手料理をいただく。

家の裏手の森から聞こえる虫の音に癒され、

クマガミの年季の入った料理にほっこりし、

タヌキバラの気さくさとイノマタの熱さに心が乱れつつ。


「あらためまして、自由タクミです。

 獣人に会うの初めてで…皆さんすごくて…びっくりしました…。

 あの、これから、よろしくお願いします…。


心の中でタクミは思っていた。

獣人って…動物みたいで…おじさんで…ボクの好きなもの…全部揃ってる。

こんなシェアハウスに格安で住めるなんて信じられない。

この気持ち…なんだかヤバイのかも…。


夜になり、タクミは2階の自分の部屋でひとり安堵した。

身の回りのスーツケースはクマガミが運んでくれていた。

先に送っておいた家財道具から布団だけ荷ほどきして寝る準備を整える。

なんだか疲れたな…。幸せ疲れかもしれない…。

パジャマに着替えて、布団にごろんと寝転がる。

冷静に今日起こった信じられない出来事を反芻してみる。


上京して獣森に来たら獣人に初めて会った…

しかも3人、みんなそれぞれ魅力的…

クマガミさんは熊みたいで頼もしい…

タヌキバラさんは狸みたいで優しい…

イノマタさんは猪みたいで熱い…

初めての獣人さん達…

ボクは動物が好きで…おじさんも好き…

このドキドキはなにかを期待してるからだろうか?


タクミは獣人への衝撃と、3人に惹かれる感情が入り混じる。

新しい生活への不安がとんでもない期待に変わっていた。


「このシェアハウス、すごいかも…。


顔が自然と微笑んでいた。

タクミは布団の中で目を閉じるも、3人の姿が頭から離れず、なかなか眠れない。

獣森の森から聞こえる虫の音に心を落ち着かせて、ようやくウトウトし始めた…。


突然、部屋のドアがドンドンと叩かれ、タヌキバラの陽気な声が響く。


「タクミはん! 起きとる〜? とりま、歓迎会やん! リビングにおいでや!


扉の向こうから腹をポンポンと叩く音。

タクミは夢うつつで飛び起きた。

「え、タ、タヌキバラさん?

 す、す、す、すぐ行きます!寝てませんでした!


タクミは慌ててパジャマのまま部屋を出て、階段を駆け下りる。

リビングには、クマガミ、タヌキバラ、イノマタが集まっている。

あぐらをかいて日本酒をぐい飲みするクマ。

不思議な踊りを踊るタヌキ。

ソファーでストレッチするイノシシ。


ちゃぶ台にはビール、日本酒、枝豆やクマガミが作った漬物が並び、

すでにノリノリの雰囲気が漂っていた。


「タクミはん来た来た! 飲みまひょ! ワテら新入りの歓迎は盛大にやるんや!


タヌキバラはさらにご陽気で上半身を曝け出しながらビールを開けている。

生で見るとさらにすごいお腹だ。しかもオッパイも大きい。

タヌキバラの笑い声に合わせて激しく乳揺れしている。


「タクミ君、まぁ座れ。日本酒を用意したぞ。まぁ飲め。


湯呑みに日本酒を注ぎながらクマガミもニヤリと笑う。渋い。

でもボクはまだ未成年なんですけど…とタクミは思っていた。



「タークミー!! オレの筋肉を肴に飲もうぜー!

 人間はどんな酒が好きなんだー?オレはなんでも飲むぞう!!


二の腕をグイッと強調しながらイノマタが叫ぶ。大声にもほどがあった。

しかしここは森の中、どんなに騒いでもどこからも苦情はこない。

助けを呼んでも、誰もこないだろう…。


タクミは3人のノリノリな雰囲気に圧倒されつつも半笑いで座布団に座る。

獣おじさんたちの勢いは凄い。人間なんかよりずっとフレンドリーかもしれない。

なにより自分が歓迎されている事の嬉しさを噛みしめた。


しかしこの後、タクミは初めてのカオスな交流を体験する事になる。

巨獣達に酒が入るというのは、誰もそれを止める事ができないという事だった。



乾杯まではまだよかった。

タクミがまだ未成年という事も納得し、バヤリースを用意してくれた。

それぞれに酒がハイペースで進み、空き瓶と空き缶がうず高く積まれていく。


そして、興味の矛先は当然タクミに向けらるのだった。


タヌキバラほんのり赤くなった顔で酒臭い息を吐きながら

タクミににじり寄る。


「タクミはん、ワテの腹、触ってみ?ええ気持ちやで〜。プニプニちゃんやで。

 獣森のタヌキはこうやって仲良くなるんや!ポンポン!


タヌキはタクミの手を取り、有無を言わさず自分の丸くて大きな腹に押し当てた。

その感触にタクミの脳裏に衝撃が走る。


「タ、タヌキバラさん…! すごくやわらかい…ムチムチでモチモチです…!


イノマタがその隣に割り込んで大声で叫ぶ。


「タヌキの腹なんかどうでもいいだろ!

 タクミ、オレの筋肉触ってみな!鍛えに鍛えた上腕二頭筋だぜ!うおお!



イノマタがタクミの手を掴み、自分の腕にグイっと押し当てる。

タクミはイノマタの硬い筋肉にさらに衝撃を受けた。


「イ、イノマタさん…!すごい硬い…!筋肉…すごい…!


クマガミがそれに割って入り、あぐらをかいてそこにタクミをひょいと乗せる。


「タヌキ氏もイノマタ氏も騒がしい。

 タクミ君、ワシの胸毛を触ってみろ。ふかふかで気持ちいいぞ?ぬふ。


クマガミが静かタクミの手を自分の毛深い胸に導く。

そのままゆっくりとハグの体勢に。

タクミはクマガミの毛深い胸と腹に包まれ、衝撃と安心感が入り混じる。


「ク、クマガミさん…! ふさふさ…温かくて…頼もしい…!


タクミは獣人で年上の身体大きなおじさん達に欲されて至福を感じた。

恋なんてした事もなかったけど…もしかしてこれがその…伝説の…

誰もが憧れる…一目惚れってやつ…なのかな…。



深夜、てっぺん越えても歓迎会は終わらない。

おじさん達はますますヒートアップするばかりだった。


タヌキバラが自前の腹づつみの演奏で歌い出し、

イノマタが筋トレの実演講習会を始め、

クマガミが日本酒を傾けながら「ワシの釣り人生」を語る。


タクミはこのカオスな交流に圧倒されつつ、迷惑よりも楽しさが顔に出ていた。


「タクミは〜ん、なんや、かわいらしい顔してはるやん!

 ワテらな、これからここで一緒に暮らす仲間やで! ぎゅーっ!


タヌキバラが酔った勢いでタクミをぎゅっと抱きしめる。

突き出た腹がタクミに密着し、ドキドキが止まらない。


「タヌキ、独り占めすんな! タクミ、オレもだ!」


イノマタがタクミを軽々と抱き上げ、筋肉質な腕でぎゅっと抱きしめる。

タクミはイノマタの力強い抱擁にさらに動悸が止まらない。


「タクミ、ワシも…わかっとるよな。


クマガミが静かにタクミを自分の毛深い腕でそっと抱き寄せる。

クマガミの頼もしい体格とふさふさ胸毛にタクミは頭クラクラ、心ふわふわ。


タクミは3人に次々と抱きしめられ、

この嬉しくて恥ずかしい状況につい顔を隠して俯いてしまう。


「どうしよう…ボク、こんなの初めてだ…。

「た、タクミはん、かわいいやで!


「た、タクミ、オマエってめっちゃ熱いぜ!


「た、タクミ、ワシらはもう仲間だ…。


歓迎会は深夜まで続き、

タクミは3人の獣人おじさんに囲まれつつ、いつか気を失っていた。

酒など一滴も入っていないのに、最高に酔っていた。

いろんなモノがタクミの顔や手や体のいたる所に触れた気もするが、

それがナニかはタクミには知る由もなく…。



翌朝。

タクミが目を覚ますとリビングのソファーの上に寝かされていた。

誰かが軽いタオルケットをかけてくれていた。

あんなに酔っ払ってたのに、優しい。

昨夜の歓迎会、すごかったな。

クマガミさん…

タヌキバラさん…

イノマタさん…


3人のおじさんはまさにザコ寝状態で、

リビング狭しとゴロゴロ転がっていた。

大、中、小とサイズ差はあるけど

人間から見れば獣人は全員大きい。

そして全員、イビキが凄い。

だらしない寝顔…

でも、そこもまたかわいいな…。


タクミは3人の寝顔を見ながら

この獣おじさん達との新しい生活に期待を膨らませていた。

獣人で…おじさんで…ボクの好きなもの…全部揃ってる。

ボクのこと歓迎してくれて…仲間って言ってくれて…。

んん…?なんだか身体のあちこちに妙な感触が残って…??



「あっしまった!今日って入学式だった!

 ヤバイぞ、もうこんな時間!!!!



それからもう10分、おじさん達の寝顔を眺めてから

タクミは家を出るのだった…。



続く。


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あけましておめでとうございました! 本年もよろしくお願いいたします。 とにかく更新頻度をあげたいと、今年も申しております… 絵の方はトップベア22のヴィーです。 このひとウサギだった。すっかり忘れてました。 お父さんは黒魔術師。呪術実験で自らの体を生き人形化した。 3枚目が元の姿。エコエコアザラクエコエコザメラク。

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モヤモヤショロ〜ズ(準備中…)

初老のおっさんのお話です。 モウチョットマッテネ… ゴメンネ…オカアサン デキナクテ ゴメンネ…

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トップベアツーダッシュVol.4 REBIRTH

トップベアツーダッシュの続きです。 なにを思ったかTwitterで突発的にページごとに発表してました。 巣篭もり効果でマンガを描きたかったのでしょう。 この作品に心残りもあったのでしょう。 気が済んだところで未完となってます。 あとはだいたいどんな展開だかわかりますでしょ? で済ますつもりはないのですが…作画カロリーとモチベが 絶対的に釣り合わないんですこの先。w それでも見たいとあなたがおっしゃるなら… それがモチベになるのかもしれません。 信じるか信じないかはあなた次第。ワッツアップ! ちな既刊本はBOOTHでDL販売中です。よろしければ〜。 (紙の本もアリスブックスに在庫ございますw) 【トップベア・ツーダッシュ Vol.01】 https://booth.pm/ja/items/3344659 【トップベア・ツーダッシュ Vol.02 】 https://booth.pm/ja/items/3344724 【トップベア・ツーダッシュ Vol.03 】 https://booth.pm/ja/items/3344729 余談:なぜ急にこれをアップしたかというとガンダムエアリアルのガンビットシールドがヴェスパーの左腕の新機能と丸カブリしててプギャったんですよね。(※水星の魔女#1放映後の時間軸)まぁファンネルなんですけどね。鉄の塊が刺さったり(細いの)回転したり(板状の)盾状に展開したり…てのを考えてました。描くの面倒くさがった結果こーやってあとから泣き言を言うだけの存在に…プギャァァァ!

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サンバカ♂♂♂モラトリアム!

新作『サンバカ♂♂♂モラトリアム』でございます! 2022年夏コミ新刊になります。祝!コミケ100! 通販はいつものアリスブックスで開始しておりまーす。 https://alice-books.com/item/show/2129-28 とりあえず本!電子化も追って進めてまいります。 内容は全然なにも祝してないんですけどwww バカすぎて作画中に何度もくじけそうになりました。 まぁバカなのはいつもの事なのでなんとか乗り切りました。 たわむれにTwitterで始めたバカ話が元ネタです。 高校時代って人生で最も性欲過多よな、みたいな。 学園モノやりたいなーという願望は常にあるんですが シモに走りすぎてなかなか理想には届きませんw 結果的にこんなかたちとなりました。よしなに。 【主な登場人物】 ♂イヌヤマ ヤマイヌ。兄(バカ)がいて仮想性知識が豊富。 ♂シシガミ イノシシ。番長的ポジ。サンバカの要。 ♂クマノ ヒグマ。性知識ゼロだが潜在能力は未知数。 ♂黒崎(くろさき) クロクマ。生徒会長。超堅物。 ♂新屋敷(あらやしき) オオカミ。風紀委員長。イケメン的ナルシス。 ♀ヒツジ野先生 ヒツジ。男子校にあるまじき若くて美人な副担任。 ↑ちなみにこのシシガミは『寝技で一本!シシガミ先生』の方です。 サンバカのキャラ作る時に「あのおっさんならこんな高校時代を 送っててもよかろう」程度の気持ちで入れてみました。 どーでもいい裏話ですが… その後、夏用の本にすると決めてとりあえず表紙描いて 作業を進める中でふいに「あっヤバイ」となりまして。 上の2枚目の画像が当初の絵でした。 なにが違うねんとお思いでしょうが手に持ってるものが 問題です。円盤です。シシガミ先生の昔話にしちゃったら その時代には円盤はないのでは?となりましてリテイク。 そもそもなんで円盤だったのかはオマージュ元が Blu-rayBOXのジャケ用に描かれた絵だったからです。 オマージュ元は裏表紙と合わせて考えると判りますw いつもの事ですがオマージュネタは他にもいくつか。 創作スタイルが庵野くんと同じなのでw そんなとこにモチベーションがあるんですよね… 気づかれなくていいけど気づいて!みたいな心境。厄介。

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イノシシのお相撲さん

2015年の絵をリファイン。 なにかがしたかった。

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2022年お年賀

今年も明けましておめでとうござーます! タヌキはすべての干支を凌駕する!かどうかは別として 今年こそテンタマの新展開を…(停滞何年目だ) 倒されてるのは年末にアップしてた虎おっさんの成れの果て。 当初予定では皮を剥がれてマツリ達が毛皮を纏ってる絵でしたが 正月早々エグいのでちょっとマイルドになりました。w トラコスはその名残りです。 なんとなくマツリから描き始めたのでアドリブレイアウトなの。 そーいうのが好きなの。今年もよろしくオネシャス。

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スタンプ御礼!

スタンプ御礼! 買ってもらってありがタイ♩ 使ってもらえてありがタイ♩ 大事なあの子に貞操タイ♩ われらは科学特捜タイ♩ 国本武春さんの歌声はいいなぁ〜と思いながら描きました。 肝心の鯛を描き忘れた。大黒天のショーくんが持ってる筈だったのにね。 スタンプ作成時のラフ絵も載せました。変身ポーズは特ヲタ的には 必須だったのになぁ〜。次があれば。 https://store.line.me/stickershop/product/15016433/ja

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ヲタクマスタンプ発売中!

ヲタクマさんとショーくんのLINEスタンプ発売中! 突然ですが作っちゃいました。ずっと作るの作らないのウダウダしてましたが突然イキオイづいてしまって。「こーいうのあったらな」って普段自分が欲しかったのを作りました。割とアバウトに使えるかなーと思います。よろしければ。全40種。 https://store.line.me/stickershop/product/15016433/ja

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πr2パイアール君の事情(仮称)

街で見かけた雄っぱいクマ君に一目惚れ。(元ネタ) 3/14生まれ。20代中盤。詳細データは不明。 本人はごく普通のノンケ青年、その筋の人からすれば極上素材、みたいなイメージ。知り合いにもなってないので見た目+αくらいしかデータがないけどそのくらいの方が一番想像膨らむし無責任に性欲を向けられるというデータに基づく。 画像2枚目はラフですが完成版とは線画から別データなので載せときますね。

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終電出ちゃいましたよ?

酔っ払いクマおじさん(たぶん役職)いつもホームでゴロ寝しちゃって奥さんに怒られてる。40台前半くらいでしょうか。

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サービスエリアなんだからサービスしろ!

牛先輩「ちきしょうムラついて事故るわ!長距離はこれがつらいんだこれが。次のSA入るぞ!わかってんな? 犬後輩「またっすかぁ〜?今日もう3回目っすよ…先輩の量が多いから飲んじゃうんすよねー! 牛先輩「搾りたてミルクなんだから感謝しろ!むしろ! 犬後輩「濃厚すぎてむせるっす。

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着衣フィニッシュ!(ピクファンonly)

シロクマ専務の時間外勤務。 ちゃんと前置きがあるAVが好きなんですよ。状況設定も欲しいし、着衣→裸の変化も欲しい。その過程で着衣のままフェラ、挿入のパターンはまぁあるんだけど途中で脱ぎますわな。誰だってそうする俺だってそうする。上はともかく下は邪魔だし汚れちゃうってノイズになるもんで。だから着衣フィニッシュするAVって貴重なんです(特にデブ限定だと)海外だとたまにある。国産でもシチュエーション系だとなくはない。電車内とか学校内とかね。それでも最後はいつの間にかパンツ脱いでたりするから強めの共通認識なんでしょうね。

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ダブ&サーヴィス(仮題)2021

ダブ(熊)とサーヴィス(狼)のおっさんバディ物です。 話の骨子がやっと定まってきたのでそれに合わせて性格とか人間関係をちょっと整理しつつ。ダブおじさんの飲み友達でニック(豚)というのを追加しました。いつもダブの部屋に入り浸っては酒とゲームでダブを誘惑して仕事の邪魔をするのでサーヴィスは彼を非常に嫌っております。同年代で気の合うクズっていう。黒豚ってかわいいなと思って作ったキャラです。彼を置いた事でサーヴィスがちょっとシリアスに調整されそう。FANBOX版では羊の女性をさらに追加しました。アモと呼ばれます。ダブの性癖につきささるキャラとして以前から存在してましたが絵がなかったので今回起こしてみました。気だるそうなソバージュの羊です。一連はひとつの大きな古いアパートの住人達です。巨大な集合住宅にワンダーとミステリーを感じているのです。魔窟のような。

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2021年年賀

酒が進んで脱いじゃいました。(兄貴はアルベルトとブラァしにいきました) 今年もよろしくお願いまします!ファンボも頑張りますので!

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ああン?家族写真だァ?

オヤジ「ベケロイしゃらくせーぜ。俺ァ仕事にいってくっからよ! オカン「照れてないできなさいよ。ホラ。 オヤジ「やめろってんだいベケヤロめ! カンキチ「照れるなよオヤジ。 キンジロ『父ちゃんもこーいう所はかわいい。 ババア「イッヒッヒ。 トラ「撮りまっせ〜〜バシャ!

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