スマートファルコン チャイナドレス
「あー、もう! どうすればいいのよ!」
トレセン学園の校舎裏で、一人の生徒が不満げに叫ぶ。
その声の主はスイープトウショウ。彼女はレースで勝つ
だけでなく、立派な魔法使いになることを目指していた。
今日は、図書室で見つけた古の魔導書とやらに書かれた
魔法陣とやらを実践してみたのだが、案の定上手く行かず、
スイープは癇癪を起していた。
「おかしいわね……。これで上手くいくはずなのに」

むむむ、とアゴに手を添えて悩むスイープ。
「とりあえず、今日は止めね。また明日試そうっと」
そう言いながら、スイープは寮へ戻った。
(そういえば、魔導書もう一冊あったわね。読んでみましょうか)
その日の夜、スイープは布団に籠りながらそう考えた。
もう一冊の魔導書をスイープは手に取る。
(なんかこっちは理論書みたいなやつで、ややこしいからあんま読む気にならなかったのよね)
布団にもぐったまま、枕元のランプをつけ、少しづつ読んでいく。
(魔力を高める方法……? こんなのあるのね!)
本の一節に目を惹かれたスイープ。しかし、そこに書かれていた内容に、彼女は怪訝になった。
(魔力をつけるには、筋肉を鍛えるべし? なによこれ)
本には、魔力をつける為には筋肉をつけるべし、筋肉は魔力が通る導管であり、筋肉が
あればあるほど魔力がつく、と書かれていた。
(本当なの、これ……?)
スイープは半信半疑だったが、実際にやってみないと分からない。彼女は筋トレを実行
してみることにした。
「ふんっ、ぐぬぬぬっ……」

スイープは、バ-ベルを使ってトレーニングをしていた。トレーナーとはトレーニング内容に
ついては相談済だ。しかし、筋トレをするのは魔法を使うためだとは言っていない。
そして、数ヶ月。


「ふふーん。どうよ!」
「す、すごい身体だね、スイーピー……」
驚くトレーナーをよそに、スイープはトレーニングの成果を誇る。
(これで、魔法も使い放題ね!)
その数日後、スイープは校舎裏にいた。砂地に魔法陣を書き、杖でそれを
指しながら呪文を唱える。
「えいっ!」
スイープは呪文を詠唱したが、全く何も起こらない。
「あれ?」
スイープは何度も何度も呪文を唱えたが、うんともすんとも言わない。
「あれ、スイープさん。どうしたんですか?」
そこに通りかかったのは、図書委員のゼンノロブロイ。彼女は
不思議そうな様子でスイープに近づく。
「この本に書かれていることをやってみたんだけど、上手くいかないのよ」
スイープはロブロイに事情を説明する。すると、彼女は気まずそうに話した。
「あー……、その本はファンタジー作品の設定解説本なので……。本物の魔導書ではないんですよ」
「へ? そ、そうなの?」
「はい。体裁は魔導書っぽく書かれているので、気付きにくいんですが、それは偽物なんですよ」
「そ、そんなぁ! じゃあ、私の努力は……」
「残念ですが、意味はないですね……」

「うわーん! もう二度と魔導書なんか読まない!」
そう叫ぶと、スイープは脱兎のごとくその場から走り出した。
彼女が真の魔女になるのは、いつのことだろうか。
2025-09-27 16:46:43 +0000 UTC View Post