スイーピーは発展途上
Added 2025-09-27 16:46:43 +0000 UTC「あー、もう! どうすればいいのよ!」
トレセン学園の校舎裏で、一人の生徒が不満げに叫ぶ。
その声の主はスイープトウショウ。彼女はレースで勝つ
だけでなく、立派な魔法使いになることを目指していた。
今日は、図書室で見つけた古の魔導書とやらに書かれた
魔法陣とやらを実践してみたのだが、案の定上手く行かず、
スイープは癇癪を起していた。
「おかしいわね……。これで上手くいくはずなのに」

むむむ、とアゴに手を添えて悩むスイープ。
「とりあえず、今日は止めね。また明日試そうっと」
そう言いながら、スイープは寮へ戻った。
(そういえば、魔導書もう一冊あったわね。読んでみましょうか)
その日の夜、スイープは布団に籠りながらそう考えた。
もう一冊の魔導書をスイープは手に取る。
(なんかこっちは理論書みたいなやつで、ややこしいからあんま読む気にならなかったのよね)
布団にもぐったまま、枕元のランプをつけ、少しづつ読んでいく。
(魔力を高める方法……? こんなのあるのね!)
本の一節に目を惹かれたスイープ。しかし、そこに書かれていた内容に、彼女は怪訝になった。
(魔力をつけるには、筋肉を鍛えるべし? なによこれ)
本には、魔力をつける為には筋肉をつけるべし、筋肉は魔力が通る導管であり、筋肉が
あればあるほど魔力がつく、と書かれていた。
(本当なの、これ……?)
スイープは半信半疑だったが、実際にやってみないと分からない。彼女は筋トレを実行
してみることにした。
「ふんっ、ぐぬぬぬっ……」

スイープは、バ-ベルを使ってトレーニングをしていた。トレーナーとはトレーニング内容に
ついては相談済だ。しかし、筋トレをするのは魔法を使うためだとは言っていない。
そして、数ヶ月。


「ふふーん。どうよ!」
「す、すごい身体だね、スイーピー……」
驚くトレーナーをよそに、スイープはトレーニングの成果を誇る。
(これで、魔法も使い放題ね!)
その数日後、スイープは校舎裏にいた。砂地に魔法陣を書き、杖でそれを
指しながら呪文を唱える。
「えいっ!」
スイープは呪文を詠唱したが、全く何も起こらない。
「あれ?」
スイープは何度も何度も呪文を唱えたが、うんともすんとも言わない。
「あれ、スイープさん。どうしたんですか?」
そこに通りかかったのは、図書委員のゼンノロブロイ。彼女は
不思議そうな様子でスイープに近づく。
「この本に書かれていることをやってみたんだけど、上手くいかないのよ」
スイープはロブロイに事情を説明する。すると、彼女は気まずそうに話した。
「あー……、その本はファンタジー作品の設定解説本なので……。本物の魔導書ではないんですよ」
「へ? そ、そうなの?」
「はい。体裁は魔導書っぽく書かれているので、気付きにくいんですが、それは偽物なんですよ」
「そ、そんなぁ! じゃあ、私の努力は……」
「残念ですが、意味はないですね……」

「うわーん! もう二度と魔導書なんか読まない!」
そう叫ぶと、スイープは脱兎のごとくその場から走り出した。
彼女が真の魔女になるのは、いつのことだろうか。