⇐「けんぺいさんのおしごと その17」https://nuka.fanbox.cc/posts/2713880
「はい、知っています。──というより、私はそのコミュニティの一員です」
あまりに素直な回答に、磯風は驚かざるを得なかった。
だが、驚きは顔には出さない。
ここがチャンスなのだ。さらに踏み込んでみる。
「そうか。実は私も、そのコミュニティというものに興味があってな。」
由良の表情の変遷を見落とさないよう、しっかり顔を見ながら続ける。
「どうやったらそのコミュニティに入れる?」
由良は、殆ど表情を変えなかった。
だがその顔は、少しだけ緊張が和らいだように見える。
「コミュニティは、妖精さんを通じて連絡を取り合います。
妖精さんが見えるのは、艦娘と、一部の人間──”提督”だけですから、傍受される危険がありません。」
「毎晩0時に、コミュニティの定時連絡を行っています。
通信担当の妖精さんに、”チャンネル56”を開くよう伝えて下さい。
我々コミュニティの無線チャンネルに繋がります。
そこで、貴方をご紹介しますよ。」
由良と別れた磯風は、この事を提督に報告すべきか迷った。
──いや、司令に余計な心配はかけまい。
今、私がすべきこと。
艦娘コミュニティを通じて、司令を暗殺しようとしている輩を見つけ出す。
そして、その者に私が裁きを下す。
そのためにも、まずは今夜0時の無線会合だ。
磯風は、知られざる闇の世界に足を踏み入れた。
着実に真実へと近づいている、そんな感覚が彼女にはあった。
しかしそれは同時に、彼女に迫り来る危機の始まりでもあった。
つづく('ω')
~登場人物~
・('ω')
艦娘を率いる提督。海軍中将。第3艦隊司令官 兼 呉鎮守府司令官。
・憲兵
提督を調査するよう命ぜられた憲兵。独自で軍内部の闇を追う。
・磯風
艦隊の最古参にして歴戦の戦士。
憲兵と結託して、提督を葬ろうとする軍内部の闇を追う。
・由良
艦隊に新たに配属された軽巡洋艦。憲兵からスパイの疑いがかかっている。