学校からの帰り道。
新しい通知のないスマホを見つめて、那月はため息をつく。
昼休みに、つい我慢できずに送ってしまったメッセージは未読のままのようだ。
のろのろと、自宅へ向かう途中、曲がり角の手前で、いったん、足を止めて、那月は住宅街に続く道を見つめる。
送信相手であり、那月の幼馴染である、陽和の家に続く道だった。
学校で、スマホとか、あんまり見れないのかな。塾とかの帰りに使うためだけの物なのかも。
那月より、何歳も年下の彼は、まだ、小学生なのだ。
母親同士が旧友で、家が近所であることから、
那月が小さいころから、付き合いのある幼馴染だ。
つい最近まで、年の離れた弟のようにしか思っていなかったのだが、ほんの数日前から、那月の中で、陽和の認識が大きく変わってしまっていた。
同級生と自宅近くまで一緒に帰宅していたある日。
学校帰りの陽和と会った那月は、体調を崩して意識を失っていたらしく、目が覚めると、陽和の部屋に運ばれていた。
幼いころに、何度も遊びに来た部屋ではあったのだが、目を覚ました後、那月を心配した陽和に手を触れられた途端、全身を撫でつけられたかのように、身体が疼いて仕方がなくなってしまったのだ。
その日は、慌てて、自宅へ帰った那月だったが、自分の中に生まれた桁違いの性欲が消えることはなかった。
後日、再び、陽和の家に、遊びに来た時も、いつの間にか眠ってしまっていたのだが、
陽和のベッドの上で、目を覚ました那月は、下着をぐっしょりと濡らしていて、悟られないよう必死だった。
陽和くんとゆっくり話すのも、あの日、かなり久しぶりの出来事だったし、家に自分から訪ねていったのも、数年ぶりくらいだったのに。
私……、どうしちゃったんだろう……。
ぼんやりと、彼を思い出し、微熱を放つ身体を持て余しながら、那月は、自宅へと足を進める。
あの日だって、もともと、気になっていた同級生と、初めて一緒に帰れて、うれしくて仕方がなかったはずだったのに。
今の那月には、頭の中に、ほとんど残らない程の出来事となっていた。
小学生の、しかも、うんと幼いころから知ってる知り合い相手に、私、どうしてこんな……。
ぐるぐる、と回る思考が、答えを見つけることはなく、那月は、自宅の前へと辿り着いていた。
門を開けて、郵便受けを見ると、荷物が届いていることに気付く。
宛名が自分であることに気付き、荷物の中身を悟る。
誰が見ているというわけではないのだが、慌てて、小さな段ボールを胸元に引き寄せると、那月は自宅の中へと入り込んだ。
テスト期間の最終日で、まだ陽の高い時間。
那月は、無人の自宅の階段を上り、自室へと駆け込む。
荷物と制服の上着を置いて、ちらりと段ボールを見てから、私服へと着替える。
その後、どきどきしながら、那月は、荷物の箱を開けた。
簡易的な包装の中に、仕舞われたそれは、小さな機械だった。
携帯音楽プレイヤーのようなリモコンと、それに有線コードで繋がれた、細長い棒に、柔らかな棘が並んだ小さなボール。
表向きには、マッサージグッズ、と書かれているそれは、ネットで話題の大人向けおもちゃだった。
無事、受け取れたことに安堵しながら、那月は中身を慎重に取り出す。
マッサージグッズなんだから、私が使っても大丈夫なはず。おかしくないはず。
自分に言い聞かせるように、そっと、付属の電池を入れて、試しにスイッチを押してみる。
ぶぶぶぶぶ、と低いモーター音と共に、細長い棒と、小さなボールが震える。
すごい……。こんなの、みんな、中に挿れたりしてるんだ……。
そっと、電源を切ってから、那月は、ふう、と呼吸を整える。
まさか、大人のおもちゃを手にする日が来るなんて。
ここ最近の昂る性欲と、治まらない欲求不満から、気付けば、那月は購入ボタンを押してしまっていた。
これで少しでも、欲求不満が治まれば、まだまだ幼い幼馴染への情欲もなくなるのでは、と期待して。
いそいそと那月は、ベッドにバスタオルを敷き、するりと、ショーツをずらす。
既に潤いを持った割れ目が、まくり上げたスカートの下に伺える。
こくんと、息を呑んでから、那月は、そっと、おもちゃの細長い棒を、その潤いへと伸ばす。
スイッチを切ったままの、ただの冷たい棒が、ちょんと、蜜壺に触れるだけで、那月は、ビクンッと身体が震える。
気持ちいい……。
熱と息が上がっていく。
くちゅ、くちゅ、と潤いを確かめるように、細長い棒を、ゆっくりとかき混ぜていく。
「はぁッ……、あぁ……ッ、はぁん……ッ」
那月は、懸命に、腰を少し浮かしたり、角度を変えて、自然と心地良い体勢へと変えていた。
自分の中の性欲に、段違いで変化を遂げたあの日までは、自慰など、ほんのたまにする程だったのに。
どうして、身体がこんなに勝手に動いてしまうんだろう。
まるで、自分が気持ちよくなる場所を、既に知っているかのようだった。
那月は、知らない自分に振り回されているような気持ちになりながら、夢中で自慰を続けた。
気付けば、細長い棒を、中へと、するりと挿れてしまっていて、ピクピクと、全身が震える。
指よりは少し太い程のものとはいえ、これまでの自慰で、中まで触ったことなどほとんどなかった。
こんなに簡単に入っちゃうものなの……?
那月は、息を荒げながら、簡単に飲み込んでしまった自身の膣を見つめる。
コツン、と最奥に当たる感覚がして、声が漏れる。
「はぁ……んッ、な、なんか、変な感じ……ッ」
浮かしていた腰を下ろし、正座を崩すようにして座りこむ。
つぷん、と音を立てて、細長い棒が、那月の中に入り込み、那月は「ひゃぅッ」と声を上げた。
感触を楽しむかのように、那月が、ベッドにこすり付けるように腰を左右に振る。
「あぁんッ……! 気持ちいい……ッ、中に、入っちゃってるよぉ……ッ」
うっとりした表情で、那月が嬌声を上げる。
昂る欲のまま、那月は、膣から伸びた有線コードが繋がるリモコンへと手を伸ばす。
興奮しきって、へろへろにとろけた目で、スイッチを確認する。
振動のリズムやレベルの高低を選べるものを、とりあえず無視して、電源をオンにする。
――ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ
「ひぃあぁぁああああんッ!!」
規則的に那月の中で震えるバイブに、声を上げる。
ベッドへと落としていた腰が浮き、身体が震える。
すごい……ッ! 気持ちいい……ッ!!
那月は、ぎゅ、と内股を寄せて、振動の全てを包むかのように、更にバイブを飲み込む。
「ひぅッ、はぁあんッ、きもちいいッ、いいよぉおッ」
ぽすん、と那月は、ベッドにうつ伏せに倒れ込む。
中に挿入したままの棒が、那月の膣の壁に、ぎゅっと押し当てられ、那月の中を震わせる。
「あぁああぁああッ! 中で、動いてるぅううッ!! やぁああぁあああッ! ひぐぅううッ!! イっちゃうよぉおおおッ!!」
ベッドの上で、うつ伏せになったまま、那月は、ピクンピクンッと身体を小さく跳ねさせた。
自然と、おもちゃに小さなピストン運動を生ませ、那月の快楽は頂点を目指す。
「あぁんッ! あぁあんッ! これッ、きもちいいッ!! ゃあああッ! あぁああッ! イクううッ! イクううううッ! もうらめええッ!! ぁああああぁああああああああああッ!!!!」
身体を反って、那月は硬直させる。その後、クタッと脱力し、涙目になりながら、慌てて、オモチャの電源を切った。
「ハァッ……、ハァッ……、す、すごい……、なにこれ……ッ」
ベッドに横たわりながら、目の前に置かれたオモチャのリモコンを目にする。
振動レベル、一番弱いものだったんだ……。
棘の生えた丸いボールは、確か、クリトリスに当てたりすると気持ちいいって、口コミに書いてた。
絶頂の余韻が、まだやんわりと残っている身体を休めながら、那月はぼんやりとオモチャを観察した。
既に、かなり強い快楽を得て、性欲が落ち着きだしては来たが、このあと、どうしよう……。
振動のリズムを変えられるのも少し気になるし、もう少しだけ試してみようかな……。
それとも、また、今度の楽しみにとっておこうかな。
膣内に、オモチャを挿入したまま、ベッドの上で、悩んでいると、すぐ傍に置いたままだったスマホが白く光る。
メッセージアプリによる着信で、相手が、陽和であることに気付く。
那月は、ドキリとしながら、携帯へと手を伸ばす。
「……ッ、もしもし……」
『あ、那月? ごめん。スマホに連絡くれてたのに』
「ううんっ。あんまり、学校で携帯、見れないよね。電話、ありがとう」
耳元で、陽和の声を聴きながら、那月は、ドキドキと鼓動が上がっていくのを感じていた。
そして、中に挿れたままのオモチャを、自分の膣が、きゅるりと吸い付いていることも。
~ッ、私、小学生と電話しながら、いったい、何してるの……!?
恥ずかしさと罪悪感で、泣きそうになりながらも、通話は続く。
『那月、どうしたの? なにかあったの?』
「えっと……」
外から掛けているらしく、野外の騒音が少し聴こえる。学校帰りに気付いて、すぐ連絡を返してくれたのだろう。
頭から陽和のことが離れなくて、つい、メッセージを送った那月だったが、どちらも幼い頃ならまだしも、今となっては、連絡=用事ありき、という関係になってしまっている。
お互いの立場を考えれば、当たり前なのだが、那月は、少し、寂しいような悲しいような気持ちになりながら、なんとか、口を開く。
「あの、その……、今日、テスト明けで学校、早く終わっちゃって。陽和くん、どうしてるかなって思って」
『えッ……』
陽和の少し驚く声を聴きながら、那月は、恥ずかしさと緊張で熱が上がるのを感じた。
意中の相手を、恐る恐る、誘う時のような感覚を、陽和相手に、感じてしまっている。そのことに戸惑いながらも、那月は、尋ねることを止められなかった。
ほんの少しだけ、間をおいて、陽和の声が返ってくる。
『俺は、今日、別になにもないから暇だけど。那月は今、どこにいるの?』
「私は、今、家だよ」
『じゃあ、今からそっち行く』
「えっ、あ、うん。わかった」
通話を終え、メッセージアプリをしげしげと見つめる。
那月が昼頃に送信したメッセージに加え、今しがた、生じた通話履歴が表示されていて、本当なのだと実感する。
来てくれるんだ……。
きゅん、と下腹部が引き締まるのが分かる。
すぐに陽和が来てくれるのだから、一刻も早く、身なりを整えるべきなのに。
那月は、呼吸を荒げ、再び、おもちゃのスイッチをオンにした。
「はぁ……ッ、あぁ……んッ」
ぶぶぶぶぶ、とモーター音が、那月の中で響く。
ベッドのシーツを握りしめながら、刺激に耐えるように、那月は甘い声を出す。
「ん……ッ、ぁあ……ッ」
先ほどと同じ刺激のはずなのに、那月は、より一層、感じている自分に気付く。
電話越しに聴いた、陽和の声や、こちらに来てくれるという嬉しさが、快楽に繋がってしまっているのだ。
ベッドにうつ伏せになりながら、那月は、自ら腰を、マットに打ち付けるように上下に振る。
「んッ、あぁッ、はぁんっ! きもちいい、きもちいよぉッ! あぁんッ! 陽和くん……ッ! すきっ、すき、好きッ! あぁああんッ!」
ビクビクビクッ、と小刻みに身体が震え、那月は再び、達してしまう。
脱力して、ベッドに倒れながら、カチリ、とスイッチをオフにする。
ふー、ふー、と息をしながら、那月は、とろんとした目をする。
小学生相手に、オナニーしてしまった……。
罪悪感と、それを上回る快感の余韻で、ぎゅ、と瞳を瞑る。
そして、玄関のインターホンが大きく音を立てるのが聴こえた。
*
ピンポーン
「ッ!!!」
ハッと、我に返り、上半身を起こす。
こんなこと、している場合じゃなかった。
身なりを整える前に、彼が到着してしまった。
服と部屋、整えて、挿れたままのオモチャもなんとかしなくちゃ。
慌てていると、インターホンのベル音が、再び、鳴り響く。
しかし、ベル音に応答するには、一階のリビングまで降りないといけない。
携帯に連絡して、少し待っててもらおうかな、と思っていると、その携帯が、通知を受信して光を放った。
「は、はいッ。もしもし」
『那月。今、那月んち、着いたけど』
「えっと、ごめん。ちょっと、手が離せなくて、待っててくれる?」
『うん。いいけど』
キィッと、門の開く音が聴こえた後、玄関扉の音が聴こえる。
『なんか、玄関の鍵、開いてるけど、大丈夫?』
「えッ! 大丈夫じゃない。閉めて閉めて」
荷物の受け取りに気を取られて、鍵の施錠を忘れていたらしい。
那月が、慌てて言うと、「不用心だな」という憎まれ口と共に、陽和が扉を開ける音が聴こえる。
「お邪魔します~」
玄関と電話口の両方から、施錠音と共に、陽和の声が聴こえる。
『おばさん、いないの?』
「うん。まだ仕事」
『ふーん。那月の部屋、行けばいい?』
「ま、待って、来ちゃだめ」
『なんで?』
面白いことを見つけたかのような口調に、那月は焦る。
「まだちょっと、散らかってるから」
『そんなのいつものことだろ』
「いつもって何よ。もう何年も来てないでしょ」
ムッとして言い返すも、陽和は笑うばかりで、それどころか陽和の足音が階段を上っていることに気付く。
まずい。部屋に向かっている。待っててって言ってるのに。
部屋の扉の鍵を掛けようと、ベッドから立ち上がろうとして、反動で那月の中に挿入されたままの棒が、ぐちゅり、と那月に刺激を与える。
「ひゃぅッ」
思わず声を上げて、那月はベッドに再び座り込む。
『那月? どうしたの』
「ぁ……ッ、えと、なんでもな……」
ふるふると、両脚が少し震えてしまっている中、再び、立とうとした矢先、ガチャリと自室の扉が開かれる音が聴こえた。
*
那月は、とっさにスカートの上に、クッションを引き寄せ、オモチャの一部を覆い隠す。
携帯を片手に、きょとんと不思議そうに見つめる陽和と目が合う。
どうしよう、どうしよう……。
まだ、中に挿れたままだったのに……!
バクバクと、心臓が高鳴る中、恨みがましく那月は、陽和を睨む。
「もう……ッ、待ってて、って言ったのに」
「そっちが呼んだんじゃん。片づけでもしてて、人手欲しいのかと思ったのに。寝てたの?」
「違うわよ」
どうしよう、どうごまかそう……。
とりあえず、おやつとかお茶、取りに行かせて、隙を見て、抜くしかないかな……。
那月が必死で、頭を働かせている間、陽和は、数年ぶりの訪問もものともせず、那月の部屋に入り込み、しれっと那月の隣に座り込む。
ぎしり、とベッドが軋み、那月はどきりとする。
「なんか那月んち来るの、久しぶりだな」
「うん……、そう、だね」
昔はよく一緒に遊んでいたのに。那月が、中学、高校へと進むにつれて、時間のズレも生じて、会わなくなっていった。
それが、今になって、どうして、こんなにも、心を掴まれているのだろう。
改めて、不思議に思っていると、陽和が、こちらを覗き込んでいることに気付く。
「えっ、な、なあに?」
「なんか黙ってるから、どうしたのかなって思って」
「別に、ちょっと考え事してただけだよ」
ぱっと、目を逸らすも、陽和が、ぎしりと更に身を近づける。
「なんか、顔赤くない? 那月」
「そ、そんなことないよッ、ちょっと、その、走って帰って来たから暑かったのかも?!」
慌てて否定しながら、どうしよう、と悩んでいると、陽和が、ふと、顔を下に向ける。
「あ、ごめん。なんか、俺、手で何かぶつけたかも」
「え?」
掛布団の隙間に、陽和が手を伸ばし、取り出したものを見て、那月は、サッと血の気が引く。
それは、那月の中に有線で繋がるオモチャのリモコンだった。
「? なにこれ。音楽プレーヤー?」
「あ、えっと、そう! さっき、ちょっと聴いてたから」
「へー。こんなのあるんだ。スマホのアプリより容量いいの?」
「どうだろ……」
とっさにごまかしながら、リモコンを取り返そうとするも、陽和は興味深そうに観察を続ける。
「曲、どうやって選ぶの? シャッフル?」
そして、カチリ、と電源をオンにした。
ぶぶぶぶぶッ、と指示に従い、那月の中のバイブが震えだす。
「ふひゃぁあぁんッ」
那月がベッドの上で、飛び上がるように身体を震わせる。
驚く陽和の手元に繋がる有線が、那月の動きに合わせて、クイッと動く。
少し手元を見てから、陽和が、震える那月に近づく。
「――なにこれ。那月に繋がってるの?」
「ぁ……ッ、あの、その……ッ」
那月の座る下で、ぶぶぶぶぶ、と、ひたすらバイブ音が響く。
どうしよう、どうしよう。バレちゃった……!
なんて説明しよう、と思っている間に、陽和が手元のリモコンを、カチカチと動かす。
「んひゃぁんッ!!」
那月の中の棒は、震えを強め、那月により大きな刺激を与える。
ぐりゅぐりゅぐりゅぐりゅ、と大きな振動音と水音が混ざるのが聴こえ、那月は泣きそうになりながら、陽和へと手を伸ばす。
「だ、だめッ、返してっ」
「やだ」
スイ、と陽和は那月の手を避け、リモコンを死守する。
「ふーん? 女の人って、こんなの使って、エロいことするんだ?」
「……ッ、違っ、これは、その、えっと……、……ッ、マッサージする道具なの」
「へえー? そうなんだ?」
微塵も納得していない顔が、楽し気に笑いながら、那月を見つめる。
何歳も年下の幼いはずの彼が、急に、立場が逆転したかのようだ。
那月は、自分の中で震え続ける細い棒を、抑え込むかのように、膝上のクッションを押し付ける。
「ねえ、もっと見せてよ。那月がマッサージしてるところ」
「ゃッ、だめぇッ、もう、それ、返して」
「なんで? ただのマッサージなんだろ?」
カチカチ、とリモコンの操作音が聴こえ、那月の中の棒が、バイブのリズムを変える。
ぎちゅぎちゅぎちゅ、と激しさを増したそれが那月を襲う。
「ひきゃぁぁああぁんッ!」
ビクンッとベッドの上で、那月が跳ね、へにゃりと、ベッドの上に倒れ込む。
一番、刺激の弱いバイブでも、いっぱいいっぱいだったのに、激しさに加え、陽和の前という状況は、那月の許容値を超えるには十分すぎるものだった。
せめて、陽和の前で、達することだけは避けねば、と、那月は、震える両脚を動かし、バイブの位置を変えながら、陽和を見上げる。
「ぁッ、はぁあぁ……ッ、よ、……ッ、陽和、く……ッ、止め、てぇ……ッ」
なんとか、声を出すも、陽和は、那月の上に置かれていたクッションを払いのける。
それどころか、那月の太ももに触れ、スカートをまくり上げた。
素肌に、陽和の手の温度を感じ、那月はドキリとする。
「ひゃぁッ、な、何するの……ッ」
「わあ、すごい濡れてる。ふーん」
「みッ、見ちゃだめぇえッ、離してぇ」
ほとんど泣きそうになりながら言うも、陽和は気にせず、那月のずらしていた下着に指をかけ、するすると脱がしていく。
手慣れた様に混乱しながら、濡れそぼった割れ目に空気を感じ、那月は増々、焦っていく。
「だ、めぇ……ッ、も……ッ、止めてッ、陽和くんっ!」
「もう止めていいの? もっと見せてよ。那月が気持ちよくなってるところ」
言われて、一瞬、誘惑に駆られそうになるも、那月は、ぎゅっと目を閉じ、脚を閉じる。
「おね、がい……ッ! み、見ないでぇッ!」
「イきたくないの?」
「~ッ!」
どこでそんな言葉、覚えてきたのだ、と遠くで思いながら、那月は、自身の下腹部が疼くのを感じた。
両脚を閉じてしまったことで、むしろ、バイブを中に引き込んでしまっている。
ぎちゅぎちゅぎちゅ、と、那月の中をかき混ぜんばかりの音が響き続ける。
そっと、目を開ければ、自分のベッドの上に、ここ最近、頭から離れない、陽和が、リモコンを手に、じっと那月を見下ろしている。
「見せて。――那月がイクところ」
「ぁッ……ひゃうッ」
陽和の、雄のような表情に戸惑いながらも、那月は自分の身体が悦んで感度を上げていくことを止められなかった。
こんなこと、全て初めてのはずなのに。
ぎゅうう、と両脚を更に寄せて、那月は自身を追い詰めていく。
「はぁッ、あぁ……ッ、んッ、はぁんッ! ぁ……ッ」
「可愛い。那月」
ぎしり、とベッドが軋み、陽和が近づいたのが分かり、那月は再び、目を閉じる。
「み、見ちゃだめぇッ、ふぁッ、ぁんッ! ゃあッ! あぁあッ」
陽和の手が、那月の太ももを撫でる。
那月は、嬌声を上げそうになり、耐えるようにシーツを掴み、顔を布団に伏せて声を殺す。
「んッ、ふぅッ、んんッ、んーッ、んんんぁふぅううううッ!!!」
布団を噛みながら、那月は身体を反らし、絶頂する。
達した勢いで、身体が大きく揺れ、ちゅぽん、と水音と共に、那月の中から、震え続ける細長い棒が抜ける。
絶頂と共に、ようやく、刺激から解放された那月が、余韻の荒い息をしながら、布団から少し顔を上げる。
陽和の前で、一人、イってしまったことに泣きそうになっていると、陽和が那月を覗き込む。
「隠さなくていいのに」
「~ッ!! な、何言ってるのよッ。ば、ばかッ」
再び、顔を布団にうずめて、那月は自己嫌悪に陥る。
陽和が、なだめるように背中を撫でたり、言葉をかけるも、那月は恥ずかしさでしばらく突っ伏したままだった。
ふいに、首筋に、ぴたり、と陽和の指先と共に、何かが触れる感覚がする。
不思議に思い、振り返ろうとするも、めまいに似た眠気が襲い、那月は意識を離していった。
*
名を呼ばれた気がして、目を開けると、大きなシーツの海の中にいた。
頭がぼんやりとしたまま、見慣れた自室が、とてつもなく大きく見えていて、那月は自室で身体が小さくなっていることに気付く。
どうして、《この部屋》で小さくなった夢を見ているのだろう。
不思議に思っていると、自分を覗き込む陽和と目が合う。
彼に尋ねようとして、ふいに、全身を揺るがすような、とてつもない振動に襲われる。
――ブィン、ブィン、ブィン、ブィン
「ひきゃぁああぁぁあああああ!?」
那月は、身体を反らし、弓なりになる。
「あ、ごめん。さすがにちょっと、強すぎた」
カチリ、と音を立てて、振動が止み、那月は、ぱくぱくと口を開けて息をする。
「は……ッ、ぁ……ッ、はぁ……ッ」
力なく呼吸をしながら、両脚の間を見れば、細長い抱き枕ほどの大きさの棒が、陽和の指先によって、那月の割れ目に充てられていた。
確か、この前、自分が購入したおもちゃだ。
どうして、こんなものを陽和が、那月の部屋で?
大きな棒が、つんつん、と那月の恥丘を撫でた後、下腹部から胸を撫で上げるように動く。
那月は、自身が一糸まとわぬ姿であることに気付き、慌てて手で胸を覆うも、大きな棒で、すぐに退かされる。
「せっかく、隠せないほど小さくなったのに。よく見せてよ」
陽和の大きな指で、両腕を押さえつけられる。
小さくなって、陽和に身体を触れられる《夢》は、何度か見たことがあるが、今回は、随分、状況が欲に直結してしまっている。
自分の中の性欲が、増しているとでもいうのだろうか。
遠くでぼんやりと思いながら、那月は、陽和を見つめた。
カチカチ、とリモコンの操作音が鳴る。
「このくらいなら大丈夫かな」
ぶぶぶぶ、と最弱の振動で、震えるバイブが那月に近づく。
「ヒィッ……!」
那月が、恐怖で後ずさりしようとするも、すぐに秘所へあてがわれる。
「んひぃッ! ひぃあぁぁああぁあああッ、よ、よひきゃひゅくぅうッ、あぁあああぁぁああああ」
最初に充てられた振動より、弱いとはいえ、小さな那月の身体には大きすぎる刺激なのは変わらない。
バイブに連動して、那月は小さな身体をガクガクと揺らされる。
「んー……。ちょっと、那月が小さくなりすぎたかな」
小さく跳ね続ける那月の両肩を、陽和の指が押さえつける。
反動で上がる脚に、親指を引っかけ、持ち上げられた膣をめがけて、太い大きなバイブがねじ込まれる。
どちゅぅうんッ!!
「ひぎぃいいいッ!! ぁ、あぁ、あぁああッ……!」
那月にとって、極太のそれが、震えながら中に挿される。
目に火花が飛ぶ程の刺激だったが、陽和はさして気にすることなく、バイブを奥へと押し進めていく。
「あ、入った入った。指、入るくらいだから、大丈夫だよな」
「ぁ、ぅッ、はぁッ、ぁッ、ぬ、抜いッ、ひきゃッ、ぁ……、あぁうッ……!!」
けろりとしている陽和に、那月は必死に声を出そうとするも、あまりの刺激に、声を出すことがままならない。
陽和が、バイブを最奥へと到達させ、内壁を確かめるかのように、コンコンと突く。
「ぁぐぅううッ! 壊れッる、わらひ、こわえちゃうッ、ひょめへぇえッ!」
ガクガクと身体を震わせながら、那月の視界が白んでいく。
震える小さな手が、大きなシーツを掴み、上下の振動に耐える。
膣からは、壊れたように愛液が溢れだしていて、陽和がバイブを出し入れするたびに、きゅるりと吸い付いている。
「イグうぅうう、イグウウうッ!! わらひ、もう、イグウウううッ、あぁあああ、おぉおおおおああぁああ、あぁあああああああああああああああッ!!!!」
小さな身体で、めいいっぱい声を上げ、感電でもしたかのように、身体を反らして那月が跳ねあがる。
その後、ピクピクと小さく震えたまま、虚ろな目をしたまま、那月は横たわった。
陽和が、ずるりとバイブを引き抜き、電源を切った後も、那月は余韻で震えたままだった。
那月を呼ぶ陽和の声にも、答えられずにいると、横たわった身体に、ぐにょりとした感触を得る。
リモコンと有線でつながった、もう一つの丸形のバイブだった。
丸い小さなボールに、棘が生えたそれを、陽和の大きな指が、那月の身体の上を、ごりごりと撫で上げている。
バイブレーションのスイッチは入っていないものの、柔らかな棘と球体が、那月を撫で上げ、那月は呼吸の狭間で、小さく声を上げた。
「はぁんッ……、ぁあッ……、んッ」
下腹部から、胸の合間を、丸い球体がコロコロと転がされる。
むにょん、と胸が押し上げられ、その胸を押しつぶすように、胸の上を球体が走る。
「ん、ぁあぁんッ! はぁ……ッ」
激しい絶頂を遂げたばかりだというのに、那月の身体が、再び熱にうなされていく。
小さな身体、全身を、陽和に見られながら、那月は嬌声を上げる。
陽和の大きな指が、那月の小さな身体を、ピンッと転がし、那月はうつ伏せになる。
背中からお尻にかけて、棘のボールで撫で上げられて、那月は、うっとりとした顔をして、大きなシーツを小さな手で掴む。
「ぁあぁんッ。きもちいい……ッ!」
背中へお尻の刺激に加えて、胸を大きなシーツに押し付けられ、那月の快楽が上がっていく。
那月の小さな腰を、陽和の指先が摘みあげ、腰を突き出させる。
ぐしょぐしょに濡れた割れ目があらわとなり、そこに、棘のボールを押し付けられる。
「はぁああぁううんッ!!」
ごりごりと、棘のボールが転がる。
心地良い刺激に、那月がへにゃりと力を抜き、自ら脚を少し開き、腰を振る。
「ぁあぁんッ、きもちいいよぉ……ッ、陽和くぅんッ」
ふりふり、とお尻を振りながら、那月が甘えるような声を出す。
陽和は、那月の様子を、目を細めて眺めながら、棘のボールを支える指に、ぐっと力を入れる。
ぐちゅり、と音を立てて、ボールの一部が、那月の中へと入り込む。
「ひぐぅうッ?! ひゃ、ひゃぁあんッ、ま、待って、こんなの、はいらないよぉッ!」
先ほど挿入させられた棒上のバイブより、少し幅広のそれだ。
那月は慌てて、身体を起こして逃げようとするも、上から指で押さえつけられる。
「さっきより、ちょっと大きいだけだから、大丈夫だよ。さっきの結局、ちゃんと入ったじゃん」
ぐぐぐぐ、と更に力を入れられ、強い圧迫を感じる。
「はぁあぁうぅうッ!!」
ぐにょり、と膣が拡げられるのを感じる。
「ぃやぁああッ! 無理ぃッ、こん、なのッ! 大きすぎるよぉおおッ!」
ヒクヒクと、蜜壺を震わせながら、那月が泣き叫ぶ。
「もうちょっと、なんだけどなあ」
言いながら、陽和が、カチリと、スイッチを入れる。
ヴヴヴヴヴヴヴ、と棘付きのボールは、無慈悲に震え始める。
「きひぃいぁぁああぁぁあああああああああッ!」
那月は、半分程、ボールをのみ込んだまま、身体を跳ねさせた。
プシィイイイッ、と愛液が零れる音が聴こえる。
「ぁあぁあぁひぃいいいッ! お腹、おかひくなりゅううううぅうう! ふひぃいいいぃいんんんッ!!」
たらたらと、よだれを零しながら、那月は、大きく揺さぶられ、視線が定まらなくなっていくのを感じた。
震えて跳ね続ける那月を押さえつけながら、陽和が、更に、ボールを、那月の中へと押し込む。
ぐちゅん、と水音と共に、那月の下腹部を膨らませながら、ボールが、奥へと入れられる。
「ひぎぃあぁああぁあああああッ、ぉおおぉおおおぉおおんッ! はぁああひぃいいいいぃいいいいッ!!」
「あ。挿れられたよ、那月。あはは。お腹、丸くなっちゃったね」
下腹部が、歪な丸みを帯びて、震え続けている。
那月は、もはや、自分が、絶頂しているのか、身体を揺さぶられているのかも、判別がつかなくなっていた。
ころり、と仰向けに転げさせられるも、振動に抗うこともできず、両腕、両脚を折り曲げて投げ出したまま、ぶるぶると震えさせている。
鳴きながら、虚ろな目をして、唾液を零す様は、捕らえられた無力な虫のようにすら見える。
「ぁあぁあぁきひぃいいいいッ、ひぐぅううぅううううぅううッ、ひょまらないぃいいいぃいいいッ!!
ふきゃぁああぁああああッ」
プシィイ、プシィイイ、と愛液が、ぎちぎちにバイブをのみ込んだ割れ目から、零れ落ちる。
ひっくり返り、もがくことしか叶わない無力な那月を見て、陽和は、熱を帯びた目をして笑う。
「なんか、那月がオモチャになったみたいだね」
下腹部の膨らみを帯びた自身を、陽和が取り出し、震える那月にあてがう。
那月の腹部越しに、緩やかに震える振動を感じ、陽和が息を吐く。
「ぅわ、すご……。那月が震えてる」
「あぁああぁああ……ッ! ひゃぐぅうううぅうううッ!」
身体の上に、大きく重い熱を感じながら、那月が泣き叫ぶ。
中でうごめき続ける振動に、快楽と恐怖を感じ、那月は、無意識のうちに、熱く大きな陽和の陰茎にしがみつく。
陽和が、ごくりと、息をのみ、那月と自身を、より引き寄せるように手で覆う。
振動する那月に、己を激しく上下にこすり付ける。
ヴヴヴヴヴヴヴ、という大きな振動音を、那月は、自分の中から聞きながら、熱さと快楽で溶けそうになっていた。
この許容値を超えた快楽が続く先は、那月の心や身体が壊れることだと、遠くで感じながら、那月は、何度目か分からない絶頂を迎える。
「ひぐぅうううぅううううッ!! おぉおあぁぁああぁああんッ!! たしゅけへぇええぇえええッ! ふきゅぁぁあぁあぁああああああんッ!!」
「那月……ッ! 那月ッ!!」
硬い熱で、全身を擦り上げられる。
律動の激しさが増し、熱源が震えたかと思うと、手の中に白い欲が吐き出される。
全身を、べとべとに汚しながら、陽和の手の中で、那月はしばらく、虚ろな瞳をしたまま、性処理器具のように身体を揺らし続けていた。
*
うっすら瞳を開けると、自分が眠るベッドに誰かが座っているのが見えた。
それが陽和だと、すぐに認識し、那月は身を起こす。
「陽和くん?!」
「あ、那月、起きた」
手元のスマホから顔を上げた陽和と目が合う。
「人のこと呼んでおいて寝落ちするなよな」
言われて、那月は記憶を辿る。
私、どうしたんだっけ。
昼過ぎに、陽和へ連絡したのは憶えてる。
その後、うちに来てくれることになったのも。
そして。
彼が家に来る直前まで、ひとりでオモチャで慰めていて、それから……。
スカートの下に隠れた両脚の合間に、オモチャを挟んだままだということに、那月は気付く。
自分が幼い子供の前で、はしたなく果てたことを、一気に思い出した刹那、陽和がじっと、那月を覗き込む。
「もうマッサージ、気が済んだ?」
含んだ笑みをして言われ、ぐわっと熱が上がる。
「~ッ!!!」
「足りなかったら手伝うけど?」
「ばかっ! 何考えてるのよ!」
「そっちが先にエロいことしてたんじゃん」
口をとがらせてそう言われ、那月は、陽和の両肩に手を置く。
陽和が、少し驚き、ヤバイ怒らせた、という顔をするも、那月は、顔を真っ赤にしたまま、目を逸らす。
「……ッ、……お願い。ちょっと、着替えたいから、廊下で待ってて」
「う、……うん。わかった」
気迫に圧されたのか、素直に陽和が退室する。
扉が閉まった後、那月がドアに近づき、念のため、鍵を掛ける。
ベッドから立ち上がった際に、那月の中と繋がったリモコンが床に落ち、恥ずかしさで泣きそうになる。
部屋の姿見で、改めて自分を見ると、部屋着が随分としわくちゃになってしまっていた。
まるで一度、脱いだものを、もう一度着たかのようで、そこまで、自分は激しい自慰を行っていたのか、とため息をつく。
そっと、とろとろに濡れた下着を脱ぐと、足元に落ちたリモコンと繋がった有線コードが目に入る。
紐を引っ張ると、ころりと、棘の帯びた丸い球体が、那月の中から引き抜かれる。
……あれ? 私、丸い方、試してたっけ?
確か、細長い棒のバイブを試していたような、と思うも、そちらは、リモコンの横に、ころりと転がっている。
少し不思議に思い、記憶を辿るも、陽和に見つかった後、リモコンで振動を変えられた記憶しか浮かばない。
もしかして、自分が意識を離している間に、何かあったのだろうか。
それとも、無意識のうちに、こちらも試すよう、幼い彼にねだっていたのだろうか。
少しだけ悩み、葛藤するも、那月は、どう転んでも、いい方向にはならないと判断する。
折角来てくれた陽和を待たせているのだし、とにかく、今は、身なりを整えよう。
未だ、潤いを放ち、振動の余韻すら感じる下腹部をそっと拭った後、那月は新たなショーツへと、脚を通した。