非番日の夜。 鎮守府併設のバーにて一人。ウヰスキーのオンザロックを傾けていた。 勤務中は酒が飲めないから、非番の日はこうやって一人酒を嗜む───私のささやかな楽しみだ。 さて、明日も仕事だから、これを飲み干したら帰ろうか。 そう思っていた矢先、やってきたのは、駆逐艦・如月。 彼女は──彼女に限った話ではないが──どう見ても未成年で、しかも制服姿の少女がバーに入ってくるのは、外の世界ではありえない光景だが、鎮守府の人間しか使わないこのバーにおいては、それが常になっている。 「あら、司令官。こんばんは。ご一緒しても、いいかしら?」 「ああ、構わんよ。そろそろ帰ろうかとも思ったが、付き合おう。」 微笑みながら手を振り、私の横の椅子にゆったりと腰掛ける。 その仕草一つ一つが、少女のそれではない。 動作、目遣い、サラサラな髪から微かに感じる、フローラルな香り。 この娘を横にして、心拍数が上がらない男などいないだろう。 無論、私もその一人だ。 帝国軍の男である以上、いかな誘惑があれど、部下をそのような目で見てはならぬと、日中は堅い理性を持って平常心で接してきたもの。 しかし現状、旨いウヰスキーのせいでアルコールも回り、いつもの理性が正常に機能しない。 如月を見るだけで、自らの本能がムクムクと膨張していく。 すぐにでも手が出そうになるのを必死に堪え、まずは如月に酒を勧める。 「カスクストレングスのスコッチを一緒に飲まないか?良いボトラーズが入ったんだ。度数は高いが、酒本来の味を味わうなら、ショットで行ってみよう」と誘う。 女の子を酔わせたい男の、短絡的思考だった。 「すご~い。司令官、男らしいわぁ。」 気づけば、飲まされているのは私のほう。 煽てられるがまま、度数が50%をゆうに超えるスコッチをショットで飲み干す。 熟成の進んだ年代物のウヰスキーなだけに、キツいアルコールの感じは無く、まろやかでどんどん飲めてしまうのだ。 私はそろそろ限界だぞ。───さて、如月は? 如月も飲んでいるのだが、顔がやや火照っている程度で、まだまだ余裕といった様子。全然底が見えない。 …そういえば如月は、ポーラと飲みあえるほどの酒豪だったな…。 ええい、如月を酔わせて、部屋まで送ろうという計画は止めだ。 このままでは、こちらが持たない。 辛うじて残っている理性が、酔いつぶれる前にブレーキをかけた。 さすがに、部下の女の子の前で、酔い潰れるのだけは避けたい。 とても恰好が悪いからだ。 「じゃ、私はそろそろ…」 朦朧とする意識の中、二人分の会計を済ませたところまでは覚えている。 そこからは、ふらふらと千鳥足のまま自室に戻った…のだと思う。 そのままベッドに倒れこみ、夢の世界へと誘われた。 その日の夢は、やたらと鮮明で生々しかった。 ベッドに仰向けになり、腹の上で激しく腰を振る少女。 小さな乳房が上下に震え、肉を打ち付けあう音と、少女の甘い声が部屋にこだまする。 この少女は、如月に似ている気がした。 無理もない。 寝る前に、あれだけ如月の色気に当てられたのだ。 彼女への色欲が夢となって表れるのは、脳の機能としては至極当然の事だろう。 少女を抱き寄せ、キスをする。 柔らかい唇、それとは反対にキツく締め付けてくる膣。 夢の中とはいえ、その快楽はまるで脳がとろけるようだった。 ほどなくして、精巣の臨界を感じた。 「ああ、このままイってしまうと、夢精でベッドを汚すことになるなぁ」 なんて夢中にもかかわらず冷静に事後処理の面倒さを考えながらも、だからといって目前の快楽を回避できるような理性的な頭は持ち合わせていない。 このまま射精すること以外、ありえないのだ。 「はぁ…はぁ…イくぞ、如月っ…!」 夢の中の少女に、本物の如月の姿と重ね合わせながら、少女の腰を掴んで奥に打ち付ける。 少女の膣内に、己の欲望が凝縮された白濁液を注ぎ込む。 どれほど出ただろうか? 魂までも絞り出してしまったのではないかと思うほど、精液を放出した後、夢の中であるのに、更に深い眠りへと誘われた。 翌朝──。 ふと目を覚ますと、身体がやたら重い。 昨晩は飲みすぎたな、と頭を搔きながら上体を起こし、次に頭に浮かんだのは夢の事。 やばい。あれだけ夢の中で派手に射精したのなら、絶対夢精している… と思いきや、下半身を確認しても、精液でびちゃびちゃ、ということは無かった。 「ふぅ、よかった…」 夢精していないことに安堵したも束の間、一つの疑問が頭に浮かぶ。 …どうして、私は全裸なんだ? 私はいつも寝間着で寝るし、そもそも昨晩は服を着たままベッドに入った、と記憶していたが…。 不思議な現象に、頭の整理がつかない。 ぼうっと一点を見つめたまま、昨晩から現在に至るまでの整合性を取るべく、推理を進めようとする。 だがそんな推理など必要としない、ただ一つ明確な「答え」が私の横にあった。 「うぅん…司令官、おはよう。…んふふっ、どうしたの?そんなに口をぽかんと開けちゃって。」 私と同じく、全裸でシーツに包まる如月。 彼女の姿が、この状況を何よりも雄弁に物語っていたのだった。