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聖女モドキ ~使い回される聖女のカラダ~



「もう少しだ……、もう少しで俺の願いが叶う……」


 俺は右手の中指に嵌められた指輪をそっと擦りながら、自室で独りほくそ笑む。



 『精神』と『肉体』を司る【白魔法】と、『破壊』と『死』を司る【黒魔法】の両方を高レベルで使える俺は、一流の冒険者として名を馳せていたが、5年前のある日を境に魔法の研究者に転じる。

 そして現在ではそれなりの地位を得ていて、世間的には何人もの弟子を持つ優秀な研究者だ。

 だが俺には世間の目を欺いて密かに行っている研究があった。

 それは『他人の肉体を乗っ取る』ことだった。



 秘密裏に進めていた研究がやっと完成して、その成果物である指輪を眺めながら、それを使う相手のことを思い浮かべる。


「あとは実行するのみだが・・・」


(コンコン!)


「失礼します」


 不意に弟子の一人がドアのノックして入って来た。


「師匠、聖女ローレライ様が面会を求めておられます」


「なにぃ!あっ、いや、もちろん会う、お通ししなさい」


 弟子から現在の聖女の名を告げられて、俺は一瞬取り乱すものの、すぐに取り繕う。

 なにせ、今まさに彼女のことを考えていたのだから・・・



 聖女ローレライを初めて見たのは、俺がまだ冒険者業をしていた5年前の事だ。

 まだ少女と言っていい年齢だったが、彼女の高潔さと気品に溢れる美しい姿に、一瞬で心奪われた。

 同時に俺の中にある衝動が芽生える。


【この美しい聖女のカラダを手に入れたい!!!】


 性欲ではない。

 あえて表現するなら『略奪欲』だろうか?

 俺自身が彼女という存在を奪ってみたくなったのだ。

 手に入れた後に何かがしたい訳でも無かった。

 どうしようもなくそのカラダを奪いたくなったのだ。

 しかも【白魔法】と【黒魔法】の両方の上位魔法に通ずる俺にはそれが可能であることを、残された理性の部分は告げていた。

 それ以来、冒険者を引退し、熱心に魔法の研究者として励み、裏では己の野望を満たすための研究を密かに進めたのだった。



「突然の訪問にも関わらず面会の許可を頂き、ありがとうございます。ローレライと申します・・・」


 弟子と入れ違いに入室してきた女性は挨拶と同時に美しい所作でカーテシーを行う。

 白を基調とした神聖な雰囲気を醸し出す聖女の衣装を纏うに相応しい清楚な美貌。

 その下に隠されている成熟した女性らしいカラダのライン。

 控え目だが全ての人を魅了する上品な物腰。

 5年前に憧れた美少女は、正に女の頂点に君臨する存在に成長していた。

 その姿に俺は見惚れる。


「どうかなさいましたか?」


 ある意味、憧れの存在を目の前にした俺の様子に、聖女は軽く首を傾げながら微笑む。

 普通ならこんな絶世の美女に微笑み掛けられれば更に舞い上がるものだが・・・


(なんだ・・・この感じ・・・)


 そこに妙な違和感を感じ取った俺だが、必死に平静を装いながら席を勧めると、取り繕うように言葉をひねり出す。


「あ、いえ、お美しい聖女殿にお会いできて、感激しておりました」


「そうですか、それはここに来たかいがありましたね、ふふふ」


 お世辞と本音の入り混じった俺の言葉に、楽しそうに微笑む聖女。

 だが彼女の笑みは俺の心の内を見透かしているようで落ち着かない。


(いや、そんなはずはない・・・)


 俺は違和感の正体を推測して、その予想を内心で否定する。



 彼女は先日、魔女を封印して凱旋したばかりだ。

 復活した『悪逆の魔女・オルテンシア』は、その膨大な魔力と強力な魔法を駆使して、隣国で異名通りの悪行を働いていた。

 その肉体は不死身で、剣士が何度斬ってもその場で再生してしまったという。

 そんな魔女に立ち向かったのは、聖女ローレライを含む勇者パーティだった。

 しかし勇者パーティの力をもってしても滅することが出来ず、仕方なく聖女の秘儀を使用して魔女の肉体と魂を切り離し、別々に封印を行ったらしい。


 そんな聖女と相対してみて、俺の魔法的な感覚が、彼女の異常さを感じ取っていた。


「・・・このカラダを上手く使いこなしていると思っていましたが・・・さすがにアナタのような上位の魔法使いになると気付くものなのですね・・・」


 俺の内心を察したように、聖女の口から呟きが漏れる。

 聖女は自分の胸を押さえながら言葉を続ける。


「しばらくはこの女のフリをして機会を待つつもりだったのですが・・・こんなに早く訪れるとは思ってもいませんでした・・・」


 手で押さえられたため、胸の部分の輪郭が聖女の衣装の上からもあらわになる。

 その美しい形と十分な大きさを持つ膨らみと、その頂点にある突起の存在までくっきりと見えることは、ある事実を示していた。


(聖女が下着を着けていないだと!あの魔女は性にも奔放だったと聞いているが・・・まさか、今のローレライに宿っているのは本当に魔女の魂?俺が手に入れるべきモノが先に魔女のモノになっているのか?)


 俺が愕然としていると、目の前の女の雰囲気が突然変わる。


「・・・そんなにこのカラダが欲しいの?」


「えっ・・・」


 先程から完全に心の中を見透かされているようで、動揺を隠せない。

 俺は言葉に詰まったまま目の前の女の顔を見つめる。

 そこには口の端を釣り上げた笑みを浮かべた顔があった。

 他人を見下したような、聖女にあるまじき不遜な笑みだ。

 それは俺の推測を完璧に肯定していた。

 目の前の女は、姿こそは聖女だが中身は悪辣な魔女という『聖女モドキ』であったからだ。


「アナタの研究のことは、使い魔が教えてくれたわ。辿り着いたのよね?禁忌の【魂転移術】に」


 俺の応答を待つことなく、俺の内心での推測を検証するかのように、彼女は説明を始めた。


「そう、勇者たちの意図を理解したワタシは、体から魂が切り離される寸前に禁呪で聖女と魂を入れ替えてやったのよ。だから封印されている魂はローレライのモノよ、うふふ・・・」


 ローレライの姿をした魔女は楽しそうに言葉を続ける。


「アナタの知っている通り、この禁呪は一度使うと元には戻れない欠点があるの。でもアナタはその欠点も解決出来たみたいだから問題ないわね。予備の指輪も作ってあるのでしょ?」


 そう言って魔女は意味ありげに俺の右手の指にはめられた指輪に視線を向ける。

 その視線に気付き左手で指輪を隠すが、それは魔女の笑みを深めるだけの行為だった。

 俺は禁呪の欠点を解決するために『魂の携帯化』を思いついたのだ。

 この指輪は魂のイレモノになり、カラダを移り変える時の橋渡しをするのだ。


「それでは提案よ、ワタシが元のカラダへ戻る手伝いをしなさい。もちろんアナタは断らないわよね?そうすればアナタは無理せずにこのカラダが手に入るのだから。分かっているとは思うけど、今のワタシからこのカラダを奪う事は無理よ?無警戒ならまだしも、アナタの狙いを知っている以上、ワタシを出し抜くことなんて出来ないからね」


 魔女の提案に、俺はしばらく沈黙する。

 封印された魔女を再びこの世に放つ、その罪の重さに。

 だが魔女の言う通り、答えは既に決められているのだ。

 

「・・・本当に・・・本当に元のカラダに戻る手伝いをしたなら、その聖女のカラダは俺のモノになるんだな?」


 重々しい口調で応えを捻り出した俺に対して、目の前の女は歪めていた表情を元の聖女の顔に戻して微笑みを浮かべる。


「ええ、もちろんです。聖女としてお約束いたしますわ、ふふふ」


 俺と魔女の密約が成立した。



 翌日、魔女の封印の状態を確認するという名目で、俺は聖女モドキと共に旅立つ。

 封印の地に辿り着くと、ローレライの姿をした魔女は何重にも施されている結界を容易く解いていく。

 自身で張った結界なのだから当然だ。

 現れた魔女のカラダは、まるで生きているかのように血色もよく、しかも妖艶な美貌を持っていた。

 すでに指輪の儀式を施し、魔女の魂は聖女のカラダが付けている予備の指輪の中に移されている。

 美しい聖女の姿をした魔女は、手から指輪を外すと、本来の彼女のカラダの手にそれをはめる。

 そして俺の手で復活の儀式が進められる・・・


「あっはっはっは!やったわ!ワタシはこのカラダを取り戻したわ!」


 やがて意識を取り戻した魔女が起き上がり、その妖艶な美貌を限界まで歪ませて笑みを浮かべる。


「ふふふ・・・安心して、封印した奴らに復讐なんて考えていないから。むしろ、奴らがこれ以上関わってこないように、離れた地で目立たないように行動するつもり」


 実際どこまでその言葉が守られるかは分からないが、俺にしてみればそんなことはもうどうでもよい。


「それではワタシは行くわ。もう二度と会う事はないでしょうけど、お互いうまくやりましょうね、では!」


 そして魔女は去って行った。

 俺は、魂の抜けた聖女のカラダを黙って見下ろす。

 そして自分の手から指輪を抜き取り聖女のカラダに付けると、儀式を開始したのだった・・・


―――――――――


「本日もご指導の程、よろしくお願いします、ローレライ様!」


 聖女候補の少女が頬を紅潮させ、俺を熱の籠った眼差しで見上げている。

 そこには尊敬と敬愛の念が溢れていた。

 聖女の仕事には、次代の聖女の教育も含まれているのだ。


「ええ、アナタも立派な聖女になれるように今日も修行に励みましょうね」


「はい!」


 自分がやがて聖女になることに一片の疑いも持たず、そこに向かって努力することに喜びさえ感じている、輝く表情があった。

 彼女もまた、ローレライに勝るとも劣らない理想的な聖女に育つことは間違いないだろう。

 そして彼女が聖女となった時、俺は再び新たな聖女として生まれ変わるのだ。




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吸血鬼は女医に成りすまして失った力を取り戻す。【前編】


「畜生、アイツ等!餌の分際で!覚えてろよ!」


路地裏の整備されていない地面にうずくまり、肩の傷口を押さえながら俺は呻いた。


俺は一応人間と同じ姿をしているが、それを食料にして生きている『吸血鬼』とか『バンパイヤ』と呼ばれている種族だ。

今日も美味しそうな女を見つけたので、楽しみながらそいつの生気を頂こうとしたら、ソイツは『奴ら』のオトリだった。

『奴ら』……そう、退魔師と呼ばれる忌々しい『奴ら』だ!

個体としての能力はこちらが軽く上回っているが、『奴ら』は俺たちを狩る特殊能力を身に着け、集団で襲い掛かってくる。

分が悪いと判断して即座に逃げたのだが、それでもこのざまだ。


「……とはいえ、力の大半も失ってしまったな。これはどこかに潜伏して力を蓄えないと……誰だ!」


己の思考に囚われていて、無防備に接近を許してしまった相手を睨みつける。


「だ、大丈夫ですか?私は医師です。よろしければ傷口を診せてもらえませんか?」


大人しそうな印象の女が、俺の言葉に戸惑いながら、控えめに話しかけてきた。

その仕草には医者として怪我をしている相手に向き合う真摯さが感じられる。

俺は警戒を緩める。

もしも『奴ら』の仲間なら、とどめを刺しに来るはずだから。


俺は女を観察する。

飾りの無い黒縁メガネに、野暮ったい髪型。

服もベージュ系の色で揃えた大人しめな印象。

肌艶や声の質から察するに、二十代後半だろう。

どうやら運悪く、路地裏の俺を見つけてしまったようだ。


「ああ、大丈夫だ。俺にとって最高の薬が来てくれたからな」


「え?」


正直に答えたのだが、女は俺の言葉の意味を測り損ねているようだ。


(まあいいか、とりあえずコイツの生気を頂いてこの傷だけでも回復するか)


俺はそう考えて、こちらを心配そうに見つめる女を見返し、目に力を込める。


「むん!」


「うっ!」


俺の魔眼の能力が発動して女を強力な催眠状態に堕とすと、裏路地を更に奥に踏み込み、人目につかない場所まで従順になった女を連れ込む。


「よし、全部脱ぐんだ!」


「はい」


女は俺の命ずるまま、服に手を掛ける。

こんな時だが、折角の食事だ。

多少は美味しく頂きたい。

身に着けているモノを次々と脱ぎ捨てていく様を、俺はニヤニヤと笑みを浮かべながら眺める。


「ほぅ~」


やがて現れた女の裸体は期待を遥かに超えていて、俺は思わず声を挙げた。

均整のとれたカラダに程よい大きさで綺麗な乳房。

腰から脚にかけてのラインも、俺を十分悦ばすことが出来るレベルだ。


「これはもしかして……おい、髪を下ろしてメガネも取って見ろ!」


「はい」


裸の女は従順に俺の指示に従う。


「おお!こいつは凄い!」


なんとなく悪くない感じはしていたが、髪の色艶、印象的な切れ長の目を持つ美貌に驚かされる。

どこにでも居るレベルの女と思っていたら、とんでもない上玉だった。


「しかも女医だと……ふむ、これはいけるな!」


この女を餌にして回復の足しにしようと思っていたが、考えが変わった。

俺はコイツの『全て』を頂くことにした。


「へへっ、綺麗な形のオッパイだぜ!」


「あっ、ああん!」


俺が胸にしゃぶりつくと、女は気持ちよさそうに喘ぐ。


「尻や足のラインもイイ。こいつは思わぬ拾いモノだぜ」


「はぁ~ん!」


腰から脚に向けて這いずりまわされた俺の手にも、気持ちよさそうに反応する。


「くくく、では仕上げといこうか!」


「あん!あん!あん!い、いくぅ~~~!」


女の股間に差し込まれた俺の指先が、女を絶頂へと導く。

この状態の女から頂く生気が一番美味しいからだ。

俺はすかさず女と唇を重ねる。

普段の餌ならば、加減をして生気だけ抜き取るのだが、今回は違う。

お互いの口を通して、女から俺に『女を構成する全て』が流れ込み始める。


まず女の方に変化が現れる。

その顔が急激に年老いたように皺だらけになり、それは体全体に及び、萎むようにその体積も減らしていく。


少し遅れて俺の方にも変化が現れる。

まず肩の傷が一瞬で完治する。

さらに肌艶が女の様に良くなったかと思うと、髪は艶やかに伸び、顔つきも女のそれになっていく。

体付きも胸と尻が美しい膨らみを持ち始め、逆にウエストや脚が引き締まってそそる曲線を描き始める。


「くくく、これでいい」


事の推移に満足した俺の口からでた声は、先程まで目の前の女が発していたモノだった。

もはやミイラと言っていいレベルに干乾びてしまった元女から唇を離して投げ捨てた俺の姿は、自分は医者だと名乗った女と瓜二つだ。

ラフな服装をしていたのでそこまででもないが、さすがに胸と尻はきつくなっている。


「ふむ……俺の名前は……そうだ、レイコ……ううん、そうじゃないわね……私の名前は『霧島玲子』よ、ふふふ」


女の記憶を読み取り、自分が変身した女に成りきるように俺は呟く。


「素敵なカラダをありがとう。大事に使わせてもらうわ」


元・霧島玲子だった亡骸に礼を述べると、今着ている男物の服を脱ぎ捨てる。


「ふふふ、とってもイイ感じ……」


うっとりしながら今の自分のカラダを念入りに触って確かめていく。

そして満足すると、脱ぎ捨てられていた女の下着から身に着けていく。


「やっぱり地味な服ねぇ……うん、まずはもう少し見映えのイイ服を買いに行かないとね」


女の衣服を全て身に着け1つ頷いた俺は、人の流れのある通りに向かって歩き始めた。



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異世界転移したら霊体モンスターになった(仮) 第3話


第3話


「はじめまして、新人スペクターさん。わたくし、ソフィアと申します。よろしくお願いしますね」


「………」


 先輩に紹介された『上司』を見て、俺は色々な意味で固まる。


「どうかされましたか?」


 明るい金髪に少し目尻の下がった優し気な眼差しが印象的なその美女が、固まって声が出ない俺を心配そうに覗き込んでくる。


「まあ、お前が固まるのも理解できるが、この方はこの諜報部隊の隊長、つまり俺たちの直属の『上司』だ」


 今だ声を出せない俺に先輩が説明してくれた。

 このソフィアという女性、楚々とした品のある美貌の持ち主で、その知性と慈愛に満ちた眼差しはまるで聖女で、言葉遣いや物腰もそれっぽい。

 でも体の方は、『どこの悪の組織の女幹部だよ!』と言わんばかりのボンテージスーツを身に纏っており、男の視線を釘付けにするエッチなボディラインを惜しむことなく晒しているのである。

 そのギャップがエロ過ぎて、生身だったら鼻血モノである。


「えっと……初めましてスペクターBです。いや、凄く綺麗な方なので驚いてしまいました」


「あら、お世辞でも嬉しいですわ」


 色々ツッコミたくなる気持ちを堪えて何とか対応する俺に、彼女は満面の笑顔で返してくる。


「それではスペクターAさんにはお手間ですが、Bさんの指導、よろしくお願いしますね」


 彼女はニコリと笑顔を浮かべて、自分の仕事に戻っていった。


「いや~意外でした、あんな綺麗な女性が上司だなんて。まるで聖女のようじゃないですか、服装以外は」


「まあな、実はあの人、前職は魔王様直属の暗殺部隊だったんだ」


「ひぇ~、あの容姿で油断させて殺すんですか?それはある意味恐ろしい……」


「いや、ここに配属される前に会った時は、男のアサシンだった」


「はぁ?」


全身で疑問符を浮かべている俺に、先輩は説明してくれた。


「あの方の正体はドッペルゲンガーといって、喰らった相手に成りすます能力の持ち主なんだ。任務中『放浪の聖女・ソフィア』を喰らったんだが……。その聖女の力が強すぎたせいで、あの通り、写し取った相手の人格に引きずられてしまったんだ。それで暗殺は不向きになったんで、この諜報部隊に転属されたって訳だ」


「それは、それは」


「まあ、人間たちは『ソフィア』の中身が変わっていることは分からないから、諜報活動中は聖女として振る舞って、情報は引き出し放題だから便利だけどな。でも時々自分が魔王軍の一員であることも忘れそうになるとかで、それを防ぐ意味でもあの強烈な服装をしている訳だ」


「なるほど、なるほど」


「他人事のように聞いているかもしれんが、これは俺たちにも当てはまるんだぞ?」


「え?」


「意志の強い相手に強引に憑依すると、逆に俺たちの方が取り込まれてしまうことがあるってことさ」


ん?今、先輩の口から素敵なワードが聞こえたぞ?憑依?!


「俺たち、憑依できるんすか!?できるんすよね!やったぜ!やっぱ定番の『くっころ!』と叫んでいる女騎士を乗っ取って仲間を裏切るとか……妖艶な女魔導士に憑依してその知識を使って策謀を巡らすのもいいな……いやいや俺も聖女になって清楚な笑顔を振りまきながら裏で外道なことするのが最高か……」


俺が喜んでいるのをしばらく黙って見ていた先輩だったが、冷ややかな目で説明を始めた。


「……盛り上がっているところで悪いが、お前の期待している事、無理だからな」


「なんで!?」

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男の欲望の力に心を歪まされた意識高い系の女。


『すげぇ~美人~』『綺麗なヒトね~』


擦れ違う男女が私の歩く姿を羨望の眼差しで見つめているのを感じる。

当然だ。

元から容姿に優れていた私は、それに奢ることなく自分のカラダを磨き込んできた。

まるで宝石職人が最高の原石を磨き上げて傑作を世に出すように。

結果、通う大学での行われたミスコンでは、2年連続優勝している。


人通りの少ない場所まで来た時だった。

待ち伏せでもしていたかのように、道端のガードレールに座っていた男が立ち上がり、私の前に立ち塞がった。

そして、私を値踏みするかのように、下品な笑みを浮かべながら見つめ始めた。

普通に見つめられているのなら、こちらもしおらしく遠慮する演技もするが、これはダメだ。


「情報通りの上玉のようだな、へへっ、そそるぜ」


見た目40代くらいの男は、その顔に浮かべている笑みと同じくらい下品な言葉を投げてきた。

しかもその内容はこの男が待ち伏せしていたことを肯定している。

男は遠慮することなく近づいてくる。

ただでさえこのカラダは、目の前の男のように下品な笑みを浮かべる輩に、決して触れることを許せるような安っぽいモノではない。

ミスコンでの2度の優勝も、これから積み上げていくキャリアへの踏み台に過ぎない。


「一体何なんですか、アナタは!通報しますよ!」


私は強い口調で牽制する。

だが、男はむしろ嬉しそうにその下品な笑みを深める。


「へへっ、気の強い女は嫌いじゃねぇぜ?」


「もう!あっちに行ってよ!」


露骨に男を振り払おうとした瞬間、その視線が合ってしまう。


「むん!!!」


男の気合の声と共に、その両目が妖しく光ったように私には見えた。


「うっ!!!」


突然、私の中に大量の泥水が流れ込んでくるような感覚に捕らわれる。

それは男が私に向けて放った欲望だと直感でわかった。

これ程の欲望を男に抱かせてしまうほど魅力的であることは、本来なら女として誇れることだろう。

濁流は私の心の中にあった大切なモノを次々と押し流していく。

黒い流れが収まると静かに私の心が満たされる。

今ではそのどす黒さから、溶けたチョコレートのような甘美さを感じる。

そして理解した。

私は目の前の男……いや、この御方に、身も心も捧げて奉仕するために生まれてきた奴隷であることを!


「あぁぁぁ、ご主人様!」


この御方の所有物になれた自分が、世界で一番幸せな女であるような気がして、全身を歓喜で震わせながら声を絞り出した。


「くっくっく、では行くぞ」


「……はい!」


ご主人様の手が私の腰……というよりはお尻に回され、その柔らかさを楽しむかのように指先が食い込んできた。

一瞬だけ戸惑いを感じて返事が遅れる。


(私、まだ染まりきっていなかったのかしら?あれ、何に染まるんだろう?う~ん……とにかく、私はご主人様の奴隷なんだから、もっと弄られて楽しんでもらわないと?)


そう考え、一瞬でも戸惑ってしまった自分を反省すると同時に、ご主人様の口元が嬉しそうに歪んでいるのを見て、喜びが湧いてくる。



私はそのままご主人様に連れられて、近くに停まっていた高級車まで連れていかれた。

その車のガラスは特殊な加工がされているようで、こちらから中の様子を覗き見ることはできない。

近づくと後部座席のドアが開いた。

疑うことなく私たちは乗り込む。

中には運転席に一人、後部座席に一人、女性が座っていた。

タイプは違えど、どちらも同性の私から見ても凄い美人だ。

私は直感で2人とも『先輩』であることを理解した。


「よし、車を出せ」


「はい」


運転席の『先輩』は返事をして車を発進させた。

ご主人様は満足そうに1つ頷くと、今度は私の胸を揉み始めた。


「あ、あん!」


愛撫というよりも、まるで持ち物検査をされているように、黙々とだがしっかりとした手つきに思わず声が漏れてしまう。


「偽物でないようでなによりだ。たまにいるからな。まあ、顔だけでも十分役に立てるレベルだがな」


少し前の私なら激怒していたような発言をされるが、自分が何者であるかを理解した今では、何の問題もない。

むしろ、ご主人様の役に立てる存在であることを証明できたみたいで誇らしい。


しばらくすると目的地に到着したようで、車が停車する。

促されて降りると、そこは大きな屋敷の前だった。

玄関ではメイド服を着た女性たちが出迎えている。

その全員が私と同レベルの美貌と容姿の持ち主であり、彼女たちも『先輩』であることはすぐに理解出来た。


『お帰りなさいませ!』


メイドたちが声を合わせる。

ご主人様は満足そうに1つ頷いただけで、黙って屋敷に入っていく。


「あなたはこちらへ」


メイドの中でメガネを掛けた一人が声を掛けてきた。

私は彼女に従って屋敷の一室に通される。


「まずはこれを書いて提出してもらいます」


メイド長を名乗った彼女が手渡して来たのは、大雑把に言えば『履歴書』だった。

住所・氏名から始まり、連絡先、親の住所・職業くらいまでなら普通の履歴書だが、男性経験の数、感じやすい場所などは普通はありえない。

それでも私は不思議に思うことなく、正直に項目を埋めていく。

そして全ての項目を書き終えて間違いが無いかを確かめてから提出する。

メイド長がそれを見て、今後の私の身の振り方を決定した。

どうやら、この屋敷の一室が与えられ、そこから大学に通うことになるみたいだ。

引っ越しの手配も速やかに行われる。


今日の夜伽は私が担当することになった。

フェラが好きであるなどの事前情報を『先輩』たちから教えてもらえたが、基本的には奉仕の内容は当人に任されている。

オリジナリティを出して気に入ってもらうのもアリのようだ。


「俺の能力はな、俺の欲望を刺激するレベルの女じゃないと使えないんだよ。だからお前は自信を持っていいぞ」


夜伽の最中、私の渾身の奉仕を受けているはずなのに、平然とした様子のご主人様が教えてくれた。

まだまだ技術が足りない私を気遣ってくれたのだろう。

ここでの生活では、これからの人生に必要な性技の研修もあるので、やがては満足させられる女になることを深く誓った。


夜伽を終えると、今後の話になった。

私がキー局の女子アナになることを目指していると告げると、後押ししてくれることをご主人様は約束してくれた。

実際、女子アナの中には『先輩』が多数いるとのことで、コネの方もバッチリ確保されているらしい。

女優やモデルにも『先輩』が居るらしかった。


女子アナになった後のバックアップも万全のようだ。

金を持った男たちと交流できるように手配されることになっている。

まあ、そんな男たちとの結婚も、私にとってはステータスアップのための手段に過ぎない。

ただし、子供はちゃんと2人産んでから、すぐに離婚するように指示される。

旦那の方から離婚する原因を作らせて、慰謝料と養育費をたんまり頂くのだ。

なんなら旦那の不倫相手を『同僚』や『後輩』が務めることもあるらしい。

そこまでの話を聞いて、私は思い出したことがあった。


(そういえばメジャーリーグで活躍しているD投手と結婚していたS子も、子供2人産んですぐ離婚したよね?もしかして彼女も私の『先輩』?)


気にはなったが、世の中知らなくてイイこともあるのだ。


とにかくこれで、私の人生の順風満帆が確定した。

これからはご主人様の奴隷として充実した日々を過ごしていくだけだった。


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異世界転移したら霊体モンスターになった(仮) 第2話



《意識の定着に成功しました》


「お!気が付いたようだな」


 意識ははっきりとしてきたが、いまだふわふわと浮いているような感覚の中、俺は声の主に目を向ける。

 そこには人の姿はしているものの、背景が薄っすらと透けて見える霊体らしき存在が立っていた。


「ゆ、幽霊!?」


「おいおい、何言ってるんだ、お前もその幽霊だろうが……まあ、俺たちは発生してからしばらくは意識が定着しにくいから、仕方ないか。定着できただけ儲けもんよ。そのままただの浮遊霊になることだって多いんだからな」


「俺が幽霊?」


「正確には俺と同じ霊体モンスター【スペクター】だがよ。とにかく歓迎するぜ、新米さんよ」


 どうやら、俺は【スペクター】というモンスターになったらしい。


「一応、自己紹介しとくぞ。俺は『スペクターA』だ。お前の先輩になる」


「はぁ?」


 いきなり先輩って言われてもなぁ。


「ちなみにお前の名前は『スペクターB』だからな」


「なにそれ!ダサすぎません?第一、俺には名前が……あれ?思い出せない?!」


 生前の記憶はあるのに、自分の名前がどうしても思い出せなかった。

 それだけではない。

 記憶にある人物も顔は覚えているのに、その全員の名前が思い出せなくなっている。

 いわゆる固有名詞が全く記憶に残っていないのだ。

 しばらく黙ってその事実を認識した俺は、溜息(霊体だから出ないけど……)をつきながら渋々現状を受け入れる事にした。


「どうだ、納得したか?」


「ええ、まあ……だったら俺をここに飛ばした女神は何を考えていたんですかね?」


 俺は自身の記憶にあるここまでの経由を先輩に話してみる。


「ふむ……お前さんが異世界から来たってのは信じてもいいがな。実際、勇者とかは異世界から召喚されてることが多いらしいからな。でも女神様ねぇ~……確かに俺たち魔物にも守護神たる闇の女神様がおられるが……そんなに簡単に出会える訳がないだろ?恐らく定着する間に意識が混濁していて見た夢だと思うぜ?」


「あれが夢……?」


「まあ、スペクターに成りたてで混乱するのは、俺も経験があるから大目に見てやる。しかし、お前も魔王様の配下になったのだから、それに相応しい働きをしてもらうぞ?」


「ま、魔王様っすか……」


 そして、先輩は状況を説明してくれた。

 ここは魔王軍のいくつか存在するアジトの1つであること。

 俺たちの所属しているのは諜報部隊は、人間たちの集団へ潜入しての諜報活動が主な仕事であること。

 それにしても面倒見の良い人……じゃなくて幽霊だよなぁ。


「では、俺たちの上司を紹介するからついてこい」

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異世界転移したら霊体モンスターになった(仮) 第1話


《あなたは死亡しました》


 俺の目の前の空間に虚ろなウィンドウが開かれていて、そこには無慈悲なメッセージが表示されていた。

 うん、知ってる。

 さっきまで凄く痛かったのが、急に感じられなくなったから。

 それどころか体の感覚が全く感じられない。

 恐らくは魂とか霊体といった意識だけの存在になっているのだろう。

 でもまあいいか。

 記憶は無くなるけど、次の人生に行けるんでしょ?

 なんて言ったかな……


《輪廻から弾かれました》


 そう、その輪廻ってやつ……って、おい!弾かれたって何だよ!

 目の前のメッセージにツッコミを入れると、更にメッセージが続いた。


《応急措置として、別世界に転移します》


――――――


 気付くと俺は明かりが無いのに全体が薄っすらと光っている部屋の中を漂っていた。

 その中央には黒いローブと恐ろしいまでの存在感を纏った女性が立っていて、珍しそうに俺を眺めて居た。


「ん?異世界から来た人間の魂だと?なぜそんなモノがここにいる?」


 背筋が冷たくなるほどの美貌といえば良いのだろうか。

 それを損なうことなく女性は微かに顔をしかめる。


(え~と、アナタさまはどういう御方なんでしょうか?)


 相手が普通の女性でないことくらいは一瞬で理解したので、下手に出て話しかけてみる。


「わらわはこの世界の魔物たちの女神じゃ」


 ほうほう、やはりそうでしたか。

 雰囲気が尋常でないし、これは納得するしかない。

 でも魔物の神ということは邪神の類に入るのでは?


(人が死んだ後に案内してくれるのは、天使か光の女神様じゃないんですか?)


「不本意だが、そこには同意する。だがここに来たのも何かの縁だろう、特別にわらわが面倒を見てやる。一応お前の希望を聞いてみようかの?」


 俺の疑問にもしっかりと応えてくれた上、面倒を見てくれるという提案。

 邪神といえども流石に女神さまか、慈悲深い存在なのには変わりがないのだろうか。

 折角の申し出だ、遠慮せずに希望を言ってみよう。


(それじゃあ最強無敵のイケメン勇者になって、女にもてまくる人生を……)


「わらわは魔物の守護者じゃ、人間には生まれ変われぬぞ」


(な、なんだって!じゃ、じゃあ……あの有名最強スライムで!)


「なんじゃその最強スライムとは?」


 前世の物語で最強と謳われた魔物の説明を一通りすると、女神は呆れたように溜息をつく。


「……そんなチートな生物になって楽しいのか?」


(いやいや、普通に楽しいですよ?ほぼ無敵だし)


「はぁ~面倒だな……まあ、やってみるか」


 言葉通り、やる気無さそうに女神が手を振り上げると、光がイイ感じに俺を包み込む。

 だが、すぐに弾けるように拡散した。


《肉体の作成に失敗しました》


 同時に目の前の空間に突然ウィンドウが開き、無情な内容が表示される。


「ふむ、失敗したな。やはり慣れないことはやらないほうが良いな」


(いやいや、もう一度お願いしますよ~)


「一度失敗したら肉体の構築は無理だ、諦めるんだな」


 自分が失敗したのに悪びれる様子もなく女神は言い放つ。


(そんなぁ~!くそ~、こうなったら霊体のままこの世界をうろついて、前世に出来なかった漢の夢『美女に憑依してやりたい放題』を実現させてやる~)


「なんだ、そんなことで良いのか?」


(へ?)


「それならば造作も無い事。ほれ、わらわの祝福もつけてくれるわ。これからは我が眷属として存分に楽しむがよい」


 次の瞬間、俺は再び転移する感覚を味わったかと思うと、同時に意識を失ったのであった。

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奪われた聖女



「こいつ、小娘と思って侮っておったわ!」


 勇者が率いるパーティを迎え撃つべく、彼らを分断し、各個撃破するつもりで仕掛けた戦いだった。

 迎え撃った壮年の男は、死を司る神に仕える大神官として、自分よりはるかに若く経験の浅い聖女との一騎打ちに負けることなど想像もしていなかった。

 確かに、仕える神から授かった魔法の使い手としての技量は完全に上回っているのだが、聖女は小刀も使いこなしている分、強力な魔法を使う機会が得られず、戦いを有利に進められていた。

 しかもその剣は小刀といえど、聖剣である。

 普段は温和で周囲の者たちをその笑顔で癒す美貌を鋭く引き締め、女は確実に男を追い詰めていく。


「これで終わりです!覚悟!」


 気合と共に白銀の鎧姿の聖女がもつ聖剣が突き出される。

 それは見事に暗黒のオーラを纏った闇の大神官の胸を貫く。

 完全な致命傷だ。


「ごふっ!!!」


 流れ出る血と共に男の体から力が抜けていく。

 諦めたように体が崩れるが、顔だけ起こし、その目に最期の気迫が宿った。


「もはや現世に干渉する力は、私には無い……だが、我が神は転生も司る……我が神よ!この命をもって我が最期の願いを叶えたまえ!輪廻剥奪!!!」


 尽きようとしていた己の命を捧げた大神官の最期の魔法が発動する。

 二人の体から光と闇の帯が流れ出る。

 聖女から流れ出た光の帯には、聖女自身の顔に続き、清らかな笑顔を浮かべた女性たちの顔が延々と浮かび上がった。

 彼女たちは、高潔な魂を受け継いできた聖女の前世の姿たちだった。

 闇の大神官から昏い帯にも、大神官自身から始まり、妖しい雰囲気を纏ったの男たちの顔が続く。


「な、なんなの、これは?」


 聖女が驚きを隠せない表情で見ていると、自分から出ていた光の帯が、自分の顔だけ残して消滅する。

 そして、闇の大神官から出ていた禍々しい帯が切り離され、聖女の続きに張り付いた。


「ふ、ふふふ、我が神よ、感謝します……」


 そう呟き大神官であった男は事切れた。


――――――


「こちらも勝負がついたみたいだな」


 別の場所で戦っていた仲間たちが、戦いの余韻に浸るように倒した相手を見下ろす聖女に合流して、声を掛けてきた。


「ええ、終わったわ……」


 だがリーダーである勇者は、聖女の顔を見て不思議そうな顔する。

 いつもは倒した敵にさえも憐れむ心優しい女性なはずなのに、何故か嬉しそうに笑みを浮かべていたからだ。


「どうした?なぜ笑っている」


「どうしてでしょうか?自分でも分からないけど、何か素晴らしいモノを手に入れた気分なの」


「そうだな、あれだけ激しい戦いだったんだ。勝利を喜ばないとな」


 聖女の笑みを誤解した勇者は、満足そうに呟く。

 聖女自身も彼が誤解している事は理解できて、それが何故かたまらなく可笑しいことのように感じられて、笑みを深める。


――――――


 数日後……


「ふふふ……」


 朝、目覚めた聖女はその日みた夢の内容を思い出し、笑い出す。

 それは自分の前世の姿だった。


「……あっはっはっは!そうよ、私は死を司る神に仕える大神官!こんな素晴らしいカラダに生まれ変われたなんて!ああ、神よ!感謝します!」

 

 身に着けているものを全て脱ぎ捨てた彼女は、自分のカラダを確かめるように弄り続け、その気持ち良い感触と女の快感に酔いしれる。


「信仰の証として、あのものどもを生贄に捧げてやりましょう。ふふふ、今の私ならば造作も無いこと……」


 そして自分の前世が闇の大神官だったことを思い出した聖女は、その立場を利用して仲間たちを罠に陥れる策に思いを馳せながら、その美しい顔を心底楽しそうに歪めるのだった……。

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冒険者ギルドの受付嬢を操って色々斡旋させる話。


 はじめまして!私はこのラティナムの街の冒険者ギルドで受付嬢をしております。

 こう見えて私は、このギルドでマスター、サブマスターに次ぐナンバー3なんですよ?

 他の受付嬢も管理して、ギルドの表の仕事はほとんど把握しています。

 ほら、そんな憂鬱そうな顔をしてはダメよ?

 受付嬢は笑顔が命。

 では、今日も頑張って仕事をしましょう!



「ふぅ、やっと落ち着いてきたわね」


 朝から始まった混雑する時間帯が終わり、ギルド内を見渡すと、人影はまばらになっていた。


「あなたたち、先に昼食を摂ってきなさい。しばらくは私1人で出来そうだし」


「「は~い」」


 私が声を掛けると、他の2人の受付嬢は明るく返事をして持ち場を離れた。

 それを見測ったように、男が1人、私のところにやってくる。

 その男は、私の顔や体付きを値踏みするかのように眺めては、頷いていた。

 受付嬢をしている以上、この程度のセクハラは日常茶飯事なので、大した嫌気も感じずに、いつも通り笑顔で話し掛ける。


「今日はどのような御用でしょうか?」


「この街で色々世話をしてくれる人物を探している」


 ここで改めて男の様子を観察する。

 魔法使いなのか、冒険者とは思えない程の軽装だが、身に着けている装備はかなり高級そうだ。

 それ以外の体つきや身長、顔などにはこれといった特徴がなく、もし指名手配するならその記述は困難を極めそうな容姿だ。


「お世話と言いますと?」


「ああ、主に性欲処理だな」


 男の返事に流石の私も一瞬固まってしまう。

 だが笑顔を崩すことなく言葉を続けられたことで、自分がプロであることを確認できて、内心、少し嬉しかった。


「……尋ねる場所をお間違えのようですが?娼館でしたらあちらの通りの奥でございます」


「いや、ここで合っている。俺が探しているのはこの街の綺麗どころを紹介してくれて、尚且つ、そいつ自身も上玉な奴、つまりお前だ!」


 歳は30を超えてしまったが、これでもギルドの受付嬢をしている以上、身嗜みは完璧にしているし、元々の容姿にも自信はある。

 だから、男どもに多少卑猥な目で見られるのは仕方がないことだし、給料の内だとも理解している。

 だが、こんな男のたわ言に大人しく付き合うのは、流石に論外だ。


「はぁ~、たまにいるんだよねぇ、こういうお馬鹿さん。アンタ、自分が何言ってるのか分かってるの?」


「いいねぇ、その感じ。綺麗な顔して、結構なヤリ手みたいだな」


 被っていた猫の皮を何枚も脱ぎ捨てた私をみて、男はむしろ嬉しそうだ。


「こう見えて、ちょっと前まで冒険者をしてたの。アンタみたいな妄想男にアタシが靡く訳ないでしょ、馬鹿にしないでよ!」


「へへっ!ますます気に入ったぜ!ほら、俺様の目を見るんだ!」


「何を言って……うっ!!!」


―――――――――


 はじめまして!え?はじめましてですよね?ワタシはこのラティナムの街の冒険者ギルドで受付嬢をしております。

 ……というのは建前で、実はご主人様に奉仕する女奴隷候補を斡旋して、ワタシ自身も専属の性奴隷なんです。秘密ですけどね。

 こう見えて私はこのギルドの……え?ナンバー3なのは知っている?あれ、おかしいな?

 じゃあ他の受付嬢も奴隷化されていて、ご主人様への裏の斡旋を完璧に把握していることは?それは知らなかった?ふふん、凄いでしょ!


 今日もこの街に滞在する女冒険者の中から、ご主人様が好みそうな女を見繕っています。

 もちろん、ワタシ自身がフリーの時は率先して奉仕を……って恥ずかしいわ。


 ご主人様はこの街で一番高級な宿のスイートルームに滞在されております。

 もちろん、斡旋した女冒険者たちが貢いだお金を使ってですわ。

 そうやって貢ぐ女が居なくなったら次の街へ行かれるそうです。

 ワタシも全財産貢ぎ終えたので、ギルドのお金を流用させてもらってます。

 大丈夫、ご主人様が次の街へ行くまでバレませんよ?

 ワタシ、これでもここのナンバー3ですから。

 でも、ご主人様がこの街を去るとご奉仕できませんから、もっともっと女たちを斡旋しないといけませんね。

 気に入った女は連れていくこともあるらしいので、ワタシ自身ももっと奉仕しないとですね。

 じゃあアナタたち、ワタシは外回りに行ってくるので、後はお願いね。

 ほら、そんな恨めしそうな顔をしたらダメよ?

 受付嬢は笑顔が命。

 では、今日も頑張ってご主人様の為に働きましょう!


―――――――――


コンコンッ!


「入れ!」


「失礼します」


 俺が許可を与えると、冒険者ギルドの制服を着た女が入室してきた。

 ちなみに今の俺は全裸だが、女はそれを気にする様子もない。


「今回のお金です」


「うむ、ご苦労」


 当然のようにその金を受け取ると、女は少し表情を曇らせ、言いにくそうに口を開いた。


「ご報告があるのですが……」


「その前に脱げ!」


「はい!」


 部屋中にメスの臭いが立ち込めていることを気にもしないで受付嬢は嬉しそうに制服を脱ぎ始める。

 臭いの原因は、俺が部屋に侍らせている裸の女冒険者たちだ。

 特に気に入っているのは、今、四つん這いになって俺の椅子となっている赤毛の女戦士と、綺麗な形と十分な大きさを持った乳房を背中に押し当てている黒髪の女魔法使いと、股間に顔を埋めて懸命に奉仕している金髪の聖女の3人である。

 目の前の受付嬢がこの街で斡旋してくれた女たちの中で飛び切りの上玉だった3人組だ。


 全て脱ぎ捨てた受付嬢の裸体で目を楽しませながら、俺は彼女の報告を受ける。

 それによると、そろそろ横領がバレるかもしれないらしい。

 そして、もし次の街に行くなら、自分を連れて行って欲しいとの嘆願だった。


 この受付嬢も流石にギルドの顔を務めているだけあって相当な上玉だが、歳も30を超えているし、顔が売れすぎているので、連れて歩くのには向かない。

 そもそも、ギルドの金の横領の責任を取らせる必要があるので、無理だ。

 完全に証拠を消すのは不可能なので、俺たちが十分ここから離れるまで時間稼ぎが出来ればいいのだ。

 だから、こいつを含めた受付嬢たちには、全身全霊で隠し通すように命令して、どうしようも無くなったらその場で精神が壊れるように仕掛けてから置いて行く。


「そうだな、次は南の方でも行ってみるか」


 金髪の聖女に代わって、俺を悦ばせようと股間のモノを咥えて懸命に奉仕を始めた受付嬢の頭の上に手を載せながら、俺は呟く。

 それに連れて行ってもらえると信じている女は、呟きを聞いて笑みを浮かべる。


(まあ、これだけやってるんだ、夢見るくらいのご褒美はやらないとな……)


 俺の充実した旅はまだまだ続くのだ。


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セイジョ召喚された女たち。~もう1人のセイジョ~


のサイドストーリーになります。



「ほら、あなたたち!用が無いならさっさと帰りなさい!」


「「は~い」」


 放課後、校内を見回りしていた私が教室に残っていた生徒に帰宅を促すと、彼女たちは恨めしそうな視線を向けた後に渋々従った。


 私はこの学校に教師として勤めていて、役職として生活指導を行っている。

 好きで就いた役職では無いが、これも教師としてのキャリアを積むためである。

 どうせやるならキッチリ仕事をする主義なので、生徒・職員に限らず厳しく指導している。

 流石に面と向かって『生意気な女だ!』と言われたことはないが、心の中で罵られているくらいは理解出来ている。

 損な性格だとは分かっているが、特に直す気も今のところ無い。



「あら?あの2人だわ。どこに行くのかしら?」


 見回りを続ける私の視界に2人の人物の姿が映る。

 それは作業着を着た男と男子生徒だった。

 ニヤニヤと下品な笑みを浮かべながら普段は人の寄り付かない研修棟に向かって歩いている。

 

「あやしいわね……もしかしたらいかがわしい現場を押さえられるかも?」


 少しの間思考を巡らした後、2人を尾行することにした。


 私が最近目を付けていたのが、この2人だった。

 作業着姿の男はこの学校の用務員で、女性の職員たちに露骨に性的な視線を向けることが多く、大変不評だ。

 男子生徒の方も同様に、女子生徒たちへ向ける視線とその顔に浮かべている表情が不気味で、何を考えているのかが分からない。

 とはいえ、それだけの理由で処分を下すことは出来ないので、個別に注意を払っていたのだが、最近、様子が更に怪しくなってきた。

 2人で組んで何やら企んでいるように見えるのだ。


 男たちは研修棟に到着すると、何も無い空き教室の1つに籠った。


(こんなところで何をする気かしら?)


 不思議に思いつつも、奴らに気付かれないように注意しながら、窓に近づき中の様子を覗き込む。


「ぐふふ……ここならイイだろ?」


「そうだね、でへへ……」


 2人は不気味な笑みを浮かべながら言葉を交わすと、服を脱ぎ始めた。


(ま、まさか、この2人ってそういう関係だったの!?)


 予想外の展開に私は戸惑う。


(と、とにかく、もう少し様子をみましょう……)


 必死に心を落ち着かせようと努力している私に対して、男たちは涼し気な様子で脱ぎ続け、とうとう全裸になった。

 別にこいつらの裸に興味がある訳では無いが、ソッチ方面の経験値が少ない身としては刺激的であることに変わりない。

 そして、想像通り男同士が愛し合う姿が目の前で行われるのなら、それは自分にとっては衝撃的なモノになるはずだった。

 しかし、そうはならなかった。


「まずは予定通り、あの3人でイイよな?」


「うん、イイよ」


 男たちは言葉を交わすと両手を拡げ、瞑想するかのように目を閉じると、何やらブツブツと唱え始めた。

 まるで魔法の儀式を行っているかのようだ。

 そして、呪文のような呟きが終わると、両手を前に突き出し、同時に気合の声を挙げる。


『来い!3人の選ばれし女たち!セイジョ召喚!!!』


 すると2人の視線の先の床に突然複雑な文様をした直径1メートルの円形の図形が3つ描かれる。

 それらは同時にゆっくりと宙に浮かび上がっていき、同時に、床との間の空間に女性の脚らしきものが現れる。

 人の身長くらいの高さまで上昇して消滅した時には、代わりに3人の女性がその場所に立っていた。

 白衣を纏った女性と、紺のスーツを着た女性、そしてレオタード姿の少女だ。


(!!!)


 その女性たちには見覚えがあった。

 この学校で美人で有名な養護教諭と同僚の女教師、そして学園一番人気の2年生の女子生徒だ。

 恵まれた容姿に加えて性格も良い彼女たち3人は、確か生徒たちの間では『学園3大美女』と呼ばれていて、男女関係なく人気がある。


(な、何が起こったの!?あっ、もしかして手品?マジック?ああ、イリュージョンってやつ?その練習に彼女たちが協力してるのかな?うん、そうに違いない!)


 私は目の前で起こっていることを何とか理解しようと心の中で努力する。

 男たちが全裸であるとか、奇妙すぎることが多すぎるのだが、そこまで考慮する余裕は無かった。

 それよりも気になることがある。


(……彼女たちの様子がおかしいわ……)


 3人とも目を開いているものの視線は定まっておらず、表情も虚ろで俯いている。

 だがそんな3人の美女たちの様子を気に掛けた様子も無く、背後に控えていた男2人は、ニヤニヤと下品な笑みを浮かべながら喜びの声を挙げた。


「『学園3大美女』のセイジョ召喚、成功だぜ!」


「『性的奴隷に書き換えられた女』略して『性女』だけどな」


 そして彼女たちに近づくと、嬉しそうに声を掛ける。


「女教師2人は俺様に奉仕だ!」


「俺はコイツを貰うね」


 用務員が私の同僚2人の間に立って宣言すると、男子生徒はレオタード姿の女子に寄り添いながら応えた。

 自分たちをまるで性奴隷かのように扱う言葉を掛けられた3人は、何の反応も示さない。


「さあ、お前たち、全部脱ぐんだ!」


 用務員の命令口調の言葉に、女教師2人が初めて反応したかと思うと、上着に手を掛け、ゆっくりとした動作で脱ぎ始める。


「急げ!」


 更に語気強く命じられて、2人の手の動きが速くなり、あっと言う間に下着だけになった。


「ほら、お前も!もたもたしないでさっさと脱ぐ!」


 その様子を見た男子生徒が美少女に命じると、彼女も身に着けていたレオタードに手を掛け、脱ぎ捨てる。


「それじゃあセイジョに役目を果たしてもらおうか」


「俺も従順なセイジョ様にたっぷり慰めてもらおう」


 男たちの宣言と共に、全て脱ぎ捨て終えた同僚の2人は、用務員にその裸体を恥ずかしげもなくすり寄せ始めると、今度は交互に男の股間に顔を埋め、懸命に奉仕を始める。

 少女に至っては、男子に乳首を舌で攻められた後に、同様に男子の股間のモノを咥えて奉仕する。


(な、なんでこんな奴らの言うことに従って……ああ、もう何がなんだかわからないわ!)


 まるで強力な催眠術に掛けられたように男たちの指示に素直に従い、痴態を晒している美女たちの様子に、私は絶望さえ感じた。


「ぐふふ……」「でへへ……」


 男たちの下品な笑みがこぼれるたびに、教室内での行為がエスカレートしていく。

 男2人の欲望全てを素直に受け止め続ける美女たちの喘ぎ声に、苦悶の色が濃くなる。

 私は耳を塞ぎたくなった。

 その美しいカラダを繰り返し犯され弄ばれる彼女たちの有様は、同性の私から見れば、正に『生き地獄』だ。


(この事実を公表する?ううん、ダメだわ。こいつらには関わってはいけない!そう!見なかったことにすればイイんだわ!)


 最低最悪のゲスどもが、私の理解出来ない『悪魔の力』を手に入れてしまったという事実は、もはや否定することは出来ない。

 だが、こんな訳の分からないことを他人に話しても信じてもらえるか疑わしい。

 もし信じてもらえたとしても、今後こいつらに目を付けられたらどんな目に遭わされるか分からない。

 美女3人はついに気力体力を使い果たし、裸のまま床に横たわる。

 彼女たちをこんな目に合せた奴らはまだまだ足りないとでも言わんばかりに、ニヤニヤと笑みを浮かべながら女たちを見下ろしていた。


(そうよ!私は教師としてのキャリアを積み上げて校長より更に上まで登り詰めるの!こんな理不尽なことに関わって人生を棒に振るなんて出来ないのよ!)


 そう考えてこの場を去ろうと心に決めた時、男たちの会話が耳に届いた。


「そろそろ追加の召喚をするか?」


「そうだね、次はこっちが2人ね。俺はもう決めてる」


 用務員の言葉に男子生徒が応え、聞き覚えのある2人の女子生徒の名前が挙がった。


「まあ、いいだろう。じゃあ俺は女教師1人か……よし!あの女にしよう!」


 続いて用務員が口にした名前に私は戦慄する。


(な……わ、私!!?)


「あ~言われてみれば見た目は悪くないね、性格キツくて人気無いけど。まあ、セイジョにしてしまえば関係ないしね。あんなのが好みなの?」


「そうだ、ああいう女を堕とすのが気持ちイイんだぜ?」


 驚きと恐怖でその場に崩れ落ちた私の耳に、もはや2人の会話は入ってこなかった。

 男たちは再び召喚の詠唱を始める。


(わ、私があんな目に遭う?嫌!嫌!それだけは絶対嫌あぁぁぁぁ!!!)


 私は、恐怖と絶望に竦んで力の入らない体を必死に動かして、這いつくばりながらその場を離れようとした。


『さあ来い!3人の選ばれし女たち!セイジョ召喚!!!』


 心の中での叫び声も虚しく、男たちの掛け声とともに、私を囲うように床に魔法陣が描かれる。

 そしてそれは私を捕食するかのように浮かび上がってくる。

 気付いた時には、周り全てが闇に包まれた空間に放り出されていた。


「えっ!ここはどこ?」


「あれ?何が起こったの?」


 いつの間にか傍に現れた運動着姿と制服姿の女子が状況を理解できずに戸惑ってる。

 1年生で可愛らしい容姿で人気の女子と、落ち着いた美貌の持ち主で下級生の女子からお姉さま的存在として慕われてる3年生だ。

 2人ともそれぞれの学年を代表する美少女である。

 そして先程男子生徒が名前を挙げた本人たちでもあった。

 次の瞬間、私たちを支えていた地面の感覚が突然無くなる。


「「「ああああああぁぁぁぁぁぁ……」」」


 私は美少女2人と共に、底の見えない暗闇の空間を、どこまでも堕ちていく。

 思考を、心を、男たちの欲望によって歪められながら……。


――――――


 気付くとワタシは先程まで覗き込んでいた教室の中に立っていた。

 横には同じように召喚された2人の女子生徒が立っている。


「お前の相手は俺様だ。セイジョの役目を果たしてもらおうか」


 ワタシは背後からの声に振り向き、声の主を見つめる。

 召喚される前に感じていた恐怖と絶望は微塵も無かった。

 代わりに自分がセイジョであること、そしてセイジョの役目を完全に理解している。

 なぜなら召喚された時、ワタシの心にしっかりと上書きされているのだから。

 目の前の用務員……いや『召喚主』を悦ばせるために、彼の欲望をこのカラダで全て受け止めるのだ。


「ほら、急いで脱げ!全部だ!」


 ワタシは命じられるまま、身に着けているものを急いで脱ぎ捨てていく。


「うは、あのクソ生意気な女教師が大人しく脱いでるよ!これは堪らないな!」


「だろう?見た目も悪くないし、こういう女こそ、セイジョにしがいがあるのさ」


 大人しく服を脱ぐワタシの姿に悦びの声を挙げる男たち。

 一緒に召喚された美少女2人は、男子の命令を受けて裸になると、その穢れを知らない綺麗なカラダを『彼女たちの主』に密着させて、うっとりとした表情を浮かべている。

 同様に全裸になったワタシは、口元に薄っすらと笑みを浮かべながら『ワタシの主』に身を摺り寄せる。

 これからのワタシは、彼の欲望を満たすためだけに、全てを捧げて生きていくのだから……。

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封印術師 家庭潜入編


「よし!これで結界の完成だ!」


 夜の闇に紛れて、閑静な高級住宅地の中で壁に囲まれた一軒の四隅に、術式の基本となる『符』を貼り終えた俺は、密かにほくそ笑む。

 情報によると、今回ターゲットにした家は夫婦と娘の3人家族で、高校生の娘はかなり美少女として有名だ。

 現在、父親は長期出張中らしく、その留守を狙う。



 俺は『封印術』を生業とする一族の当主の家系で、このまま行けば次期当主となる。

 歴史の陰で国家に害をなす様々な存在を封印してきた一族で、今現在でもそのような存在が現れれば密かに処理する役目を負っている。

 その分、上級国民としての特権を有しており、世間を騒がせるレベルの事件でも起こさないない限り、大抵の事は揉み消すことができる。

 つまり、術の研究と己の研鑽という名目で、一般市民を玩具にして弄ぶ程度のことは許されるのだ。

 実際、そうやって開発されてきた数々の術と、それを駆使する優秀な術者がこの国を守って来たのだから……。



 俺が用意した術式は、発動すると『結界内にいる人間の思考力を封印する』ものだ。

 平たく言うとその効果は『範囲内の人間に超強力な催眠術を掛ける』ようなものである。

 この術は俺のオリジナルで、開発に成功した日の夜に意気揚々と大学の女子寮に仕掛けたが、起動と同時に大量の精神力を持っていかれて、その場で気絶するという醜態を晒してしまった。

 そもそも『封印術』に共通するルールとして、消耗する精神力はその範囲と術の対象者の人数に比例する。

 つまり俺はこの術の負担を甘く見過ぎていた訳である。

 実験を重ねて、家一軒の範囲で2人を対象にするならば十分余力を残せることを確認すると、この術を使って色々と楽しませてもらうことにしたのだ。



 俺は正面の門に向かうと、『野々上』と書かれた表札の横にあるインターホンのボタンを押す。

 ちなみに、術はまだ発動していない。


『はい?どちら様でしょうか?』


 しばらくすると明るい女の声で返答があった。

 声の感じからして、母親だろう。

 

「むん!」


『え?あぁぁぁぁ・・・』


 返答があったタイミングで、気合と共に術を発動させると、声の主は術の影響を受けて急に大人しくなった。


「よし、門を開けて玄関まで迎えに来い!」


『……はい……』


 俺の命令に、従順になった女の声での返答に続く。

 門のロックが外されたので俺は中に入る。

 そして玄関まで辿り着くと、ドアが開いた。


「ほぅ、こいつは娘の方も相当期待できそうだな!」


 迎えに出てきた女を見て俺は感嘆の声を挙げた。

 土足で上がり込み、催眠状態の女に寄り添うと、そのカラダを遠慮なく弄り始める。


「はぁ~ん」


 頬を微かに染めながら、色っぽい声を漏らす母親。

 見た目、30前後の中々の上玉だ。

 高校生の娘がいるから実際は40前後のはずで、10は若く見えていることになる。

 

「それにしても想定以上に精神力を削られたな。誰か他に居るのか?」


 術を発動した時に感じた疲労は、予想より多かった。

 何らかの想定外があったようだが、それでも一応余裕はある。


「まあいい。考えるのは後だ!とにかく楽しませてもらおうか!」


 母親の胸や腰回りに遠慮なく指を這わせながら、俺は考えを巡らす。


「娘はどこだ?」


「……愛子は風呂に入っていると思います……この先です……」


 母親は、少しだけ考えた後、娘の居場所を指さす。


「よし!お前は早く寝るんだ。朝になったら今あった事は忘れて、いつも通りだ。いいな?」


「……はい、わかりました……」


 命令に素直に頷いた女がそのまま自室に向かって歩きだしたのを確認すると、俺は風呂場に向かって歩を進める。


「ここだな」


 ドアを開けて脱衣所に入るが誰も居なかったので、そのまま通り過ぎる。


「くっくっく、いたいた!」


 浴室に入ると、湯煙の漂う中、鏡に向かって座っている裸の少女を見つけた。

 カラダ中、泡まみれで、どうやら手に持ったスポンジで洗っていたようだ。

 催眠状態の虚ろな表情で視線を若干落として、その動きを止めていた。


「ほ~う」


 その姿を俺はニヤニヤと笑みを浮かべながら鑑賞する。

 昨今ではガチガチにメイクをした顔で美少女を主張する連中もいるが、目の前の少女は、母親の顔を数段バージョンアップしたような美しい素顔をしている。


「よ~し!では俺様が洗ってやろう!隅々までな!」


「……はい……」


 俺が宣言すると、少女は手に持っていた泡まみれのスポンジを俺に差し出す。


「ん?そんなものは使わないぞ?俺が直接手で洗ってやる!」


 そういって少女の背後に屈みこむと、後ろから彼女の揉みごたえのありそうな胸に両手を伸ばし、その2つ膨らみをじっくりと揉み解す。

 予想通り肉付きの方も文句ない。


「ああ~~ん!」


 気持ちよさそうに声を挙げる美少女。

 そのまま手の位置を下げていき、腰のクビレを確認するように指を滑らせると、そのまま股間に辿り着き、その筋に這わせるように指を動かす。


「ひぃん!あひん!はぁ~ん!」


 今度は驚いたように声を挙げるが、その可愛らしい声がだんだんと色っぽくなっていく。


「くっくっく、こいつは情報通りの上玉だ!これからもっとイイコトしてやるぜ!」


 俺も服を脱いで一緒に風呂に入ることも出来るが、後々のことを考えれば、ここは焦らずに少女には風呂を済ませてもらった方が良いだろう。



 少女に後の事を命じて先に風呂から出ると、2階にあるという愛子の部屋に向かう。


「お!ここだな……うん?何だ、この女は?」


 愛子の部屋に入ると、愛子より少し年上に見えるパジャマ姿の女が簡易テーブルを開いて座っている姿が目に入った。

 もちろん俺の術式の影響を受けていて、その表情は虚ろで、動きも止まっている。

 テーブルの上には複数のノートや教科書らしきものが開かれており、何かの勉強していたように見えた。

 

 この3人目が家の中に居たために、術に余計な気力を使ってしまったらしい。

 予定外の事態に慌てることなく、俺はこの女に事情を説明させることにした。

 催眠状態の女は、素直に頷くと、自分の事や現状を語り始める。


 女の名前は『山神 初音(やまかみ はつね)』。

 愛子の従姉妹で女子大生。

 この度、愛子の通う女子高で教育実習を行うため、その期間はこの家に世話になっているようだ。


 俺は初音の容姿を眺めながら考える。

 美人母娘の親戚だけあって、この女もかなりの上物だ。

 しかも、明日から女子高の教育実習というのも、なかなか興味をそそられるイベントである。


「よし、決めた!」


 俺は指先に念を集中して床に封印術式を2つ描く。

 そして、その片方の中央に立つと、初音に命じてもう1つの中央に立たせる。

 今から行うのは『俺自身』の封印だ。


 俺の先祖の中には、神や魔を自分のカラダに封印して、その力の一部を行使していた者もいるらしい。

 その話を聞いて、俺は発想の転換をしてみた。

 つまり『俺自身』を他人に封印して、その相手を自分のモノとして使う事を考えたのだ。

 分かりやすい現象で説明するならば、それは『憑依』に近いだろう。

 ただし、自身を肉体ごと相手の中に封印する点が大きく異なる。


「むん!!!」


 残った気力を振り絞って術式を発動すると、俺は初音の中に封印される。

 同時に俺がこの家に仕掛けた術式も解除されるので、女たちは多少の違和感を感じながらも普通の生活に戻る。

 余力があれば、その中で初音としての生活を楽しめるはずだ。

 だが、気力を使い果たした俺は、そのまま意識を落として深い眠りに就いたのだった。

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『魔法の鏡』で美女のカラダを『コピー』&『ペースト』



 最後の授業が終わり、校舎に差している陽も僅かに低くなって、至る所に陰が出来ていた。

 その一つに身を潜めるように立っている俺は、視線の先の廊下を見つめて独り呟く。


「そろそろだな……」


 この高校の用務員である俺は、目的の人物が授業を終えて職員室に帰るところを待ち伏せしていた。


(きた!)


 女教師…蒲生美咲(がもう みさき)が姿を現したのを確認して、俺は平静を装いながら潜んでいた陰から抜け出し、彼女に向かって廊下を歩き出した。


「お疲れ様です、用務員さん。えっと……その『鏡』、どうされたんですか?」


 お互い少しぎこちない会釈をして擦れ違う時、美咲は俺の手元を見て、不思議そうに話しかけてきた。

 そこには縁が装飾されたアンティーク感のある『鏡』があった。

 校内の備品を扱う用務員である俺だから、ぎりぎり怪しまれることは無いと思うのだが、違和感を持たれるのは想定内だ。

 俺は平静を装いながら、その鏡面を彼女に向ける。


「ああ、蒲生先生。これはですね、何かの手違いで届いたようでして……、引き取りにくるまで私が預かることになりまして……」


「そうなんですか。それにしても素敵な鏡ですね」


 そう言って、女教師が鏡を覗き込む。

 その美しい姿が鏡にしっかり映り込んだのを確認して、俺はこっそりと呟いた。


『コピー』


 手にある鏡が、俺の呟きに応えるかのように、微かに震える。

 一瞬、鏡に映っている女教師の姿が静止画のように止まるが、次の瞬間には何事も無かったかのように動き始める。


「え?何かおっしゃいました?」


「いえ、何も?」


 幸い、鏡の異常な挙動は気づかれなかったようだが、呟きの方は聞こえていたようだ。

 あまりにも期待通りに事が進んで顔がニヤけそうになるのを必死に抑えながら、俺は出来るだけ平然と応える。


「……そうですか?では、私も仕事がありますし、これで失礼しますね」


「はい、蒲生先生もお仕事お疲れ様です」


 女教師をその場で見送り、その姿が視界から消えると、俺は急いで物陰に隠れて、周りに誰も居ないことをしっかりと確認する。

 そしておもむろに鏡に向き合うとその表面に人差し指を当て、鏡面を右に『スワイプ』した。

 すると、そこに映っていた俺の顔が右にスライドして、代わりに若い女の姿が鏡面に映し出される。

 それは先程の美人教師・蒲生美咲の姿だった。

 この『鏡』は、合言葉を唱えるとその時映していた人物を記憶することが出来るのだ。


「こうやって見ているだけでもイイ女だな」


 20代半ばで、若い男が好みそうな清楚系の美貌。

 それに対してしっかりとした凹凸の、色気のある体つき。

 恐らくこの学校の男どもの夜のオカズとして大活躍しているであろう女の姿は、このまま眺めているだけでもいろいろ楽しめそうだ。

 美人なだけでなく、気さくな性格で女子にも人気のこの女ならば、これからの作業に最適の人物である。


「くっくっく、そのカラダ、使わせて貰うぜ!『ペースト』!」


 鏡に向き合いながら別の合言葉を唱えると、俺の全身が光に包まれる。

 それが数秒で収まると、俺の姿は鏡の中に映る蒲生美咲になっていた。


「やったぞ!これで今から俺は蒲生美咲だ!」


 声も美咲本人にそっくりの綺麗な声に変わっていて、もはや表面上は本人と変わらない。

 俺はにやけながら、細くなった自分の手を自分の胸にもっていき、そこにある膨らみを服の上からじっくりと揉み、その感触を楽しむ。


「結構、大きさがあるんだな。この美貌でこのカラダか……こいつはかなり楽しめそうだ」


 女の声での自分の呟きに満足しながら、しばらく写し盗った美咲のカラダを触診していたが、ようやく本来の目的を思い出す。


「おっと、余計な時間をとってしまったな。急がないと、帰っちまう!」


 俺は少し乱れた服装を元通り整えると、慌てて歩きだした。




 目的地である女子更衣室に着くと、俺は遠慮なくドアを開けて中に入る。

 本来の俺の姿なら即人生終了モード突入だが、今の美咲の姿なら何の問題もない。

 突然入って来た俺に室内の女子の視線が集まる。

 表面上は女同士であるので騒ぎ出すことは無かったが、若干戸惑った様子で女子たちは着替えの手を止める。


「先生、どうかしたんですか?それと……その鏡は?」


 俺の姿と手に持っている鏡を見て、ひとりの女子生徒が声を掛けてきた。

 他の女子も考えていることは同じなのだろう。

 大半が手を止めて、黙ってこちらに視線を向けている。


「え?あ、うん。この鏡を取り付ける良い場所がないかと、色々見てまわっているの。だから、皆、気にせずに着替えてね」


「そうなんですか、分かりました」


 上手く美咲のフリをして返答すると、それで納得したように女子たちは着替えを再開する。


(……正直、あやしい理由だと思うのだが、さすが生徒に信頼されている女だな……。そういう意味でも、この姿を使って正解だったぜ!)


 内心の笑みを漏らさないように気を付けながら、女子たちの中に混ざる。


「う~ん、どこがいいかしら……?」


 表面上は言葉通りに設置場所を探しているフリをしながら室内を見渡し、実際は横目で着替えている女子たちの品定めを始める。


(見れば分かるって言ってたな……。うむ、確かに分かりやすいな)


 更衣室の中で着替えている女子たちを見渡すと、明らかにレベルが抜けている一人が目に留まった。

 凝視していると気づかれないように気を付けながらその美少女の鑑賞を始める。

 既に女子大生と言われても違和感のない垢抜けた容姿と体つきをしており、その体操服姿が異様に浮いている。


(コイツは是非いろいろと楽しませてもらわないとな!うひひ……)

 

 体操服を脱いで晒された下着姿を堪能しながら、俺は期待感を膨らませていく。

 やがて着替えが終わった女子が、部屋を出て行こうと俺の前を通過する。

 すかさず不自然にならないように気を付けながら、目的の少女に鏡を向けた。


『コピー』


 制服姿が鏡にしっかり納まった瞬間、俺は合言葉を唱える。

 鏡像が一瞬だけ固まるのだが、それに気づかれることは無かった。

 だが、声の方は聞こえたらしく、怪訝そうな顔をしながら、俺に話しかけてきた。


「えっと……、先生、何か言いました?」


「何も言って無いわよ?うん、他の場所も見たほうがいいかもしれないわね!じゃあ私はこれで失礼するわね、おほほほ」


 誤魔化すように一気に言い切ると、俺は女子更衣室を出た。


 とりあえずの目的は達成した。

 万が一怪しまれても、それは美咲のやったことになるだけだ。

 あとはこのカラダを堪能しながら奴が来るのを待てばいい。

 焦る気持ちを抑えながら、遠回りだが目立たない場所を選んで用務員室を目指す。

 なんとか人目を避けて辿り着くと、もう一度誰にも見られていないことをしっかりと確かめてから中に入る。


 部屋の中には、その散らかった有様の中で浮くように、等身大の姿見が設置されている。

 もちろん、これから色々楽しむために、秘密裡に運び込んでおいたのだ。

 その前に立って、今の自分の姿を映し出す。

 

「くっくっく、やはり他人のカラダを写し盗るのは最高だな!」


 姿見に映し出されている美人教師・蒲生美咲の姿を見つめると、自分の心の声が女の綺麗な声で再生された。


「それじゃあ早速、げへへ……」


 鏡の中の美咲が下品な笑みを浮かべると、その両手が動き始めて身に着けているモノを次々と脱ぎ捨てていく。


「やっぱイイカラダしてんな~、下着の趣味もイイな!」


 俺好みの薄いピンクの下着姿になると、美咲のカラダの線がはっきりと分かる。


「それじゃあ、その綺麗な裸、拝ませてもらおうか!」


「ちわ~す~って、えええええ!!!」


 下着を脱ぎ捨てようと背中に手を伸ばすと同時に、聞き覚えのある男子の声が響く。

 振り向くと、目を大きく見開いて固まっている見覚えのある男子が立っていた。


「が、が、が、蒲生先生?な、なんで、ぬ、脱いで!?」


 まあ、用務員である俺が待っていると思っていたところに、こいつも夜のオカズに何度もしたことがあるだろう美人教師が下着姿で立っていたのだ。

 驚かない方が無理だろう。


「あ~、これはだな……俺だよ、言っただろ?変身できる魔法の鏡を手に入れたって」


「え?……うわ、その話し方……何より、そのアゴをポリポリ掻く仕草!マジで用務員さんだ!すげぇ!」


 どう説得しようかと考えていたら、話し方と仕草で分かってくれたらしい。

 さすが俺の同志だ。

 最近仲良くなったこの高校の生徒で、例の美少女の情報をくれたのもコイツだ。

 奴は興奮が収まらない様子で言葉を続ける。


「魔法の鏡って、新しいゲームか何かと思ってたっす!それにしても姿だけじゃなく声まで美咲先生になるんすね!?マジっすか!すげぇ~!」


「ああ、着ている服も一緒にカラダ丸ごと写し盗ってるからな」


 そこまで会話して、奴が急にモジモジし始める。


「じゃ!じゃあ!そのカラダ、触ってみてもイイっすか?」


 期待に目を輝かせながらお願いしてくるが、俺は首を横に振る。


「いや、中身は俺だから無理!」


「そこをなんとか!」


「普通に考えて、男に触られるのは嫌だろ……って、そうか!お前も男じゃなければいいんだ!」


「へ?何言ってるっすか?」


「だから、お前も変身すればいいのさ。そうすればいくらでも触っていいぞ」


「誰に?」


「だからお前が言ってたこの学校の一番人気」


「ええええ!あの超絶美少女・瀬端志帆(せばた しほ)に変身できるんすか!?」


「ああ、この美咲の姿でわざわざ女子更衣室まで行って写し盗ってきてやったんだぞ、感謝しろ」


「ど、どうすればイイっすか!?」


 奴が鼻息荒く問いかけてくる。

 憧れの美少女に変身できるのだ。

 男なら興奮しない訳がない。

 落ち着かせるためにも、俺は落ち着いた口調を意識しながら説明を始めた。


「この『魔法の鏡』をタブレットだと思ってくれ。実際、操作は有名OSのまんまだしな」


「ふむふむ」


「まずはだな……鏡面を右にスワイプしてみろ」


「こうっすか?ええええ!」


 鏡に映っている自分の顔がスライドして、代わりに美少女の姿が映し出されれば、誰だって驚くだろう。


「で、鏡をしっかり見据えながら呪文を呟くのさ、『ペースト』と。ほら、やってみろ!」


「で、では早速……ペ、『ペースト』!」


 呪文に反応して、奴のカラダが光り輝く。

 その光が数秒後に収まると、そこには制服を着た美少女が立っていた。


「え?……あれ?声が……凄い!女の声になってる!」


 美少女の姿に変身した奴が嬉しそうに声を挙げる。

 そして、鏡を覗き込んで自分の姿を確認すると、再び声を挙げる。


「す、凄いっす!俺があの瀬端さんになってるっす!」


「くっくっく、その姿なら触られても文句無いな」


「ほんとっすか?じゃあ、触るっすよ!」


 美少女が息巻いて尋ねてくる姿に違和感があり過ぎる。


「ちょっと待て!焦る気持ちが分からないでもないが、どうせならお互いもっと楽しめるようにしないか?」


「……どういう事っすか?」


「ほら?どうせなら、生まれたままの姿でお互いのカラダを弄り合おうぜ!」


「うひょ~!そ、それはイイっすね!」


「あとな、その……んんっ!言葉遣いもお互いの姿に合わせた方が楽しめると先生は思うのだけど……瀬端さんはどう思う?」


 途中から女教師の言葉遣いを意識してみたのだが、目の前の美少女の表情から察するに、大変気に入ったようだ。


「そ、それ、最高っす……じゃない……最高だと思います、先生!じゃあアタシも脱ぎますね!美咲先生もその綺麗なカラダ、アタシにみせてください!」


「ふふふ、分かったわ。お互い見せあいこしましょうね」


 お互いノリノリで言葉を交わした後は、黙々と身に着けているモノを脱ぎ捨てていく。

 やがて全裸になった俺たちは向かい合って立った。

 視線は自分や相手に交互に配られ、顔には至福の表情が浮き上がっている。


「瀬端さん、とっても綺麗よ」


「蒲生先生も……ああ、我慢できない!」


 志帆(奴)が両手で美咲(俺)の胸の柔らかい肉を恍惚とした表情で揉んだかと思うと、その先端にしゃぶりついてきた。


「あっふ~ん!ああ、これが女の快感なの……か!ふふ、お返しだ!」


 突然の出来事を快感と共に受け止めた美咲(俺)は、今度はお返しに志帆(奴)の胸と股間に手を伸ばし、その両方を下から持ち上げるように愛撫し始める。


「ああん!そこ!気持ちイイっす!あは~ん!」

 

 まるで本人かのように、可愛らしい喘ぎ声を挙げる志帆(奴)。

 それが合図となって二人は床に倒れ込んだ。

 そして、お互いが脱ぎ捨てた服と下着が散乱する床の上で、美咲(俺)と志帆(奴)はお互いのカラダを飽きるまで貪り続けるのであった……。


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仕入れ side 男商人



「くっくっく、今回は凄いぞ、たまんねぇなぁ~」


 俺は荷馬車に揺られながら、馬車の傍で周りを警戒しながら歩いている3人の女に目を向ける。


「まさか、ここまでの上玉が釣れるとは……ひひひ、楽しみだ!」


――――――


 俺は最近、リゾート地として名が売れ始めた村で『商売』を始めた。

 そして定期的に大きい街に出向いて『仕入れ』をしている。

 今回も同行している男たちと日用品などの調達を終えると、その足で冒険者ギルドに向かった。

 そこでいつものように帰り路の護衛の名目で依頼を出す。

 ただし、条件として『女性を複数含むパーティ限定』で、且つ、こちらの御眼鏡に適わないと不可という内容だ。

 正直、自分でも怪しすぎる条件だとは思うが、これも『仕入れ』に関わる重要な条件なので外せない。

 代わりに報酬を通常より多めにすることで、何とか引き受けてもらっている。

 

 毎回、複数のパーティが面接に来て、その中で見栄えが良いのを選んでいた。

 だが今回来た3人組の女たちは、3人とも、これまでの奴らが比べモノにならない上玉だった。

 俺は喜びの余り、即時報酬を上乗せして、逃げられないように繋ぎとめる。

 女たちも、そこまでされれば断ってはこない。

 だがこの怪しい依頼を警戒しているようだ。

 食事や飲料水は自前で済ますと提案される。

 もともと直接手を出すつもりはないが、彼女たちの気を逸らす意味でも好きにやらせることにした。


――――――


 村への帰り路は順調だ。

 もともと主要な街道では無いため、盗賊は滅多に現れない。

 それに今通っている森も、道はしっかりしているので迷うことはない。


 俺は余裕を持って今回雇った3人の観察を始める。


 まず腰に剣を携え、動きやすさ重視の鎧を着こんだ女戦士。

 鮮やかな赤毛が目を惹くが、凛々しく美しい顔立ちに、どことなく上品さを漂わせている。

 細身だが、出るところはしっかり出ていて、どうせならドレスを着せた方が似合いそうだ。

 

 次に、仕える神のシンボルが入った衣装を纏った神官の少女。

 輝く金髪に大人しそうな清楚な美貌。

 まだ若いのに神聖魔法の腕前もイイらしい。

 聖女候補というのも納得できる。

 体つきの方は発展途上のようだが、今のままでも男たちを十分悦ばせることは出来そうだ。


 そして最後はこの3人のリーダー格の黒髪の魔法使い。

 当然、その腕前は凄いのだろうが、そんなことはどうでもよかった。

 知性を感じさせる落ち着いた美貌と、緩めのローブでも隠せていない、男の視線を釘付けにするカラダの線。

 この世界では珍しい黒髪も艶やかで、女の魅力を引き立てている。

 夢の中に現れるというサキュバスにも劣らないであろう、これほど男の理想を再現した女を見たのは初めてだ。


 3人に共通するのは、そのプライドの高さだろう。

 若い女たちだけで冒険者なんていう危険な仕事をしているのだ。

 自分たちの力量に自身を持っているのが容易にうかがえる。

 だが、こんな女たちだからこそ、たっぷり苛め抜いてみたいと考える男も多い。

 先程から俺も、想像の世界の中で裸に剥いた3人を、代わる代わるベッドの上で組み伏せて愉しんでいる。

  

 そんな美女3人だが、この森に入ってからはずっと表情を曇らせている。

 理由は分かっている。

 この森に棲む『ある存在』が発している魔力のせいだ。

 知っているが、あえて知らせない。

 万が一、こちらの本当の目的がバレたら困るからだ。

 女たちは時々声を潜めて言葉を交わし、より警戒を強めている。

 


 やがてこちらにとっては予定通り、表面上は何も起こることなく村に到着した。

 用心していた女たちの方は拍子抜けしているようだ。


「お!大将!いまお帰りかい?すげぇ美人をつれてるじゃねぇか」


 声に振り向くと常連客の一人が笑顔で立っていた。


「ええ、『仕入れ』から今戻ったところです」


「『仕入れ』ってことは、その女たちもイケるのか?」


「いえいえ、この方たちは荷馬車の護衛をしてくださった冒険者の方々です」


(この馬鹿!余計な事言いやがって!)


 俺は内心で毒づきながら、必死に取り繕う。


「おっと済まねえ。こっちの早とちりだ。お姉さんがたも勘違いしてすまねぇ」


 とりあえず誤解は解けたようだが、余計なことは言わずにさっさと消えて欲しい。


「それじゃあ明日、伺わせてもらうぜ!よろしくな、大将!」


「……はい、ご来店をお待ちしています」


 コイツからは迷惑料をしっかり頂くことを決めて、表面上は笑顔で見送る。


「すみません、あの方はうちの常連様なのですが、その……そういうサービスをする女性と勘違いされたようで……大変申し訳ありませんでした!」


 ここはしっかり誠意をみせた方が良いと思い、用意していた報酬に何枚か追加して、リーダーの女に差し出す。


「それで、迷惑料として依頼した時より少し色を付けさせてもらいました。これが今回の報酬です。お受け取り下さい。」


「……わかりました、あまり気分が良い訳ではないですが、今回は水に流します」


 不機嫌そうにしていた3人だったが、これで少しは収まったようだ。


「ありがとうございます!出来れば今後も護衛を引き受けて頂けるとありがたいのですが?」


「それは……またその時の話として考えさせてもらいます。では……」


 そう俺に告げると、女たちは帰り路の相談を始める。

 言葉にした通り、今後も依頼を受けてもらいたいが、それには余計な手間が掛かりそうだ。

 男から貰う迷惑料の増額をすることを心の中で決め、俺は3人を笑顔で見送った。

 

――――――


 翌日の夜明け前、俺は昨日の『仕入れ』に同行していた仲間の2人と共に、空の荷馬車で村を出る。

 そして夜明けと共に、道に沿って森の捜索を開始した。


「気合入れていけよ!今回はこれまでに無い最上級だ、1匹たりとも逃すなよ!」


「わかってますよ!俺たちだって、あんな上玉たちを見せられたら、そりゃヤル気出ますって!おっ!早速いましたぜ!」


 血眼になって森の奥を見つめていた男の一人が、興奮した様子で森の中を指さす。

 その方向を見つめると、女が1人立っているのが見えた。

 正体不明の女が1人、森の中に立っているという異様な事態だというのに、俺たちは歓喜の声を挙げながら、その女に駆け寄る。


「おほぉ!赤毛の女だ!やっぱイイカラダしてんな!たまんねぇぜ!」


 それは昨日雇った冒険者の1人、赤毛の女戦士だった。

 ただし、何も身に着けておらず、俺たちが近づいても胸や股間を隠そうともしない。

 その表情は虚ろで、昨日一緒だった時のような覇気は感じられない。

 俺たちは遠慮なく綺麗なカラダを弄り回し、その触感をじっくりと楽しむ。

 すると女は微かに表情を変化させ、気持ちよさそうに吐息を漏らし始める。


――――――


 この女の正体は、木の精霊『ドライアド』だ。

 メスだけの種族である『ドライアド』は、男と交じり合うために人間の女の姿を使う。

 森を通りかかった女のカラダを魔力で精査して、その女ソックリに変身するのだ。

 しかもその変身は姿だけでなく細部にわたり、肉質や喘ぎ声までも完璧にコピーする。


 最初に発見したのは偶然だった。

 森の中で発見した女が『ドライアド』だと分かった後は、出来るだけ見栄えのイイ女冒険者選んで連れて来ては、そのカラダをコピーさせて確保していった。

 そして俺は、女冒険者の姿に変身したコイツらを娼婦として、客を取らせて稼ぐ商売を始めたのだった。

 『ドライアド』は極めて従順で、どんな事をされても大人しく受け入れるし、気持ち良くなれば素直に喘ぐ。

 姿を勝手に使われる女たちが聞けば激怒するだろうが、何事もバレなければいいのだ。

 中にはコピーの元になった女冒険者とパーティを組んでいる常連客もいて、仲間の姿をした『ドライアド』に普段表に出せない劣情をぶつけている。


 姿は人間の女になっても、本質的には『ドライアド』なので養うのは楽だ。

 用が無い時は、地面に立たせて陽の光と水分を与えていれば良い。

 俺の屋敷の中庭には、今まで護衛に雇った女冒険者たちの姿をした『ドライアド』が裸で並び立ち、陽の光を浴びて笑みを浮かべている。

 それなりの美女が揃っているのだが、その光景はさすがにシュールだ。


 コイツらは使い込むと、ある日突然姿を消す。

 おそらく、妊娠という目的を果たしたヤツらが森に還るのだろう。

 だから定期的に『仕入れ』をしなければいけない。


――――――


 俺たちは気の済むまで弄り終えると、赤毛の女を引き連れて荷馬車に向かう。

 コイツらは話せないが、こちらの言葉は理解できているようだ。

 大人しく付き従って荷馬車まで来ると、言われるまま乗り込み、中で座り込む。

 一部の男たちからは、従順すぎてつまらないという声もある。

 だが、今回のような超がつく上玉でそんな文句を言うなら贅沢すぎるというものだろう。


 1匹目を荷馬車に積み込み終えると、俺たちは次を求めて森の中を進む。

 

「おっ!居ましたぜ!こっちは金髪の聖女様だ!まあこれからは性女様だがな!」


 今度は金髪の神官の少女の姿をした『ドライアド』を発見した。

 もちろん神官衣など身に着けておらず、その発展途上の裸体を惜しげもなく晒している。

 俺たちが駆け寄ってその白い肌を遠慮なく弄り始めても、微かに頬を赤らめて身をよじらせる程度で、全てを大人しく受け入れる。


 この後も数匹見つけたが、赤毛と金髪だった。

 本命である黒髪の女の姿を探し求め、俺は森に全神経を集中する。


「ん?」


 俺の景色の中に違和感があった。

 それを感じた方向に意識を集中し、女の姿を特定した。


「いたぞ!」


 俺は一人で馬車を飛び出し、その女に駆け寄った。


「おおおおおお!」


 表情が虚ろなせいで知的な雰囲気が若干失われているが、それでも十分美しい姿を晒して、黒髪の女が全裸で立っていた。


「や、やったぜ!黒髪の魔法使いだ!こいつは凄い!」


 同行者の2人のことなど構わずに、俺は完璧な形を持つ女の胸にしゃぶりつく。

 飛び切りの美女が裸で目の前にいるのだ。

 大事な『仕入れ』と思ってずっと我慢していたが、もう限界が来ていた。

 取り決めでは、代表である俺が先に選ぶ権利があるので、この魔法使いの姿をした1匹目は俺のモノになる予定だ。

 他の2人の男たちも、馬車の中で欲望を吐き出しているだろう。

 その場でやりたい放題しはじめる。


「あっ!あ~ん!あふん!あっあっ……ひん!」


 黒髪の女が、俺の欲望を受け止めて、気持ちよさそうに喘ぐ。

 偽物だと分かっていても、昨日一緒だったあの冒険者の女を自分のモノにしているようで、気分は最高にハイだ。


「最高だ!たまらん!俺の専属として長く使ってやるぜ!」



 こうして俺たちは今回も新たな従業員の『仕入れ』に成功したのだった。


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仕入れ side 女冒険者



「ねえ、やっぱりこの依頼、おかしいと思わない?それにこの嫌な感じ……」


「ええ、そうね。男たちの視線が鬱陶しいのはいつものことだけど、それ以外からも見られてる気がして落ち着かないわ」


 隣を歩く女戦士の言葉に、ワタシは周りの森を見回しながら応えた。


――――――


 新たな拠点にした街の冒険者ギルドで受けた今回の依頼。

 内容自体は、商人たちとその荷馬車の護衛で、珍しくは無い

 目的地も、最近出来たリゾート村らしく、それほど遠くない。

 ただ、受けるための条件が『女性を複数含むパーティ限定』で、尚且つ、依頼主の面接をパスすることだった。


 胡散臭い条件だったが、手頃に受けれる上、報酬も通常より多めなので、女3人組のワタシたちはとりあえず依頼人に会ってみた。

 代表者だというその男は、ワタシたち3人を見ると露骨に喜色を示し、ロクに会話もしていないのに、報酬を上乗せするから是非と迫って来た。

 仲介してくれた冒険者ギルドに確認しても、定期的に出されている依頼で、今までも問題が無いとのことだった。

 結局、断る理由も無いので依頼を引き受ける事になった。

 だが、商人たちのワタシたちを見る視線が妙に気になるのだ。


 客観的に見て、ワタシたち3人はかなりの美人の部類に入る。

 パーティの前衛を担当する赤毛の女戦士は、実は貴族の出身で、凛々しい美貌に加えてその引き締まったカラダは、装備を鎧からパーティドレスに変えても活躍出来そうだ。

 神聖魔法を使う金髪の神官は、まだ少女といえる年齢ながら腕前は確かで、聖女候補とまで言われている清楚な美貌の持ち主だ。

 2人ともタイプは違えど、同性のワタシから見ても見惚れるような女性だ。

 このパーティのリーダーで魔法使いであるワタシも、この世界では珍しい黒髪のせいか、酒場での男たちの誘いを断るのに苦労する程度には魅力があるようだ。

 だから、ワタシたちを性的な目で見る男たちの視線には慣れているはずだし、それを理由に話を断っていたら仕事が無くなる。

 依頼時の奇妙な条件について問い質してみようかとも考えたが、その条件込みで仕事を引き受けた以上、むせ返すのも良くないだろう。

 どうせ道中、男たちの脳内でワタシたちの分身がたっぷりサービスするくらいだろうし、それも料金の一部だと割り切れば問題ない。


 そう考えていたのだが、商人たちの表情から読み取れるのはある種の『期待』だ。

 今、一緒に居るのは仕事上だけの関係であるはずなのに、まるでその先があるかのような雰囲気を感じる。

 ワタシたちの方から靡くことは無いし、無理矢理手籠めにして自分たちのモノにするような気概があるようにも思えない。

 

(もし『商品』にする気なら、返り討ちにしてやるわ!)

 

 思考力を奪う薬品を投与して、女を『商品』にする闇組織が存在することは知っている。

 ギルドが保障してくれた依頼ではあるが、警戒するに越したことは無いので、道中の食料と飲料水は自前で用意したモノで済ますことにした。


――――――


 そして今、ワタシたちは深い森の中を歩いていた。

 この森を抜けると目的地の村に着くらしい。

 道自体はしっかりしているので迷うことはなさそうだ。


 問題はこの森自体だ。

 踏み込んだ瞬間から異様な気配を感じる。

 魔法使いのワタシから見ると、薄い魔力が探知魔法のように張り巡らされているような感覚。

 この土地固有のモノなのか、それとも別の存在によるモノなのか……。

 今のところ危険な様子はないが、不気味なのは変わらない。

 他の2人も、このカラダに纏わりつくような魔力は感じているようだ。


「確かに気持ち悪いですね。でも、依頼者たちが何かしている訳でもないようですし、我慢するしかありませんね」


 最年少の神官の少女にそう諭されれば、ワタシたちも黙って護衛を続けるしかない。



 結局、何事も起こらず、目的の村に到着することが出来た。

 色々用心していた分、拍子抜けしてしまった。


「お!大将!いまお帰りかい?すげぇ美人を連れてるじゃねぇか」


 たまたま通りかかった常連客らしい男が、依頼主に話しかけてきた。


「ええ、『仕入れ』から今戻ったところです」


「『仕入れ』ってことは、その女たちもイケるのか?」


「いえいえ、この方たちは荷馬車の護衛をしてくださった冒険者の方々です」


 罰が悪そうに依頼主は、男の言葉を訂正する。


「おっと済まねえ。こっちの早とちりだ。お姉さんがたも勘違いしてすまねぇ」


 常連客の男は謝罪の言葉を述べながらも、露骨に性的な視線を向けてくる。

 この男からも、依頼主たちと同様、何かを『期待』している様子が伝わってくる。


「それじゃあ明日、伺わせてもらうぜ!よろしくな、大将!」


「……はい、ご来店をお待ちしています」


 常連客を見送った依頼主は、申し訳なさそうな顔をすると、ワタシたちに頭を下げた。

 

「すみません、あの方はうちの常連様なのですが、その……そういうサービスをする女性と勘違いされたようで……大変申し訳ありませんでした!」


 言われてみれば、この村に滞在している客は、男性が多い。

 娼館があっても不思議ではないだろう。

 報酬として用意されていた袋に何枚か追加して、依頼主は続ける。


「それで、迷惑料として依頼した時より少し色を付けさせてもらいました。これが今回の報酬です。お受け取り下さい。」


「……わかりました、あまり気分が良い訳ではないですが、今回は水に流します」


 娼婦扱いされて不機嫌だったワタシたちだが、目に見える形で誠意を見せられれば、少なくとも表面上は大人しくするべきだ。


「ありがとうございます!出来れば今後も護衛を引き受けて頂けるとありがたいのですが?」


「それは……またその時の話として考えさせてもらいます。では……」


 増額された報酬を受け取り、ワタシたちはこの村から急いで離れることにした。

 とはいえ、もう一度あの森を通るのは嫌だったので、遠回りになるのを覚悟で別の道を模索する。


「本当に何だったのかしら?この依頼……」


 ワタシは訝しく思いながらもそれ以上詮索することは諦めて、他の2人と共に帰路に就くのだった……。

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用務員の野望・後編


 俺は、誰からも見られていないことを確認して体育倉庫から出ると、何事も無かったかのように廊下を歩き始める。

 校内にはまだそれなりの女子が残っていた。

 自然と普段の様に視界に入る女子を品定めしていると、そのうちの一人と目が合ってしまい、反射的に視線を背けてしまう。


(おっと、今の俺は柊木友梨佳だったんだ)


 自分が女教師の姿であることを思い出し視線を戻すと、女子は少し恥ずかしそうに笑みを返してきた。

 普段の俺なら、露骨に不快な視線を向けられているはずだ。


(さすが、女子に人気の友梨佳だ!このカラダならヤリたい放題出来るぜ、ぐふふ……)


 あらためて、俺が使っている柊木友梨佳という女教師が、期待通り『役に立つ道具』であることを確認して、嬉しくなった。

 そんな俺の様子を見ていた女子の一人が笑顔で近づいてくる。


「何かイイコトでもあったんですか?」


「えっ!あ、オ……じゃなかったワタシ?」


 気を抜いていたところで不意に話し掛けられて、慌てて返事を返す。

 自分のことを『俺』と言いそうになったが、なんとか飲み込めた。


「えっと、先生、凄く嬉しそうな顔をしてたんで、イイコトあったのかな~って」


「そ、そうだった?えっと……そう!凄く便利なモノが手に入ったから嬉しくて……。顔に出ていたなら、気を付けないといけない…わね。気付かせてくれて、有難う。それじゃあね」


 言葉を捲し立てると、その女子は顔で『?』を表現するが、俺は無視してその場を去る。


(ふぅ~危なかった。これは、もっと意識してこの女のフリをしないといけないな)


 反省しながら歩を進め、目的地である女子更衣室に辿り着いた。

 ドアノブを握る手が少し震えている。

 この女教師の姿なら大丈夫と思いながらも、やはり禁断の地に足を踏み入れる自分に緊張しているようだった。

 

「すぅ~はぁ~、よし!いくぞ!」


 深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、天国への扉を開いて中に入る。

 他の場所では薄く漂っていて心地良い女たちの臭いが、ここでは何倍にも凝縮されていて、むせてしまいそうになる。

 先程まで授業終わりで混雑していたであろう女の園は、閑散としていた。

 だが、微かに気配はする。


(へへっ!いたいた!)


 こちらに背を向けて着替えている女子の姿が目に入った。

 有難いことに、この娘1人だけのようだ。

 気付かれないように急いで服を脱ぎ捨てる。


(ぐふふ……おっと、この女のフリをしないとな……)


 下着姿になると女子の背後に忍び寄る。

 俺は右手を伸ばして女子のお尻を撫でた。


「綺麗なお尻ね」


「え!?柊木先生?やめてください!!!」


 女子がこちらを振り向き、俺の顔を見ると慌てて声を挙げる。

 俺の事を友梨佳と思っているようだが、実際、友梨佳のカラダなのだから仕方がない。


「あら、どうして?女同士なんだから問題ないでしょ?アナタも私のカラダを触ってみてイイのよ?」


「ええっ!?」


 慌てる少女に対して、俺は落ち着いた口調で応じながら、言葉通り自分の胸を触りやすいように差し出す。

 少女は、俺の言動が信じられないとでもいいたそうに、酷く驚いた様子を見せる。

 俺はそんな様子を気にせず、当たり前のように言葉を続ける。


「実はワタシ……女子とのスキンシップが大好きなの!」


「先生の事、好きですけど……これは良くないと思います!」


「みんな、普通に楽しんでいるわよ?私たちも楽しみましょうよ」


「そ、それは……そういうことに興味が無い訳じゃないですけど……やっぱり無理です!」


 他人がやっている『そういう行為』には興味はあるけど、モラルが気になるといったところだろう。

 このまま無理強いしても、いいことはなさそうだ。


「ふ~ん、仕方がないわね」


 俺は友梨佳のカラダから一時離脱した。

 残された女教師のカラダは、突然虚ろな表情になると同時に、その場に棒立ちになった。

 表面上は俺が柊木友梨佳のスタンド(スタンドが本体)であるかのようだ。

 そのシュールな状況に苦笑いしながら霊体の手を女子の頭に伸ばし、鷲掴みにして念を籠めた。


『ほ~ら、お前は凄~くエッチな気分にな~る』


「ふわ~ぁ~」


 同時に女子は表情を緩め、気持ちよさそうに声を挙げた。

 

『大好きな先生とエッチなこと、いっぱいヤリやくな~る』


「アタシ、先生とエッチな事、いっぱいヤリたいです!」


 先程までの遠慮気味な様子は消え去り、今や顔を微かに赤くして興奮している。

 霊体の接触による思考誘導に成功して、女子は俺とのスキンシップに前向きどころか前のめりになったようだ。

 俺は女教師のカラダに戻る。

 そして、再び俺のモノになった友梨佳の顔で笑みを浮かべる。


「ふふふ……とっても素直になったわね」


 少女の腰に手を回して一緒にシャワー室に行くことを促す。


「それじゃあシャワー室でいっぱい楽しみましょうか、ぐふふ……」


「は~い♪」


 少女は嬉しそうに返事を返して来た。



 シャワールームに入り、お互い下着も脱いで全裸になると、俺は少女のカラダに絡みつく。

 少女の胸を頬張ると、舌で乳首を転がす。

 右手はお尻を撫でまわし、その柔らかい肉の感触を存分に味わう。

 

「はひぃん!あふぅ!あ、あん!」


 俺の愛撫を受けて気持ちよさそうに喘ぎながら身をくねらせる少女。


 (さ、最高!女のカラダ、気持ち良すぎる!)


 触る方も触られてる方もどちらも気持ちがイイ、幸せな世界だった。


 ある程度ヤリ尽くすと、俺はベンチに座って股を開く。


「ふふふ、今度はアナタがワタシを気持ち良くしてね」


「……はい!」


 しばらく呆けていた少女は、俺の言葉を理解して返事をすると、跪き、俺の股間に顔を埋める。

 そして顔を更に赤く染めながら、友梨佳の割れ目に舌を這わせ始める。


「とっても上手よ、ぐふふ……」


 本当のところ、少女の動きはたどたどしくて、大して気持ち良くなったわけではなかったが、頑張っている様子が伝わってくる以上、教師としては褒めてやるべきだ。


「さあ、あなたの番よ」


「せ、先生、そんなに激しくされたら……」


 体勢を切り替えて、今度は女子を四つん這いにさせると、俺は後ろからその股間を攻め始める。


「ひぎぃ!!!!」


「ありゃ?気持ち良すぎて気絶しちまったか?」


 加減を間違えたようで、少女は四つん這いの状態のまま、その場で気絶する。


「それなら、ソッチに入ってみるか、ぐふふ……」


 俺は友梨佳のカラダから抜け出すと、そのまま、目の前で気絶している少女に覆いかぶさり、その中へ入っていく。


「ぐふふ……」


 あっさりと憑依に成功した俺は、カラダを起こして笑みを浮かべた。

 そして具合を確かめるように胸を揉んでみる。


「こっちも具合イイな!このカラダで新しいオトモダチでも探すか!」


 新しいカラダを使って、また次の相手を探すのも良いだろう。

 だがその前に気になることがあった。

 さっきまで使っていた友梨佳の様子だ。

 

「それにしてもコイツの様子……もしかして……おい!オナニーしてみろ!」


「はい……」


 虚ろな表情でベンチに座っていた友梨佳が、俺の命令に反応して股間に手を持っていくと、そこにある割れ目を弄り始める。


「マジかよ!俺の操り人形になってやがる!最高じゃねぇか!」


 どうやら憑依していた間に、俺の霊体に触れていたため、俺の意思に影響されたらしい。

 つまり、憑依をしていれば、その女は俺に忠実な人形になっていくということだ。


「よし!オトモダチの輪を拡げるぞ!ぐふふ……」


 俺はこの憑依能力を授けてくれた存在をもっと楽しませるために、俺の欲望の輪を拡大していくことを誓ったのだった。



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用務員の野望・中編


 俺は、今までで一番女子たちの情事を目撃した回数の多い場所へ、急ぐ。


(へへっ!あの場所なら今日も……居た!)


 到着すると、そこには期待通り、身を寄せ合って互いのカラダを慰め合っている2人の女子の姿があった。

 ロングヘアーの大人しい印象の少女と、ショートカットで快活なイメージの娘の組み合わせだ。

 どちらも性欲を刺激するのに十分な美形だが、あえて言うなら、ロングヘアーの娘の方がカラダの凹凸も十分で、俺の好みだった。


(よ~し!では、こっちに乗り移らせてもらうぞ!)


 霊体である俺の存在に気付かず過激なスキンシップを続ける2人に近づくと、ショートカットの少女の背後に立つ。

 そして、そのカラダに入り込もうと背中に密着した。


(あれ?入れない!?)


 あえて表現するなら『着ぐるみの中に入ろうとしたら、既に誰かが入っていた』感じだった。


(あ、そういえば、本人の意識があったら憑依できないんだったか……)


 己の失敗を理解し、俺は策を考える。


(……だったら思考に干渉して、こいつに眠ってもらえばいいじゃないか!よし!)


 俺は霊体の右手をその娘の頭の上に載せる。


『……お前は眠くな~る、今すぐに眠って、俺様にそのカラダを明け渡~す……』


 胡散臭い催眠術師のようなセリフを思い浮かべながら、念を送り込んだ。

 

「う~ん」


「どうしたの?」


「ちょっと眠気がしたんだけど……もう大丈夫。気にしないで楽しもう!」


「うん!こんなに気持ちイイのに、眠ったらもったいないよ」


 念を送られた少女は、一瞬だけ眠そうに目をこすったが、すぐに持ち直す。

 仕方なく、もう一人の方にも試してみたが、やはりダメだった。


(眠気より欲望の方が上回ってるってか!?理解できるから余計に腹立たしい!)


 俺だって目の前にこんな楽しみがあるなら、眠気なんか簡単に吹き飛ぶことが理解できるので、悔しいが納得してしまった。


(仕方ねぇな。こいつらは諦めるとして、どこかに都合のイイ女はいねぇかな、すぐ眠りそうな……あっ!イイのがいるじゃないか!)


 俺はある女のことを思い出して、今度は職員室に急ぐ……。




(ぐふふ……いたいた……)


 閉じられていたドアさえ擦り抜けて職員室の中に入った俺は、机に向かって仕事をしている女……柊木 友梨佳の姿を確認すると、彼女の背後に忍び寄る。


(コイツのカラダを使えば、やりたい放題できるぞ!)


 女子に人気のあるこの女教師に成りすませば、女子に近づいても怪しまれないし、多少触れたとしても、誰からも咎められることは無い。

 そんなことを考え、顔を眺めていたら、女は突然座ったまま背伸びをした。

 やはりまだ眠気はあるようだ。


(眠気を我慢しながらお仕事ご苦労さん!これから俺様が代わりにそのカラダを使ってやるぜ!)


 俺は霊体の手を友梨佳の頭に載せると、念を送り始める。


『ほ~ら、お前は眠くな~る♪』 


 送り込まれたソレは、確実に女教師の意識に染み込んだようで、効果が現れる。


「うぅ……急に眠気が……」


『後の事は任せて大人しく眠~る♪』


「うん……大丈夫よね……大人しく眠ろう……すぅ……」


 追い討ちをかけると、それも素直に受け止め、友梨佳は俺の期待通りに机につっぷし、眠り込んでしまった。


(上手く使ってやるから、安心して眠りな!)


 俺は自分の霊体を友梨佳の背中に張り付かせる。


(では遠慮なく入らせて貰うぜ!!!)


 今回は少女たちの時のような抵抗感は無く、俺の霊体はそのまま女教師のカラダの中に染み込んでいく……。




 視界が無くなりしばらくすると、突然、カラダの重みを取り戻したので、俺は瞼を開く。

 目の前には紺の袖に包まれた、自分のモノとは思えない細い腕があった。

 不思議に思いながらも、机からカラダを起こすと、自分の胸に両手を持っていき、そこにある2つの膨らみを掴む。


「おぉ!しっかりとオッパイがある!憑依成功だ!」


 俺の喜びが澄んだ女の声で再生された。

 次に近くに置いてあったバッグを漁り、鏡を取り出すと、自分の顔を映す。

 そこには若く美しい女の顔があり、一瞬違和感を抱いたように不思議そうな表情になるが、すぐに理解した鏡の中の友梨佳は、笑顔になって口元を歪ませる。


「よしよし、この姿なら女子をいくら触っても問題ないよな?ぐふふ……」


 鏡を再びバッグの中に放り込むと、俺は立ち上がった。


「用務員の仕事中、散々我慢させられたんだ。たっぷり楽しませて貰うぜ!」


 期待に胸を膨らませながら、職員室を抜け出そうと歩き始める。


「さて、どこから行こうか?やっぱ女子更衣室か?」


 ドアの手前で立ち止まり、これからのプランを考える。


「いや、その前に、ちょ~とだけこのカラダを弄らせてもらおう、ぐふふ……」


 職員室を抜け出すと、心の中で定めた目的地に向かって、俺は友梨佳のカラダで再び歩き始めた……。




「ふぅ~、やっぱココは落ち着くなぁ~」


 体育倉庫に入ると、積み上げられたマットの上に座り、一息つく。

 途中、何人かの生徒に声を掛けられて焦った。

 言葉を発したら不味い気がして、無理やり作った笑顔で押し切る。

 挙動不審に思われたかもしれないが、さすがに俺が憑依しているとは想像も出来なかっただろう。

 

「とりあえずはやり過ごせたが……次からはコイツの真似を意識してやるようにしないとな……それじゃあ、始めるか!」


 俺は立ち上がると、服に手を掛けて、身に着けているモノを1枚ずつ脱ぎ捨てていく。


「ぐふふ……」


 脱ぎ方はカラダが覚えているようで、淀みなく下着姿になれた。


「へへっ!本当にこのカラダは俺の意のままだぜ!」


 当然のように下着も剥ぎ取って全裸になると、友梨佳のカラダを遠慮なく弄り始める。


「おっ、おほぉぉぉおぉ~、このカラダ、最高~!!!」


 女の柔らかい肉の感触は期待以上で、俺の気分を極限まで高揚させる。

 気分が乗って来て、倉庫内にあったハードルに目を付ける。


「お次は……アレを持ってきて……ココに設置!」


 それを持ち上げて、部屋の中央に置くと、全裸のまま、それに跨る。


「これぞ女教師の特権!ハードルオナニー!!おっ?」


 気合と共に、股間をハードルに擦り付けると、今まで味わったことのない快感が下半身から駆けあがって来た。

 

「おほっぉ~~~~!気持ちイイ!!」


 友梨佳の声で俺の悦びが響き渡る。

 更なる快感を求めて、激しく腰を振り続ける。


「これ、やばすぎだろ!壊れるまでやっちまいそうだ」


 あまりの気持ち良さに、心配になってきた。

 俺は必死になってカラダの動きを止めると、ハードルを押し倒してそこから逃れた。


「はぁはぁ……名残惜しいが今日はここまでにしよう」


 先程までの快感と、それに溺れて乱れている女教師の姿を想像して、俺は閃く。

 

「次回は撮影するのもイイな……ヌケるのが撮れるぞ、ぐふふ……」


 そして、脱ぎ捨てた下着を身に着け、服を着ていく。


「よし、これで元通りだ」


 服装に乱れが無い事を確認すると、俺は笑みを浮かべる。


「先生が行くから待っててね~~ぐふふ……」


 今度こそ、女子が待っている更衣室に向かって、俺は歩き始めたのだった……。

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用務員の野望・前編



 唐突だが、俺は女子高で用務員をしている。

 羨ましく思う奴がいるかもしれないが、容姿が劣る俺みたいな人種にとっては、牢獄で働いているに近かった。

 朝早くから結構な量の仕事を黙々とこなしているのに、返ってくるのは、汚いモノを見るかのような女どもの視線だけ。よくて無視だ。


 そんな俺の密かな愉しみは、校内のレズカップルを眺めることだ。

 仕事上、人が余り近づかない場所を行き来するせいか、隠れて情事にふける女子たちの姿を目にする。

 それは容姿の優れた少女同士の組み合わせが多く、正に眼福だ。

 美少女たちの柔らかそうな手足が触れ合っているのを見るだけで興奮する。


 やがて、目に焼き付けた光景の中で、その片方に自分を置き換えることを想像するようになった。

 柔らかい肉を持つ女子になって、別の女子と触れ合いたいのだ。

 だが現実は残酷で、そんなことはありえない。

 だからせめてそんなシチュエーションの憑依レズモノをネットで読み漁ることで、己の欲望を少しでも満たそうと試みる日々が続いていたのだった。



――――――



「ふわぁ~」


 昼休み、荷物を運んでいると、ベンチに座って大きなアクビをしている女の姿が目に入った。


「……お疲れ様です、柊木先生」


「あっ!お疲れ様です、用務員さん……恥ずかしいところをお見せしました……」


 俺が本性を隠し、表の顔で声を掛けると、その女はわずかに頬を赤くして返事を返してくる。

 この女の名前は、柊木 友梨佳(ひいらぎ ゆりか)。

 今年1年目の新任の教師で、この学校で唯一、俺とまともに会話してくれる女である。

 ナチュラルウェーブロングの黒髪に若々しく明るい美貌の持ち主な上、紺のスーツに包まれたカラダのラインも綺麗で、文句なしの美人だ。

 どこぞのお嬢様なのか、いつもニコニコと愛想を振り撒き、物腰も柔らかく丁寧だ。

 面倒見も良いようで、女子生徒たちの話題にイイ意味で頻繁にのぼる。

 この学校に男子が居れば、野郎どもの想像の世界で毎晩、この女の分身が大活躍することになるだろう。


「いえいえ、教師というお仕事が大変なことは、分かってますから」


「え?あっ、これは違うんです!昨日、夜更かししてしまって……気分転換に外の空気を吸ったので、もう大丈夫です!今日は早く寝付けそうですけど……」


「そうですか。それでは残りのお仕事も頑張ってください」


「はい、失礼します!」


 俺みたいな奴にも差別せずに接することができる、本当に性格の良い女だ。

 女子どもに人気なのも納得できる。

 だが俺は遠ざかる女教師の背中を見つめながら別のことを考えていた。


(……あの女なら……たまんねぇな!ぐふふ……)


 この学校にいない男子たちの代わりに、俺は想像の世界で、純真な女教師をオモチャにして愉しむのだった。



――――――



 放課後になり、一息つこうと用務員室に戻った時だった。


「あ~ん?なんだこりゃ?」


 テーブルの上に置かれた液体の入ったビンと、何やら書き込まれている紙きれを見つけて、俺は声を挙げる。

 どちらも見覚えが無かった。

 不審に思いながらも、ビンを手に取り、紙切れの文字に目を通す。


 内容を要約するとこんな感じだ。


・この液体を飲むと、自分の意思で自由に【幽体離脱】し、【霊体】で行動できるようになる。


・【霊体】になれば、【憑依】が出来るようになる。

 ただし、意識が無い相手にしか乗り移れない。

 離脱は自由にできる。


・【霊体】で触れた相手の思考に干渉することが出来る。

 相手の思考を促すことで、こちらの望む方向に思考を誘導できるが、嫌がることを無理矢理やらせるような事は出来ない。



 そして最後にはこう記されていた。


『自分の欲望の赴くまま行動すればよい。我々はそれを観察させてもらう。期待しているぞ』



「………」


 最後まで目を通して、俺はしばし無言になる。

 普通なら誰かのイタズラ、もしくは何かの冗談だと考えるだろう。

 しかし誰にも明かした事の無い心の奥底を見透かしたような内容に、俺は奮えた。


 俺は覚悟を決めてビンの蓋を取ると、一気に飲み干す。

 次の瞬間、強い酒を飲んだ時のような酩酊感に襲われた。

 続いて、自分の意識がふわふわと浮いているような高揚を感じる。

 どうやら、肉体と魂の繋がりが緩んだようだ。

 俺は床に仰向けに寝転がり目を閉じると、そのまま意識だけ浮かび上がる。

 

(おおっ!)


 体は寝たままなのに、視点は高くなっている。


(凄い!本当に幽体離脱してるぞ!)


 そして自分の意思で移動できることを確認すると、俺は霊体のまま外へ出た。


(神か悪魔か?それとも宇宙人か?誰だか分からないが粋なことをしてくれるぜ!よし!期待に応えてやろうじゃないか!)


 俺は己の欲望に従い、女たちの待つ校舎に向かって移動を開始したのだった。


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【小説】男子生徒に魂を吹き込まれた女教師



「ふぅ~、今日もやっと終わったわ……」


 一日の授業を終えて一息ついたその女教師は、廊下で一人黄昏ながら溜息交じりに呟く。

 憧れていた高校教師という仕事に大学を卒業してすぐに就いたのだが、想像していた以上の仕事量にまだ慣れず、せめてもの気休めに放課後になると校内の散歩をしているのだった。


「よし!少し歩いて気分転換も出来たし、残りの仕事も頑張るわ!」


 自分に気合を入れて職員室に向かって歩き始めると、誰かを探しているようにキョロキョロと視線を振り撒く男子生徒の姿が視界に入った。

 

(見覚えの無い生徒だけど……そういえば、今日、転校生が来たとか朝礼で言ってたわね……彼かしら?)


 男子生徒の視線の先を観察すると、どうやら女子生徒たちを見ているようである。


(まあ、年頃の男の子なら女子が気になるのは理解できるけど……)


 そう考えながら歩いていると、女教師に気付いた男子生徒と視線が合う。

 男子はエロオヤジのような下品な笑みを浮かべた。


(なに、このコ?私を見て露骨に下品な笑みを浮かべて!)


 女教師は若い上に容姿に恵まれているため、男たちから受けはかなり良い。

 だが、ここまで露骨に欲望に満ちた視線を受ける事は珍しい。

 当然、気分を害するが、更に顔からカラダ全体を品定めするような視線を受けて、彼女の警戒度が最大まで上昇する。


(そりゃあ年頃の男子だからある程度は我慢しないといけない事は分かっているけど……これは限度を超えている!セクハラよ!)


 そして、この男子とは金輪際関わらないようにしようと決心すると、気付かなかったかのように歩を進める。

 男子は女教師の後を追ってきているようだったが、それも無視する。

 

(どうせ職員室までだから、我慢よ)


 少し不気味さを感じながらも、歩く速度を落とさずにいると、背後から突然声がした。


「お前に決めた!はぁ~~~~っ!魂吹き込み術!うぼぁ!!!」


 それと同時に背後から『何か』が飛んできて女教師の背中に当たり、その『何か』はそのまま彼女の中に入り込んでしまった。


「うぐっ!!!」


 女教師の本来の意識は、苦しそうな呻き声と共に消えてしまった……。



―――――――――



「はぁはぁ、さすがに魂の一部を切り離すとかなり苦しいが……」


 辛そうな様子を見せながらも、顔だけはニヤニヤと笑みを浮かべた男子生徒は、背中から『何か』を吹き込まれて動きを止めた女教師に歩み寄る。


 この男子が使ったのは『魂吹き込み術』という術だった。

 自分の魂の一部を口から吐き出して撃ち込み、撃ち込まれた相手を支配する邪法だ。

 一部とはいえ、己の魂を削るため、相当な苦しみが伴うが、それを補って余りある利益がある。

 この術に囚われた対象は、術者の意思に従って自分で行動する忠実な下僕となるのだ。


「……これでお前は俺様の操り人形だ!」


 一瞬だけ苦しそうな表情をしたが、すぐに落ち着いた表情に戻った女教師の様子に歓喜の声を挙げる。


「おっと、怪しまれたら不味いな。ここは慎重に……」


 再び距離を取ると、男子は心の中で念じる。


(よし!空き教室に行け!)


 するとその思考が伝わったかのように、女教師は踵を返すと、職員室とは逆方向に歩き始める。

 男子は相変わらずニヤニヤと笑みを浮かべながら、少し距離を取って彼女の後を追う。


 やがて目的地に着くと、女教師は自然な動きで教室に入り、その真ん中で立ち止まった。

 男子も後を追って中に入ると、戸に鍵を掛け、カーテンを閉め切っていく。

 そして、満を持したように女教師に向き合うと、興奮した様子で命じる。


「脱げ!脱げ!!全部脱げ!!!」


 別に口に出す必要はなかったが、手に入れたモノを早く楽しみたい気持ちで、言葉になってしまった。


「はい」


 女教師は素直に返事をすると、命令されたとおりに自分の服に手を掛け、落ち着いた動作で脱ぎ始める。

 その様子をみて、更に笑みを深くした男子は呟く。


「こんな上玉の女がいるとは転校早々ラッキーだぜ!ほら、もたもたしないでさっさと脱ぐ!!!」


「はい」


 男子に更に命じられて、女教師の脱ぐスピードがあがる。

 目の前で次々と衣服を脱ぎ捨てる若い女の肌が露わになっていく。


「くっくっく、マジでイイカラダしてんな!顔もかなりの美形だし、最高のオモチャが手に入ったぜ!」


 とうとう全裸になった美女の姿に満足すると、男子は手を這わせて女体を弄り始める。


「うふん💛、あはぁ~ん💛」


 乳首や秘所を遠慮なく弄られた女教師は、気持ちよさそうに声を挙げる。


「お次は……フェラでもしてもらうか……」


 そこまで呟いて、少し考え込んだ。


「……そうだ、こいつ自身に言わせてみるか……セリフは……」


 男子は、女教師に言わせるセリフを頭の中で創りあげると、それを含めた内容を念に込めて送る。

 すると女教師は、ご主人様にお願いをする奴隷のような表情になって口を開いた。


「ワタシはご主人様を悦ばせるために生まれてきたオモチャです。どうかワタシを使って、気の済むまで楽しんでください!お願いします!」


 すがるような表情で懇願してくる全裸の美人女教師。

 その姿に男子の欲望が刺激され、股間のモノが反応する。

 術の対象の受信性能により、その言動が自然なモノに見えるかが決まるのだが、どうやらこの女はすこぶる性能が良いようだ。


「くっくっく、そこまで言われたら思いっきり楽しんでやるしかないな!ほら、こいつを咥えろ!」


「はい!」


 男子は、口では仕方がない風にしながらも、素早く下半身を露出させる。

 輝くような笑顔になって跪いた女教師は、躊躇うことなく既に大きく膨れたモノを口いっぱいに頬張ると、それにねっとりと舌を絡ませ、同時に頭自体を動かして、気持ち良くなるように刺激してくる。


「なかなか上手いぞ。俺のイメージ通りにやれてるな。本当に俺のオモチャになるために生まれてきたんだな、お前は。くっくっく、次は四つん這いになりな!」


「はい!」


 再び嬉しそうに返事をした女教師で、男子生徒は彼女が望んだとおりに気の済むまで楽しみ始めるのだ……。



―――――――――



「ふぅ、今日はこのくらいにしておくか。服を着るんだ!」


「ふわぁい」


 欲望を吐き出しきった男子生徒の股間のモノを口で綺麗にしていた女教師は、返事をすると立ち上がり、脱ぎ捨てていた衣服を身に着けていく。


「まあ、一人目としては上出来だったな。魂が回復するまで次は使えないが、その間はコイツに楽しませてもらうとするか」


 男子が気怠そうに呟いている間に、女教師は服を着終えて身だしなみを整え終える。


「お前はこれからも俺様のオモチャだが、用が無い時は普段通り過ごすんだ。いいな?」


「はい、かしこまりました、ご主人様」


「では、いこうか」


 二人そろって空き教室から出る。


「では先生、お仕事、頑張ってください」


「ええ、そうね。いつもどおりに頑張るわ。君も気を付けて帰るのよ?」


 そして何事も無かったかのように職員室に向けて歩き始めた女教師の背中を、大声で笑いだすのを我慢する男子生徒の視線が追うのだった……。



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【外伝】憑依されて書き換えられる女たち ~臨海実習~


【小説】憑依されて書き換えられる女たち

「……先生?どうかされましたか?」  控え目な女性の声が響いて、俺は我に返る。  目の前の女性は恥ずかしそうに頬を赤くして、少し視線を逸らしていた。 「えっ?あっ!失礼しました、黒水先生」  こちらも慌てて謝罪する。  どうもマジマジと見つめ過ぎてしまったらしい。  この高校の体育教師である俺は、放課後...

の外伝になります。




 水着姿の男女で賑わう砂浜で、ひときわ目立つ二人組の女性の姿があった。

 ルビーピンクのビキニを着たマイコと、パールホワイトのワンピース水着姿のヒトミである。

 仲良し女子大生の二人は、ルックス・スタイルともに周囲の男たちに高得点を付けられているようだ。

 彼女たちは、声を掛けるタイミングを見計らっている男たちの視線の中、談笑しながら歩いていた。


「ひぃ!!!」


「マイコ?突然どうしたの!?」


 突然隣を歩いていたマイコが奇妙な声を挙げて立ち止まったのを見て、ヒトミは彼女の顔を覗き込む。

 彼女の綺麗な顔は強張っていて、その視線は虚空を見つめていた。


「…………」


「大丈夫?」


 返事がないので心配になって彼女の前に回り込み、その両肩を掴んで様子を見守る。

 

「おっ?」


「あ!気が付いた?本当にどうしたの?」


 友人の表情が元に戻り、その口から声が漏れたので再び問いかけた。


「何でもない、大丈夫だ」


「?」


 まるで男のような口調で応えたマイコの様子に、少し不安を覚えるヒトミ。

 だが、そんなヒトミの様子も気にせずに、マイコはなにやらブツブツと呟き始める。


「……名前は……マ・イ・コ……そうだ……『私』はマイコよ……」


 それはまるで自分の記憶を探って確認しているような呟きだった。


「何を言っているの?当り前じゃない」


「うん、ゴメン、え~と……ヒトミだよね。ちょっと記憶が混乱してただけ。もう大丈夫よ」


 大丈夫と言われても、やはり先程の様子が気になるヒトミは友人を気遣う様に提案する。


「何か飲んで落ち着いてきたらどう?」


「ああ、そうねぇ……それじゃああっちで休んでこようかな~」


 マイコが指さした方には、自動販売機とベンチがあった。

 そのベンチには、男性が一人座っていて、どうやら眠っているようだ。


「ひとりで平気?一緒に行こうか?」


「大丈夫だって。すぐ終わるから、ここで順番を待ってて!」


「え?順番って何の順番?」


「ふふふ、その時になったら分かるわよ。それじゃあね」


 意味深な言葉を残して、マイコは足早にその場を去る。

 すると一人残されて立ち止まっていたヒトミに、様子を見ていた男たちが近づき、声を掛けてきた。


「ねぇ君、今、ひとり?俺たちと遊ばない?」


「……今、友達を待っているんです」


「じゃあさ、その娘も一緒に誘おうよ」


「……結構です、私たちだけで十分楽しんでいるんで……ひぐぅ!!!」


 面倒そうに男たちを相手にしていたヒトミが突然奇声を挙げる。

 驚いたように見つめる男たちが見たのは、強張った表情で虚空を見つめるヒトミの姿だった。

 それは先程マイコが陥った状態とソックリなのだが、そんなことは知る由も無い。


「……君、大丈夫」


 男の一人が心配そうに声を掛ける。

 すると、ヒトミの表情が元に戻り、その口が開かれた。


「ああん?俺が先に目を付けていたんだ。お前らは他を探しな!」


 美女の口から出たとは到底思えない乱暴な言葉に、男たちは自分の耳を疑う。

 呆気に取られて固まった男たちに背を向け、ヒトミはマイコが向かった方を向く。


「へへっ!待たせたな。『あっち』の書き換えが終わったから『こっち』に来てやったぜ!順番待たせて悪かったな……すぐに『私』も書き換えるわね、うふふっ……」


 ヒトミはニヤニヤと笑みを浮かべ、自身に言い聞かせるよう呟きながら歩き始める。


 目的地であるベンチに着くと、そこには座ったまま寝ている様子の男と、彼に寄り添うように隣に座り、嬉しそうにカラダを密着しているマイコの姿があった。

 ヒトミは、マイコと反対側に座り、同じように男にカラダを密着させると、男を熱っぽく見つめながら口を開く。


「……『私』はこの方に身も心も捧げて奉仕するために生まれてきた奴隷……ご主人様によろこんでもらうことが『私』の最高の喜び……『私』は心に刻み込む……」


 ゆっくりと噛み締めるようにヒトミの口から紡ぎ出された言葉は、確実にヒトミの意識に刻み込まれ、『絶対の真実』となっていく。

 すると、まるで彼女の中から『何か』が抜け出てしまったかのように、ヒトミの顔が無表情に変わり、その視線が下がる。

 同時に眠っていた男が起き上がり、マイコとヒトミに視線を走らせると、その口元に下品な笑みを浮かべる。


 しばらくすると、ヒトミの顔にも生気が戻り、再び男の顔を見上げて笑みを浮かべた。


「へへっ!今日も上玉二人を手に入れたぜ!それじゃあ行くか!」


『はい!ご主人様!』


 男が立ち上がると、美人女子大生の二人を両脇に連れて歩き始めた。

 彼女たちの腰に回された手が、遠慮なく柔らかいお尻の肉を弄り回す。

 だが、女たちは少し頬を赤くする位で、むしろ嬉しそうにそれを受け入れるのだった……。

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【小説】身変わり人形 新体操部3年・草薙美海の場合



「やっぱり少し恥ずかしいな……」


 練習室の隅で準備体操を始めた新体操部3年の草薙美海(くさなぎ みう)は、レオタードを着ていた。

 普段はジャージ姿で練習をしているが、大会が近いのでより実戦に近い状態で練習をするためである。


(大会の時は我慢できるけど……)


 どちらかというと恥ずかしがりやの美海は、レオタードで自分のカラダの線をさらけ出すことに抵抗がある。

 大人びた凛々しい顔つきをした美海は、胸や腰の肉付きが良いだけでなく、カラダ全体の線もモデルの様に綺麗なので、当然だが男子の視線を集めてしまう。

 それを気にしないでいるのは、少なくとも美海には無理だった。


「あっ、日下部先生だ。一緒に居る男子は誰だろう?」


 一人で柔軟をしながら、ふと窓から外を眺めると、新体操部の顧問である日下部祥子が見覚えの無い男子と会話している様子が目に入った。

 男子がポケットから何かを取り出し差し出すと、祥子は笑顔で受け取り、元から手に持っていた手提げ袋に入れる。

 その際、すごく自然な感じで男子の手が祥子の腰に回される。


「えっ!今、先生のお尻を触った!?でも、先生は気にする様子は無いし……見間違いだったのかなぁ?」


 そして女教師は、この練習室の入り口に向かって歩き始める。

 男子の方は、そのままこちらに向かって歩き始めた。


「やばっ!」


 気まずい雰囲気を感じて美海は何も見ていなかったように装い、再び柔軟を始める。

 するとその男子は、窓までやってきて、堂々とその様子を見学し始めた。


(なんなの、この男子……)


 新しい玩具を吟味しているような不快な視線を感じるが、あえて無視しておくことにした。


(すぐ先生も来るだろうし、注意してもらおう。あたしが言うより効果があるだろうから……)


 顔つきや体型が大人びている美海は、祥子と同じくらい男子たちの人気がある。

 男子たちの脳内世界に出演する時は、その均整のとれたカラダを惜しみなくさらけ出し、普段とは異なる淫靡な踊りを披露した後、柔軟なカラダを活かした様々な体位で男子たちの欲望を笑顔で受け止めている。

 レズ好きの男子の脳内世界では、祥子とセットで出演して、お互いの感じる場所を手や舌で攻めながらカラダを絡ませて、貪るように激しく愛し合っていた。



 やがて練習室に入って来た祥子に美海は駆け寄る。


「先生!」


「どうしたの、草薙さん?」


「えっと、あの男子、注意してもらえませんか?」


「彼がどうかしたの?別に見学くらいいいんじゃない?」


 普段の祥子なら美海が練習しやすいように考慮してくれるはずなのだが、何故かあの男子には甘いようだ。

 期待を裏切られた気分になった美海は、詰め寄ることにする。


「あの男子と親しい様子でしたけど、どういう関係なんですか?」


「あら、見てたの?それなら丁度良かったわ。まずはこれを受け取って」


 祥子が手提げ袋から取り出したのは、胸と腰に気休め程度の布を纏っただけで、肌の大半を露出させた、ファンタジー世界の踊り子のような人形だった。

 思わず受け取ったソレは、顔や肌の質感が妙に生々しい。


「人形?これがどうしたんですか?」


「すぐに分かるわよ。じゃあこれを読んでみて」


 続いて取り出された紙に書かれていた文字を、美海は思わず呟いてしまう。


「……ちぇんじ?うっ!!!ごぼぉ!!!」


 言葉と共に美海の意識が無理やり喉の奥に集約されると、手に持っている人形の口に向かって飛び出す。

 同時に人形からも何かが飛び出して、美海の意識の代わりに彼女の口の中に飛び込んだのであった。



…………



「終わったようだな?」


 しばらくして練習室に入って来た男子生徒が、祥子と美海に話しかける。


「はい、上手くいきました。そうでしょ、『新しい』草薙美海さん?」


「……はい。素晴らしいカラダを与えていただき、有難うございます、ご主人様」


 祥子の返答に続いて、美海も満面の笑顔になって礼を述べる。


「こちらをお返しします」


 そういって美海が差し出した踊り子の人形を受け取った男子は、その背中に【封魂・草薙美海】と書かれていることを確認してから、それを雑にポケットに仕舞い込むと、二人に向かって手を伸ばす。


「良いカラダだ。祥子と比べても遜色ないな」


 男子は右手で遠慮なく美海の胸を揉み始めると、左では祥子の胸を揉み始めて、その両方の具合を比較しながら楽しそうに呟く。


「今日はアナタのために衣装を用意したの。さっそく身に着けて、素敵な踊りをご主人様に披露してみてよ」


「わかったわ」


 祥子の言葉に頷いた美海は、その場でレオタードと下着を脱ぎ捨てて全裸になると、祥子が袋から取り出した衣装を受け取る。

 それは、胸と股間だけを隠す踊り子の衣装のようだが、ヒモに布がぶらさげてあるだけで、少しでも動けばズレてどちらも丸見えになるような粗末なモノだった。

 だが美海は気にすることなく身に着けると、笑顔で微笑み尋ねた。


「ではご主人様、どのような踊りをご所望でしょうか?」


「そうだな……その格好で新体操の演技をするのも面白そうだな。やってみろ!」


「かしこまりました」


 心得たように祥子がCDプレイヤーで曲を再生すると、それに合わせて美海が演技を始める。

 本来は動きの美しさ優雅さを競う演技のはずなのに、ちらちらと見え隠れする乳首や陰部がエロすぎて、動きは同じでも全く別物になっていた。


「くっくっく、こいつはもはや淫体操だな、はっはっは!」


 こうして草薙美海のカラダは、男子生徒の専属の踊り子として、彼の目を楽しませることに使われる。

 もちろんその後は、柔軟なカラダを活かして、様々な体位で男子の欲望を受け止めるのだった。

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【小説】身変わり人形 女教師・日下部祥子の場合 





「なにかしら、これ?」


 授業を終えた女教師・日下部祥子(くさかべ しょうこ)が職員室の自分の席に戻ると、机の上に見覚えの無いモノが置かれていることに気付き、呟く。

 ソレは無地の白い包装紙に包まれた、20センチくらいの大きさのモノだった。


「ああ、それ、さっき男子生徒が持って来たんですよ。『勝手に置いたらダメよ』って注意したら、『日下部先生に頼まれたモノだ』って言ったので、一応そのままにしておきましたけど?」


「そうですか……」


 2つ隣の同僚の女教師が説明してくれたのだが、やはり覚えがない。


 祥子は教師2年目の24歳と若い上、美貌にもスタイルにも恵まれているため、色んな意味で男子たちに人気がある。

 それを自惚れない程度には自覚しているため、こういった男子からのちょっかいがあることも、ある程度は仕方がないと諦めている。


 実際には、授業の間に男子たちの脳裏に刻み込まれた祥子は、衣服は下着までも遠慮なく剥ぎ取られて全裸にされ、透き通るような美声は色っぽい喘ぎ声に変換されて、彼らの想像の世界に主演女優として現れる。

 そして、気の済むまでカラダを弄られたり、口や股間でペニスを嬉しそうに咥えこんだり、憑依されて鏡の前で楽しそうにオナニーをしたりと、その世界の監督かつ主演である彼らを満足させる玩具の役を日々完璧にこなしている。


 そんな事実に気付くことがない女教師は、少し鬱陶しい程度の感覚で机の上のモノを見つめる。


「ふぅ……とにかく、中身を確認しないとね……」


 彼女は溜息をつきながら席に着くと、雑な包装を開く。


「え?」


 中から現れたのは一体の【人形】だった。

 それは服を身に着けていない裸の女性の人形で、その容姿は妙に生々しかった。

 例えるなら、手の平に乗る大きさに縮小されたダッチワイフだろう。


「なぜこんなモノを?」


 少し不快に想いながら観察していると、人形の下に封書があることに気付く。

 それを拾い上げ、差出人の名が書かれていないか裏返してみる。

 するとそこには名前の代わりに短い言葉が書かれていた。


「ちぇんじ?」


 祥子は思わずその言葉を口にする。

 同時に、彼女は自分の意識が喉に無理やり搔き集められた感覚に襲われる。


「うっ!!!」


 そして呻き声と同時に、それが口から飛び出し、真っすぐ目の前の人形の口に向かう。

 それに代わるように人形の口からも何かが飛び出してきて、呆けた表情になった女教師の口を目指して飛び出す。

 発射された2つのモノが、互いの目標に飛び込むまでの時間は瞬きするほどしかなかったので、周りの教師たちは気付くことが出来なかった。

 ただ、祥子の呻き声は同僚の女教師には届いたようで、心配そうな視線が向けられる。


「どうかしましたか、日下部先生?」


「……いえ、何でもありません」


「でもさっき、呻き声みたいに聞こえましたが?」


「気分も悪くないです。むしろ気持ちイイくらいです」


「そ、そうですか?」


 心配そうに掛かられた同僚の言葉に、美人教師は落ち着いた様子で対応すると、封書を開いて中の手紙を取り出し、そこに書かれている内容に目を走らせる。

 そして読み終えると、手に持った人形と封書を再び包みの中に戻し、それを持って席から立つ。


「どちらへ行かれるんですか?」


 その様子を見て、まだ少し心配そうに見守っていた同僚が声を掛けてきた。


「……どうやらイタズラの類だったようなので、これを本人に返してきます」


「あ、そういうことだったんですね……日下部先生は若くてお綺麗だから、男子からのちょっかいが多そうですねぇ……」


「はい、ホントに困ったものです」


 勝手に納得したような同僚の言葉を笑顔で肯定した美人教師は、そのまま歩き始め、職員室を抜け出したのだった。



 何故か体育倉庫の前まで歩いてきた女教師は、一度立ち止まってから周りを見渡し、視線が無い事をしっかり確認してから中に入る。

 そして、跳び箱の上に座った男子生徒の姿を見つけると、笑みを浮かべて近づき、声を掛ける。


「お待たせ致しました、ご主人様!」


「くっくっく、上手くいったようだな」


「はい!まずはこちらをお返しします!」


 美人教師が手に持った包みを受け取った男子生徒は、すぐにそれを開いて人形を取り出すと、裏返してその背中を見る。

 そこには【封魂・日下部祥子】と書かれてあった。


「これでこの学校一番人気の女教師は俺様のモノになった訳だ」


 男子生徒はその文字を見てニヤニヤと下品な笑みを浮かべながら、確認するように呟く。

 

「はい!その通りです!これからワタシは【日下部祥子】として御主人様にお仕え致します!どうぞよろしくお願いします!」


 自分の主人に奉仕する事が出来る悦びが抑えきれないのだろう。

 女教師はハイテンションで宣言する。


「ああ、存分に尽くすがいいさ。その美味しそうなカラダでな」


「はい!」


 美人教師の姿をした下僕は、目を輝かしながら自分の服に手を掛けると、次々と脱ぎ捨てていく。

 こうして女教師・日下部祥子のカラダは、想像の世界だけでなく、現実世界でも一人の男子生徒の玩具として活躍することになるのだった。

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【小説】大聖女、陥落。



「大聖女様、領主の館に到着しました」


「分かりました」


 馬車が停まり、護衛の女騎士が声を掛けると、返事と同時にドアが開いた。

 彼女こそ、この国の守護者ともいえる大聖女フィリア・スタークだった。

 女騎士にエスコートされながら馬車を降りてその姿を現すと、大聖女を迎えるために集まっていた者たちがその場で溜息をもらす。

 皆、その神々しい美しさに感銘を受けたのだ。


 6歳の時に才能を見出されたフィリアは、教会での10年に及ぶ厳しい修行を経て、正式に聖女となった。

 その後の4年間の多大なる貢献と更なる研鑽の末、聖女たちの頂点とも言える『大聖女』の地位を得ている。

 聖女というだけでも希少で敬われる存在であるのに、女神の如き清楚な美貌を持つ彼女は、もはや信仰の対象でもあった。


 今回の任務は、辺境にあるこの領地で、妖魔たちの侵入を妨げる結界を張り直すことだった。

 前任の大聖女が張った結界の効力が弱まったとの報告があり、新任のフィリアが派遣されることとなったのだ。


「ようこそおいでくださいました、大聖女様」


 領主らしき男が挨拶をする。

 同時に、彼の足元から小さな影が飛び出しフィリアの元へ駆け寄ると、その手を取った。

 聖女が視線を下に向けると、そこにはいつの間にか5歳くらいの幼女が立っていて、手を握っていた。

 可愛らしいドレスを着た可愛らしい幼女は、目を輝かせながら見上げている。

 どうやら領主の娘らしい。


「こら!大聖女様に触るんじゃない!」


「いいのよ」


 護衛の女騎士が声を挙げるが、フィリアはそれを制すると、腰を落とし、視線を幼女と同じ高さにして向き合う。


「どうしたの?」


 微笑みながら問うと、幼女は嬉しそうに口を開いた。


「うちのおふろ、とってもすてきなの!」


「そうなの?それはぜひ見てみたいわ」


 懸命な様子でアピールする幼女に、フィリアは笑顔で賛同した。


「我が家自慢の大浴場は、源泉から引いた天然温泉です。すぐにでも旅の疲れを落としてください、大聖女様」


「そうですね。ではお言葉に甘えてお借りしようと思います」


「どうぞどうぞ、準備は整っております、こちらへ」


 領主の勧めに従い、フィリスは幼女を伴って歩き始めた。




「わたしもせいじょさまといっしょにはいる~」


「ふふふ、そうね、一緒に入りましょう」


「うん!」


 護衛をドアの前に残して、聖女と幼女は脱衣所に入る。


「……せいじょさま、とってもきれい~!」


 衣服を脱ぎ捨てて裸になったフィリアを見て、幼女が嬉しそうな声を挙げる。


「ありがとう、あなたももう少しすれば美しくなれますよ」


「うん、わたしもすぐにきれいなからだをてにいれるね!」


 無邪気な会話が弾む。




「こっち!こっち!」


 浴場に入ると幼女が手を引いた。


「まあ!本当に素敵ね!源泉から引いてるとおっしゃっていたけど、濁っているのね」


 湯気を上げる大きな浴槽に満たされていたのは、白く濁った湯だった。

 その濃度はかなりあって、底が見えない。

 湯に手を付けて、適温だと確認したフィリアは、幼女と互いにかけ湯をした後、2人で湯船に浸かる。


「ふう、とってもイイ湯加減ですね」


「すご~い、すべすべ~うふふ……」


 気分よく入浴を楽しんでいるせいか、はしゃいだ様子の幼女にカラダをあちこち触られても、フィリアは特に気にする様子を見せない。


「そろそろかな」


「?」


 何かに満足した様子の幼女が、そう言って立ち上がると、湯船から出た。


「あっ、せいじょさまはそのままね!」


 湯気に混じって魔力が立ち上がるが、夢見心地の聖女は気づかない。

 それどころか、その魔力のせいで、更に気持ち良くなっていく。


「ああ!凄く気持ちイイ!まさに天にでも昇るかのような気持ち良さだわ!」


 本人は気付いてないが、その表現は的を得ていて、彼女の肉体との繋がりが離れかけている魂が、カラダから浮き上がってきているのだった。


「このまま、本当に昇天してしまいそう!ああ、神様!……」


 最期の言葉を残して、大聖女フィリアの魂はその美しいカラダを残して、そのまま天へと昇っていくのだった。



…………



「うふふ、やったー!」


 浴槽の底に仕掛けられていた魔法陣。

 その効力で魂を失った聖女を見つめて、幼女は喜色を浮かべる。

 恍惚の表情を浮かべて口元にはヨダレを流している彼女のカラダは、浴槽の縁にもたれかかり、完全に弛緩してだらしのない姿を晒していた。


「これからは……この俺様がお前のカラダを存分に使ってやるぜ!」


 白いモヤのような霊体が立ち上がった幼女はカラダは、糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちる。

 霊体はそんなことを一切気にする様子も無く、聖女のカラダへと、最速で!最短で!まっすぐに!向かう。

 霊体が聖女のカラダに入り込むと、代わりにこちらが意識を取り戻して動き始めた。


「けっけっけ、流石はすげぇ上玉だ!具合が違うぜ!」


 下品な悦びに美しい顔を歪めながら、自分の形の良い胸とまだ穢れを知らぬ股間も乱暴に弄り、フィリアのカラダは満足そうに呟く。


「……とはいえ、早めにコイツに慣れないとな……」


 その場で黙想するように目を閉じると、下品に歪んでいた表情が本来の落ち着いたものに戻っていく。


「……うん、かなり馴染んできたみたいですね……これで私が大聖女フィリアです」


 フィリアを乗っ取った霊体が、聖女のカラダに残されていた記憶や知識を取り込むことに成功したのだ。


「さてと……面倒なことにならないように、処理はしておかないといけませんね」


 そのまま一旦脱衣所に出て、体に軽くタオルを巻き付けると、護衛の女騎士に倒れた幼女の事を話して、使用人を呼びに行かせる。


「はしゃぎすぎて、湯あたりしたようです。部屋に連れて行って寝かせてあげてください」


「はい、かしこまりました」


 やってきた屋敷の女性使用人に、気を失っている幼女を預ける。

 使用人も、驚いた様子も見せずに、心得たように頷く。

 この屋敷の全員、妖魔の霊体が入り込んでいるのだ。


「あの娘は残念なことになりましたが、とっても素敵な湯ですよ。あなたも一緒に入りませんか?」


「い、いえ、今は任務中ですので……後でいただきます」


 護衛の女騎士を誘ってみるが、予想通り拒否される。

 フィリアの傍で仕えているため目立たないが、この護衛の女騎士も中々の上玉である。

 それに今後の事を考えれば、この女の中身も変えておいた方がいい。


「そうですか。では、私はもう少し楽しませてもらいますね」


「!……ど、どうぞ、ごゆっくり」


 今まで見せた事の無い艶やかなフィリアの表情に、女騎士は一瞬声を詰まらせるが、なんとか返事を返す。


「あせることは無いわ。このカラダが手に入ったのだから、後はじっくりと事を進めて行けばいいのよ、ふふふ……」


 湯船に浸かり再び自分のカラダを隅々まで確認するように弄びながら、新たな『大聖女フィリア』は楽しそうに呟くのだった。



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【小説】憑依されて書き換えられる女たち



「……先生?どうかされましたか?」


 控え目な女性の声が響いて、俺は我に返る。

 目の前の女性は恥ずかしそうに頬を赤くして、少し視線を逸らしていた。


「えっ?あっ!失礼しました、黒水先生」


 こちらも慌てて謝罪する。

 どうもマジマジと見つめ過ぎてしまったらしい。


 この高校の体育教師である俺は、放課後の保健室で、目の前の女性……養護教師・黒水優里亜(くろみず ゆりあ)と保健の授業についての打ち合わせをしていたのだった。

 体育教師として保健の授業は当然職務の内だが、うちには女性の体育教員が居ないので、彼女に担当してもらっているのだ。


 あらためて白衣姿の女性を観察する。

 豊かな黒髪を無理やりアップしている印象の野暮ったい髪型に、やたら存在感がある黒縁のメガネ。

 白衣の下もベージュを基調とした落ち着いた色合いの服装。

 胸も標準サイズの様に見える。

 つまり、全体的な見た目の印象は『地味』。

 だが、こうやって会話をしていると、その物腰の柔らかさと落ち着いた感じには、どこぞのお嬢様ではないかと思わせる節がある。

 スタイルに関しても、腰から脚にかけてのラインにはそそられるモノがある。

 胸のサイズも特に巨乳が好きという訳でもない俺にとっては問題ない。

 そこまで考え、彼女の顔を見つめていて気付いたのだ。


(この女、もしかして凄い美人なんじゃないか?)


 良く見れば、肌は白く透き通っていて、キメも細かい。

 メガネに誤魔化されているが、その奥に隠されている目は、切れ長で色気があるようにも見えなくもない。

 ひょっとしたら、眼鏡を外して髪を下ろしたら超絶美女になるパターンだと、期待せずにはいられなくなった。


「えっと、突然ですが……髪を下ろして、そのメガネを外してみませんか?」


「えっ!本当に突然ですね?そんなことをしても何も変わりないと思いますけど……?」


 期待の余り俺の口からうっかり要望が漏れてしまうが、彼女は少しだけ驚いた様子をみせただけで、やんわりと否定してきた。

 わざと隠しているのかどうかは判断つかないが、俺も一度口に出したからには引っ込みがつかなくなった。


「そこをなんとかお願いします。きっとそっちの方が似合っていると思うんですけど?」


「け、結構です!」


 そういって前のめりになった俺を押しのける彼女の手の力は想像以上に強く、不意を突かれてよろめいてしまった。


「あっ!」


 彼女の叫び声と同時に頭に強い衝撃を感じたかと思うと、俺の意識はブラックアウトしたのだった……。



…………



(んんっ~……)


 宙に浮いているような不思議な感覚のなか、俺の意識は少しずつクリアになっていく。


(ここは……保健室だよな?)


 さっきまで居た場所なのにいまいち自信が持てないのは、今の自分の視点がかなり高いからなのだろう。

 不思議に思いながら下を見ると、どこかで見た事のある男が床に倒れていて、傍に居る女性が必死に話し掛けている様子が視界に入って来た。


「……先生!しっかりしてください!ああ、なんてことなの……」


 女性は普段の落ち着いた様子とは異なり、明らかに取り乱していた。


(あっ……思い出した……)


 俺は激しく拒絶され、想像以上に強い力で押し返された挙句、よろめき転んだようだ。

 そしてどうやら打ちどころが悪かったらしい。


(つまり、俺は死んだのか?)


 不吉な想像をしながら、意識だけの状態の俺は自分の体の傍に立つ。

 すると幾分冷静さを取り戻した養護教諭が、俺の体に密着して診察を始めた。


「……脈はある!呼吸は……うん、こっちも大丈夫みたい!それじゃあ、とりあえずベッドに寝かせないと……」


 ひとまず安心したように女は呟くと、意識の無い俺の体を引き摺りながらもベッドの端まで移動させると、気合を入れて持ち上げ、その上に載せた。


(へぇ~結構力あるんだなぁ~……って感心してる場合じゃないな。でも俺の体が無事っぽいのは朗報だ。だったら今の俺って……あっ!もしかして幽体離脱ってやつか!)


 転倒した時のショックで体から抜け出てしまったのだろう。

 最近ネットで読んでいる【憑依モノ】によくある展開に、いざ自分がなっていると思うと不思議な感じがする。


(これって、自分の体に入れば元に戻れるんだよな?ずっと離脱したままって事はないだろうな?)


 不安を感じながらも、自分の体とそれを介抱している女を見つめる。

 

(いやいや、これはチャンスなのか?今の俺は霊体だけだし、もしかしたら……)


 思いついた事を実行するため、俺の体を介抱している女性に、俺は背後から忍び寄る。

 そして女教師の背中に自身を押し当てると、そのまま彼女の中に潜り込もうと試みた。


「ひぃ!」


 突然彼女はカラダを仰け反らし、苦しそうな奇声を挙げた。

 構わず俺は、仰け反った状態で硬直した女のカラダに、侵入を続ける。

 若干の抵抗を感じながらも確実に彼女の中に溶け込んでいき、やがて完全に収まることができた。


「お?」


 突然視界が切り替わり、その変化に驚いて声を挙げると、綺麗な女の声が響いた。


「えっ!いや、俺がこの声を出している?」


 再び俺の心の声が女の声で再生される。

 俺は急いで室内を見渡し、姿見を見つけるとその前に立つ。

 そして、鏡の中に映った白衣を着た女に向かって手を振ってみる。

 すると、鏡の中の女も俺に向かって手を振っていた。


「ほ、本当に俺が黒水先生になっている!」


 驚きながらも俺は手を振るのを止めると、その細い手を今の自分の胸に持っていく。


「これ、オッパイだ!」


 ブラの硬さを通してだが、そこに柔らかい膨らみがあることを確かに感じて、今度はじっくりと味わうように揉み始める。

 その心地よい触感は俺を妙に落ち着かせて、今までの事を思い出させた。


「そうだ!この女の素顔を確認してみよう……」


 そう考えてまずメガネを外して、再び自分の姿を確認してみる。


「えっ!」


 そこに映る女の顔は、特徴的な切れ長の目をはじめとして、期待以上に整っていた。


「ははっ、マジかよ!」


 自分の予想を裏切らなかった素顔に満足しながら、今度は頭の上に手を回して、大量の髪を持ち上げているバレッタを外す。


「……嘘だろ……」


 バサリと落ちた髪を軽く整えて再び鏡の中を覗くと、そこには黒く艶のあるロングヘアーを華麗に靡かせた美女が立っていた。


「凄い……想像以上だ……」


 前から悪い印象は持っていなかったが、眼鏡と髪型だけでこの美貌が隠されていたことに驚きを隠せない。


「……というか今、俺がこの美女になっているんだよな、うん……」


 声を出して確認した事実に、俺は興奮してきた。


「そ、それじゃあ、ふ、服を脱いでみようかな」


 そう呟いて白衣を勢いよく脱ぎ捨てたまでは良かったが、興奮で指先が震えているため思うように進まず、あせる気持ちだけが膨らんでいく。


「お、落ち着け。あの【憑依モノ】ではどうしてた?」


 ここで俺は最近ネットで読んだ、俺好みでゾクゾク興奮できる【憑依モノ小説】のことを思い出す。


「よ、よし。この女に成りきればイイんだ、内面も……」


 俺は目を閉じ深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、自分の内面の状態を探る。

 そして無意識のうちに抑えつけていた優里亜の意識を探り当てると、それ表に押し上げ、それを俺の意識が『纏う』ようにしてみた。

 そうすれば、表面上は本人のように振る舞えるようになるはずだ。

 

「……俺は優里亜……そうだ……『私』は……黒水優里亜です。うん、上手く出来たみたいですね」


 声に出して確認しながら意識の組み換えを行っていくと、それはスムーズに行われていった。

 こうして優里亜の意識を支配下に置いた俺は、完全に彼女に成りすます事に成功したのだった。

 同時に支配下に置いた記憶から、この女が結構良いところの出身であることや、自分の容姿に関しては別に隠していたわけでもなく、ただ無頓着だったことなどが分かった。


「……『私』は結構なお嬢様みたいね。でも、これからする事は変わらないわ、ふふふっ……」


 いつの間にか指先の震えはおさまっており、今度は落ち着いた動きでボタンを1つずつ外していく。

 上着に続いてシャツとブラを次々に脱ぎ捨てると、形の良い乳房とまだ色が薄いピンク色の乳首が露わになった。

 想像していたより大きめで、それ以上に情欲をそそる美しい形をした2つの膨らみに、俺は感動と興奮を感じ、同時に鏡の中の美女の口元に楽しそうな笑みが浮かび上がる。

 気分が乗って来て、動きにも徐々に艶やかさが付き始め、体をくねらせながらスカートを脱ぎ捨てる。


「さあ、最後の1枚で~す」


 勢いに乗って腰に身に着けていた最後の1枚を楽しそうに脱ぎ捨てる女の姿は、立派なストリッパーだった。


「次はオナニーですね。『私』の感じるところは……そう、ココとココね!」


 右手で自分の乳房を持ち上げるように下から持ち上げ、左手は股間のスリットへ潜り込ませる。

 そして右手の指先で乳首を転がすように弄ぶと同時に、股間では自分の感じる場所を探し求めるように左手の指を激しく動かし始めた。


(う、おぉぉぉぉぉ!イイ!気持ちイイ!な、なんだ、この快感は!)


「あ!あっ!あん💛!」


 その激しい快感に、口から勝手に喘ぎ声が漏れてしまう。


(こ、これが女の性的快感なのか!凄い!凄いぞ!)


 目の前の鏡には、裸の美女が狂ったように自分のカラダを弄ぶ様が映し出されており、その事実も俺の興奮を高めていく。


(さ、最高だ~)


「イク!イク!イクゥ!いぐぅぅぅぅ!!!」


 やがて絶頂に達したのか、痙攣したようにカラダを引きつらせると、その場にペタリと座り込んでしまった。


(はぁ、はぁ、はぁ……凄かったな……)


 心の内側で余韻を楽しみながら俺は次の事を考え始める。


(しばらく余韻に浸るのはいいとして、さてこれからどうしたものか……あの小説では、この後たしか……)


 小説の続きを思い出し、その内容に興奮する。

 それは憑依した女の意識を書き換えて自分の奴隷にすることだった。


(もし出来れば、本当の本当に凄い事になるぞ!……では!)


 立ち上がるとベッドの傍に寄り添い、そこに寝ている俺の本体を見つめる。

 そして俺はこれからする事に再び興奮しながら、口を開いた。


「……『私』はこの方の忠実な奴隷です。ご主人様に喜んでいただくために、身も心も全てを捧げて奉仕することが『私』の幸せ。これは『私』が黒水優里亜であるために絶対必要なこと……」


 俺が思い描いた欲望が、優里亜の綺麗な声で発せられた。

 噛み締めるように発せられた言葉は、俺の期待通りに、優里亜の意識の中で『絶対の真実』として定着していく。


(うぉぉぉお!本当に俺の欲望通りにこの女の意識が染まっていく~、たまんねぇ~)


 予定通りに事が運んでいることを確認した俺は、憑依を解いて女のカラダから抜け出ると、そのまま自分の体に戻ることにしたのだった……。


…………


「う~ん……よし!戻れたぞ!」


 自分の体で意識を取り戻した俺は、傍で床に座り込んでいる裸の女を見つめた。

 以前とは明らかに異なる、その色香を漂わす姿に、ニヤニヤが止まらない。

 女の方はしばらく呆けたような表情で視線が定まらなかったが、徐々に正気を取り戻しているようだ。

 俺は彼女の様子が落ち着いたのを見計らって声を掛ける。


「大丈夫ですか?黒水先生?」

 

 すると目の前の養護教諭は、少し不思議そうな顔をして自分の格好に目を走らせると、口を開いた。


「ここには私たちしか居ませんし、何の問題ありません。それよりも……」


 そしてその場に正座して姿勢を正すと、綺麗な所作でお辞儀しながら、言葉を続けた。


「……私のことは優里亜……と名前で呼び捨てください……」


 その返事に確信を持てた俺は、今度は堂々と質問をする。


「優里亜、お前は俺の奴隷で間違いないな?」


 俺の問いに顔を上げた優里亜は、微笑みを浮かべながら口を開いた。


「はい、勿論です。私はご主人様の忠実な奴隷です。どんな命令にも喜んで従います。なんなりとご命令を、ご主人様……」


「くっくっく、上出来だ!こんな美女を俺の奴隷に作り変えてやったぜ!あっはっは!」


 俺が気分良さそうに笑っているのを、優里亜は自分の事のように嬉しそうに微笑みを浮かべて見つめている。


「では早速、その美味しそうなカラダを堪能させてもらおうか!立つんだ!」


「はい!」


 嬉しそうに命令に従った優里亜に、俺は飛びつく。

 柔らかいオッパイを無我夢中でしゃぶりながら、空いた手は彼女のお尻や股間を這いずり回る。


「ひぃん!あふん、あは~ん💛!」


 俺に感じる場所を弄られて、女は気持ちよさそうに吐息を漏らす。


「へへっ!次はこいつだ!」


 俺はジャージとパンツを勢いよく下ろして、興奮で膨れ上がっている下半身を晒す。

 これまで付き合った女にもしてもらった事のないフェラチオだが、今のこの女なら全く問題は無いはずだ。


「はい!喜んで!」


 まるで躾けられた居酒屋の店員の様に笑顔で返事をすると、優里亜は俺の股間に躊躇うことなく顔を埋め、そこにあるモノを根元まで咥え、そのまま頭を前後に動かし始める。


「おほぉ~!……うっ!」


 余りの快感に奇声が漏れた。

 そして、興奮続きで既に限界近くまでイキリ起っていたモノは、優里亜の口の中にあっさりとその欲望を吐き出した。


「!!!」


 一瞬、女は驚いたように目を見開くが、すぐに目尻を下げる。

 色んな意味で俺に尽くせていることが、心の底から嬉しいようだ。


「あちゃー、出ちまったか。まあいい。飲み干せ!」


 ゴクゴク……


 命じると優里亜は、嬉しそうに細めた目だけで返事をして、言われた通り喉を鳴らす。


「よし、いいぞぉ……残しが無いように口で綺麗に舐めておけ!」


「ふわぁい!」


 女は返事をするのももどかしそうに股間を舐め始める。

 俺は、懸命に作業を続ける女教師の頭に手を載せて一息つくと、股間が元気を取り戻していくのを感じながら、次の女体弄りを考え始める……。



 一通り優里亜を弄り回して満足した頃には、外は暗くなっていた。

 疲れ果ててベッドに裸で横たわる美女を尻目に、ある程度の落ち着きを取り戻した俺は、自分の意思で再び幽体離脱が出来るかどうかを試してみた。

 そしてあっさりと成功する。

 どうやらコツを掴んだようだ。

 つまり……

 

「……この憑依能力さえあれば、どんな女も俺のモノに書き換えられる!もう我慢しなくていいんだ!」


 俺がこれまでの人生でずっと心の奥底に抑え込んでいたどす黒いモノが溢れだしてきて、最高に気分がハイになる。

 校内で見かけるたびに性欲をかきたてられて、脳内世界で散々弄り回して来た女教師や美少女たちの顔が次々と脳裏に過る。


「あの女も!あの娘も!全部だ!どいつも俺様の玩具に変えてやるぞ!待ってろよ~!くっくっくっ……ははははは!!!」


 闇に沈んだ校舎の中で、狂ったような歓喜の笑い声が不気味に響き渡るのだった。



――――――



 次の日の早朝……

 

「失礼しま~す」


 明るい声を挙げた少女が保健室を訪れた。

 年齢に比して垢抜けた容姿と成熟したカラダ付きをした美少女だ。

 男子生徒たちには勿論、男性職員の間でも人気の女子である。

 部活の朝練を抜け出して来たようで、ジャージ姿だった。


 先客がいたようで、ベッドには同じくジャージ姿の男が横たっていた。

 部屋の責任者である黒水優里亜は、意識の無い彼に付き添うように、ベッドの傍らの椅子に座っていた。

 少女がベッドに歩み寄ると、女教師は立ち上がる。

 今日の優里亜の容姿は以前よりずっと美しく色気があるのだが、少女は特に気にした様子は見せずに近づくと、右手でいきなり優里亜の胸を鷲掴みする。

 そして残った左手を自分の胸にもっていくと、じっくりと確かめるように両方を揉み始める。


「う~ん、やっぱり『アタシ』の方がオッパイ大きい!これは凄く楽しめそう~」


 オッパイの揉み比べを楽しそうにする少女の行為を、女教師は少しだけ恥ずかしそうに顔を赤らめるだけで、問題なく受け入れている。


「それじゃあ優里亜先生は仕事に戻っていいよ。あっ、念のために戸締りしておいてね」


「はい、かしこまりました」


 十分に楽しんだ少女は、まるで自分の方が立場が上であるかのように、優里亜に指示を出す。

 それを聞いた優里亜の方も、綺麗な所作でお辞儀をしながら返事をする。

 そして言われた通りにドアに鍵を掛けカーテンを閉め始める女教師を尻目に、少女はベッドに目を向ける。

 そこに眠っていたのは、少女自身の記憶にもある、男性の体育教師だった。

 体育の授業中、全身を舐め回すような視線を向けられて、不快になった記憶もある。

 実際、この男の想像の世界の中で、少女は全裸になって跪き、男の股間のモノを自慢の胸でパイズリ奉仕していたことも、今の彼女は知っていた。


「お待たせ~!練習から抜けるの、手間取っちゃった。『次』からは要領良くやらないとね~」


 少女はその場で勢いよくジャージと体操服を脱ぎ捨てて下着だけの姿になる。


「『アタシ』のこのカラダ、前からずっと気になっていたけど、やっぱイイ感じだよね!」


 同年代と比べて肉付きのかなり良い自分のカラダを、隅々まで丁寧に手で触って確認しながら下着も脱ぎ捨てると、しみじみと少女は感想を呟いた。

 まるで他人のモノであるかのように。


「おっと、『アタシ』以外にも可愛い娘や美人の先生がいっぱい待っているんだった!名残惜しいけど急がないと!」


 綺麗な形と十分な大きさを持つ自分の胸を楽しそうに弄んでいた少女は、その手を止めると、ベッドで眠る男を見つめながら、その顔に恍惚の表情を浮かべ呟く。


「ああ、これからは想像の世界だけじゃなく、現実でも『アタシ』は先生の玩具になれるのね!そう考えるとゾクゾクする!」


 そして今度は噛み締めるように言葉を続ける。

 

「……そう『アタシ』は先生専用の『玩具』……この『カラダ』を使って先生を悦ばせることが『アタシ』の生まれてきた理由で、最高の喜び……『アタシ』はこの『絶対の真実』を心の奥底に刻み付けるの!」


 少女が言い終えると同時に、その顔から笑みが消えて無表情になると、その場に崩れるように座り込んでしまう。

 まるで少女の中に入っていた『何か』が抜け出てしまったかのように。


「…………」


 突然無言になった少女と入れ替わるように、今度はベッドに寝ていた男が起き上がる。

 そして彼は、呆けたように床に座り込む裸の美少女を見下ろすと、その顔にニヤリと笑みを浮かべるのだった……。



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【小説】魂を捕食する男 ~必殺のボディブロー~


「あれ?茶葉が無いわ……」


 お茶を淹れるために給湯室に入った日ノ瀬 響子(ひのせ きょうこ)は、茶筒の中身を覗いて呟いた。


「倉庫に買い置きしたのがあるんじゃないの?」


 横でお湯を用意していた同僚の女が、響子の呟きに応えた。

 実はこの二人、社内ではツートップと呼ばれる人気のある美人社員で、彼女たちが笑顔でお茶を差し入れしてくれることを楽しみにしている男子社員はかなり多いのだ。


「う~ん、今から取りに行ってからだとかなり遅れるわね」


 倉庫は少し離れた場所にあるので、総務で鍵を受け渡しする手間も考えたらかなりの時間のロスになる。

 

「お茶でなくても構わない人に先にコーヒーを出しておくから、ゆっくり行ってきなさいよ。今はそんなに忙しい時期でもないから、誰もうるさく言わないわよ」


 同僚にそう言われた響子は少しの時間考え込んだ後、頷く。


「そうね……じゃあ悪いけど取りに行ってくるから後はお願いね」


「うん、任せて」


 響子が給湯室を出るのを確認すると、何故か同僚の女は笑みを浮かべてスマホを取り出し、いずこかへメッセージを送る。

 そして隠してあった新しい茶筒を取り出すと、何事も無かったかのようにお茶を淹れ始めたのだった……。




 総務で鍵を受け取った響子は、真っすぐ倉庫に向かう。

 そして鍵を開けて中に入る。

 用事が終われば直ぐに出るつもりなので、ドアは開けたままにしておいた。


「えっと、茶葉は日用品のところかな?」


(カチャリ!)


 大体の見当を付けて探し始めようとした時、背後でドアが閉まり鍵の掛かる音がした。

 振り向くと見覚えのある男子社員が立っていて、黙ったままこちらを見ていた。

 どことなく不気味な感じがして、わずかな間も黙っているのが辛くなってきたので、響子の方から先に口を開いた。


「……えっと……あなたも何か探しているの?」


 とりあえずそう声を掛けてみると、男は何を思ったか、ヘラヘラと笑みを浮かべる。


「ああ、探しモノね。うん、目当てのモノは目の前にあるけど」


 そして、ゆったりとした動きで近づいてきた。

 その様子に異様なモノを感じて、響子は壁際まで後ずさる。

 だが男には獲物をじっくりと追い詰めるような迫力があった。


「ち、近寄らないで!」


 逃げ場が無いと悟った響子は、せめてもの抵抗で、女性にしてはかなり強烈な平手打ちを2発、男にぶちかます。

 それを受けて男の顔が左右に揺さぶられるが、再び女の顔見据えて笑みを浮かべる。


「へへっ、気の強い女、大好きだぜ」


 響子の剣幕に構わず男は更に近づくと、右の拳を握り、それを突き出して響子の腹をめがけて突き出す。

 だがそれは、女性相手であることを考慮しても、大してダメージを与える威力があるように見えなかった。


「え?なにこれ?全然、効かな…うぇ!!!」


 受けた響子も一瞬、拍子抜けしたが、突然、寒気を感じたかと思うと、胸の奥に何かが搔き集められるような感覚に襲われ、それが喉からこみ上がって来た。

 やがてそれは白くて濃いモヤようなモノとして響子の口から湧き出てくる。

 それと同時に彼女の顔から表情が消え、目も焦点を失い、虚空を見つめ始める。

 男はすかさず顔を近づけて口で女の中から出てきたモヤを全て吸い込むと、じっくりと味わうように咀嚼し始めた。


「はぁ~うめぇ!やっぱ女の魂は美味いな!その呆けた綺麗なお顔も最高の肴だぜ!」


 呆然とした表情のまま固まって棒立ちの状態になった女の体の前で、男は楽しそうに笑い始めた。


『必殺のボディブロー』……男がそう名付けたこの技を受けた相手は、己の魂を吐き出してしまい、後には魂の抜けた肉体だけが残る。

 そしてこの男は人の魂をしゃぶって味わうのが趣味だった。


 魂が抜けて呆然とした表情でその場に立ち尽くす響子のカラダに手を這わせると、胸と尻に手を持っていき、遠慮なくじっくりと揉んでその肉付きを確かめる。


「くっくっく、カラダの方も思った通り、イイじゃねぇか!これならかなり良い玩具になりそうだ。そら、さっさと全部脱ぐんだ!」


「……はい……」


 男にそう命じられた響子の体は、その呆然とした表情のまま、ゆっくりとした動作で服を脱ぎ始める。

 魂を抜かれた体は従順になり、簡単な命令なら躊躇うことなく実行するのだ。

 男は近くにあったパイプ椅子に腰かけると、口では咀嚼を続けながら、その脱衣の様子をじっくりと眺める。

 やがて全裸になった響子が再びその場に棒立ちになる。

 男は立ち上がり、女の綺麗な乳房を頬張ると、舌で乳首を転がすように弄り始める。

 同時に右手を女の尻の肉に回て鷲掴みすると、その気持ちいい柔らかさを堪能する。


 「あっ、ひぃん、あふん……」


 魂は抜けていても感じるようで、響子のカラダはそれなりに反応して喘ぎ声が漏れる。


 「そろそろいいな……」


 男は女と唇を重ねると、口の中で咀嚼していた魂を、再び吹き込む。

 ただしその魂は、男に咀嚼されている間に作り変えられ、以前の記憶を持ちつつも全く別の存在になっていた。

 終えて顔を離すと、女が瞬きをした。


「さてと……お前『も』これからは俺様の忠実な奴隷として色々と役に立ってもらうぜ。わかったな?」


「はい、ご主人様……」


 響子は自分の主人となった男の言葉に素直に頷き、笑みを浮かべながら返事をしたのだった。



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【小説】催眠プール



「ねえ、ミドリ~。今日はアンタも終いでしょ?これからちょっと付き合ってよ~」


 今日は午後に1本だけだった大学の講義が終わった途端、友人であるアズサから声を掛けられた。


「別にいいけど、どこにいくの?」


「会員になっているフィットネスクラブがあって、そこのプールが『凄くイイ』のよ!是非ミドリにも体験して欲しいの!」


「でもアタシ、水着持ち歩いてないし……」


「大丈夫、大丈夫。水着の貸し出しもやっているわ。さあ、行こう!」


 半ば強引に連れ出されることになったが、彼女が言う『凄いプール』というのにも興味があった。



 アズサに連れられて目的のフィットネスクラブに到着すると、早速受付を済ませ、水着を借りて更衣室で着替え始める。


(う~ん、やっぱりこの娘、綺麗だわ~。それに胸の大きさは完全に負けてるしなぁ~……)


 隣で着替える友人の整った顔立ちや体つきを覗き見て、アタシはこっそり考える。


(……だけどアタシだって、脚のラインの綺麗さとか負けていないはず!)


 努力して何とかなるところは頑張って磨いてるつもりだ。

 実際、大学のミスコンに一緒に腕試しに出場した時は、2人とも上位に入賞したのだから、客観的な評価も悪くないはずだ。



 水着に着替えた私たちは、2つあるらしいプールのうち、女性会員限定だという方に向かった。

 地下にあるそのプールは、照明が控え目で薄暗く、更に時間帯のせいか、今は貸し切り状態だ。


「なんか雰囲気あるなぁ~。それに、なんだろう?香水のような凄くイイ匂いがするけど?」


「高級な香料を使ってるそうよ?」


 水面に近づくと心地よい香りが一面に漂っていて、とても落ち着く。


「とりあえず向かい側まで泳いで来たら?アタシ、あっちで待ってるから」


「そうね、折角だからひと泳ぎしてくるわ」


 そう勧められて、アタシは一足先にプールに飛び込むと友人の待つ向かい岸に向かって泳ぎ始める。

 程良いレベルの温水は、ほのかに良い香りがして嫌な事を全て忘れさせるかのように心地よい。

 肌にも染み込んでくるような感覚があり、それがアタシをこれまで経験したことがないほどリラックスさせてくれる。

 照明が控え目なおかげで、落ち着いた気持ちで周りのモノを受け入れられるようになっているのかもしれない。


 少しぼーっとしながら泳いでいると、マッサージ器についているバイブレーション機能のような振動がプールの水全体を揺らしていることに気付く。

 その振動は何かの『ささやき』のようで、そこに含まれる言葉がアタシの心の奥底に染み渡るように書き込まれ、更なる夢見心地へと導かれていく。

 対岸に辿り着いた時には、アタシの自我は幸福の時に酔いしれ、蕩け切っていた。


 そんなアタシに頭上から手が差し伸べられた。

 アタシはゆっくりと顔を上げ、その人物を蕩けた視線で見上げる。

 それは見知らぬ男の人だった。

 アタシがうっとりとしながら手を差し出すと、彼はニヤニヤと笑いながら、その手を掴み、アタシを水中から引き上げる。


「くっくっく、こいつは上玉だ!よくやったぞ、アズサ!」


 アタシの顔やカラダをジロジロと眺めながら、その男性は隣に立つ女性に話しかけた。


「ご主人様の喜んで頂けて、私も嬉しいです!」


 横に立つアズサも満面の笑みを浮かべて応える。


「おい、お前!名前は?」


「……はい……わたしはミドリ……です……」


 彼に問われてアタシはぼんやりしながらも正直に答える。


「よし、ミドリ!お前は俺様の忠実なドレイだ!これからは俺様のどんな命令も喜んで従い、その美味しそうなカラダも心も全て捧げて、俺様に奉仕するんだ!分かったな?」


 今のアタシはどんな言葉にも素直に耳を傾け、その全てを心にしっかりと刻んでいかなければならない。

 そうすればずっと幸せな気持ちでいられると、プールの中で『ささやき』に教えられたのだ。


「……はい、わかりました……私はご主人様の忠実なドレイです。これからはこの身も心も捧げて奉仕致します。それがアタシの悦びであり全てです!」


 最初はぼんやりしながら呟いていたが、終いの方は自分の意思でしっかりと自分の胸の内を言い表すことができて、アタシは満足感に浸る。


「ああ、期待しているぞ!」


 ご主人様はアタシの胸やお尻を遠慮なく弄りまわしながら、心底楽しそうな笑みを浮かべる。


「それにしてもクスリと洗脳装置付きのプールの相乗効果は相変わらず『凄い』な!お前のような上玉が手に入って俺は嬉しいし、お前は俺様の奴隷になれて幸せ。こんなに『凄くイイ』ことはなかなかないぞ!」


 その愉快そうな表情を見て、アタシもとても幸せな気持ちになるのだった。

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【連載】憑依遊戯 第5話 贈りモノ



 あのフェラチオ奉仕のおかげで開放的な気分になった上に、元から寝不足だった俺は、快眠を貪り、次の日の朝を迎えた。

 そして意気揚々と登校する。


(またやってくれないかな?)

 

 困ったことに、由依菜先生の姿を見かけるたびに思い出し、ムラムラして落ち着かない。

 だが彼女は普段通り業務をこなしているだけで、こちらを気にしている様子さえ無い。

 結局、何事も無く最後の授業が終わった。

 俺はかなりガッカリしながら帰り支度をすすめる。


「えっと、霧峰君?」


「はい!」


 今、一番に声を掛けてもらいたかった人物からの声が聞こえ、高いテンションで返事をしながら振り向く。

 そこには教材を抱えた由依菜先生が立っていた。

 おそらく他のクラスでの授業を終えてやってきたのだろう。

 俺は期待に胸を躍らしながら、続く言葉を待つ。

 だが、彼女の口から告げられたのは期待したモノではなかった。


「三崎先生が呼んでいたわよ?保健室へ急いで行ってね?」


 それだけ言うと呆気なく立ち去ってしまった。

 まるで昨日の出来事は嘘であったかのように。

 俺は露骨に肩を落としながらも、指示通り保健室に向かった。




「失礼します……」


 若干低めのテンションで挨拶をして保健室に入る。

 すると机に向かっていた白衣の女性が、そのまま椅子を回転させて俺の方を向いた。

 相変わらず脚のラインがとても綺麗で、今は黒いタイツに覆われたそれを俺に見せつけるかのように組んでいる。


「君、なぜ呼び出されたか、分かる?」


 俺の顔を見るなり、厳しい顔をした涼花先生が口を開いた。


「……いえ」


 一応、心当たりがないので正直に答える。

 正確に言えば、あるのだが、アレは誰にも見られていないはずである。


「はぁ~、校内であんなことをしておいて余裕なのね」


「えっ!」


 溜息に続いて告げられた言葉で、俺は一気に青くなる。


(アレを見られていた!?確かに、驚きの連続で警戒が疎かだったのは否めないな……まずい……どうしよう……)


 なんとか誤魔化すことが出来ないかを必死に考えていると、しばらく黙ってこちらの様子を診ていた涼花先生が、少し雰囲気を柔らかく落とした感じで口を開いた。


「……君たちの年頃は年上の女性に興味津々なのは分かるけど、流石に校内で教師と生徒がいかがわしい行為をするのは見逃せないわ……」


「…………」


 俺は返す言葉が無く、沈黙を続ける。


「それにしても意外だったわ。神楽先生はまだ若いけど良識のある人だと思っていたのに……。君にしても、そう。大人しそうな顔して、大胆なことをするのね」


「…………」


「まあ、いいわ。問題はこれからよ」


「はぁ?」


 目の前の女性が言っている意味が分からず、俺は気の抜けた返事を返してしまう。

 そんな俺を見て三崎先生は再び溜息をつくと、話を進めてきた。


「はぁ~たった1回の過ちで君と神楽先生の人生が狂うのは忍びないわ。だから今回の事は黙っててあげてもいい」


「本当ですか!?」


「ただし条件があるわ」


「条件?」


「また変な気を起こさないかどうか少しテストさせて貰うわ。その結果に私が納得出来たら、見逃すことにする」


「テストって?」


「簡単よ。欲望を抑える事が出来たら合格」


 そういって不敵な笑みを浮かべながら立ち上がると、ドアまで歩いていき、何故か鍵を掛けてしまう。

 そしてドアを背にして再び俺の方に向くと、白衣が素早く脱ぎ捨てられた。

 続いてシャツのボタンに指が掛かると、淀みない動作で次々と外されていく。


「……え?」


 状況についていけず、呆然とその様子を眺めているだけの俺。

 やがて黒のブラジャーが晒され、その形の良い双丘が目に入る。


「いや、あのその……」


 相手が勝手に脱ぎ始めたのだから、こちらにやましいことは無いはずなのに、狼狽えてしまう。

 視線を外すべきなのだと頭では分かっていても、その官能的な曲線に目を奪われて見つめてしまう。


「神楽先生とはあんなことをしていたのに、この程度で狼狽えるの?ほら、折角だからちゃんと見ておきなさい!」


 そう言って自分の胸を持ちあげるように強調しながら俺に見せびらかす。

 大きさは神楽由依菜ほどはないが、鑑賞するには十分有難い綺麗な形を持っている。

 状況は相変わらず理解できないが、目の前にニンジンを吊るされている馬の気持ちになってきた。


「せ、先生、俺………」


「ぷっ!」


 俺の慌てる姿が可笑しかったのか、先生が突然吹きだす。

 だが、何かが変だ。


「君、まだ分からないの?ほんと、にぶいのねぇ」


 露骨に俺を憐れむような口調の涼花先生は、今度は肩を揺らしながら笑い始める。


「………ふふふ………あはは………ひひひ………ぎゃはは!!!なんて情けねぇ声だしやがんだ、お前!この程度で狼狽えていたら何も楽しめないぞ!」


 声は三崎涼花のままだが、その口調は激変していた。


「えっ!!!まさか!!!」


(コンコン!)


 ようやく状況を理解して俺が驚きの声を挙げると同時に、ドアがノックされた。

 それに反応して涼花先生は素早くシャツを元に戻して白衣を手に取ると、白衣を着ながらドアに振り返る。

 そして鍵を外してドアを開けると、訪れてきた人物を確認する。


「丁度良かったな」


 来訪者は由依菜先生だった。

 三崎先生にはあの『D』と名乗った人物が憑依している事は、もはや確認する必要が無い事実だった。

 だがここでの由依菜先生の登場で再び分からない事が増えた。

 仕方なく俺は黙って事の推移を見守ることにする。


「それじゃあ話を戻すか。まあ、話自体は簡単な事なんだがな。お前にこの由依菜をやろうと思ってな」


「……はぁ?」


 一瞬何を言われたのか理解できなくて、呆けた返事をしてしまった。


「だから、お前にやるっていってんだよ、この由依菜を。今、この時からお前の好き放題に使っていいぜ?由依菜も分かったな?」


「……はい、ご主人様。京也様、これからよろしくお願いします……」


 もはや魂を作り変えられて『D』の所有物になっている由依菜先生は、彼女の持ち主の言葉を了解すると、俺に向かって深々と頭を下げる。

 突然の成り行きに俺は動揺する。


「い、一体全体、何だって言うんですか?あ、そうか、三崎先生のフリをして俺をからかっていた続きとかですか?」


 一番可能性のありそうなことを思いついて口にしてみるが、それを聞いた養護教諭は呆れ顔だ。


「なんていうかさ、お前の甲斐性無しに俺様も流石に憐れになってきてな。お前、この女が好きなんだろ?」


「……はい……」


「じゃあ、迷うことなく受け取れ。本当に遠慮なんかせずに楽しむんだぞ?ダメなことは自分で拒否するように仕込んであるから、そこは気にしなくていいぞ」


 涼花先生はドアを開けた。


「それじゃあ、このカラダで楽しんでくるから、しばらくここで楽しみながら留守番してろ。そうそう、鍵を掛け忘れるなよ?」


 そう言い放つと彼女は何処かへ向かって歩き去ってしまったのだった。

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【小説】女の一人旅、その終点。


 ここは大きな街を繋ぐ街道沿いにつくられた宿場町。

 たとえ訳アリの者たちでも、凶暴な魔獣に出くわす事が可能性がある森には近づかず、安全が確保されている街道を利用するのが当たり前となっている以上、人々の往来は多い。

 その人の流れを利用して様々な利益を得ようと華やかな店が道沿いに並ぶ中、奥まった路地の中に、俺が取り仕切る小ぢんまりとした宿屋が建っていた。


「いらっしゃいませ」


 ドアを開けて入ってきた人物に俺は営業用の笑みを浮かべて声を掛ける。

 マントを羽織り、フードを深めに被っていて顔は良く見えないが、雰囲気から女性であると、この宿屋を取り仕切っている俺にはすぐ分かった。


「部屋は空いているかしら?」


 綺麗な女性の声を発するとその人物はフードを外し、その顔を覗かせる。


(ほぅ……) 


 その美貌を見て、俺は笑みを崩すことなく、ほんの少しだけ目を細める。


「ええ、空いてますよ。どちらからの紹介ですか?」


「道具屋で買い物してたら、ここを紹介してくれたの。女一人でも安くて良い部屋を貸してくれるって」


 基本、宿屋は一部屋に複数の客を泊めることを前提にしている。

 一人の客の場合、最低でも二人分の料金を貰って一部屋貸すか、相部屋をしてもらわないと割に合わないのである。

 女性のひとり客の場合、相部屋はまず無理だろう。


「まあ、この街の他の宿は酒場とかの兼業で忙しいところが多いですからね。うちは宿泊専門で細々とやってますから。お美しい女性の一人旅への特別サービスとして、うちで一番の部屋を用意させて頂きたいと思いますがどうでしょう?もちろん、お代はおひとり分で構いません」


「あら、上手なのね。じゃあお願いするわ」


「ではこちらにサインをお願いします」


 俺が台帳を差し出すと女は受け取りサインをして再び俺に返す。


「エマ様ですね。荷物をお持ちします」


 俺が後ろの壁に掛かっていた部屋の鍵の1つを外し、エマという名らしい女を部屋まで案内しようとする。


「いえ、いいわ。場所さえ教えてもらえれば自分で行くわ。すぐに休みたいし」


「そうですか。ではこれがカギになります。部屋はこの廊下の一番奥になります。静かな方がよいでしょ?」


「ええ、そうね。ありがとう」


 女は鍵を受け取ると荷物をもって歩き出した。


…………


「へぇ~、なかなか良い部屋じゃない」


 エマは部屋に入って中を眺めると感心したように呟いた。

 かなり広めで清潔な部屋にベッドと机と椅子が1つずつ。椅子は背をもたれてゆったりとくつろげるものだ。

 満足しながら荷物を下ろしフード付きのマントを外して軽装になると、ベッドにダイブする。

 シーツも清潔そうで臭いもせずに快適である。


「こんな良い部屋に一人分の料金で泊まれるなんて、ラッキーだわ。でも普通はシングルベッドが複数あるものじゃないかしら?」


 部屋に1つしかないダブルベッドに違和感を感じながら、何気なく部屋を見渡すと、机の上に置かれた物に目が留まる。

 それは裸の女性の像だった。

 よく見てみようとベッドを這い出て近づく。

 透明な水晶で出来たようなその像は、いかにも高級品だった。


「いくら良い部屋だからといって、こんな高価そうなものを置いておくなんて……。盗まれるとか考えないのかしら?」


 そんなことを呟きながらマジマジと見つめていると裸体像が不意に妖しく光る。


「うっ!!!」


 美女は一度だけ呻き声を挙げるが、次に瞬間には目から生気が消え、表情も消える。

 そして、自分がやるべきことを理解したエマは、自分の服に手を掛けてゆっくりと脱ぎ始めた。

 やがて、下着さえも脱ぎ捨て全裸になると、まるで自分も裸体像になったかのように、その場に呆然と立ち尽くすのだった。



………



「そろそろだな……」


 女が部屋に向かってある程度の時間が過ぎたので、俺はフロントでしていた作業を止めて立ち上がる。


「おい、俺は部屋まで行ってくる。しばらくここは任せたぞ」


「はい」


 奥で別の作業をさせていた女の従業員に声を掛ける。

 最近雇い始めたこの女もなかなか見栄えが良いが、部屋で待っているはずの今度の女は更に上玉だ。


(コンコン!)


 部屋をノックする。

 しばらく待つが予想通り返事はない。

 俺は合いカギでドアを開けると中に入り、期待通りの情景に喜びの笑みをこぼす。

 部屋の床には女が身に着けていた服や下着が脱ぎ散らかされており、その中心には裸の美女が呆然とした表情で立っていた。 

 その見開かれた視線の先にある裸婦像と同様に美しい像と化した女は、俺が近づいても気づく様子もない。

 俺は女に近づき、改めて鑑賞する。


「くっくっく、こいつは凄い上玉が手に入ったな」


 こらえきれない笑みを浮かべながら、期待以上に大きくて美しい形の乳房に手を伸ばし鷲掴みにすると、遠慮なくその柔らかい感触を楽しむ。

 しかし女の方は俺に触られても、わずかに顔を赤くする程度で何の抵抗もしようとしない。

 胸の愛撫を続けたまま、空いた手を腰から尻まで這わせて、その肉付きを確かめていく。

 ここまで玩具にされても、女は無表情で一切の抵抗をしなかった。

 調子に乗って乳房にしゃぶりつき、その先にある突起を舌の上で転がす。


「あっ、ああん……」


 流石に感じたのか、女は甘い吐息を出しながら軽く身をよじる。


「くくく、では契約を交わすとするか」


 とりあえずの楽しみ終わった俺は最後の仕上げに契約のディープキスを交わす。

 すると女の目に生気がよみがえる。


「これからお前は俺様の奴隷だ。たっぷりとその美味しそうな体を楽しませてもらうぞ。まずはこいつをしゃぶってもらおうか」


 ズボンとパンツを素早く脱ぎ捨てて、俺は女に命令する。


「はい、ご主人様」


 美女は素直に返事すると、俺の前に跪き、股間に顔を埋めて奉仕を始める。

 あの水晶の女人像の魔力に捕らえられた女は、最初に口づけされた男に一生仕える奴隷となるのだ。


「あとで道具屋には謝礼を支払っておかないとな。これからも上玉を提供してもらわないといけないからな……」


…………


 翌日、宿屋のフロントにはメイド服を纏った美しい女が新しい従業員として立っていたのだった……。



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【小説】魔神『ドッペルゲンガー』の暗躍 ~全てを奪われ、利用される女たち~


「ふぅ……」


 昼下がりの室内に響いた溜息に、私はそれを発した主に視線を向ける。

 そこには執務机に構えた疲れた様子の少女の姿があった。

 彼女こそが、私が守り抜かなければならない主、この国の第一王女であるフローラ姫である。

 傍に立ち、王女護衛の任務を遂行中の女騎士である私、アニスは、彼女を見つめる。

 『王国の至宝』と称賛される叡智と、それに相応しい美貌と気品を兼ね備えた姿に、同性ながら見惚れてしまう。

 表向きは病に伏せがちの国王の補佐として国政に関わっているのだが、実質的に彼女がこの国の舵を切っていると言っていい。

 自分より2つ年下なフローラは、自身の責任を果たそうと、懸命に職務に励んでいる。

 少し傾きかけていたこの国の財政がここ数年で大きく改善されたのも、彼女の功績だ。

 しかし、この年齢の少女にしてみれば、過度の重責であることは明らかだ。


「……姫様……」


 気持ちをうまく言葉に出来ずにただ呼びかけただけの私に対し、姫の方は少し意地悪めいた笑みを浮かべる。


「ねえ、アニス。あの姫君って、上手く息抜きできないから、あんな暴挙に及んだとは思わない?」


 最近、隣国の姫君が不平分子を糾合して自身の王国に反旗を翻すという事件が起きた。

 しかも反乱の象徴であった姫君本人は、内乱が始まるとすぐに行方をくらましたのだという。

 優秀で人望のある姫君であったはずなのに、何と言う暴挙に及んだのかと思ったものだ。

 反乱自体はすでに鎮圧されたものの、今でもその国では酷い混乱が続いている。

 我が国も隣国として秩序の回復に協力しており、その負担が多少なりとも姫様の仕事の増加に繋がっていることは否めない。


「……わかりました、姫様。十分な息抜きが出来ますように、お忍びの手配と……あと、あの店にも先触れを出しておきます」


「ふふふ、それでこそアニスよ!あなたの護衛があるのだもの、何の問題も無いわ」


 姫様の意図を汲み取り私が提案すると、姫の美しい顔は、楽しい午後を期待して、無邪気な笑顔になった。


「ところでアニス、あなた、気になる殿方は居ないの?」


「突然なんでしょうか?そんな御方、おりませんが?」


 興味津々で尋ねてきた姫様に対し、私は素っ気なく返事を返す。

 私自身、伯爵家の令嬢であり、姫様の恥にならぬように身だしなみに気を使っているせいか、男性に声を掛けられることは多い。

 興味が無い訳ではないが、どうせ美しい姫様のおこぼれだろうし、少なくとも姫様の婚姻が決まるまで誰とも付き合う気は無かった。

 即答した私に、姫様は呆れた顔になると溜息をつきながら口を開いた。


「はあ、これだから私の『守護天使』は……。あなたの魅力に気付いていないのは、多分、あなただけよ?」


「なんですか、その『守護天使』というのは?」


「『王国の至宝』を守る美しき『守護天使』って、みんな噂しているわよ?」


「私は姫様の『護衛騎士』です。それ以上でもそれ以下でもありません」


「……せっかく好意を寄せられているのだから、肩肘張らずに素直に受けて楽しめば良いのに……」


 再び呆れた顔になった姫様の呟きを、私は聞こえなかったフリをして心の中で返答する。


(……私は姫様さえ幸せになって頂ければそれで良いのです。それを見届けた後に自分の楽しみを探したいと思います……)



――――



「油断した!」


 泥水の様に濁った眠りから目覚めた私は、思わず叫んだ。

 恐らく紅茶の中に盛られていた睡眠薬のせいで鈍くなっている思考でも、自分が罠に嵌められたことだけはすぐに理解できた。

 まだ重い頭を動かして自分の状態を確認する。

 衣類は下着までも剥ぎ取られて全裸、その上、手足は縄で縛られている。

 当然、姫様を守る為に常に腰に下げていた剣もない。


「はっ!姫様!」


 自分が命を懸けてでも守るべき主人のことに、うかつにもやっと想いが至った私は、周りを見渡す。

 今居る部屋は窓が無く、ドアが1つだけだった。

 そして、私が今居る場所から逆の隅に、同じように全裸で手足を縛られて床に転がっている女性の姿を見つけた。

 それは間違いなくフローラ姫本人であり、よく見ると微かに動いている。

 最悪の事態だけには至っていないことを確認して、ほっとする。

 

「姫様!姫様!ご無事ですか!?」


 声を掛けると反応があり、やはり辛そうに頭を上げると、私を見つめ返してきた。


「……アニス?ええ、私は大丈夫です。でも、これは一体どういうことなのでしょう?」


 その疑問は私にもあった。


 ここは気立ての良い美人母娘が営む事で人気の喫茶店。

 数年前に初めて来た時以来、我々の身分に過剰にへりくだることのない気持ちの良い接客で、姫様の息抜きのためのお忍びでは必ず立ち寄っていた店である。

 衛兵たちの詰所も近く、治安のよい地域にあったため、何度も利用してきたのだが、どうやら間違いだったらしい。


 いつものように店を貸し切りにしてもらい、個室で姫と二人で美味しいお茶と焼き菓子を楽しんでいたのだが、急に眠気に襲われて、気が付いてみると手足を縄で縛られた上、身ぐるみはがされて裸で床に転がっていた。

 最近では気心の知れた友人のように親しくなれていたのだ。

 あの母娘に限って、このような暴挙をする事が信じられない。


(私の目が曇っていたのか?)


 以前からこの日のために潜伏していたのだろうか?

 だとしたら、それを看破出来なかった自分が恨めしい。


(……いや、今はそんなことより、この場を脱することを考えなければ……)


 そう考え、手足を縛っている縄の様子をみる。


(……縛り方は素人だな……それでも手の方を解くのは無理そうだ……だが脚の方なら時間を掛ければいけそうだ!)


 早速、自分の脚を縛る縄を解そうと作業に取り掛かると、ドアが開かれた。

 私は慌てて足元が見えないように体勢を変えて、部屋に入って来た2人の女を睨みつける。

 そして作業を続けながら、接客時と変わりない明るい笑みを浮かべる母娘に、私は鋭く問いかけた。


「お前たち!なぜこんな馬鹿な真似を仕出かしたのだ!いや、それよりも……今からでも遅くない、我々を解放するんだ!そうすれば今回の暴挙は不問にしてやってもよい!」


「あらあら、アニス様。落ち着いてくださいまし。そんなに大声を出さなくても聞こえておりますから」


 母親が私の剣幕を柔らかくたしなめる。

 それはいつも通りの柔らかい表情と口調で、嫌味なところは一切ない。


「お母様、騎士様は何故私たちがこんなことをしているのか、理解できていないようですわ。まずはそこから説明してみたらどうでしょうか?」


 娘が同じくやんわりとした表情で母親に進言した。

 そのやり取りの感じも、普段の母娘と全く変わりなかった。


「そうですわね、どこから話せばよいのでしょうか……。アニス様は『魔神』という存在をご存知でしょうか?」


「……遠い昔、その存在が確認された異形の生物……人に近い姿をしているものの、人よりも高い能力と異能を持つため、神に近い魔、『魔神』と呼ばれたモノたち……」

 

 記憶をたぐりながら呟くように答えたのは、私よりずっと博識な姫様だった。

 同時にこちらに一瞬だけ意味ありげな目配せをしてくる。


(注意を逸らしている間に、足の縄を解けってことですね!分かりました!)


 視線の意味を理解した私は同じく視線だけで頷き、母娘に顔を向けたまま、足元の陰で作業に集中する。

 こちらのやり取りに気付いた様子の無い母親は、姫様の答えに笑顔で頷く。


「さすがは『王国の至宝』フローラ姫、博識ですね。では『ドッペルゲンガー』という魔神のことは?」


「……」


 更なる質問が返って来たが、こちらは姫様の知識の範囲外のようだった。

 無言の私たちの様子を見て、今度は娘の方が口を開く。


「『ドッペルゲンガー』は、人の姿を完全に写し取り、言動までもそっくり成りすますことが出来るという、とても恐ろしい存在です」


 しかし、姫様は納得できないように首を横に振りながら、そこに言葉を足す。


「でも元々の個体数が少なかった魔神たちは、当時の勇者たちによって根絶やしにされたはずです!」


「それは少しだけ事実と異なります……」


 母親は姫様の言葉を否定すると、なぜか自分の服に手を掛けて、脱ぎ始める。

 それを見た娘の方も、当たり前のように服を脱ぎ始めていた。

 

「……魔神『ドッペルゲンガー』は滅ぼされる直前、人との間に子をなしていたのです」


 説明を続けながらも、2人の手は休まず動き続け、身に着けている衣類を次々と床に投げ捨てていく。

 やがて母娘共に身に着けていたモノを全て脱ぎ捨て全裸になる。

 2人とも実に女らしい体つきをしている。

 鍛錬のおかげで引き締まった筋肉は身についたものの、胸の膨らみが足りない自分を思い知らされる。

 そんなこちらの感想など気にかけず、母親は出来の悪い生徒に分かりやすく説明する教師の様に説明を続ける。


「彼らの子供は……人間でした。しかし、世代を重ねる中で稀に起こるのです。『隔世遺伝』というのですが、いくつも離れた世代に先祖の特徴を引き継ぐ子が生まれてきて、成人すると同時にその能力に目覚めるのです……」


 そして意を決したように彼女は告白する。


「……それが私たち……いや、俺たちだ!!!」


 言葉の途中で声色と口調が全く別人の……まるで男のようなモノに変わる。

 同時に、スベスベに見えた白い肌が、ザラザラした灰色に変わっていく。

 頭髪を含めた全ての体毛は、その肌に溶け込むかのように消えていく。

 たくさんの柔らかい曲線で描かれていたはずの女らしい身体は、出来の悪い人形のように直線的な輪郭になり、胸や腰も平坦になる。

 美貌を誇っていた顔も凹凸が無くなり、ぎらついた目と大きく開かれた口だけが残った。

 その姿は正に異形と言ってよかった。


『っ!!!』


 姫様と私は同時に息を飲む。

 先程まで知り合いの女性と思っていた2人が、瞬く間に異形のモノに変わったのだから仕方が無い事だろう。


「……けっけっけ!薬も完全に抜けているようだし、そろそろいいだろう。お前はどっちがいい?」


「前の国の姫と女騎士も中々良かったが、今回の『王国の至宝』と噂の『守護天使』は、それを上回る上玉だしな!俺はどっちでもいいぜ?」


「それじゃあ、今回は俺が姫の方にするぜ、げへへ」


 異形のモノたちは楽しそうに会話を終えると、先程まで娘の姿をしていた方が、下品な笑い声を挙げながら姫様に近づいていく。


「貴様たちは一体なんなのだ!?姫様をどうするつもりだ!」


「さっき説明してやっただろうが。まあ、そこで見てればいいさ」


「くっ!姫様に近づくな!!!」


 私の叫び声を無視して、異形のモノは姫様の傍に立つと、彼女の腕を掴み、そのまま持ち上げる。

 いくら軽い女性といっても、それを片手で持ち上げる膂力は正に人間離れしていた。


「けっけっけ、その美しい身体、俺たちの役に立って貰うぜ!」


「いやぁ!離して!うぐぅ……」


 開いている方の手で暴れる姫様のアゴを掴むと強引に引き寄せ、異形のモノが口を重ねる。


「う!ぅぅぅぅぅ」


 口を塞がれて姫様が苦しそうにもがきはじめる。


……ゴクゴク……


 異形のモノの喉が波打つように激しく動き、その音が室内に響き渡る。

 その有様は、まるで姫様から『何か』を吸い上げているようだ。


 やがて変化が目に見えて分かるようになってきた。

 ザラザラした灰色だった異形のモノの肌が、少しずつ艶と赤味を帯びてきて、まるで女性の肌のような質感を持ち始めたのだ。

 変化はそれだけでは無かった。

 体型も綺麗な曲線を持つ女性のものになりつつある。

 頭にも姫様と同じ色をした美しい金髪が生えてきていた。


「ひ、姫様!」


 対照的に苦しそうにもがいていた姫様の方は、力が抜けたようにぐったりとしている。

 それだけではない。

 美しく光り輝いていた金髪は、真っ白で枯れたようにしおれてしまった。

 体も肌の色艶が急激に失われて、まるで老婆の様に痩せこけ、皺だらけで萎んでしまっている。

 顔ももはや以前の美貌が想像できないほどに肉が削げている。

 目には精気が無く、もはやまともに意識を保っている様子は感じられない。


「ふふふ……」


 突然、聞き覚えのある笑い声が響き、私はハッとする。

 姫様と口を重ねていたはずの異形のモノが振り向き、その顔を見て私は愕然とする。


「う、嘘……」


 それは見間違う事の無い、私が命を懸けて守り抜かなければならないお方の顔だった。


「どうしたの、アニス?そんなに驚いて。まさか私の顔を忘れたの?」


 その口から姫様の声が漏れる。

 そしてその姿は正に姫様そのものだった。

 混乱する思考の中で、先程母親の姿のモノに説明された内容を思い出す。

 そしてやっと理解が追い付く。

 目の前に居るこいつらこそ、その『魔神』の子孫なのだと。


「違う!お前は姫様ではない!姫様を元に戻せ!さもないと……」


「さもないと、私をどうするというの?あなたは私の『守護天使』でしょ?ふふふ……」


「こっちも凛々しい美形の顔にスラリとした綺麗な体してんだよなぁ~。こいつは楽しみだぜ!」


 まだ異形の姿のままの方が私に近づいてきた。

 その顔が歪んだように見えるのは、あざ笑っているからなのだろうか。


(姫様!お守りできなくて申し訳ございません!でもせめてこいつらだけは生かしておきません!!!)


 私はやり切れない思いを力に変えて、解け掛けていた足元の縄を強引に解く。

 そして勢いよく立ち上がり、目の前のバケモノに体当たりをしてよろめかすと、そのままドアに向かい、飛び出す。


(出口は……あっちか!)


 全力で店の出口に向かって走り始める。

 後ろから追ってくる気配は感じるが、今のままなら追いつかれずに行けるだろう。


(このまま外に出れば!)


 勿論、いまだ裸のままだが、全く構わなかった。

 むしろ、街の真ん中に裸の私が現れれば、嫌でも人々が注目してくれるだろう。

 もはや、恥ずかしいとはこれっぽちも考えなかった。

 姫様を害した奴らの存在が晒され、滅ぼされるのなら、それでいい。

 ざまぁみろだ!


「アニス!お願い!私を置いて行かないで!」


 突然、後ろから投げかけられた悲痛な叫び声に、私は足を止めて振り返る。

 異形のモノが迫る後ろで、姫様の姿をしたモノがニヤリと笑う。


「しまった!!!」


 凄まじい力で押し倒された私に、異形のモノの顔が迫り、その口が重なる。


「うっ!ぅぅぅぅぅ!」


 必死にもがくがそいつは離れず、私の中から『何か』が次々と奪われていく。

 やがて暴れる気力を失い、自分が何者であったのかという記憶さえ奪われた私は、目の前で微笑む美しい女性を見つめる。


(あ……天使……)


 私の意識はそこで途絶えたのだった……。



――――



「それでは城に戻りましょうか、アニス?」


「はい、フローラ姫様」


 しばらくして喫茶店の入り口から2人の女性が姿を見せる。

 フードを被って顔を晒さないようにしているが、両者ともに美しい顔立ちをしている。

 年下の少女のほうが、平和そうな街の様子を眺めながら呟く。


「どこをどう弄ればこの国が壊れていくかが『今の私』には手に取るように分かるわ。この光景も私たちの手で荒れ果てた姿に変わるのね。ふふふ、楽しみだわ」


 もう一人の付き添うように歩く女性も感慨深いように呟く。


「私は……この容姿で多くの男をたぶらかして手駒にしてみせましょう。『今の私』なら自分の魅力を十分理解出来ていますし、こちらも楽しみです、ふふふ……」



 後日、人気の喫茶店で4人の女性の変死体が発見されるが、それが詳しく調査されることは無かった。

 なぜなら発見されて間もなく、王国自体が建国以来の大混乱に陥ったのだから……。






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【小説】小さな親切、大きな損失。


「あっ!」


「どうしたの、佐奈?」


「あたし、行ってくる!」


 友人と一緒に歩いていた佐奈は、視線の先の横断歩道に向かって駆けだす。


「ちょっと!佐奈~。はぁ、相変わらずねぇ……。美人で、頭も良くて、気立てもイイときたら、男たちが群がるのも当然だわ……。でも、ちょっと危ういのよね~……まあ、そこも男たちの保護欲を誘うのかもしれないけど……どっちにしても羨ましいわ~」


 

…………



 アタシは横断歩道で立ち往生しているお爺さんを見つけて、駆けだした。

 ここの信号は切り替わりが早い上に交通量が多いので、足の遅い老人にとっては渡るタイミングが難しいはずだ。


【他人に親切にすることはとてもイイことだよ……だけど……】


 既に他界している祖母がいつも言っていた言葉だった。

 その言葉には続きがあった気がするのだけど、思い出せなかった。

 でも、大好きだったお婆ちゃんの言葉だ。

 アタシはずっと守ることにしている。


「お爺さん、大丈夫ですか?良かったら私、付き添いましょうか?」


「おやおや、それは親切に。じゃあお言葉に甘えて、そこまでお願いしようかねぇ」


 アタシは一緒に横断歩道を渡り、指示された裏路地まで老人に付き添う。


「ここでいいの?他に私にできることがあったら『何でも』遠慮なく言ってね?」


「……そうかい、そうかい、優しい娘さんだねぇ。じゃあ1つだけお願いしてみようかねぇ」


「なんでしょう?」


「…………」


 老人は小声でブツブツと呟き始める。

 それは何かの呪文のようにも思えた。


「え?聞こえないわ」


 アタシは聞き取ろうと老人に顔を近づける。


「……ワシと交代しておくれ!」



…………



 気が付くと目の前の少女が、自分の胸に手を当てながら、心底楽しそうな笑みを浮かべていた。


(えっと……そうだ、このお嬢さんが道を渡るのに付き添って……くれたんだっけ?)


 酷い違和感を感じながらも、アタシ……じゃなくてワシは記憶から状況を思い出し、付き添ってくれた少女にお礼を述べる。


「ああ、お嬢ちゃん、ありがとうね」


 お礼を述べるとその少女は、一瞬意外そうな顔をした後、少し憐れむような顔をしながら口を開いた。


「お礼を言うのはワシ……じゃなかった、アタシの方なんだけどね。でも、そうね、お爺さんも余生を無事に過ごしてね。それじゃあ、お元気で!」


 そう言い捨てて少女はその場を離れていった。

 ワシはそれを黙って見送り、再び重い足を動かし始めたのだった……。



…………



 内心の喜びを隠しきれず、アタシは満面の笑顔を浮かべ、軽い足取りで友人の元に戻る。

 その様子を見た彼女は、少し呆れた顔になって話しかけてきた。


「いつも思うんだけど、佐奈ってお人よし過ぎるよ?いつか酷い目に遭うんじゃないかって、みんな心配してるよ?」


 その言葉にアタシは思わず苦笑いを浮かべてしまう。


「昔、お婆ちゃんが良く言ってたの、【他人に親切にすることはとてもイイことだよ】って」


「うん、佐奈いつも言ってるよね。それがどうしたの?」


 そうだ、今のアタシならその言葉の続きがハッキリと思い出せる。


「その言葉には続きがあってね、【……だけど必要以上に厚意を押し付けてはいけないよ?相手に付け込まれることがあるから……】ってね」


「ふ~ん、その通りだと思うけど?」


「うん。だから、『これからは』気を付けることにするわ」


「これからは?どういうこと???」


「いいからいいから。それより今日、お泊りに行っていい?一緒にお風呂に入ったりしようよ!」


「えっ!別にいいけど……どうしたのよ、いきなり」


「うん、折角だから色々楽しみたいだけ、ふふふ」


(ふふふ、上手くいったわ!あの『おまじない』は完全に無防備の相手じゃないと出来ないから、半ば諦めていたのに……。まさかこんな美少女の人生が手に入るなんて!凄くラッキー!)


 折角頂いた人生だ。

 思う存分楽しんでやらないと『前のアタシ』に悪い。

 そうだよね?




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【連載】憑依遊戯 第4話 変容する日常


 悶々としたやり切れない気分で週末を過ごし、週が明けて月曜日になった。

 俺は重い気持ちとほんの少しの好奇心を抱いて登校した。


 あの男が言っていた通り、神楽由依菜は普通に登校してきて、当たり前のように俺のクラスで授業を行っている。

 その様子は普段となんら変わるところが無いように思える。

 

(悪い夢だった……ってオチはないよな、流石に……)


 俺は酷い居心地の悪さを感じて、彼女を直視出来なかった。

 もうすぐ昼休みなので、せめてまともなものを食べて少しでも気分を晴らそうと考える。

 だが授業が終わると、彼女は俺に声を掛けてきた。


「霧峰君、お昼休みに悪いのだけど一緒に来てくれるかしら?少し確認したいことがあるの」


 美人の先生に声を掛けられた俺に一瞬だけクラスの注目の視線が集まったが、内容が事務的なことのように聞こえたからだろう、興味はすぐに失ったようだ。

 俺はうなづき、先生に付いて歩き始める。


 何故か普段使われていない倉庫代わりになっている教室のほうに向かう。

 目的地につくと由依菜先生は鍵をとりだしてドアを開ける。

 俺たちが中に入って誰も居ないことを確認した彼女は再びドアに鍵を掛けてしまった。

 ドアから遠いスペースに俺を連れ込んだ先生は、敬うような姿勢をとって口を開いた。


「先程は失礼致しました、京也様。放課後は忙しくて時間が取れそうにないので勝手に昼休みに時間を割いて頂くことになりました。申し訳ありません」


 まるで客人に対するメイドのような態度になった先生に、戸惑いを隠せない俺。

 彼女はそんな俺を知ってか、事務的に話を続ける。


「それで用件なのですが……ご主人様のお仲間になったお礼として、あなた様に口で奉仕するように命令されています。よろしいですか?」


「?!」


 話の流れに付いて行けず俺は返事することができなかったが、由依菜は了承と受け取ったようで、更に尋ねてきた。


「服は脱いだほうがよろしいですか?」


 あまりの急展開に、思考停止の俺は意図せず頷いてしまう。


「わかりました。脱ぎますのでしばらくお待ちください」


 言ってる内容とは裏腹に、あくまで淑やかに宣言すると、服に手をかけて上から脱ぎ始める。

 淡いブルーのブラジャーに包まれた形の良い大きな双丘が姿をあらわすが、躊躇いが一切感じられない手の動きは止まらず、今度はスカートに手を掛け、そのまま下におろして足から抜く。

 上下の下着にストッキングと靴だけ身に着けた美女の姿は、下手な裸よりもエロいかもしれなかった。

 乾いた喉につばを飲み込みながらその光景を見つめている俺にニッコリと微笑むと、この姿で十分と判断したのか、そのまま俺の前にひざまずく。

 そして、そのままの姿勢で何かを待っているかのように俺を見上げた。

 ようやく思考が進んだ俺はあわててズボンとパンツを下ろし、下半身を露出させた。

 それを見た由依菜は、微かに頬を赤らめただけで、落ち着いた所作のまま微笑む。

 

「……失礼します」


 彼女は一言断ると積極的に俺の股間に顔をうずめる。

 先週、車の中で男にぎこちなく奉仕していたのとは、まるで別物だった。

 舌を動かしたり頭自体を前後に動かすなどして色々な刺激を与えてくる事にも驚いたが、なによりこの清楚な美女がこんな姿でこんなことをやっているという事実が俺の興奮を最大まで高めていく。


 だが悲しいかな、経験不足の高校生では長くもつはずもなく、あっというまに口内に射精してしまった。

 由依菜はそれにも動じず、わずかに目を細めて喉をならしながらそれを飲み干し、口を離してから再び微笑む。


 結局、先生にされるがままで終わったのだった。


 俺が椅子にもたれて射精感で呆けていると、何事も無かったように素早く服を身に着けた由依菜が話しかけてきた。


「鍵はあとで掛けに来ますから落ち着くまでゆっくりされてください。私は仕事が残っていますので、これで失礼します」


 そう告げて彼女が教室を出ていくのを、俺は呆然と見送った。


(……あの由依菜先生が俺のチンポを……ははっ!マジかよ!)


 後からじわじわと実感が湧きだし、それが歓喜に変わっていく。

 それは俺の人生が確かに変わったと感じた瞬間だった。

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【連載】憑依遊戯 第3話 『収穫』された先生


 職員室に戻った由依菜先生は、すぐに帰り支度を始める。

 教育熱心な彼女は、普段は遅くまで残っているほうだが、今日は急いで帰りたいらしい。

 その様子を不思議がる他の教師には、今日は用事が有るから早めに帰ると説明しているようだ。


 俺は散々迷ったが、やがて荷物を担いだ彼女を見て意を決し、職員室から出てきたところを押さえる。

 正直に言えば、目の前の女性を乗っ取っている未知の存在が怖かったが、かろうじて勇気……そして好奇心……が勝った。


「先生、話があるんですが……」


「えっと……そう、霧峰君だったわね。ごめんなさい、今から帰るところなの。すぐに終わる話かな?」


 俺が話しかけると、普段通りに笑顔になって応対する先生だが、やはり学校から去ることを優先したいようだ。

 その笑顔に心を揺すられるが、俺は強気に前へ出る。


「いえ、たぶん無理です」


「あら、そうなの?じゃあ、週明けに改めてはどうかな?私、ちゃんと相談に乗るわよ?」


「いえ、今じゃないと駄目で……。先生、さっきいつでも相談に乗るって言ってくれたじゃないですか!」


 食い下がる俺の言葉に、嫌そうな顔をした由依菜先生だったが、不意に俺の顔を見つめると、何かを思い出したかのように小声で呟く。


「……ああ、あの時反応した男子ね……」


 そして1つ頷き、再び笑顔になって続ける。


「……わかったわ。それじゃあ……進路相談室に行きましょうか?私も君の事、少し気になっていたの」


「え?」


 意味深な言葉にドキリとした俺に対し、少し意地悪めいた微笑みを浮かべた先生は荷物を持ったまま歩き始めた。

 戸惑いつつも俺は後に続く。

 相談室に着くと有難いことに誰もいなかった。向かい合って席に着くと彼女のほうから話を切り出してくる。


「それで話って何かな?真剣な話みたいだったからやっぱり進路の事でしょ?そう思ってこの部屋にしたんだから。ここには資料もあるし……」


 本当に気が回って優しい先生らしい言葉に、気づきながらも信じたくなかった結論に辿り着く。

 先生を乗っ取っている霊体は、その美しい体を奪っただけでなく、先生の記憶と人格、つまり魂までも自分の支配下に置き、本人に成りすまして楽しんでいるのである。

 同時に『美女を乗っ取る』という『男の夢』を実現した存在に、憧れ・嫉妬・畏怖など様々な感情が入り乱れて興奮している自分がいた。

 

(こいつは俺の憧れている先生じゃない!先生を乗っ取って成りすましてるだけの神楽由依菜モドキだ!)


 俺はそう強く思い込み、気力を振り絞って言葉を吐き出す。


「あんた、誰なんだ?俺は見たんだ、あんたが給湯室で男のような口調で下品なことをしてるのを!」


 俺が問い詰めると、目の前の女は呆気にとられたように見つめ返す。

 そして何故か愉快そうに笑い始めた。


「うふふふ……、あっ、ごめんなさい、笑ってしまって。でも君が悪いのよ?真面目な顔で突然おかしなことを言うから」


「おかしなこと?何が?」


「それじゃあ聞くけど、君は私が何者だというの?誰がどう見ても私は君のクラスの副担任をしている神楽由依菜よ、そうでしょ?」


「……神楽先生のフリをして誤魔化すな!正体をあらわせ!」


 俺が必死に声を出す様子に、女教師モドキは一瞬だけ目を細めて冷ややかな視線を向けるが、次の瞬間には困ったような顔になり、真剣な口調で語り始める。


「……どうして君がそんな事を言い出したのかは分からないけど……困ったことがあるのなら言って欲しいの。私、真剣に相談に乗るわ。私じゃあ頼りないのかもしれないけど、教師として君のことは大切に思っているの。だからおかしな事を言って私を困らせるのだけは止めてね、お願い……」


「……」


 普段の由依菜先生と同じ控え目で優しい反応に、俺は言葉が詰まる。

 乗っ取っている霊体が完璧に彼女になりきれている事を悟り、このまま問い詰めても無駄だと悟ったからだ。


 俺は仕方なく最初から説明を始める。

 自分が霊を視る事が出来ること、そして目の前の先生を乗っ取っている相手が何をしていたか、最初から見た事実をそのまま淡々と述べていく。

 その間、由依菜モドキは黙って俺の話に耳を傾けていた。

 その表情は、どことなく嬉しそうに見える。

 そして、俺の話が終わると同時に何故か笑い始めた。


「うふふ……あはは……ひひひ……がははは!」


 声は先生のまま、笑い声が徐々に下品なモノに変わっていく。

 終いには腹を抱えて、まるで中年のオヤジのように大げさな動作で笑い出した。

 美貌を歪めて楽しそうに話し始める。


「……ちょっと霊感が強いだけの覗き魔かと思っていたが……まさか、俺が完全に『視えて』いたとはな!こいつはイイ!」


 先生の綺麗な声で下品な男言葉が漏れた。

 モドキはニヤリと笑うと、言葉を続ける。


「お前、命拾いしたな。ただの覗き魔だったらキツイお仕置きをしてやろうと思っていたんだぜ?」


「お仕置き?」


「ちょっとだけ想像してみな……」


 そう言ってモドキは神楽先生の美しい顔に浮かべた下品な笑みを更に深め、大きな胸を鷲掴みして大胆に揉み始めると、言葉を続けた。


「……俺がこの女になりきって、お前に暴行されたって主張したらどうなるんだ?」


 俺は自分の顔から血の気が引くのを感じた。

 普段の先生を知る人なら全員、その主張を全く疑わないだろう。

 そうなれば少なくとも、この学校には居られなくなる。

 最悪、社会的に抹殺されることになるかもしれない。


「でもまあ『視える』っていうなら話は別だ。覗き見したことは忘れてやる。その代わりちょっと付き合ってもらうぞ」


 そう言うと、こちらの返答を待たずに荷物の中からスマホを取り出し、いずこかへ電話をかける。


『……はい……』


 スマホから若い女性の声が流れた。


「おう、麗奈、俺だ。例の場所へ車を回せ!……おっと忘れるところだった、客を一人連れていく」


『かしこまりました……』


 電話に出た女性に指示を終えた由依菜先生――正確には乗り移った男の霊体に操られた由依菜先生の体――は荷物を持つと立ち上がった。


「一緒に歩いてるとお互い目立つから、少し離れてついてこい」


 俺は急いで教室から自分の荷物を担いでくると、指示された通りに、少し離れて由依菜先生の後を追い始めた。



 校外に出てしばらく歩くと、近所にある公園の前に1台のバンが停まっていた。

 窓ガラスは全てマジックミラーのようで、外から中の様子を見る事はできない仕様のようだ。

 誘われるまま後部座席に乗り込む。


 車内は、まるで室内であるかのように改造されていて、向かい合って設置されているソファのようなシートに向かい合って座って、足を伸ばしてくつろげる広さをもっていた。

 中で待っていた人物は3人。

 目を閉じて瞑想してるような中年の男と、彼を守るように隣でこちらに警戒した鋭い視線を投げかけてくる女豹のような印象の美女、そして前の運転席にメガネを掛けた女が座っていた。


 由依菜先生が男の前の席に座ると、自分の隣の場所を軽く手でたたいた。

 俺は居心地悪さを感じながらも、こちらを見つめる女性の前に、向かい合うように座る。

 

 先生はそのまま座席に背を預けると、突然意識を失ったようシートにもたれかかる。

 するとその体から魂が抜け出てきた。

 先生の姿をした霊体が俺に振り返ると、その表情にニヤリと笑みを浮かべる。

 それが合図だったかのように、その姿が歪み始め、次の瞬間には男の姿に戻っていた。

 その霊体の姿と座席に眠る中年の男の姿を見比べて、同一人物であることを俺は確認した。

 突然、男の霊体がその場に屈みこんだ。

 何事かと思ったが、次の瞬間、俺は思わず目を背けそうになる。

 男の尻から別の霊体が、まるで排泄物のように垂れ流れて床に溜まっていく。

 それが何なのか、なんとなく察した俺は吐き気を催すが、かろうじて顔をしかめるだけに留める。

 全てが排出されると、その霊体の塊は擬態するスライムの様に立体的に盛り上がると、人の形をとる。

 すぐに女性の柔らかい輪郭を手に入れたソレは、段々と細部が形成されて行き、やがて美しい女体の姿となった。


(……ああ、やっぱり由依菜先生だ……)


 元の姿に戻って、中年の霊体の前に立つ女性の霊体の顔を見て、俺は暗い気分になる。

 男の霊体の中で一度消化されて再形成されたであろう霊体が、まともなものとは思えなかったからだ。


 そんな俺の心中を無視して、男の霊体は由依菜先生の霊体を掴むと、シートにもたれて意識の無い彼女の体に押し込む。

 全ての作業が終わると男の霊体も本来の体に戻っていった。

 中年の男が目を開けると同時に先生の意識も戻る。

 男が口を開いた。


「さあ由依菜、これからは俺がお前のご主人様だ。お前は俺に奴隷として仕えるんだ、わかるな?」


「はい、ご主人様」


 落ち着いた声ではっきりと返答する神楽由依菜。


「それじゃあ……まずはこいつをしゃぶってみろ」


「……はい……」


 男が股間からイチモツを取り出しながら命じると、神楽由依菜は顔を赤らめながらも従順に返事した後、男の前にひざまずき、口で奉仕を開始した。


「さすがにフェラチオは知っていたようだが、やはり下手だな。まあ、仕込みのし甲斐はあるがな……もういいぞ!」


「……はい、失礼しました……」


 由依菜は奉仕を止めると、自分の席に戻って座る。

 そして次の命令を待つ忠実な犬の様に、自分の主人を見つめ始めるのだった……。



 男は自分の下半身を元に戻すと、一連の様子を唖然として見ていただけでまだ一言も話すことができない俺に向かって、口を開いた。


「まずは簡単に紹介しておこうか。運転席に居るのが麗奈。俺の秘書をさせている」


 戸惑いながらも、その女性を見つめる。

 知性的な雰囲気を持つ美女だ。

 視線が合うと会釈をしてきたので、こちらもぎこちなくだが返しておく。


「見た目通り頭が良くてな。弁護士をやっている」


 男の説明に俺はあっさり納得する。

 次に男は自分の横に座る女性を指さす。


「こっちは冴子だ。主にボディガードをさせている」


 俺が視線を向けても特に反応することなく、相変わらず冷たい視線を浴びせてくる。


「いろんな格闘技を修めていてな。もし俺に危害を加えようとしたら、3秒で1ヵ月の入院生活を約束しよう。まあ、一応忠告だ」


 どちらの女性にも共通して言えるのは、タイプは違えど由依菜先生と同じかそれ以上の美貌と、スーツ姿が美しく映えるスッキリとしたスタイルの持ち主であることだった。

 男はニヤニヤ笑いながら続ける。


「あと俺の事は、そうだな……『D』とでも呼んでくれ」


 そして顔を真面目に戻すと切り出してきた。


「さて本題だ。単刀直入に言うぞ。俺の仲間になるんだ。お前に拒否権はないし、裏切ることもできないことくらいはもう理解できているだろ?」


 その時は憧れていた女性に社会的・精神的に抹殺されるということだろう。

 俺は苦い思いを飲み込んで首を縦に振った。


「まあ、そんな顔をすることはないさ。お前もきっと後で良かったと思うさ。で、何か聞きたい事はあるか?今こたえられる事なら答えてやるぞ?」


 俺は疑問に思っていたことを尋ねた。

 なぜ由依菜先生なのかと。

 他にも芸能人やモデルなどメディアに出ている美しい女たちがいるではないかと。

 男の解答は苦味を含んでいた。


「ああ、あいつらは駄目だ。全員、どこかの組織の所有物で、所属事務所に貸し出されてるだけだ」


「えっ!みんな同じように霊体を改変されてるってことですか?」


「いや、詳しい手法は分からないが、なんらかの手段で支配され管理されているのは間違いない。程度の差はあるだろうがな。所属事務所に忠誠を誓うように暗示を与えられた程度のやつもいるだろうし、起きている間の行動は完全に管理されて、自由なのは夢の中だけってレベルの奴もいるだろうな。いや、夢さえも管理されてるかもな」


「……」


 メディアで見かける美女たちの現実を知って、俺は言葉が出ない。


「だから俺みたいに個人レベルで行動してると、この女みたいに狭い範囲でしか認知されてない上物を『収穫』するしかないのさ」


 男の回答が終わると、俺は車から降ろされた。

 由依菜先生はこのまま連れて行かれるようだ。

 憧れていた女性のこれからの人生を想像して、俺は再び暗い気分になる。

 そんな俺を見て男は最後に言った。


「たぶんお前の心配は的外れだぞ。少し考えてみれば分かることだ。この女の人生をぶち壊したところで一時的な享楽は得られるかもしれないが、その後がこっちにとっても面倒すぎる。女にはちゃんと普段の生活を送らせて、こちらの用事があるときは優先的に働かせる。これがベストだ。まあ、若干の仕込みは必要だがな……」


 俺はその場に立って、走り去る車の姿が消えるまで目で追う事しか出来なかった。



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